スーパースターであっても、近寄りがたい雰囲気はない。今季限りで中日を退団した松坂は、2軍調整中だった時期に後輩思いの姿を随所にのぞかせた。同じ甲子園優勝投手の小笠原は一緒に治療院に通い、食事にも連れていった間柄。その小笠原は「いつも、松坂さんが車の中でEXILEばかり聴いてるんですよ。それで影響されちゃいました」と、この2年間で聴く曲の趣向が大幅に変わったという。ドラフト2位の梅津には「いつでもストライクを取れる変化球を身に着けなさい」。手術後に違和感が残っていた石川翔には「オレも最初は失敗したかと思った。そのうちなじんでくるから焦るな」と助言した。
不整脈の手術を受けた笠原には、練習復帰直後の5月に「不整脈はどうなの?」と優しく声を掛けた。昨季まで伸び悩んだ阿知羅も助言を受けた一人だ。今季中に1度だけ「スライダーが大きく膨らんでしまうのですが、どう直したらいいですか」と松坂に質問。すると「おまえのスライダーはこうだから…」とその軌道を知っていたという。「試合でみていたかわからないですけど、自分のことを見ていてくれたんだなと思いました」と、雲の上の存在の言葉に感激していた。