“平成の怪物”の存在は多くの選手の人生にも影響を与えてきた。今季11勝でチームの勝ち頭となった柳は、西武時代の松坂の下敷きを使っていたほど幼い頃から憧れの存在。メジャーで活躍する偉大な投手の背中を追い、同じ横浜高の門をたたいた。
この日の朝、本人から退団の意思を知らせるLINE(ライン)をもらって涙が止まらなかった。「直接連絡をいただいて感謝してます。ドラゴンズに入団されてからこれまで、本当に夢のような時間でした」。プロで同じチームで一緒になれた奇跡に目を潤ませた。
今季、2桁勝利にあと1勝と迫りながら2カ月間、白星から遠ざかった。その苦しい時期に、激励を込め登板の度に連絡をくれた大先輩。何度も食事にも誘ってもらったが、その振る舞いは優しさと後輩への気遣いであふれていた。
「プロ野球選手『松坂大輔』だけでなく、一人の人間として目指していきたい存在です。松坂さんの成績を超えることはできないと思いますけど、その成績に近づけるように頑張りたい」。柳はこれからもその大きな背中を追っていく。
また、松坂のように甲子園のスターとして鳴り物入りで入団した根尾は「1年間でしたけど、伝説のピッチャーと言われる方を近くで見させていただいたのは財産です」と感謝。与田監督は「退団することは本人の意思なので尊重しないといけないですが…。寂しいですね」と声を落とした。