売り切れ必至!耳まで美味しい、ふわふわしっとりの食パン/栃木

特集

【特集・第5回】地元人が推薦! グルメ甲子園 〜 食パン編 〜

2019/04/06

売り切れ必至!耳まで美味しい、ふわふわしっとりの食パン/栃木

“昼過ぎには完売してしまう食パン”で有名な吉沢製パン店を紹介します。(とちぎの時間充実マガジン「月刊twin」)

Yahoo!ライフマガジン編集部

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創業60年の歴史を誇る食パンの名店

「吉沢製パン店」は宇都宮市内の白楊高通りを東に進んだところにある

栃木県央で“食パン”というと、真っ先に思い浮かぶのが創業60年の老舗「吉沢製パン店」。社長の吉澤清さんが、先代から受け継いだ創業から変わらない味を提供しています。

社長の吉澤清さん

先代から受け継いだ味を守り続けている

朝は大忙し! スタッフ全員の連携プレーで、順次パンを焼き上げていく

朝のパン屋は時間勝負! 開店までに商品をそろえるため、バックヤードでは慌ただしくパンづくりが進んでいきます。生地の成形から、発酵、焼成、袋詰めなど、スタッフたちの俊敏なチームワークは見事! 次から次へとさまざまなパンが店頭に並んでいきます。

社長 吉澤さん
社長 吉澤さん
「うちは家族経営ですが、20年、30年と活躍してくれているスタッフさんたちに助けられています」

職人の五感がものをいうパンづくり

食パン用の生地。型に入れるため均等に分けていく

1日に120本~180本ほど出るという人気の食パンは、口コミで評判になったそう。「そんな大したこだわりはないんだけどね(笑)」と取材に伺う前から謙遜している吉澤さん。とはいえ、そんなことはないはず! でも実際に話を伺うと、確かに食パンの材料は小麦粉、砂糖、塩、マーガリンと至ってシンプル。生クリームやはちみつなど、風味をアップさせるような素材も使っていません。

吉澤さん
吉澤さん
「こだわりを挙げるとしたら、”こねと焼き”ですね。こね機は創業者である父が何度もメーカーと相談しながら調整してもらった独自の機械を導入しているんです。そして焼くときに重要なのが、作り手の感覚。季節や時間帯によって生地の状態が違うので、発酵や焼き時間を今まで培った勘で変えていくんです。常に同じ状態ではないので、”パンは生き物”だと感じますね」
生地を型に詰める

先代から継承した製法で、独自の食感を生み出している吉沢製パン店。手際のよい手仕事に惚れ惚れします。でも実は、吉澤さんはパン屋を継ぐつもりはなく、20年以上、通信機器のエンジニアとして一般企業に勤めていたそうです。

吉澤さん
吉澤さん
「弟が後を継いだのですが早くに亡くなり、店を潰したくないという思いがあったので自分が継ごうと決めたんです。本業の傍ら、たまに手伝いもしていたので全くの素人ではなかったのですが、改めて父から教わったり、学校で学んだり、自分なりに修業を積みました」
型に入れたら、生地を発酵させる

店を継いでから早18年。妻・万寿美さんも加わり、共にさまざまな難題を乗り越えてきました。それでも「大変だとは思わなかった」と、吉澤さんは当時を振り返ります。

吉澤さん
吉澤さん
「しいていえば、パンづくりで何よりも難しかったのは今までと同じ味をキープするということに尽きますね。すでに常連のお客様がいたので、代替わりしたからといって味を変えるわけにはいきません。15年前に窯が古くなったので新調したのですが、同じパンが焼けなくて。その時は苦労しましたね。温度や焼き時間を変え、やっとの思いで味を再現できました」
発酵が完了したら窯に移し、じっくり焼き上げる
焼き上がった食パンを型から外していく
焼き立ての食パン

つやつやとした美しい焼き色の食パン。これこそ、眼福というのでしょうか……! 思わず見入ってしまいます。この食パンを求め、近県や都内からのお客様も増えたとか。上京しているお子さんやお孫さんに送ってあげる、というご家族の方も。地域の人たちにとってふるさとの味にもなっているようです。

きめ細かなふわふわの食パンを求め、朝から行列が!

食パン(1斤240円、1本(3斤分)720円)。一人で3本を購入する人もめずらしくない

耳の部分はパリッと香ばしく焼き上がり、中はきめが細かく、ふわふわでしっとり。「そのまま食べるのが一番美味しい」と聞いていた通り、焼かなくても、さらには何も塗らなくてもいくらでも食べられてしまいます。「耳は無料で差し上げていますが、予約が入るんですよ」と万寿美さん。パンの耳を予約だなんて前代未聞です!「耳は苦手……」という人も耳派になってしまうかも。昼過ぎに完売し、午後は予約の受け取りのみに。

注文が入ってからスプレッドを塗る「付けパン」も見逃せない

付けパン(半斤220円、一斤440円)。※断面を見るためにカットしてもらったが、通常はカットの対応なし

食パンに次いで人気なのが付けパン。ピーナッツ、餡、ブルーベリー、イチゴジャム、マーガリンの5種のスプレッドから好きなものをその場で塗ってくれます。食パンだけでも十分美味しいのに、食パンのしっとり感とジャムが相まって……絶妙です!

吉澤さん
吉澤さん
「2枚一組で餡×マーガリン、ジャム×マーガリンなど組み合わせは自由。半斤から注文可能です。お好みで楽しんでみてください」
ひと塗りの量がすごい……!
手際よくスプレッドを塗っていく妻・万寿美さん。そのまま手土産にする人も多いそう

ノスタルジックなパンで昭和にタイムスリップ!

あんパン、餡入りのあげパン、メロンパン(各140円)などの菓子パンや、ハムカツパン(160円)もあり

昔ながらの素朴なパンもそろっています。あんパンには約100gの自家製餡がぎっしり! そしてほんのり甘いメロンパンに、ボリューム満点のハムカツパン。コーヒーや紅茶もいいけれど、ミルクたっぷりのコーヒー牛乳が合うようなほのぼのとした味わいです。

吉澤さん
吉澤さん
「餡も手作りしているんですよ。あんパンも人気で、多いときは1人で40~50個、最高で150個も注文が入ったことがあります。なのでご希望の個数が多い場合は予約をお願いするようになりました(笑)」
オープン直後から店内はお客様でいっぱいに! 主婦の方や学生など、客層はさまざま
吉澤さん
吉澤さん
「常連さんが『いつも美味しいパンをありがとうございます。またお願いしますね』と言ってくださるんですよ。こちらがお礼を言うべきところなのに。父の代からずっと、皆さんに支えられています。ありがたいです」

満足そうにパンが入った袋を抱えて店を出ていく人や、スタッフと何気ない世間話を楽しむ人。味はもちろん、お客様から「ここの食パンだから食べたい」という気持ちがあふれているようでした。長く親しまれる店は、一日にして成らず。“お客様のために”と邁進してきた店主が手がける渾身の食パンを、今以上に多くの人たちに味わってもらいたいです。

午後になると、ショーケースの中はキレイに空っぽです!

取材メモ/一番忙しい朝に伺ったのにもかかわらず快く迎えてくれた吉澤さん夫婦。帰り際までこちらを気遣ってくださり、そのやさしさに胸が熱くなりました。お客様からの「ありがとうございます」という言葉に共感。また再訪したくなる温かいお店です。

取材・文・撮影=金谷有美子

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