Jリーグは4日、湘南で選手やスタッフに対する多数のパワハラ行為があったとして、チョウ貴裁(キジェ)監督(50)にけん責と公式戦5試合の出場資格停止処分を科すと発表した。同監督の言動を事実上容認した責任は重いとして、クラブにもけん責と制裁金200万円を科した。
壮絶なパワハラが認定され、記者会見した村井チェアマンは終始、硬い表情だった。被害通報があったチョウ貴裁監督の言動に対し、Jリーグが設置したコンプライアンス担当弁護士4人による調査チームは「指導方法は問題があり容認しがたい」「不法行為、暴行罪となり得る不適切な行為」などと厳しく結論付けた。
調査によると、複数のスタッフに対して、同監督は優位的な立場を背景に「おまえは無能。おまえのせいで負けた」と威圧的な態度で罵声を浴びせたりして精神的に追い込んだという。
その発言や振る舞いは「過剰、不必要な要求」「感情のはけ口」として受け止められ、一定期間出勤できなくなったり、深く傷ついてクラブを去ったスタッフも少なくなかったという。
2016年夏には、同監督がコーチのやり方に不満を抱いて胸ぐらをつかみ、顔に手を当てて押し倒したとされ「何発か殴った」と証言する関係者もいたと指摘した。
選手に対しても「おまえはチームのがん。けがしてしまえ」などと人格や尊厳を傷つけかねない表現で執拗(しつよう)に追い込み「精神的なダメージを受けた選手が複数存在」と認定。練習や試合に参加できない精神状態となり、うつ症状と診断された選手もいた。