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与野党「菅」騒動、愛知知事選で除名の大村氏を元総務相が応援

政治行政 神奈川新聞  2011年01月07日 10:34

自民党の菅義偉元総務相(衆院2区、党県連会長)が6日、名古屋入りし愛知県知事選(2月6日投開票)へ出馬表明した大村秀章氏(比例東海)の応援演説を行った。同知事選をめぐっては4日、同党の谷垣禎一総裁が愛知県連推薦の元総務省課長補佐・重徳和彦氏の「党本部支持」を表明したばかり。その直後に閣僚経験者からレッドカードを突きつけられた格好で、来年改選の谷垣総裁の求心力低下は必至だ。

菅元総務相は昨年12月、「本人に弁明の機会を与えなかったのは不当」などとして、同党国会議員14人の連名で谷垣総裁へ大村氏の除名処分撤回を直訴。賛同署名集めも行っている。同氏も党本部に異議を申し立てた。県内関係ではすでに年末に河野太郎氏(15区)が愛知入りし、大村氏を応援している。

谷垣総裁は4日、名古屋市内での街頭演説で、重徳氏の同党推薦を見送り、支持にとどめる意向を表明。対立激化を避けるためのぎりぎりの判断を示したものの、除名処分に反発する勢力の理解を得られなかった格好だ。

愛知県知事選で自民党の菅義偉元総務相(衆院2区)が、大村秀章氏の応援に公然と乗り出した。軟着陸を期待した同党執行部は「首相と同じ『菅』姓でも野党の方は自重してくれると思ったのに」(幹部)とショックを隠せない。谷垣禎一総裁の判断力不足への不満と、統一地方選への影響の懸念が反旗の背景だ。

同知事選へは大村氏のほか、自民党愛知県連推薦の元総務省課長補佐・重徳和彦氏、民主党推薦の元総務省審議官・御園慎一郎氏、みんなの党推薦の医師・薬師寺道代氏、共産党推薦の医師・土井敏彦氏が出馬を表明している。

自民党愛知県連は重徳氏擁立を決めたが、大村氏は河村たかし名古屋市長との連携での出馬を表明。分裂選挙の様相を見せている。自民党関係者の話を総合すると、各種調査では大村氏が他候補をリードしている状況という。

2月6日の愛知県知事選は名古屋市長選、同市議会解散の賛否を問う住民投票の「トリプル選挙」となる。神奈川県連会長も務める菅氏は「統一地方選の前哨戦となる大事な選挙。全国への影響も考え、冷静かつ穏便な対応を」と谷垣総裁らへ進言してきたが受け入れられずじまい。「除名断行」という事態に「堪忍袋の緒が切れたようだ」(党幹部)という。

この日最初のJR名古屋駅頭での演説にはテレビカメラだけでも6台が並ぶなど報道も過熱。カメラを前に菅氏は大村氏と「当選同期(ともに衆院5期)同士だから」などと何度も握手を交わし、市内の商店街なども練り歩いた。

菅氏は演説で「大村氏は愛知の自民党を応援し続けると約束した」と除名の不当性を強調。「改革意欲とスピード感に欠けるのが自民党の悪いところ」などと党執行部をけん制した。総務相時代の話として「官僚を生かすには、まずは政治の強いリーダーシップが不可欠」と説明。大村氏と総務省出身の2人との差別化にも努めた。

党関係者によると、閣僚経験者の反旗に愛知県の自民党関係者の間には怒り、戸惑い、歓迎が交錯しているという。この日の街頭演説に「偵察に来た」という古参党員は「総務大臣だった菅氏は、重徳氏にも御園氏のどちらにもつけず、大村氏支持に走ったのではないか」との推測を周囲に披露。「混乱は好ましくない」と事態沈静化への期待をにじませていた。

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