和牛へのこだわりと情熱は二代目店主の熱い人生そのもの/栃木

特集

【特集・第3回】地元人が推薦! グルメ甲子園 〜 焼肉編 〜

2018/11/03

和牛へのこだわりと情熱は二代目店主の熱い人生そのもの/栃木

地元民をはじめ、県外からの来訪者や有名人をも虜にする「焼肉レストラン 阿吾羅(あごら)」に、美味しさのこだわりを伺いました。(とちぎの時間充実マガジン「月刊twin」)

Yahoo!ライフマガジン編集部

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最高級ブランドの「とちぎ和牛」を専門に扱う焼肉店

上カルビ、上ロース、上タン塩が勢ぞろいした「上カルビ・上ロースセット」(7776円)

数々の品評会で何度も日本一に輝いたことがある「とちぎ和牛」を提供している焼肉レストラン「阿吾羅」。高品質な肉をリーズナブルな価格で味わえると人気の焼肉店です。

「阿吾羅」の会長・黒田宏志さん

栃木県内の焼肉店に大きな影響を与えたパイオニア的存在

営業時間は夜のみ。17時に店がオープン

宇都宮市内の焼肉といえば「阿吾羅」を思い浮かべる栃木県民も少なくないはず。夜だけの営業にもかかわらず、連日予約客でにぎわいを見せています。

開店当時、本格的な焼肉店が少なかった栃木県内で、ステーキ専門店でしか食べられなかったフィレサーロインの提供もすでに始めていたそう。

熟練の目利きが厳選した最上級の肉を提供

精肉店から始まったという「阿吾羅」は、創業70年の老舗。スーパーマーケットの出現とともに精肉店に通う客が減少し、それが焼肉レストランを始める転機となったそうです。

元精肉店だけあって、肉へのこだわりは並々ならぬもの。二代目の黒田会長は生産者の元を訪れ、自ら食肉処理場まで出向くこともあったとか!

会長 黒田さん
会長 黒田さん
「品質には自信があったけど、飲食店に関しては全くの素人。横浜で焼肉店を経営していた甥っ子に相談したら、青山にいた板前をよこしてくれてね。約20年前に店をオープンしたんだよ」
精肉店から焼肉レストランへと事業を発展させた二代目の黒田会長

元は精肉店だった店が、有名焼肉店にまで上り詰めたのには何か秘密があるに違いない……そう思いながらこれまでの経緯について尋ねると「うちは開店してから一度も宣伝したことはないんだよ」というからビックリ!

黒田さん
黒田さん
「店の内装を手掛けてくれた職人さんたちに振る舞っていたら、口コミで広がったみたい。有名人がお忍びで来てくれることもあるよ」

とあっけらかんとした様子で話す黒田会長。いやいや、それは本当にすごいことなんです(笑)!

厨房に入り、人気の秘密に迫る!

色合いが美しい、「とちぎ和牛」の上カルビ

A・B4等級以上の肉質にのみに与えられる最高級ブランド「とちぎ和牛」を中心に、肉類は全て信頼できる畜産農家から仕入れています。「とちぎ和牛」は全体の品質を保つため一頭まる買いしているそう。

美しくサシが入った上カルビは、見ているだけでも品質の良さが伝わってきます。店内に貼ってある商品ポスターよりも現物の方がいいと驚く人も。

さっきまでの明るく饒舌な様子とは打って変わり、肉を見る眼差しは真剣そのもの
黒田さん
黒田さん
「牛肉は香りが命! 本当に美味しいものは乳臭くないんだよ。牛肉が嫌いな人でもうちのは食べられるという人もいるね」
野菜も地元のものを中心に使用している

その確かな味と品質が口コミで広がり、開店後、店の経営は右肩上がりに。しかし大きな山場となったのはBSE(狂牛病)問題が取り沙汰された時期だったそうです。経営は一転し、客足が急激に落ち込みました。

黒田さん
黒田さん
「その時は本当に厳しい状況だったけど、取引先が心配して毎週10人前後の宴会を入れてくれたんだ。その気持ちが本当にうれしくて救われたよ」
精肉店にあるような巨大な冷蔵庫と冷凍庫を完備

地元の人々に支えられ、困難を乗り越えた「阿吾羅」。再度、人気店として経営を盛り返していきます。現在では県内外からも多くの人が訪れ、「地元で焼肉屋を目指す人は必ず一度は視察に訪れる店」というパイオニア的位置づけに!

想像を超えるほどの熱いこだわり

「とちぎ和牛」は、農産物の生産振興やブランド化を推進している「とちぎ農産物マーケティング協会」が商標登録した黒毛和牛ブランド

「とちぎ和牛」は限られた店でしか提供できない特級品。これがその証
黒田さん
黒田さん
「昔はいろいろな和牛を使っていたんだけど、協会からの薦めもあって15年ぐらい前にとちぎ和牛専門店になったんだよ。せっかくなら県内のものを推したいしね」

と、店で取り扱うことになった経緯を教えてくれました。

「本当は牧場をやりたかったんだ」と、和牛への熱意が止まらない

「とちぎ和牛」をはじめとした肉の話、過去に上海で行った事業の話、さまざまな話題が次から次へと出てくる黒田会長は77歳とは思えないほど元気でパワフル! 思い立ったら即行動するバイタリティの源は一体何なのかを尋ねてみました。

黒田さん
黒田さん
「自分が生まれたのが、太平洋戦争が開戦した1941年。何もない時代だったから自分で何かしなきゃという精神が働くんだろうね。そしていい加減な仕事が嫌いだから、何でも丁寧にやるのが信条。遊びも仕事も、手を抜いたら良いものは残らないよ」
現在、息子であり三代目社長の佳克さんと共に店を切り盛り。「父の気持ちを受け継いでいきたいです」と話す佳克さん

最後に今後の展望について尋ねると、「とちぎ和牛」の格をあげたいとの言葉が。一頭買いは品質が安定するけれど牛の全てのパーツを仕入れなければならないため、数量に限界のある希少な部位別の提供ができないというデメリットがあるそう。より多くの人に「とちぎ和牛」の美味しさを知ってもらうにはどうしたらいいか、黒田会長は日々思案し続けます。

黒田さん
黒田さん
「仕込みで残った端材肉を使って、惣菜か何かの店を出せたらと思ってるんだ。そうすれば仕入れも増やせるし、今まで以上に高品質の肉を提供できるようになるからね」
ゆったりとした空間でいただく焼肉は格別の味

今以上に良い肉を……!? 一歩進んでも、またその先を目指し続ける熱意に感服です! 黒田会長の和牛にかける情熱は途絶えることはなさそう。

黒田さん
黒田さん
「お客さんに出すものは、自分が食べるつもりで作る。そうすれば手を抜くことなんてできないもんだよ」

と話してくれました。得るべくして得た有名店の称号。世代交代したとは思えないほどの黒田会長の活躍ぶりに、まだまだ目が離せません!

取材メモ/「和牛と共に生きる」という言葉が思い浮かぶほど、黒田会長は私たちの想像を超えた情熱を持ちながら良い肉を提供し続けています。その姿は、もはや職人。栃木を訪れた際はぜひ立ち寄ってもらいたいです。

取材・文=金谷有美子 撮影=金谷有美子・黒川円

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次週、11/10(土)は全国の焼肉編 第4弾を掲載!

地元人が通う、一度は行きたい焼肉店。次週11/10(土)は茨城、長野、三重などのこだわりの店主が営む焼肉店を紹介予定! お楽しみに‼︎

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