東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 政治 > 紙面から > 10月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【政治】

改憲より憲法の理念実現を れいわ2氏、訴え

 安倍晋三首相が臨時国会冒頭の所信表明演説で改憲への変わらぬ意欲を見せる一方、七月の参院選で初当選し本格的な国会活動に臨む重度障害者の舩後(ふなご)靖彦、木村英子両氏(いずれもれいわ新選組)が、改憲よりも「現行憲法の理念を実現することの方が喫緊の課題」と訴え、対照的な姿勢を示している。両氏は幸福追求権を定めた一三条や生存権の保障を定めた二五条などを挙げ「障害者には十分実現されていない」と指摘する。

 首相は四日の所信表明演説で、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の舩後氏を「友人」と紹介。社会保障などの改革に向けた「道しるべは、憲法だ」と、衆参両院の憲法審査会での議論を促した。

 舩後氏は演説を受け、就労中が対象外となる「重度訪問介護」の制度改正について「首相とともに実現していきたい」と、歓迎するコメントを発表した。だが憲法に関しては、本紙のインタビューで「二五条で保障する権利が障害者には十分に認められていない。安倍政権がないがしろにしている」と批判している。

 二五条は、全ての国民に「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を認めている。

 舩後氏は、九月に首相官邸で、以前から交流のある首相と面会した際、法の下の平等を掲げる一四条や二二条の職業選択の自由にも触れ「理念を実現するために頑張る」と伝えた。

 木村氏も演説後「今の憲法ですら守られていない現状がある。早急な改憲はいかがなものか」と話し、首相の姿勢に疑問を呈した。二五条に関しては、本紙の取材に「重度障害者が自分の意思で自分の選択した人生を営むには、あまりにもバリアー(障壁)が多い社会の構造だ。衣食住など健常者と同じ権利がまだまだ保障されていない」と指摘している。

 両氏は、自民党が掲げる九条への自衛隊明記などの改憲四項目にも「悲惨な戦争を生み出す可能性を持つ改憲には反対」(木村氏)と距離を置く。特に、有事の際に政府への権限集中を認める緊急事態条項の新設には「戦争などの際に、障害者は真っ先に切り捨てられる」(舩後氏)と反対している。 (横山大輔)

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報