手抜きは一切なし! 一つ一つ丁寧に仕込む至福のおでん/栃木

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【特集・第5回】地元人が推薦! グルメ甲子園 〜 おでん編 〜

2018/12/22

手抜きは一切なし! 一つ一つ丁寧に仕込む至福のおでん/栃木

宇都宮市内にある隠れ家のような「入母家」。創業から地元民に愛され続けているおでんを紹介します。(とちぎの時間充実マガジン「月刊twin」)

Yahoo!ライフマガジン編集部

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30種類ものおでん種が1年中味わえる

大根、卵などの定番の具材のほか、季節のものや魚介類などを取り入れている

「こんなおでんは初めて!」と思うような、豊富なおでん種に出合える「入母家(いりもや)」。品数は全部で30種類だとか。おでんをはじめ、焼鳥、刺身、宇都宮名物のかぶと揚げなど一品料理も充実しています。

「入母家」の社長・上原祐志さん

隠れ家的なおでん・串焼の専門店

17時から店がオープン

夕方になると、「おでん」の文字が入った看板がひっそりと灯る「入母家」。宇都宮市内の釜川沿いにある知る人ぞ知るおでん・串焼の専門店です。一年を通して季節の素材を取り入れたおでんが味わえ、地元民や仕事帰りの人たちが羽を休める憩いの場になっています。

おでん鍋をぐるりと囲むカウンター席。奥にテーブル席もある

「入母家」という店名は、お母さんが迎えてくれるようなアットホームな店、という意味合いで付けられたそう。料理の味はもちろん、居心地の良さを大切にしているという社長の上原祐志さん。おでん以外のメニューが豊富なのも「お客様がいつ来ても楽しめるお店にしたい」という思いから。

社長 上原さん
社長 上原さん
「おでんの味が良くても、人はそれだけでは飽きてしまいます。これまで試行錯誤しながら、お客様に楽しんでもらえるメニューを考えてきました。あと重視しているのは店の雰囲気づくり。提供する側、提供される側、両方の立場で俯瞰してみることが大切です。お客様から見た店内は清潔だろうか? 1人で来店されるお客様でも、スタッフとの会話を楽しみたい方もいるのではないか? など細かなところに配慮し、どうしたら心地よい空間になるかを日頃から考えています」

想像以上に奥が深いおでんの世界

具材がぎっしりと敷き詰められたおでん鍋は圧巻!

オープンして10年以上、長い年月を経た今も開店から継ぎ足ししているカツオ、昆布、サバからとったダシで具材を煮込んでいます。

上原さん
上原さん
「おでんは鍋の中で野菜、肉、魚介など具材それぞれの旨みが溶け合って初めて完成する料理なんです。知れば知るほど、奥が深い食べ物だと思います」
3つのおでん鍋で仕込みを行う。まず下茹でした具材を薄めのダシで煮てから、濃いめのダシが入った鍋に移し変え、味を染み込ませる

薄めのダシの鍋に入っていたのは長さが15cmほどの大きな大根! 中までしっかりと味を染み込ませるため、なんと3日以上かけて仕込んでいるそう。

上原さん
上原さん
「時期によって大根の価格も変動するので、この大きさと値段をキープしていくには正直厳しいときもありますね。でもお客様ががっかりする顔を見たくないので、この品質を守り続けています」

具材は定番のものから、意外性のある旬の味覚まで楽しめる

常時30種類のおでん(160円~)を用意。盛り合わせも可能

専門店だけあっておでん=練り物のイメージを払拭する多彩な具材が盛りだくさん! なかなかお目にかかれない海鮮類はつぶ貝、タコ、これからの寒い時期は牡蠣、白子も登場。春になれば菜の花、秋はマツタケやシイタケと、季節ごとに旬の味覚を取り入れているのがこだわりです。

通年メニューの「トマト」(300円)や季節限定の「牡蠣」「白子」(各960円)など、おでん種としては珍しい食材も

ダシをたっぷり吸っているにもかかわらず、煮崩れしていないのは職人技! 見るからに、元の状態よりも彩り、ツヤが増しているようです。

手作りのつくねも、ハンバーグのような大きさ!

つくねやロールキャベツも既製品ではなく、一つ一つ手作りしています。男性、女性では好みも違うため、スタッフの意見を聞きながらいろいろな具材をメニューに取り入れているそう。

上原さん
上原さん
「一言でおでんといっても、ただ鍋で煮ているわけではないんですよ。素材それぞれに特性があり、どれも美味しくなる時間が違うんです。素材ごとの下ごしらえや鍋に入れるタイミングはもちろん、火の入れ方で味が濃くなったり、薄くなったりもします。おでん鍋からは片時も目が離せません」

「ダシで煮込むシンプルな食べ物」というイメージでしたが、素材の風味を保ちながら味を染み込ませるには見えない部分に多大な手間暇がかけられていました。店では常にベストな状態を保つため、スタッフと共に徹底した鍋の管理が行われています。専門店の味が自宅で作るものとは一線を画しているのもうなずけます。

おでんの断面をチェック!

通常サイズから、食べやすくするため半分にカットした大根。一目で分かるように、中心部まで均等にダシが染み込んでいる
とろとろに煮込まれ、クリーミーなコクを感じるロールキャベツ。洋食屋さんも衝撃を受けそうな完成度

素材の味を活かしながらも、どれもおでんとしての一体感が感じられます。旨みが溶け込んだダシは、最後まで飲み干してもらいたいほどの美味しさ。プロの技からおでんの神髄が垣間見えました。

おでんに合う焼酎や栃木の地酒も豊富

日本酒、焼酎のほかワインなどもあり。寒い冬に、お酒を飲みながら熱々のおでんを頬張るのは至福のひととき

そうそう、こちらの名物はおでんだけではありません! 注文が入ってから備長炭でじっくりと焼き上げる銘柄鶏の焼鳥、新鮮なお刺身、かぶと揚げもぜひ。ノンアルコールカクテルやソフトドリンクも充実しているので、お酒が飲めない人も存分に楽しめます。

地元の人に愛される味を守っていきたい

現在、上原さんは宇都宮屋台横丁にある店舗を切り盛り。本店の調理は10年以上板前をしていたという廣野裕一さん(左)に任せている

この先どんな店にしていきたいかという質問に「“お客様のことを思いながら美味しい料理を作る”という信念を大切にし、末永くこの店を守っていきたい」と話してくれました。

上原さん
上原さん
「常に目指しているのは地元の人に愛される味。ここは居酒屋ですが、週末はお子さん連れのご家族も食事をしに来てくださいます。誰もが安心して来店できるこの雰囲気をずっと維持していきたいですね。入母家という店名の通り、店に入ったらお母さんが迎えてくれるような温かい空間をつくっていきたいです」
奥には広々とした座敷も。友人や家族みんなでにぎやかに味わうおでんも、また格別の味

取材メモ/コンビニで手軽におでんを購入できる分、専門店に行くのはやや敷居が高いと感じていましたが今まで行かなかったことに後悔! 日本酒、焼酎を含めた飲み放題コース(5000円)もあるので忘年会、新年会にもおすすめです。

取材・文=金谷有美子 撮影=金谷有美子・黒川円

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