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(紙芝居屋)夢と希望の紙芝居が来たでぇ。
(直子)紙芝居 見たい。
見たことないさかい 見てみたい!
(喜美子)行くで。腹の足しにならんもん いらん!
♪~
う~ん… はあ…。
(草間)おはよう。
おはようございます。ねえ これは海?
あ…。
湖や。 琵琶湖です…。
驚いた。
こっちは? 女の子?
それは まだ途中で…。うん。 でも よく描けてる。 すごいなあ。
ほんま?うん すごいよ。 大したもんだ。
へえ~。 上手だね。
♪~
♪「涙が降れば きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火 どうかここにいて」
♪「私を創る 出会いもサヨナラも」
♪~
♪「日々 恋をして 胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら 笑うのよ 赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も涙に負けるもんか」
でけへん!(マツ)できるよ。
でけへん!できる できる。
喜美子 学校始まるで?もう その辺にして 学校行きなさい。
は~い。
でけた~!
できたやん! よかったな。
うん。
上手やなあ。
さ~て お昼 何食べよかね…。
えっ!?
えっ!?
喜美子 まだおったん!?
(陽子)喜美ちゃん すまんなあ。ちょっと! あんた ほら。あ~。
(大野)危ない 危ない…。ああ…。アッハッハッ…。
ああ こんばんは。もう ちゃんとしゃいさあ!
あ… 常治さんの帽子は?ああ 帽子…。持ってきて。
(常治)げたを履こうか…。ああ…。
信作寝たさけ 起こさんといてな?
あっ お水 お水。
よいしょ こらしょ どっこいしょ。
おおっと…。あ~ 危ない…。
(陽子)喜美ちゃん 喜美ちゃん。 水。すんません。 また こんな飲んで。 はい。
あれ… あれ? どこのかわい子ちゃんや。うう…。
喜美ちゃん 今日学校行かへんかったんやて?
ああん?
あ…。学校行かんかった~!?
ああん!?
明日は行くで。
どうでもええわ。えっ?
「女に学問は必要ない。勉強なんかできへんかっても かまへん」。
うちの家訓や うん。はい すんません…。
う~ん…。おお…。
危ない しっかりしてぇや。歩ける!?
歩かれへん。歩かれへんけど 走れるでぇ。
人生を走るで。走って走って 大もうけしたるわ~!
こんなとこで寝たら あかんで!ほら 起きて!
(望月)ほな 次のページいきましょう。
誰か…?(照子)はい。熊谷さん。
「じゃがいもとさつまいも。1 じゃがいもを作る。畑に じゃがいもをつくりましょう。じゃがいもは去年できた いもを植えておくと芽が出て来ます。芽は どこから出るか…」。(望月)川原さん。何やってるんですか?
川原さん!
はい…。
教科書も広げんと…そんなんじゃ いつまでたっても読み書きできるようにならないですよ?
ここで基本の読み書きをしっかり身につけておかないと困るのは自分ですよ。
必要ない言われてます お父ちゃんに…。(望月)お父さんが?
「女に学問は必要ない。勉強できんでもかまへん」。
川原家の家訓です。
あのアホんだら~!
何を言うとんね~ん!
さあ 夢と希望の紙芝居やでぇ~。
(拍手)
その前に 一人10銭な。(マツ)お金取んのん?
紙芝居はタダや!タダより高いもんないで?
タダや タダや!ああ 分かった 分かった。
子どもはタダ。
大人は 後で集金させてもらいますぅ。
(マツ)すんません。いや。
早う!ほな! 喜美ちゃんの紙芝居の始まり~ 始まり~!(拍手)
はい タヌキですぅ。
(マツ)上手やなあ。
直子ですぅ。
あ~ かわいらしいなあ。
日本一の湖 琵琶湖ですぅ。
(マツ)お~!
♪~
(拍手)
もう終わったん? 今のが紙芝居?よかったやん。
ここんとこな!うん。
光 当たってんねんここが難しいねん!
うん そうだよね。・(常治)喜美子!
喜美子!お帰んなさい。お帰んなさい どないしたん?
お前 学校で 何言うた!
丸熊の社長に笑われたやないか!
(秀男)女に学問は必要ないなんてそんな時代やないで。 ええ?
大阪から来やぁた川原さんがそんなん口にするはずないじょ。 ええ?
ほんまに言うてたんよ!
ほやから 読み書きも あんまりできひん勉強も ちっとも やる気ないんよ!
ハハッ ほんなこと…。
ああ~。 ハハハハ…。ハハハハハッ。
もう 勉強せえ! 読み書きぐらいはちゃんとできるようになれ!
何の取り柄もないもん勉強ぐらいできんで どないすんねんもう恥ずかしいわ もう!
何の取り柄もないなんて…。
喜美ちゃん。 お父さんにも見せたら?琵琶湖の絵。
♪~
いくつも重ね塗りして色合いを深めて表現してます。
ああ…。
光が当たって反射してる感じもよく出ていて。
そやね。(草間)大人顔負けの とても上手な絵です。
ああ…。僕は驚きました。
こんなん ただのな 落書きや!
何の腹の足しにもならんわ。
あのな 丸熊の社長の娘さん照ちゃんが勉強教えてあげてええ言うとったわ。
今すぐ行ってこい。(マツ)今から!?
(常治)今すぐ行かせます言うて頭下げてきたんじゃ!
そんなしょうもないもん描いとらんとはよ行ってこい!
何をうつむいとんねん。 何を…!
はあ… いつまで うつむいとんねん!分かった!
ほな 行ってくる。喜美子…?
ごはんまでに戻るわ 行ってきま~す。
♪~
言われたとおり勉強を教わりに行くと信作も呼びつけられていました。
さあ うちと信作とで厳しく教えたげるわ。
まず理科の教科書から。
「じゃがいもを」…。
「作る」や!「作るや」!
「や」は いらん。
「…に」。畑。「畑に」。
「じゃがいもとさつまいもの育て方」という題目だったことが功を奏し…。
間引き!? ほな 間引きするとじゃがいも増えるん?
はあ… そこに書いてあるやろ。
うち じゃがいも育てるで!
「時々 こやしをやったり土をよせたりしなさい」。
は~い!
そんで ここな! このページに大根の種まきのことも載ってんねん!
大根と じゃがいもと さつまいもそこの庭 あいてるさかい 植えような?
そら ええなぁ…。 あっ お水足らん。
ほな くんでくる。
出ていったで 草間さん。
えっ?
急やけど… お世話になりました言うて。
ええ!?
回想 川原さんに声をかけて頂かなかったら今頃 まだ大阪の町を当てもなくふらふらしていたと思います。
感謝しています。本当にありがとうございました。
少しやけど お金も置いていかはった。
そんなんええ言うたら喜美子の紙芝居の代金やって。
給食費払えるな よかったな?
こんなん渡してくれはったけど…まだ読まれへんもんな?
読める!あ… 喜美子?
水! くんでくる!
♪~
読めるというのは うそでした。
♪~