渡辺氏: i-SOBOTは17個ものモーターを駆動+制御しなければならず、大電流かつ電圧が安定している電源が必要でした。たしかに大電流を引くにはニッケル水素のほうが有利ですが、i-SOBOTは玩具なので安全性や駆動時間を含む品質管理がしっかりできなくてはなりません。
その点、eneloopは、ロボットにかなり過酷なアクションをさせても1時間はもちます。われわれのエンジニアも驚いていたくらいです(編注:eneloopも中身はニッケル水素充電池)。
齋藤氏: eneloopを充電するときのコストをご存じですか? 単三形でも一本あたり4円程度で済むそうです。100円ショップで販売している乾電池などと比べると購入時は高価に感じるかもしれませんが、実際には非常にお得。三洋電機さんとはコラボレーションを進めていて、今後はi-SOBOTとeneloopを使って小学生向けに環境授業を実施する予定もあります。
――i-SOBOTでは、具体的に何ができるのでしょう
苑田氏: i-SOBOTの操作には、基本的に4つのモードがあります。リモコンモード、プリセットのアクション、ボイスコントロール(音声認識)、そして「エアギター」や「ハワイアン」など長いアクションをする「スペシャルアクションモード」。アクションは全部で182あり、番号を打って「GO」ボタンを押すだけの簡単操作で遊ぶことができます。スペシャルアクションモードも18種類を用意しました。
苑田氏: 音声認識モードでは10の言葉に反応します。「i-SOBOT」(アイソボット)と声をかければ自己紹介をしますし、「アクションスタート」と声をかけると、カンフーやロミオとジュリエットなど、ランダムで長いアクションを見ることができます。ヒマなときに「なにか面白いことをして」と言うと何かしてくれる。隠しモードみたいなものも入っているので、繰り返し遊べると思います。
プリプログラムが多くて“すぐに遊べる”ことは玩具としては重要な要素。逆に10万円のホビーロボットに音声認識機能をつけ、これだけのことをプログラミングしたらすごく大変でしょう。
――リモコンでプログラムを組むこともできると聞きました
苑田氏: プログラミングは、コマにアクションを埋め込んでいくイメージです。たとえば、「右ターン」しながら「お辞儀」をして、「手をふり」ながら「さようならー」と言う。それぞれのアクションを順番に指定していくだけです。1つのプログラムには80ステップまで登録でき、それを3つまでリモコンにメモリーしておくことができます。プリセットのアクションを組み合わせるだけで、かなりのことが実行できます。
――10月発売ということですが、現在の状況を教えてください。また1月の「トイフォーラム」で参考展示したピンクバージョンやCAMバージョンを発売する予定はありますか?
渡辺氏: 現在は、ハードウェアが量産の一歩手前、プログラムは80%といったところです。カラーバリエーションは設定せず、初回は(タカラトミーの)コーポレートカラーでもある青と白でいきます。あと外観については、本体はもう少しツヤがなくなる予定です。
発表当初はi-SOBOTを7月に発売して、CAMバージョンを10月に追加する予定でしたが、年内は「i-SOBOT」に集中することになりました。CAMバージョンのほうは開発が終了したといって良い状態ですが、発売は来年以降です。i-SOBOTはいわば“第1弾”。これをきっかけにして第2弾、第3弾を出していきたいと思います。
――海外展開も視野に入れているようですが、具体的なスケジュールはありますか?
齋藤氏: 日本のほか、北米とアジア(中国、香港、韓国、台湾)で発売し、2008年の春先には欧州にも投入する計画です。(i-SOBOTの)言葉は、日本語のほか、英語、中国語にローカライズすることが決定しています。もちろん、言葉は変わってもキャラクターは変わりません。
渡辺氏: 日本は、「鉄腕アトム」や「鉄人28号」以来の二足歩行ロボット大国です。海外でも「ASIMO」などの登場で(二足歩行ロボットの)イメージが確立された感はありますが、実物が海外に渡っているケースは非常に少ないでしょう。ASIMOでさえ、北米に行ったのは1月の「International CES」が初めてで、その目的もPRがメインでした(→関連記事)。
ですから、i-SOBOTは本格的に世界中で販売される初の国産二足歩行ロボットということになります。i-SOBOTをきっかけに、日本のお家芸である“小さくて精密なもの”を訴求していきたいですね。
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