横浜Mの勝負手がはまった。右FWに仲川という、ポステコグルー監督が仕掛けた用兵術が勝利の道を切り開いた。
「(松原)健との連係はあうんの呼吸に近い。あの得点で優位に立てた」(仲川)。前半30分、右サイドバック(SB)の松原が敵陣右でボールを持つと、仲川はスルスルとペナルティーエリア内へ走り込む。どんぴしゃのタイミングで絶妙なスルーパスを受けたことが先制点につながった。記録上は磐田のオウンゴールだったが、相手守備ラインの裏を取る、完璧な崩しだった。
3トップの中央が主戦場だった仲川の突然の配置転換。チームは4戦不敗で攻撃陣は計12得点と好調だっただけに疑問符がつくが「SBの松原と仲川を右サイドで組ませた方が面白いと思った」と指揮官。中央突破は容易ではない。パスワークで崩すのなら右からという見立て通りに選手が躍動、試合を振り返る舌も自然と滑らかになった。
後半42分には敵陣右サイドの深い位置でパスを受けた仲川が、強烈な右足シュートで逆サイドのゴールネットを破った。得点ランク4位の今季11点目で勝負ありだった。
最大で9あった東京との勝ち点差はわずか1に縮まった。仲川は「勝ち続けていくしかない。勝利を重ねて、優勝できるように一丸となっていく」と頼もしかった。 (松岡祐司)