北海道新聞 2017/08/10
政府は、検討中のアイヌ民族に関する新法にアイヌ民族らが求める生活・教育支援などを明記するかどうかを判断する際の参考にするため、全国のアイヌ民族に対する生活実態調査を本年度中に実施する。道内在住者を対象に調査する道とも連携し、差別などを懸念して普段はアイヌ民族と明らかにしていない人たちを含めて聞き取りなどを行う。
政府による全国調査は2010年度に続き2回目。前回は道内の血縁者らをたどって把握できた道外の241世帯318人に調査票を配布し、153世帯の210人が回答。国民平均に比べ世帯年収が低く、高校中退者が多いなどの実態が分かった。
ただ回答者はアイヌ民族同士で日常的なつながりを持っている人が多く、差別を恐れて普段はアイヌ民族だと明かさず、アイヌ民族のコミュニティーからも離れている人の声をどうすくい取るのかが課題となった。地域的にも関東の回答者が137人で約7割を占める一方、近畿は14人にとどまるなど偏りがあった。
内閣官房アイヌ総合政策室によると、アイヌ民族の道外への移住者や子孫は体系的に把握されておらず、全体数は分かっていない。今回の具体的な調査方法や対象とする範囲などは今後詰める。北海道アイヌ協会や、これまで継続調査を行ってきた道の協力を得ながら準備を進める。
電話相談事業などを行っている全国の生活相談員らに照会し、相談者の中にアイヌ民族の人がいた場合、相談員にその現状を尋ねることなども検討しているという。調査項目は道の調査と同様に、経済的に困っていることや子供の教育環境などを想定する。
政府は、20年4月に胆振管内白老町にアイヌ文化復興の拠点「民族共生象徴空間」を開設。アイヌ新法も同年の制定を目指している。今回の調査結果は本年度内に取りまとめる予定で、アイヌ総合政策室は「総合的なアイヌ政策の検討に向けて全国の実態把握に努める」としている。
新法を巡っては北海道アイヌ協会などが、生活・教育支援の施策を具体的に盛り込むよう求めている。菅義偉官房長官は7月の北海道新聞のインタビューで「憲法14条の平等原則との関係など整理する課題がある」として新法への明記は難しいとの見解を示した。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/124891
政府は、検討中のアイヌ民族に関する新法にアイヌ民族らが求める生活・教育支援などを明記するかどうかを判断する際の参考にするため、全国のアイヌ民族に対する生活実態調査を本年度中に実施する。道内在住者を対象に調査する道とも連携し、差別などを懸念して普段はアイヌ民族と明らかにしていない人たちを含めて聞き取りなどを行う。
政府による全国調査は2010年度に続き2回目。前回は道内の血縁者らをたどって把握できた道外の241世帯318人に調査票を配布し、153世帯の210人が回答。国民平均に比べ世帯年収が低く、高校中退者が多いなどの実態が分かった。
ただ回答者はアイヌ民族同士で日常的なつながりを持っている人が多く、差別を恐れて普段はアイヌ民族だと明かさず、アイヌ民族のコミュニティーからも離れている人の声をどうすくい取るのかが課題となった。地域的にも関東の回答者が137人で約7割を占める一方、近畿は14人にとどまるなど偏りがあった。
内閣官房アイヌ総合政策室によると、アイヌ民族の道外への移住者や子孫は体系的に把握されておらず、全体数は分かっていない。今回の具体的な調査方法や対象とする範囲などは今後詰める。北海道アイヌ協会や、これまで継続調査を行ってきた道の協力を得ながら準備を進める。
電話相談事業などを行っている全国の生活相談員らに照会し、相談者の中にアイヌ民族の人がいた場合、相談員にその現状を尋ねることなども検討しているという。調査項目は道の調査と同様に、経済的に困っていることや子供の教育環境などを想定する。
政府は、20年4月に胆振管内白老町にアイヌ文化復興の拠点「民族共生象徴空間」を開設。アイヌ新法も同年の制定を目指している。今回の調査結果は本年度内に取りまとめる予定で、アイヌ総合政策室は「総合的なアイヌ政策の検討に向けて全国の実態把握に努める」としている。
新法を巡っては北海道アイヌ協会などが、生活・教育支援の施策を具体的に盛り込むよう求めている。菅義偉官房長官は7月の北海道新聞のインタビューで「憲法14条の平等原則との関係など整理する課題がある」として新法への明記は難しいとの見解を示した。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/124891