【ドーハ(カタール)川村庸介】陸上の世界選手権第7日は3日、当地で行われ、男子十種競技に出場した日本記録保持者の右代啓祐(33)=国士舘ク=は7545点で5度目の世界選手権で自己最高順位となる16位だった。
出場選手中最年長の33歳が196センチ、93キロの巨体を懸命に動かし、最終種目1500メートルのフィニッシュに飛び込んだ。過酷な戦いを象徴するかのように息も絶え絶えにあおむけに倒れ込む。力は出し切り、右代は過去最高順位となったが「8000点で12位というのが目標だったので、そこに到達させられなかったのはちょっと悔しい」と苦笑いだった。
見せ場は円盤投げ。全体で3番目となる48メートル41を投げて存在感を示し「自分のやりたいことはできた。自信をつけていい投げができた」。1投目の38メートル88という失敗から見事に立て直した。一方で「走・投・跳」の特に走種目で苦戦、4種目中3種目で20位台、1500メートルも出走19人中17位で「足、速くなりたいですね」とつぶやいた。
4月のアジア選手権、6月の日本選手権を制し、日本陸連の選考基準を満たしながら国際陸連に競技力の観点から一度は出場を却下された。最終的に招待枠で出場が認められたが、大会直前に振り回された。それでも「世界陸上に出るということでしか動いていなかったので、向かう姿勢や思いは変わらなかった」と誰も責めなかった。途中棄権や記録を残せない種目がある選手がいるのはこの競技の過酷さの証左。記録、順位を残し、世界選手権にふさわしい選手であることを結果で示した。
目標とする東京五輪の参加標準記録は8350点。5年前の自己記録8308よりも上だが「まだまだこれから先、奇跡は起きるんだと信じている」。日本が誇るキング・オブ・アスリートの挑戦が続く。