(cache)第190回国会 地方創生に関する特別委員会 第6号(平成28年3月17日(木曜日))

衆議院

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第6号 平成28年3月17日(木曜日)

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平成二十八年三月十七日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山本 幸三君

   理事 後藤 茂之君 理事 佐藤ゆかり君

   理事 新藤 義孝君 理事 寺田  稔君

   理事 福井  照君 理事 篠原  豪君

   理事 宮崎 岳志君 理事 桝屋 敬悟君

      青山 周平君    伊藤 達也君

      池田 道孝君    江藤  拓君

      大野敬太郎君    勝俣 孝明君

      菅家 一郎君    小泉進次郎君

      菅原 一秀君    鈴木 馨祐君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      谷川 とむ君    中谷 真一君

      野中  厚君    鳩山 邦夫君

      平井たくや君    福田 達夫君

      古田 圭一君    牧島かれん君

      宮川 典子君    山田 賢司君

      緒方林太郎君    柿沢 未途君

      吉良 州司君    佐々木隆博君

      寺田  学君    福田 昭夫君

      角田 秀穂君    樋口 尚也君

      田村 貴昭君    宮本 岳志君

      椎木  保君    村岡 敏英君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)     石破  茂君

   内閣府大臣政務官     牧島かれん君

   会計検査院事務総局第五局長            斎藤信一郎君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 伊藤 明子君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長)

   (内閣府地方創生推進室次長)           末宗 徹郎君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室長)            佐々木 基君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           麦島 健志君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        中島  誠君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           藤原 章夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉本 明子君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         清水喜代志君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       野村 正史君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 志村  務君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十七日

 辞任         補欠選任

  菅家 一郎君     古田 圭一君

  小泉進次郎君     田畑 裕明君

  中谷 真一君     青山 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     中谷 真一君

  田畑 裕明君     小泉進次郎君

  古田 圭一君     菅家 一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)


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     ――――◇―――――

○山本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域再生法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長伊藤明子君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長・内閣府地方創生推進室次長末宗徹郎君、内閣府地方創生推進室長佐々木基君、内閣府地方創生推進室次長麦島健志君、内閣府子ども・子育て本部審議官中島誠君、文部科学省大臣官房審議官藤原章夫君、厚生労働省大臣官房審議官吉本明子君、国土交通省大臣官房技術審議官清水喜代志君、国土交通省水管理・国土保全局次長野村正史君、国土交通省鉄道局次長志村務君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第五局長斎藤信一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

○山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺田学君。

○寺田(学)委員 おはようございます。朝一番から質問に立たせていただきました民主党の寺田です。

 私自身、総務の方には長らく野党時代含めていたんですが、地方創生という形になってからは初めて質問に立たせていただきます。

 第二次安倍政権が始まってから、一つの目玉という形で地方創生を進められていること自体は、党派を超えて皆歓迎し、そしてまた各人の地元に対して働きかけや協力をしているところだと思います。

 本当に最初の第一問目ですので、すごく大ぐくりなことをお伺いしたいんです。

 地方創生という言葉を聞くこと、そしてそれが取り組まれることは、ぼんやりとそれはいいことだと思いながら、果たして何を目指しているのかということ自体が、周りの方々、皆さんが賛同するがゆえに逆に本当の目的がはっきり見えていない部分というか伝わり切れていない部分がありますので、まず第一問目ですのでちょっと大ぐくりですが、地方創生の目的は何なんだと言われると、何になるんでしょうか。

○石破国務大臣 何度もお答えしていることと重なったら恐縮ですが、要は、東京の過度な一極集中を是正するということと、持続可能性を失いつつある地方に持続可能性を回復するということだと私は思っています。

 東京の人と富を全国にばらまきましょうなぞという発想ではなくて、東京は基本的に消費都市でございます。食料がつくれるわけでもなく、再生可能エネルギーがそんなにつくれるわけでもない、そして出生率は全国最低であるということで、そこだけが栄える日本というのはあり得ないのだ。食料を生産し、再生可能エネルギーを生産し、出生率の高い地方が衰退して、東京だけが残る国家というのはあり得ないのだ。

 委員と私と少し世代が違いますが、今まで地方というのは、やや公共事業と誘致企業によって雇用と所得を維持してきた面があるのではないだろうか。今までの日本の産業構造とかバックグラウンドから考えてそれは決しておかしなことではなかったのですが、その公共事業と誘致企業によって雇用と所得を維持するというモデルが、これから先、従来と同じ形ではなかなか難しくなってきた。

 そうすると、地方が持っている潜在的な可能性、農林水産業であり、あるいはサービス業であり、それを上げていくことによってそこにもう一度人が定着するような流れをつくりたい、それによって東京の過度な一極集中を是正したいということで、東京の過度な一極集中是正と地方の持続可能性を取り戻すことを両立させながらこの国家の持続可能性を保ちたいというのが、私なりの考え方でございます。

○寺田(学)委員 続けてそのことで質問しますが、東京の一極集中の是正と地方のサステーナビリティーをつくり上げるというか築くということが地方創生の目的だということでした。

 これも端的にお伺いしますけれども、やや重複する答弁になるかもしれませんが、東京の一極集中はまだ進んでいます。これの根本的な原因は何だということですか。

○石破国務大臣 人の流れという意味からいえば、高等学校を卒業して進学する際に、多くの人が東京にやってきます。それが、大学を初めとする教育機関を卒業した後に戻らないまま東京にいる。そして、地方で大学等々を出た方々が職を求めるときに東京にやってくるという、人の面からいえば、東京一極集中の正体というのはそこの二つなのだろうというふうに思っております。これをどうするか。

 これと似たような話なのですが、これだけ首都に一極集中するというのは、世界の中で多分、東京とソウルだけだろうと思っております。ロンドンにしても、パリにしても、ベルリンにしても、ローマにしてもそんなことは起こっていないわけで、これは何か日本特有の現象なのではないだろうかということで、本社機能の地方分散とか政府機関の地方移転とかいうのは、その考え方といいますか、それを是正していかねばならぬということに基づいておるものであります。人とか情報それからいろいろな本社機能、そういうものが全部東京に集まっているわけで、これをどのように分散するかということをやっていかなければならない。

 だから、東京の一極集中の是正というのはみんながずっと言っていることですけれども、一体それは何で起こっているのか、それを解消するためにできる具体的な施策は何かということを、とにかく考えつく限りのものを提示し、できるものをやっていきたいという考え方でございます。

○寺田(学)委員 総括的に御答弁をされて、まさしく、東京の一極集中を是正するためにどのようにしていくのか。

 大学を出た後で働く場所が、そのまま結局戻らずに東京で働いちゃうというところの構図が、どんどん人を吸収していっているということだと思います。だからこそ、地方の創生という言葉ですけれども、地方が自分たちの魅力を磨いていくということが大事だと思います。

 私は秋田ですけれども、結構前にこのような、言葉は別ですけれども、地方での知事選をやったんです。今の知事も一生懸命頑張られていますが、今の知事に負けちゃった知事候補を応援していたんですけれども、その方を紹介すると、秋田県の小坂町というところの町長をやっていた方なんです。

 鉱山が、当然この日本の、世界的な流れで閉山に追い込まれたときに、夕張とは違って何をやったかというと、そこの鉱山技術を利用して、夕張のように遊園地とかをつくらずに、今度は、携帯からレアメタルをとる、そういう都市鉱山。本当の、リアルの鉱山から都市鉱山という発想に変えて、そこからレアメタルを引き出して商売につなげていくということをやったところ、物すごい勢いで世界の需要にマッチをして、町の人口も本当に下げどまり、所得も、全県の中でかなり低かったんですけれども、飛ぶ鳥を落とすような勢いで県内の二位、三位ぐらいまで持っていった。

 その方がよく言われているのは、ない物ねだりはしない、あるものを徹底的に磨くという発想でした。そういうような考え方が非常によくて、選挙戦ですので、さまざまな要因がほかにもあったわけで、残念ながら僅差で負けてしまったんですけれども。

 やはりそういうところが、十年ぐらい前ですけれども地方でもやったんですが、なかなか、大臣が先ほど御指摘されたような、誘致企業を持ってくるんだ、公共事業によって地方を活性化するんだというところが根強く根強くある。これだけ地方創生と言いながら、残念ながらですけれども、やはり国会議員の一つのプレゼンテーションが、俺はあそこの補助金をつけたとか、補助金をつける以上、目に見えるような公共事業、そこら辺に注力をしたりと。

 そしてまた、今うちの県では、高速道路を四車線化するとか新幹線をフル規格化するとか、わかりやすいところに一生懸命頑張っているところがあるので、本当に地方創生というものはどういうことなのかということを徹底的に政府としても、そしてまた国会議員としてもやっていかなきゃいけないなというふうに思っているんです。

 きのう大臣が御答弁をされている中で、私がそのとおりだなと思うところは、押しなべて四十七都道府県を一つの制度でやっていくのは限界があると私は思っていて、やはり東京や大阪のような都市部と地方では政策の違いが出てくるのは当然だろうというふうに思っています。大臣もそのようなことをきのう御答弁されていたと思います。

 そこをもう一歩掘り下げて、どのように具体的に都市部と地方、いわば人口集中ができていないところの政策の違いを出していくのか、お考えがあったら御答弁いただきたいなと思っています。

○石破国務大臣 都市部もいろいろあって、政令市というのが全国に二十あるわけですね。だけれども、ふえているのはごく一部であって、神戸ですら減っているわけですよね。新潟とか浜松なんというのはすごく減っているわけであります。

 そう考えてくると、都市部と地方という二元的な分け方ではなくて、都市部にもいろいろな都市部があります。地方も、これも多分委員の御認識にあると思いますが、秋田でも、秋田の中で一極集中が進んでいるのではないかということがあって、かなり細分化して考えていかなきゃいかぬのだろうと思っております。

 これは大阪の先生方から厳しく御指摘をいただくところでありますが、例えば企業の機能が地方に移転する場合に、都市部には税制優遇が受けられないところがございます。それはひどいじゃないかという御指摘なのですけれども、しかし、それよりも、そこへ仮に優遇をした場合には、もっと疲弊している地方に行こうかなと思っていたところがそういうところに行ってしまうということが起こるのではないか。

 そういう、都市部でもいろいろな都市部があり、地方にもいろいろな地方がある。この地方にもいろいろな地方があるというところにどうめり張りをつけるかの解はまだきちんと出ていないので、そこはまたいろいろな御指摘を賜りたいと思いますが、やはりそこはかなりきめ細かく政策を分けていかないと、起こっている状況に対応できないのではないかと思っております。

 その際に、どういう地域なのか、ひどいじゃないかという感情的な話ではなくて、例えば人口の集積とか事業所の集積度合いとか、あるいは、集積はしているけれども、そこの納税の状況はどうか、売り上げの状況はどうか等々、かなり精密な分析をした上でケース分けしていきたいと思っております。

○寺田(学)委員 都市と地方での違いもありますし、まさしく今大臣が言われたとおり、地方間同士での違いがあると思っています。

 これは通告にないんですが、私は常々思っているんですけれども、政令指定都市制度というものが果たしていいのか悪いのかというところは私は実は野党時代にかなり問題意識を持っていて、例えば神奈川ですけれども、政令指定都市が物すごく強くなればなるほど県の調整能力が弱くなって、学校の教員の集まり方も、横浜や川崎にだけ集中して、言い方は悪いですけれども、そこに行けない方々が神奈川県の調整によって政令都市以外のところに配分をされていく。人を集めるのも大変だということがあるんです。

 一つの自治体が権限を持って自由な発想でやっていくことの方向性はいいとしながらも、地域全体ということを考えたときに、一つだけが強くなり過ぎることは、都道府県というエリア単位だけで考えてみても、調整力を乏しくして、逆にその地域内の一極集中をふやしていくこともあるんじゃないかということを野党時代にはちょっと議論したときがあるんです。

 政令指定都市制度に対して、何か大臣としてお考えはありますか。

○石破国務大臣 委員御指摘のように、県と政令市というのが同じような力を持つ、権限を持つ、政令市というのはそういうものでございますので、そうすると、県の調整機能がきかなくなってくるというところは現象面として起こっていることを私も否定はいたしません。そこはまた、市会議員さんと県会議員さんの立場はどうであるかとか、そういう問題がいっぱいあるわけです。

 しかし、多くのところが政令市を目指しているということを勘案すると、やはり政令市なりのメリットというのがあるので、イメージする政令都市とは違うと言っては失礼かもしれないが、やや違うタイプの政令市というのが登場していることは事実だと思っております。そこにおいて、政令市制度そのものが悪いとは私は思いませんが、調整機能がきかなくなって、それが一つの県という単位の中でそれに外れたところの疲弊を加速しているとするならば、何かの是正をする方策というものは必要なんだろうというふうに思っております。

 そこで、県の調整機能を強めていくのか、それとも、それに外れたところの振興策というものを別途考えるか。やり方はいろいろあるのだろうと思っておりますけれども、県の調整機能を強化するということになると、ここはまた地方分権とか道州制とかいう議論を惹起しますので、どちらかというと、その議論を否定するものではありませんが、それに外れたところの振興策というものをさらに充実させるためにはどうすればいいかということだと思っています。

○寺田(学)委員 今、御答弁を聞きながら思ったんですが、通告している質問に戻るんですけれども、地方創生担当大臣と総務大臣の役割分担の違いというか、地方創生を考える上での総務大臣が持っている部分の所掌範囲が大臣の決定権範囲にないということが、私は何かちょっと、単純にアイデアを出して、お金をつけて、少し制度をよくしましょう、少し地方の工夫を伸ばすことができましたねというところにとどまってしまって、本当の地方の活力であったり問題点を解決するすべになっていないんじゃないかなというのが、正直、地方創生担当大臣に石破大臣が目玉大臣としてなられたときに、総務省の頭のかたさを野党時代に知っている者としては、何ともなというところがあります。

 これは簡単な御答弁で結構ですけれども、どうですか、総務大臣と兼任されていないこと、そこら辺に対する何かしらの御感想はありますか。

○石破国務大臣 地方創生大臣というのをつくるときに、今御指摘のような議論は政府部内にもございました。どうなんだろうねという話もありました。

 総務省設置法に、地方の振興の立案に関すること的なことが書いてございます。総務省設置法を私が読み上げるまでもないのでありますが、「地方自治に係る政策で地域の振興に関するものの企画及び立案並びに推進に関すること。」というのが総務省設置法に書いてあるわけで、それって地方創生そのものじゃないですかということになるわけです。

 東京の一極集中を是正しということは、総務省設置法の中からは直接読み取れないわけでございます。ですから、全体の仕組みをどうしていくんだという、委員のお言葉をかりればアイデアを出す、そういうような機能がむしろ期待をされているものではないだろうか。

 この委員会でいろいろ出る議論ですが、では、その根っこにある交付税制度、財源保障機能と財政調整機能をそれなりに果たしてきたと私は思っているのですが、この地方交付税制度をどうするか等々の議論は総務省において御検討なさることでとまでしか言えないわけでございます。

 まち・ひと・しごと創生本部というのは、総理大臣を本部長とし、官房長官と私が副本部長で、閣僚全てが構成員でございますので、その権能を生かしていきながら総務省とよく連携をしていかねばならないと思っています。ですから、総務省の権能というものは総務省の権能としてあるわけですが、そこに対してどうするかというのは、やはり本部長たる総理のリーダーシップによるところがかなり大きいのだと思っております。

○寺田(学)委員 高市総務大臣は最近、電波関係のことだけ頑張っていらっしゃるような感じもしますので、それは総理のお力をかりてなのかどうかは別として、大臣、頑張ってください。

 私が今回質問したい本題の方へ入っていきますけれども、先ほど大臣もお話しされましたが、地方間の格差。格差という言い方はよくないですね。地方同士でやはり差が出てきているというか、頑張っているところ、頑張っていないところの差が出てくる、地方自治を進めれば進めるほどそういう結果は当然ながら出てくる帰結です。

 委員会が始まる前に大臣にもちょっとお伝えしたんですが、私の出身と選挙区が秋田ですので、秋田と大臣の出身、選挙区の鳥取を、同じ日本海側ですから、人口も比較的少ない部類に入りますので、比べてみて、ほら、大臣のところも全然うまくいっていないじゃないですかという意地悪質問でもしてやろうと思って調べたんですが、恥ずかしいことに、秋田よりはるかに人口という面においては優位に立たれているというか、地方創生の趣旨というものに対しては、目的に対しては一定の成果を上げられているんじゃないかなということは素直に認めたいと思います。

 全員にお配りしたらよかったと思うんですが、鳥取市と秋田市を比べてみても、秋田市は人口減少が、年々減少幅が高くなっていっている。今、〇・六三、どんどん減っていっている。何と、鳥取市は人口がことしからふえている。

 県全体のダム機能をそこで果たしているのではないかというような問いもあると思うので、県ベースで比べてみると、これまた情けないことに完敗をしておりまして、秋田県は日本有数の人口減少県と言われていて、高齢化が最も進んでいますから激しく、自然減も多いというのと、何より社会減も非常に多いということで、どんどん減っていっています。二〇一二年は減少率が一・〇一だったのが、二〇一六年は一・三一まで拡大していっている。

 鳥取県は、さっきのように、鳥取市が全部集めちゃって、県全体としてはどうなんだろうと思ったら、これまた、二〇一二年に〇・五九の減少率だったのが、二〇一六年は〇・〇九まで減少幅が縮小し、もしかしたら、来年ぐらいになったら、ふえるとまでは言いませんけれども、本当にゼロまで、人口減少をとめるところまで来るのかなと思うぐらいのトレンドになっている。

 そこにある差は何なのかなということが、これからの地方創生という言葉のなすところの本格的な部分になっていくんだと思うんです。

 自分の県のいわゆる総合計画は見ていましたけれども、他県のものを見るというのはなかなかないので、拝読をしましたし、鳥取県の地方自治、創生にかかわるニュースをいろいろ集めましたけれども、頑張っていますね。そこを褒めたところで秋田県に補助金がおりるわけじゃないと思うので、大したことはないんですけれども。

 まさしく大臣が言われた、私が地元にいると、ちょっと先生、何か会社を引っ張ってこい、誘致企業をやって何百人雇用を生んでくれと。その努力は努力でしているんですが、誘致企業自体は、景気が悪化した瞬間に一目散に出ていく傾向が全国的にはあるというところがありますので、やはり地場の産業だったり地場の雇用を高めなきゃいけない。

 目下、我が家の悩みは、子供をどのような学校に入れるかというところなんです。

 その中で、大臣は御存じかわかりませんけれども、鳥取の中で、おお、すごいなと思ったのは、これは知事やら何やら、そこら辺のまちづくりの方々が討論している中の一部なんですが、田舎では教育の選択肢が少ない、そのため、県外に出ていく人もいると思うし、今まで環境がいい田舎で子育てをしたいと思っていても、実際に都会から地方へ行けないのは教育がネックになっていると。だから、田舎に行こうかなと思いながらも、とはいえ、自分の子供を教育する上ではやはり都会の方が選択肢が多いよなということが前提にある。確かにそうだと思うんです。だからこそということで、私たちはここでしかできない教育ということで、幼児教育の「森のようちえん」を始めたと。そして、「森のようちえん」でやっている、自由で自発的な教育で子供たちが成長していく、学びを続けていく新田サドベリースクールをつくったと。

 秋田でもサドベリースクールとかをやっている方々がもしかしたらいらっしゃるかもしれませんけれども、これぐらい本当に県を挙げてやっているところは珍しいなと思いますし、うらやましいなと正直思いました。

 まさしくこういう形で、今までの公共事業やら誘致企業というところではない形で地方の魅力を磨いて、そしてまた吸引力をつけていくということが大事なんだと思うんです。

 まず一言ですけれども、大臣が御担当されている地方創生分野において、御自身の御地元の鳥取に関してお考えがあれば御答弁を。

○石破国務大臣 一人当たりの労働生産性で見ますと、うちの県は全国第四十七位でございます。これは必要があればまたお示しをいたしますが、県民一人当たりの労働生産性を四十七都道府県別に並べてみるという棒グラフをつくりました。平成四年、平成十四年、平成二十四年で並べてみますと、順位の変動がかなり顕著です。

 うちの県も、いいときは三十八位ぐらいまで行ったんです。それが今四十七位というのはどういうことかというと、御指摘のように、鳥取三洋電機というのがありました。四千人ぐらい雇用していました。下請もいっぱいありました。それがパナソニックになって、ほとんど撤退しました。

 ですから、一位から四十七位まで並べてみると、平成四年はトップが実は滋賀だったんです、東京じゃなくて。その後、東京、東京とくるわけで、上位十県ぐらいは余り変動がないんですけれども、真ん中から後というのはかなり変動がございます。

 そこをよく分析してみないと、そこに仕事の流れをつくるということにはならないと思っております。きのうも全国の商工会議所の会でお願いしてきたのですが、そこの分析をしないと、いろいろな政策を打ってみても的外れになる可能性が高いと思っております。それが一つ。

 もう一つは、本県にしましても島根にしましても、かなり行き着くところまで行ったところがありまして、そうすると、ない物ねだりをしてもしゃあない、ある物探しをするしかないねという発想、そこに立ち至るのではないかという面がございます。それは島根の邑南町もそうでございますし、海士町もそうです。

 結局、公共事業と誘致企業にはもう頼れないのだということをきちんと首長が宣言した上で、今、新田の例をお話しになりましたが、智頭町も、岡山県境の、鳥取県の中国山地に一番近いところでございます。そこで、「森のようちえん」というのは園舎がない幼稚園なのですね、基本的に子供たちはとにかく外、雨が降ろうが風が吹こうが雪が降ろうが、外でいろいろな教育を受けるわけでございます。

 そこで言われているのは、だめという言葉と、危ないという言葉と、汚いという言葉は使わないで子供たちを育てなければいけない。あれをやっちゃだめ、これをやると汚いよ、これをやると危ないよ、そういうことをやっていたら子供は強くならないということで、県外から多くの方々がお子さんを連れて移住する。智頭町長の言葉を使えば疎開と言っていますけれども、そういうような形で人たちを受け入れてきている。

 ですから、企業と公共事業に頼らない新しい町のつくり方というもの、この智頭町の場合には、かなり早くにそれぞれの地域の自治会に、先ほど御指摘の新田もそうですが、それぞれの集落をどうするかはそれぞれの集落で考えてということを町長が言っております。その成果がようやっと今ごろになって結実をしてきたのかなと思っていますが、智頭町は今でも人口減少は続いておりますので、この取り組みというものをいかにさらに拡充させていくかということが智頭町の課題でございます。

○寺田(学)委員 誘致企業と公共事業に頼らないということを本当に宣言するぐらいの覚悟を持って、先ほど私が例示した元町長の話でもないんですけれども、ない物ねだりはしないで、ある物を徹底的に磨いて魅力にするというところはすごく大事だと思います。

 首長さんがそういうことを言うと補助金がつかなくなるんじゃないかということで、ちゅうちょされる方はいると思いますが、正直、公共事業も大事だと思って国会議員として頑張るんですが、何とも、今大臣がお話しされたような、いやいや、そこには頼らずいくんだということになると、直ちに理解をしてくれる人も少なくて、地元で立って演説する、そして集会で話すにもなかなかつらい部分があるんです。そこは、本当に大臣がまさしく旗を振って、私の選挙の相手も石破派ですけれども、その方にもとうとうと言っていただいて、どちらかというと逆向きの方へ頑張っているような感じもしますので、やってほしいと思うんです。

 秋田の話をしますと、私が秋田の首長さんに対して、県にお願いしているんですが、ぜひとも高齢者をどんどん秋田に先んじて来ていただくような仕組みをつくれないかという話をしています。

 唐突だなと言われるときもあるんですが、それこそ、地方創生を語る上で、東京の一極集中が過大であって、東京の最大のネックはこれから介護と医療の難民が出てくることだ、そこが東京で受け切れなくて、地方に、介護や医療のため、そういう意味での疎開という形になるのではないか、ならざるを得ないのではないかというような話もあり、また、今回、法案の中にもそれを促進するような一つの制度が入っています。

 秋田は、先ほどお話し申し上げたとおり、人口減少でもトップですし、まさしく高齢化という意味でも日本で最もトップを走っているところです。正確な統計なのかどうかわかりませんが、あるシンクタンクの方に言われたんですが、秋田は恐らく今、高齢者がすごく多いので、秋田で回っている資金需要の半分ぐらいが年金だろうと言われています。なので、今、恐らく日本で一番先を切って、少子高齢化が進むんじゃなくて、高齢者が減り始める県になっているというところですので、まさしく年金のパイも減ってきて、県内の経済力が指標としてどんどん落ちていくということになると思うんですね。

 なので、話をする上では、高齢者に限らず、それこそ若い人にどんどん来てほしいというような入り口から入るんですが、高齢者の方々がいるからこそ生まれる若者の雇用もあるわけですし、高齢者の方々がいらっしゃるからこそ年金の資金も回ったりするというところになるので、ある種、高齢者が減り始める先頭を走っている県であるならば、余力があるとは簡単には言えませんけれども、だんだん受け入れる余地が出るトレンドが一番早いんだとすれば、環境を整えて、都市部から、老後はこちらで暮らしてみませんか、そういう形でどんどん高齢者の方々を秋田に招いて、その方々のボリュームがふえることによって若い人たちの雇用も守り、ある程度のお金の循環を持っていくということはこれから必要なんじゃないかなと私は思っているんです。ただ、高齢者の方だけ来てくださいなんということを言うと、余り聞こえがよくないものであれなんですけれども。

 鳥取の方もそういうことをお話ししていて、よそ者パワーということをお話ししているときなんですけれども、首長さん、これは鳥取市長ですね、高齢者の受け入れには慎重な意見も根強い、移住者にはいずれ介護や支援が必要になる、それを支える若い世代の移住を受け入れる自治体には新たな負担が生じない計画も考えないとうまく進まないと。

 仕組みの問題だと思うんですが、高齢者の方がふえたら地方の財政を圧迫するから、それじゃなくて若い人をというような発想に陥りがちだと思うんですが、高齢者の方々をどんどん受け入れることは、先ほど申し上げたとおり、地方の活力を生む基礎になっていると私は思うんです。

 今回、法案の中では中高年ということでちょっとレンジを広げて、それは言い方の問題なのでそうしたのかどうかわかりませんけれども、積極的に高齢者の方々をどんどん受け入れることは地方にとって財政的にもいいことなんだというふうに認知されることと、それを後押しするような制度が必要だと私は思っているんです。

 この点に関して、大臣、御答弁を。

○石破国務大臣 まことにそのとおりです。

 ですから、これは、高齢者を受け入れると財政負担が大変だというけれども、そうですかと。それぞれの町村で、高齢者の方々の年金というものがそこの町に占める割合というのは、調べてみると思いのほか高いはずなんですね。高齢者がどんどん減り始めるということは、そこの町の経済が回らなくなるということなのです。ですから、高齢者の方々を受け入れるということは、負の観点からではなくて、正の観点から捉えるべきものだと思います。

 できれば、要介護になってから、もちろんそういう方を受け入れることも大事なことだと思いますよ、要介護の方がいい環境の中で人生の最終章というか、それを送るということに私は相当の価値があると思っていますが、それのみならず、まだ五十代、六十代、七十代の元気なうちから地方に移って、第二の人生を地方で送るという価値観がまだこの国には定着していない。

 志を果たしていつの日にか帰らん、こういう歌を大体同窓会なんかでみんな歌うわけですね。県人会なんかだと、最後はそれで合唱なんかしちゃったりするわけですけれども。志を果たしていつの日にか帰らんという価値観もありますが、志を果たしに帰ろうという考え方もあってしかるべきではないだろうか。例えば、金融であってもメーカーであっても、あるいはメディアであっても、いろいろなスキルを積んだ人が五十代で地方へ帰ってみると、いろいろな可能性があると思うんです。

 よそ者、若者、ばか者を排斥しちゃったところにやはり地方の問題はあるんですが、秋田で生まれ育ったとか鳥取で生まれ育ったとか、そうであると、五十代を過ぎると急に同窓会がふえるんですけれども、おまえ、帰ってこいよという話がよく出るわけですね。知らないところに行くと何となく違和感がありますが、やはり生まれ育ったところ、小学校、中学校、高等学校の同級生がいるところに帰ると、一緒にやろうじゃないかということになるのではないだろうか。

 ですから、まだ若い、要介護になる前から地方に帰って第二の人生をつくる、そういう価値観というものを広げたいなというのがCCRC、生涯活躍のまちの基本的な考え方であります。

○寺田(学)委員 CCRCのことであれば、そういうようなパッケージで今御説明されるんですが、僕は、大臣にもう一歩踏み込んでほしいんですよね。

 確かに、第二の人生という意味で、五十代ぐらいの方々がリタイアして地元で、まさしくハッピーリタイアするぐらい資産があればまた別ですけれども、働かざるを得ないわけですから、働く場所がない。五十代だとすると、まだ子供が大学に行っていて、夫婦だけでは暮らせないよねというところになっていると思うのです。私は、そういう方々を一生懸命地元に戻す、そしてまた地元以外のところ、地方に来てもらうということは大事だと思うんですが、私がやはりもう少しフォーカスを絞って力点をやってほしいのは、まさしく本当にリタイアされた方、もう働かなくてもある種年金でも暮らせる方。もっと言うと、それこそさっき言ったとおり、一極集中の問題というものはこれから介護難民が出ることですから、介護を必要とされる方。

 もちろん、介護制度でも、他の地域に住んでいて介護保険を払っても、移動したらその分だけのしっかりとしたバックサポートはあるということの制度にはなっていますけれども、まだ自治体の方々は、五十代まで広げちゃうと、五十代の方に力点を置かないと有権者に説明しづらい部分もあるのかもしれませんが、私は、しっかりと、リタイアされた方、六十を過ぎた方で一定程度自分で生活ができる、年金をもらえるような年代になったような方、そしてまた介護が必要になっている方も含めて、そういう方々が地方に来ることに関して、地方は物すごくメリットがあるんだということを理解させるとともに、もう少し味つけを濃くして、新聞の見出しでもないですけれども、都心の高齢者の奪い合いが起きているというぐらいのインセンティブをつけてムーブメントにしないと、実際に東京の介護需要が賄い切れなくなってからでは遅いので、今からそういうような形でアクセルを踏むべきだと私は思っております。

 なので、五十代の方じゃなくて六十代以降の方、そういう方々がしっかりと地方に介護を必要としながら移住することが地方の財政にとってもプラスになるような制度を加速してつくっていくべきだと私は思うんですが、いかがですか。

○石破国務大臣 御指摘のとおりです。

 六十代、七十代でも、要介護になった人じゃなくてという言い方は気をつけて言わなきゃいかぬのですが、要介護になられた方でも地方に移られれば、本当に幸せな人生の最終段階を送れるんだということは大事なことだと思うんですね。

 一生懸命働いて、私は東京の介護を否定するつもりは全然ありませんが、やはり地価が高いこともございまして、ワンルームみたいなところで要介護の状況で五年、十年、十五年を送るという、それだけが価値観ではないと思っているのです。

 やはり風光明媚な人情豊かなところで、要介護でありながらも、人間の尊厳を損なうことなく、充実した思いで人生の最期を送ることができるということをもっと広めていかねばいかぬのではないだろうか。もちろん、ワンルームみたいなところでも、東京のああいうにぎやかなところで人生を終わりたいという方の価値観を否定するものではありません。

 私は、出生率でも何でもそうなのですけれども、いろいろな価値観を提示するということをもっとやっていくべきではないだろうかと思っています。それぞれの人は心の内面で思っていても何となく共感が得られないようなところもあって、やはり政府として、議会の皆様方の御議論も経た上で、こういう価値観もあるのではないですかということを提示し、それを可能にするような政策を打ち、そういう選択を可能にするような状況を創出したいと考えております。

○寺田(学)委員 大臣は優しいですから、高齢者の方々のライフスタイルの方の提案というか、そういう新しい幸せのあり方というのがありますよというアプローチで御答弁されることはわかるんですけれども、そこはもっと、一極集中の問題はすごく喫緊の課題ですから、かつ、地方が疲弊している問題、人口が減っていっている問題も喫緊の課題ですから、私は、移られる方々の幸せはあると思っているので秋田に来てほしいなと思うんですが、自治体の方々が積極的に高齢者の方々にうちに来てくださいということを言えるような自治体側からの目線で、そしてまたその自治体側からの目線が、丁寧に言わないと危ないですけれども、お金の問題としても、堂々と彼らが言って、他の方々にも伝えられるような仕組みをつくらなきゃいけないと思っているんです。

 なので、今回のCCRCは第一歩だと私は思っていますけれども、次はもっと、かなりエッジのきいた、財政的なものも伴って、高齢者の方々を自治体が受け入れることで自治体としても物すごく豊かになるんですよぐらいのことをやれるような仕組みにつくってほしい。

 そしてまた、最後に一点、要望です。

 高齢者の方々をこれからどんどん秋田に呼ぼうと思うんですけれども、だんだんその流れが出てきたときに、やはり雪が降らないところの方がいいなということになりかねないと思うんですよね。そこもある程度、交付税措置でも何でもないですけれども、全国画一的な制度じゃなくてやっていかなきゃいけないなと思っているんです。

 ですので、最後に一言だけもらいたいんですけれども、誘致企業と公共事業に頼らないと頑張る首長をふやすということと、都心の高齢者の方々、ぜひうちに来てください、財政だって問題ないんですよと言えるような首長さんがふえるようにちょっと努力してください。よろしくお願いします。

○石破国務大臣 御指摘ありがとうございました。そのとおりだと思っております。

 ですから、公共団体が、よし、これで東京に攻勢をかけようというのかな、セールスをしようと思ってもらえるような仕組みというのは必要だと思っております。

 とにかく、若い人が出ていきますので高齢化率は高どまりしたままなんですが、実は高齢者の絶対数は間違いなくこれから減り始めます。そうすると、そこに失業が起こるわけで、時間差を置いて、東京はそういう人が欲しいわけですから、また人口の流出が起こる。東京への一極集中が今度はそこの世代も起こることになって、何なんだ、東京の一極集中の是正はということにこのままいったら必ずなりますので、そういうような、介護の人材を確保するという意味でも、地方において失業を生じせしめないという意味においても、委員の御指摘をちょっと検討させていただいて、自治体にいかなるインセンティブを付与すべきかということは、また次回にでも議論させていただき、提示させていただきたいと思います。

○寺田(学)委員 以上で終わりますが、秋田も頑張っていますので、よろしくお願いします。

○山本委員長 次に、佐々木隆博君。

○佐々木(隆)委員 民主・維新・無所属クラブの佐々木でございます。この名称も、いつまで使えるかわかりませんけれども。

 多分、一年ぶりぐらいに大臣と議論をさせていただけているというふうに思います。昨年も地方創生で議論をさせていただきました。

 最初に、地方創生というのが言われ出したというか、始まったというか、二〇一四年のあの人口問題検討会のところが発端だというふうに思うんですが、それと同時に、また、アベノミクスの地方版というようなことが言われて、この地方創生本部なるもの、まち・ひと・しごと創生本部に途中で変わってきているんだというふうに思うんです。

 きょう、皆さん方のお手元に資料をお配りさせていただきましたが、その、まち・ひと・しごと創生基本方針二〇一五策定というときに、総合戦略に掲げられた四つの基本目標の達成に向けてということで、政策パッケージというものがそのときにつくられているわけでありますけれども、この政策パッケージというものがその後、具体的にはどういう事業として、あるいはどういう形で、施策として今度はどう進んだのかというところについて、まずお伺いをしたいと思います。

○石破国務大臣 御提供いただいた資料をそのまま使わせていただいて恐縮でございますが、ここの箱の一番右に、「政策パッケージの主な項目」というふうに整理をいただいております。

 そこにおきましては、人材還流、人材育成、競争力強化、地方移住推進、地方拠点強化、地方大学等々、ずらずらと並んでいるわけで、それぞれにつきまして、国として支援策を講じておるところでございます。

 このいろいろな政策パッケージの項目を実際にどのようにそしゃくし、どのように実現するかは、自治体によって千差万別でございます。それは、例えば旭川と帯広と釧路は当然違うはずでございますので、このような項目をどのようにして総合戦略の中に盛り込み国の支援を求めるかということは、それぞれの自治体において御判断をいただくものでございます。

 これを一つ一つ申し上げていると時間が幾らあっても足りませんのでそのようなことはいたしませんが、ここにあえて書いてあることを具現化するというのは、まさしく地方の皆様方にお願いをし、中央政府としてはそれを全力で支援するという形をとっておるものでございます。

○佐々木(隆)委員 全てを答えていただかなくても結構ですが、後ほどまた触れますので、事例などがあればぜひ紹介をしていただきたい。

 地方創生の話というのは、地域づくりをどうするかという話から、後ほど触れますけれども中央の政府機能の移転まで、とてつもなく幅が広くて、ともすると理念の闘いになってしまって、理念はもちろん大切なんですけれども、では具体にどうしたという事例が少しずつ出てこないことには前に進んでいかないと思うんですよね。

 そういう意味で、具体的にどうなったのかということを今お伺いしたところであります。どうぞ。

○石破国務大臣 これは例えて申し上げれば、地方移住の推進というのはかなりムーブメントになってきたという思いを、自画自賛的で恐縮ですが、持っております。

 これを掲げました後に、これは総務省の事業でございますが、移住・交流ガーデンというものを八重洲に開きました。これは相当ににぎわっております。そしてまた、ぐるなびじゃありませんが移住ナビという形で、全ての自治体の移住情報を全部パソコンで見たら大変ですから、いろいろな条件を入力することによって、例えば北海道ニセコ町とかそういうものが出てくる。そうすると、自分の条件に合うだろうかみたいなことになっていく。

 今実際に移住というものは進んできたと思っております。また、地方の拠点の強化も、かなり動きが出てまいりました。これは大企業だけではなくて中小企業においても、中小企業の方が地方の方で仕事がしやすいという面もございますので、これは優遇税制を使ってかなり実例が出てきておるところでございます。

 また、人材還流、人材育成にいたしましても、先ほど寺田委員にもお答えをしたところでございますが、いろいろなスキルを持った方が地方に行くというような事業を今展開いたしておるところでございまして、これもかなりの実例が出て、成果を上げつつあると思っております。

 まだ十分じゃないところ、これから法律を成立させていただければ具現化するものもございますが、これを一つ一つ目に見えた形でお示しすることができなければ、かけ声だけに終わると思っております。

 中央省庁の移転につきましては、今月中に方向性について結論を得たいと思っております。

○佐々木(隆)委員 今、少し具体例を出していただきました。

 今、日本の国で一番最先端で拡大をしている産業というのがパソコンを使ったマッチング産業なんだそうでありますが、まさにこの地方創生も、ある意味でのマッチングをどうするかというところにかなりのウエートが置かれているんだろうというふうには思っております。

 ただし、そのマッチング産業の方は今規制がないものですから、パソコンの方ですよ、どんどん規制をかいくぐったようなものも出てきているというのは、後ほどちょっとまたそこは触れさせていただきたいと思います。

 この地方創生の中に、地域再生計画というもともとあったもの、二〇〇五年に制定された再生法の計画というものがあるのと、今回のまち・ひと・しごとに伴って地方版総合戦略というのがあるんですが、この二つが余りにもある意味で似通っていて、違いがよくわからない。

 どのようにこの二つが関連をしていてどうなっているのかということを担当大臣としてわかりやすく説明いただきたいというふうに思うんですが、地方創生そのものについては非常に地方の期待度も高いので、ぜひちょっと、わかりやすく端的にお話をいただければと思います。

○石破国務大臣 これは言葉が似通っておりますので、説明をもっと上手にしなきゃいけないと反省をいたしておるところであります。

 地域再生計画というのは、それぞれの地域、稚内なら稚内、帯広なら帯広、何でもいいんですが、それぞれの地域において、地域再生を図るためにこれをやりたいなという個別の事業、そしてそれを実施するために活用する国の支援措置について定めた実施計画のことを地域再生計画といいます。ということで、いろいろな自治体から、こんな計画はどうだろう、あんな計画はどうだろうということで、国と協議をしながら一つ一つ具現化をしていくものでございます。

 地方版総合戦略というのは、全ての自治体に今月末までに策定してくださいというお願いをいたしておるところでございますが、それぞれの地域におきまして、五カ年の計画でございます。五カ年の計画において、地域の実情に応じた政策全般にわたって、このようにしていきたいというものを、それぞれの地域において、相なるべくは、民間の方々やあるいは労働組合の皆様方や金融機関の皆様方、そういう方々総参加のもとにおいて総合戦略をつくっていただく。

 それを具体化するに当たって地域再生計画を立て、それを国と話し合いをしながら一つ一つやっていく、そういう全体の戦略というものがあって、それを具体化していく上の一つの手段として地域再生計画を御利用いただく、こういうような概念だと思っております。

○佐々木(隆)委員 私もきのう、担当者と大分議論をしっかりしたんです。やや少しわかりかけたかなみたいな感じのところがあるんですけれども。

 では、総合戦略というものがあって、その中にぶら下がっているのが再生計画かというと、いや、それもちょっと違うんですと言われて、結局、関係はどうなんだという話になるんですが、今お話があったように、個別具体。少しは再生計画に個別具体なものがあって、総合戦略はちょっと長期ビジョンなわけですよね。だから、それにぶら下がっているのかと思うとそうでもないんです。しかし、再生計画にのっとって国に事業を申請するときには、総合ビジョンになければこれはやはりだめですということになるので、そういうふうに捉えた方がむしろわかりやすいのかなというふうに思っているのです。

 例えば、地方はこれに極めて期待度は高いわけで、それぞれの地域が争うぐらい総合戦略をつくられて、ほとんどの自治体が今月中には出てくるということも聞いておりますけれども、それに関して。

 これは多分、総合戦略の中にあるんですが、一つは、地方がアイデアを出しなさいということと、それを国は支援するというところに三つほどの項目があって、これはあくまでも観点ですけれども、地域の知恵と工夫の競争のサポートと促進、二つ目が、地域の政策課題を解決するための制度改革の推進、三つ目が、民間のノウハウ、資金の活用の促進。いわゆる情報支援、人的支援、財政支援をするというふうに、説明書きみたいになっているんです。

 気になったのは、地方の自治体の競争のサポートとか、ノウハウの活用とか、要するに、地方を競争させるような説明文が文章としてついているというか、どうもそれはちょっと違うのではないかという気がするので、情報、人的、財政とさっき言ったんですが、具体的に国は何を支援したいのか、何をサポートしたいのかというのを、もうちょっとやはり明確に整理をしておく必要があるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○石破国務大臣 競争をあおり立てて、優勝劣敗、弱肉強食のような、そんな世界をつくりたいとは全く思っておりません。そういう誤解を招くような表現があったとすれば、それは私の責任でありまして、直さなければいけないと思っています。

 総合戦略をつくってくださいとお願いしたときに出てきたリアクションは、時間がない、人がいない、金がない、情報がない、こういうようなリアクションが出てきたわけで、それは当たっている部分がたくさんあるんだろうと思います、全部をエクスキューズとして片づけるつもりも私は全くなくて。

 人がいないということでありますから、今まで国家公務員というのは、例えば、北海道庁の何々局長さんは何々省からとか、札幌市の何々部長さんは何々省からみたいな形で、大きな自治体にしか出ていなくて、人口五万人以下の自治体というのを調べてみると全く出ていない。何だこれはということで、全国の自治体で、国家公務員というものを受け入れてこういうことをやりたいんだというところは、お手をお挙げくださいというふうにお願いしました。

 そうすると、例えば、ではうちは観光を振興したいのでそういうものに通暁した国交省、旧運輸省系の人が欲しいな、あるいは農林水産業の振興をしたいので農林水産省の人が欲しいなというふうに手を挙げていただき、国家公務員の側も、俺が行って教えてやるぜみたいな人は行かなくていいので、自治体の方々と一緒に額に汗して働く人をマッチングさせてやる人的支援、RESASを使った情報支援、そして新型交付金等々に基づきます財政支援というものを行ってまいりました。

 それは、最近になって、人がいないとか情報がない、そういうような御指摘は余りいただかなくなりましたが、実はきのう日本商工会議所の方々と懇談をしたのですけれども、商工会議所が自治体に対して、うちも一緒にやりたいんです、総合戦略づくりにかかわらせてくださいとお願いしたら、要らないと言われたところがあるんだそうですね。それはやはりおかしいだろうと思っております。自治体が文句ばかり言っていても仕方がないので、本当に広く多くの分野の方々に対して一緒にやりましょうよというマインドがないところは、それはお考え直しをいただきたいと私は思っております。

○佐々木(隆)委員 地方の期待度が非常に高いので、ぜひ、今の大臣のような考え方が職員全体に浸透するようにお願いを申し上げたいというふうに思います。

 再生計画だと思うんですが、つい先日の新聞報道で、一度も使用されていないメニューがあるという報道がありました。一五年十月九日の新聞であります。

 計画そのものはかなりの再生計画が出てきているんですけれども、メニュー方式になっていて、国、政府の方が用意したメニューがあって、そのうちの四十九項目が一度も使用されていない。四三・七%だそうでありますが、使用されていないメニューがあるという記事が出ておりました。

 これなんですが、そもそも利用されていてもされていなくてもそれは仕方ないとは思うんですが、メニューを用意したという理由が何かあるのかということが一つと、そのメニューの中からもし選んでくるような計画なのであれば、先ほど大臣のお答えいただいた地域の自主性というところからして、メニュー制にすることは少し違うのではないか。あるいはまた、認定基準というものが何かあるのか。そんなことが、結果、こういうことの指摘になったのではないかというふうに思うんですが、大臣のお考えを伺いたいと思います。

○石破国務大臣 委員の御指摘の報道は、昨年の十月八日の日本経済新聞に掲載されたものだと思っております。会計検査院の指摘で、半数が達成されていなかったり、達成状況が不明だったりという御指摘をいただいておるところでございます。未達成の理由は、災害とか不況などが四六・九%で最多でありました。事業実施箇所が想定していた条件と異なり対策を図る必要があった等々、必ずしも、メニュー方式であるから未達であったとか利用されなかったということだけではないと思っております。

 しかし、利用されないのはこれだけの理由ではないはずなので、私は農林大臣のときも委員と議論させていただいたかもしれませんが、商品が売れないというのは、商品が知られていないか商品の中身が悪いか、どっちかに決まっておりますので、やはり、知られていないというところも結構あるのですね。ですから、そこをきちんと御理解いただくようにさらに努力をするとともに、もう一度ここをよく分析して、なぜ使っていただけないのか。

 私は、メニュー方式に問題があるとは実は思っておりません。その商品の中身の問題だと思っておりますし、制度の周知徹底の努力をもっとしなければいけないということだと考えております。

○佐々木(隆)委員 もちろん、そういう側面はあると思うんです。あると思うんですが、要は、地方創生というのは、これは根本的な話になるかもしれませんが、地方の自主性というものをどれだけ引き上げてくるかというのが根底だと思うんですよね。

 しかし、その中に国は何らかの支援をしなきゃいけないということがそもそもの地方創生の仕組みだと思うんですが、では、国はどこまで関与するんですか、どこまで責任を持つんですか、どこまで自主的なんですかという、この関係というものを整理しないと、ともすると、例えば、そんな人はいないとは思いつつも、総合戦略をつくるのに、できるだけ国の意向に沿ってつくらなければいけないのではないかとか、先ほどのメニューも、もうちょっと違う形でやりたいんだけれども、メニューにこう書いてあるからこのようにやった方が補助をいただけるのではないかとか、結果、せっかく自立を促そうとしてやっていることが、逆に中央集権的なものになってしまうというジレンマが常にあるんだと思うんですが、その辺の整理をやはり、大臣の頭の中ではされているのかもしれませんが、ぜひそこら辺をお伺いしたいと思います。

○石破国務大臣 それは常に悩むところであって、下手をすると中央集権的になってしまう。自主性ばかりに委ねていると、国のお金の使い道としていかがなものかということになる。

 そこで、どこで調和をとるかなのですけれども、私としては、地方創生においてポイントとなる総合戦略の策定に当たって、先ほど申し上げた、産業界、役場、役所、大学、高等学校、中学校、信用金庫、地方銀行、労働組合、そして言論機関、そういうものがみんな参加してくださいということは、私は要件としたいと思うんですね。そして、KPIを定めPDCAサイクルを回してくださいということ、これは私どものお願いです。やっているところもあればやらないところもありますが、そうあるべきだと思います。

 そして、その上において、先ほど人口五万人以下の自治体に国家公務員を派遣するという話をしましたが、もう一つは、コンシェルジュ制度というのをつくりまして、私は北海道生まれである、あるいは北海道に赴任したことがある、親類が北海道にいる、あるいは何もいないが北海道が大好きであるみたいなことで、各省庁からコンシェルジュというのを募りまして、それを今動かしております。

 やはり、市長さんでも町長さんでも、初めてなられた方というのは、霞が関のどこに行って、誰がいて、何をお願いしたらいいんだかよくわからないというのがありまして、そういうコンシェルジュ名簿をつくりまして、どこの首長さんがおいでになっても誰かが必ず相談に乗るということで、省庁における親切な相談機能というものを動かしております。

 この総合戦略づくりに当たりましては、あるいはいろいろな交付金の申請に当たりましては、例えば、十分の十を持ってやっております今度の補正予算でございますが、一月三十一日までに御相談に来てくださいということは全部の自治体に徹底をいたしました。一々来るのは大変なので、メールでの御相談もございました。

 この担当者たちは本当に、土日返上、不眠不休で全ての自治体の対応に当たっておりますが、私は、今回の地方創生事業というのは国と地方との共同作業だと思っているんです。どっちが上でどっちが下ではなくて、本当に一緒にやりましょうよということで、自治体の側からこんなのはどうですかと御提案を受けて、知りませんでした、ああ、それはいいですねといったケースもたくさんあります。

 国の枠にはめるということではありませんが、政策間連携も全くなく、官民連携も全くなく、地域間連携も全くなく、それだったらばどこかの役所の補助金を使えばいいじゃないですかというのを出されても、それはもう一度一緒によく考えましょうよということで、共同作業というのが一つの考え方の基本にあるものだと私は考えております。

○佐々木(隆)委員 役所の方も、それから地方自治体の方もですが、それになれるというか、そのことをお互いにそしゃくするのに今まだちょっと過渡期なのかなという気もしないわけではありませんが、ぜひともこのことが何か中央集権にという誤解を招かないように。

 これは私の勝手な推測でございますが、一億総活躍も地方創生も、先ほど来話があるように、何で官邸に置かなきゃいけなかったのかというのも、これは官邸集権じゃないか、わざわざ省庁の一番おいしいところを持ってきちゃって大丈夫なんですかというような気もしないではないんです。

 石破大臣のところにおいてそういうことはないとは思いますが、ぜひこれからの推進の中でお気遣いをいただければというふうに思います。

 そこで、今度の地域再生法の改正に伴って何点かお伺いをしたいと思うんです。

 最初に、交付金の関係でございます。

 地方が頑張るためのツールとしてこういうものが用意されたということは、私は、地方からも大変喜んでいただいているし、大変いいことだというふうに思っております。余り質問すると地元から叱られるんですよね、余り批判しないでくれというふうに言われるんですが、野党の立場ですから、少しその立場で言わせていただきたいと思うんです。

 先駆的、既存事業の隘路を打開、先駆的で優良事例の横展開などとしているわけですね、この交付金を交付するに当たって。これも先ほどと同じでちょっと気になるんですが、先駆性とか優良事例とかというものが余り強く打ち出されると、俗に言われるトップランナー方式とかインセンティブ方式とかいう表現がされるんですが、そこにだけこのお金を集中するんですかと。

 要するに、地方はみんな、頑張っていない地方自治体なんかないわけで、国の側から見て優劣があったとしても、地方自治体はそれぞれに頑張っているわけです。そこを先駆的だとかなんとかというふうに色分けをもしされるとすれば、それは地方にとってはせっかくの期待を裏切られることになるわけで、この交付金のこれからの交付に当たってその辺の考え方があればお聞かせください。

○石破国務大臣 これは、何をもって先駆というかというお話でございます。

 私どもがそこにおいて重視をしているのは、先ほどのお答えと重複して恐縮ですが、各省庁の補助金が何となくハードルが高いので、だったらこの自由に使えるお金ということであれば、それはその補助金の方でいってくださいというお話なわけでございますね。

 この先駆性とかいう言葉は、要は地域間連携が図られているだろうか、あるいは政策間連携、一つの政策に特化することなく幾つかの政策にまたがることによって仕事をつくり、雇用を創出することになるかどうか、そして、役所の中だけで考えても仕方がないので、民間との連携がきちんと図られているかということを一つの判断の基準といたしております。

 ですから、政策間連携はいろいろな政策がございましょう、組み合わせが。あるいは地域だって、どこの地域と連携するか、必ずしも隣接していなければいけないというものでもございません。官民連携は当然のことでございます、そうでないと事業として持続可能性がかなり乏しくなりますので。

 そのあたりを判断基準といたしておるものでございまして、何か先駆というと、非常に光り輝いて真っ先を走っているというようなイメージもございますが、そのようなことをお願いしているわけではございません。

○佐々木(隆)委員 時間がなくなってきたので、少しここは私の思いだけ伝えさせていただいて、質問からは外させていただきたいんです。

 もう一つ、応援税制なんですが、これも実は、地方を歩いていますと、NPO団体とか、あるいは文化団体とか環境団体とかが非常に期待しているんですね、この企業からの応援税制を。

 これが自治体に一回集まるのはそれはそれで結構なんですが、何か自治体の行政の事業にも使えるかのような話になっちゃうものですから、私は、そういうNPOとか文化団体とか環境団体から、多分それぞれ市町村に上がってくるんだと思うんです、あるいは市町村がまとめるかするんだと思うんですが、そこにストレートで使えるようなお金にした方がむしろ、何か企業から寄附してもらったのを行政が使っちゃうんじゃないかというような懸念もそういう団体にしてみればあるようです、NPO団体みたいなところは期待を非常にしていますので、直接営業している人もいるようですけれども、ぜひそういう思いで進めていただければというふうに思っております。

 それからもう一つ、政府関係機関の移転の話です。

 これは三月末にも結論というか方向性が出るということなんです。一部お試しでというようなお話もあるようなんですが、私は、残されたところの全てとは言いませんけれども、特に、研究、研修機関とか、あるいは中央省庁の事業実施機関なんかも対象になっているし、そういう要請もたくさんあるように聞いておりますので、お試しできるところは全部お試ししてはどうかというふうに思うんですが、ここはどうでしょうか。

○石破国務大臣 これは、自由民主党の中で、鳩山邦夫先生を本部長とします自由民主党の地方創生本部がございまして、そこで、鳩山本部長の強い御指摘もあり、これを全省横断的にテレワーク等々の実証をやるべきであるという御提案を頂戴いたしておるところでございます。これを具現化すべく、今、政府の中で検討を進めておるところでございまして、今回で終わりとかそのようなものではございません。

 ただ、今回のものは今回のものとして三月に方針を決定するということでございますが、より広い行革の視点も、あるいは地方分権の視点もあわせ考えていきながら、そういうような取り組みをやはり実証してみないと、国の行政でございますから、北海道から沖縄までみんな公平な行政を展開しなければなりません。一方において、ワーク・ライフ・バランスみたいなものもきちんと国が範を示さなければならないことでございまして、その取り組みはこれから先、政府部内においてきちんとやっていき、成果を得たいと思っておるものでございます。

○佐々木(隆)委員 今まで東京あるいは東京周辺、中央省庁にあったものを地方にもしも移転するということになれば、それなりのリスクは伴うわけですから、リスクなしにそんなことはやれないわけですので、多少のリスクはやはり覚悟をしてやらなければいけないんだというふうに思います。

 時間がなくなってきましたので、特区についてお伺いをしたいと思います。

 昨年もちょっと議論をさせていただいたと思うんですが、構造特区、総合特区、そして戦略特区と変遷をしてきているわけであります。基本的には規制緩和が中心になるわけですけれども、始めたころは確かに、これはやり過ぎだと思うような規制が山ほどありましたので、規制緩和の効果というのはそれなりにあったと思うんですが、少し、だんだん無理筋になってきているのではないかという気がしないではないんです。

 岩盤規制に穴をあけると言った方がおられますが、岩盤に穴をあけたら岩盤崩壊しますよ、これは。だから、それぐらい無理筋になってきているのではないかということを今申し上げたかったんです。

 そのうち、二つ申し上げたいと思います。

 一つは、農地特区の方でございます。

 提案そのものが産業競争力会議の提案がもとになっているのかと思うんですが、農地に株式会社が直接参入できるなどということは、私はあってはならないことだというふうに思っております。では、株式会社が農地を持てないのかというと、そんなことはないわけで、農業生産法人の資格を取れば農地を持てるわけですから、その努力もしないような人が農地を持つということがけしからぬと私は思っているんです。それは入社試験をしないで会社に入るようなものですから、そのぐらいの努力はしていただくべきだと思っておりまして、これはぜひ見直すべきだというふうに思います。

 そのお考えをお願いします。

○石破国務大臣 これも農林水産大臣のときに委員と相当議論をさせていただいたところでありますが、この特例は、国家戦略特区の中でも、農業の担い手が著しく不足をしておるとか、耕作放棄地が著しく増加をしておるとか、そういった要件を満たす地方公共団体に限定をする、期間も五年に限定して、試行的、実験的に行うものでございます。

 いろいろな御懸念は当然ございまして、私どもとして、対象となる法人については、地元自治体を経由して農地を取得しなければいかぬ、万が一不適正な利用があった場合には地元自治体に権利を移転せよ、そして継続的、安定的な農業経営を行ってくださいという相当に厳しい条件を課しております。

 もちろん、入学試験を受けないで入るようなものということを想定しているわけでもありませんし、それは、実際に参入するときに、当然、参入する企業はかなり厳しい、いろいろな考慮を経た上で参入をすることになると思っております。

 よく指摘されるのは、企業ですから、そういうことをやると、もうからなくなるとやめちゃうんじゃないの、そしてごみ捨て場にしちゃうんじゃないのというような御指摘があります。しかし、そういう耕作放棄地が続出をし、担い手がいませんというところにおいて、企業の資本というものをどうやって活用していくかという観点を実証してみるということも、委員も私どもも、とにかく担い手をふやさねばならぬ、農地を活用せねばならぬ、そして農業の生産性を上げねばならぬという思いは一つでございまして、この一つの道というものを実証してみる価値は私はあると思っておるところであって、直ちにこれが全国に広がるというようなものでは全くございません。

○佐々木(隆)委員 きょう、ここだけは意見の一致ができません。

 農地法のときも大分議論させていただきましたけれども、基本的には、農地はつくらざる者持つべからずなんですが、それを少しずつ緩和してきたわけですね。リースならいいとか、農業生産法人ならいい、常駐者がいればいいとか、少しずつ緩和してきたわけでありますが、特区というのは将来的に全国展開するかどうかを試すものであって、今の大臣の説明みたいな要件を満たせば、これからあちこちにそれがふえていくんですかという話になっちゃうので、私はやはりちょっと違うのではないかということ、今の大臣の説明でも納得はしかねます。

 もう一つは、道路運送法の特例です。今回、同じように出ているんです。

 これは、昨年はいわゆるコンパクトビレッジでの自家用有償旅客運送、ですから、白タクですよね、白バス。コンパクトビレッジという中での話としては、私はそれはありだというふうに思うんですが、今回は、それをまたさらに広げて観光客ならいいじゃないかみたいな話に広げちゃうということは、結果として、これはライドシェアに道をあけることになってしまうのではないか、その第一歩になるのではないかという気がします。

 そういった意味では、昨年のコンパクトビレッジの白タクとは全く違うというふうに私は思いますので、ここもやはり再考すべきと思いますので、時間が参りましたけれども、お願いします。

○石破国務大臣 今回のものは、バス、タクシー事業者によることが困難である場合に、市町村など非営利の主体に限って実施をするものでありますし、安全規制を緩めることは全くございません。ライドシェアというもの等の関連性も、この特区においては全くないものでございます。

 コンパクトビレッジにおいて、きのうも御指摘がありましたが、ネットワークというものを確保することは大事であるということ、同時に、地方においてもインバウンドのお客様を迎えたい。

 旭川はそうではないかもしれませんが、私の地元なんかは駅前にもタクシーが一台もなかったりするわけでございまして、タクシー会社も、いつお客さんが来るのかわからないところにタクシーを置けないみたいなところもありまして、そういうところに限ってこういうような利便が提供されるという選択肢があるべきだという考え方でございます。ライドシェアと直接結びつくというものでもございませんし、これを使ってライドシェアを全国的に展開しようというような意図を持っているものでは全くございません。

○佐々木(隆)委員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、大臣にその意図はないと思いますが、こういう事例があるじゃないかと今度どこかで使われるという危険性がやはりないとは言えないというふうに思います。

 観光に関して言えば、観光主体というのが観光客のことを言うんですね。観光客体というのが受け入れる方を言うんですね。私は逆だと思うんですよね。観光客体はお客の方で、観光主体が地域だと思うんです。それは、地域の積み重ねてきた歴史と文化を見に来るんですから、見に来る方がお客でなけりゃいけないので、観光客にそれまで気を使う必要がどこにあるんだと実は思っております。そのことを申し上げて、時間が参りましたので終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

○山本委員長 次に、篠原豪君。

○篠原(豪)委員 維新の党の篠原豪でございます。

 きのうに引き続き質疑をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、昨日の審議では、冒頭に、新型交付金として導入される地方創生推進交付金について、実は、先ほど佐々木委員からも御指摘がありましたとおり、平成二十七年の会計検査におきまして、報告として、約半数が未達の状態となっている、それにもかかわらず、これまで地域再生計画が目標未達となっているのであれば必ずしもうまく機能していないことを踏まえると、従来どおりの方法で予算を国からおろしていく、従来の交付金の対象に地方創生全般が加えられただけで、効果が薄いのではないか、新しい交付金と名はついているものの、実は形を変えた同じような趣旨の今までと変わらない交付金というふうに考えられるんじゃないかということを伺いました。

 また、企業版ふるさと納税制度については、大きな論点として、一つには、企業版ふるさと納税制度導入によって、受ける側の自治体との間で許認可や物品の調達、入札などで特定の企業に不透明な優遇が行われるおそれがあるのではないか、言いかえれば便宜供与が行われるのではないかという心配について、健全な寄附であることを担保するためにこれからつくられる内閣府令については罰則規定があるのかどうかということについて、これはないということでございました。

 そして、議会のチェックが働くからこれでしっかりと自治体の側では見ていくんだ、あるいは、住民の皆様が見ている中で、これはどう考えてもちょっと民間と自治体の中で少しおかしい動きがあるんじゃないかと思ったときに住民監査請求がとり行われるのかどうかということをお伺いした際には、それは可能だということでしたが、実態として見てみますと、実は、寄附した企業そして寄附した金額については公表の義務がないということであります。では、誰が一体どうやって調べるんですかということに対して、大臣は引き取っていただきまして、しっかりとその辺を検討していただくというふうに御答弁いただきましたので、ぜひ頑張っていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

 そして、その上で、対象となる自治体が、東京圏、千葉、東京、神奈川、埼玉の十八の不交付団体が実はこの対象になっていないということでございまして、そのことを確認した上で、その線引きの理由は何だったのか。そして、不交付団体の中には、例えば市庁舎、公共建築物がぼろぼろの中であってもぎりぎり頑張っていて、そして不交付団体を維持している。そういった努力をしているところがあるのに、そういったところに対して、本当にやっている団体がある中で適切な線引きであるのか。交付団体、不交付団体じゃなくて、例えば財政力指数を少し考えてみるとか、いろいろとそういったやり方があるんじゃないかということをお伺いしました。このことからきょうは引き続き御質疑をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、企業版ふるさと納税制度によって、不交付団体、ぎりぎりでやっている団体、こういった団体から、今回の制度をつくることで、今申し上げましたように、東京圏ですから、東京圏の企業というのは、税収をそういう企業に頼っているところが非常に多い、これが多額の税収が流出してしまうということに結果としてなってしまえば、財源不足に陥る団体が出てくるのではないかと懸念しています。今後、そのあたりを注視していかなければいけないというふうに考えます。

 また、不交付団体については、東京都のようにずっと不交付団体のところもありますが、不交付団体になったり不交付団体にならなかったりする団体がある。平成二十六年と二十七年度の当初算定ベースの不交付団体を調べてみました。この結果、五団体が不交付団体から交付団体になり、そして十団体が交付団体から不交付団体になっている。

 例えば、不交付団体でないときに寄附活用事業を盛り込んだ地域再生計画が認定されたが、その後不交付団体になったというケースが想定されるというふうに考えます。

 その場合、まず、本日初めの御質問でございますけれども、地域再生計画が認定されている、団体が不交付団体となった場合には認定が取り消されることになるのかどうか、お伺いいたします。

○末宗政府参考人 お答えいたします。

 今回の地域再生計画につきましては複数年の認定を受けることが可能だと考えておりますので、委員が御指摘のように途中で交付団体から不交付団体になることが想定されるわけでございまして、そのような場合には認定要件を満たさなくなってまいりますので、一般的には、不交付団体になった翌年度以降、将来にわたって認定が取り消されることになっていくのではないかと考えております。

○篠原(豪)委員 大臣、一年目に認定されて、二年目に不交付団体になったら取り消されちゃうのだそうです。そういうことですね。大臣、またもうちょっと話してから御感想を伺いますけれども、これが実態ですよ。

 デメリットがもしかしてメリットよりも多いんじゃないか。不交付団体は、法人課税の偏在是正の取り組みによって減収になったり、国の補助金の補助率を下げられたり、補助金の一般財源化の影響をそもそももろに受けたりする存在です。

 政府は、平成二十五年六月の骨太の方針で「不交付団体数をリーマンショック以前の水準にすることを目指す。」、こうなさっております。リーマン・ショック以前は百四十団体程度ありました。平成二十七年度の当初算定ベースでは、リーマン・ショック以前は百四十あったんですが、現在は六十団体なので、すなわち八十団体ふやさないと届かないというわけでございます。

 しかし、ここのところ、不交付団体に対してどうも不利じゃないかという政策が多いので、不交付団体になろうというインセンティブがこのことも含めて働かないのではということが考えられる。

 ですので、そもそもは、大まかに言えば不交付団体は財政が豊かなんだから我慢をしてくださいということだと思うんですけれども、東京みたいな大きいところはあるかもしれない。しかし、不交付団体の中には、今言った、極めて裕福とほかの自治体からすればうらやまれるところもあるが、ぎりぎりのラインで真面目に自分たちで地域の知恵を出して、そしてボトムアップ型のガバナンス原理を何とか働かせようとして住民の皆様にいろいろなサービスをお願いし、その上でぎりぎり踏ん張って何とか続けていこうと真面目に頑張っている、そういったところがあるわけです。本来であれば、このような不交付団体を政府が応援して、不交付団体をどんどんふやす方向に持っていくべきであり、それが国家財政、地方財政、地方創生にもプラスに働くんだというふうに考えております。

 このような中にあって、不交付団体となると企業版ふるさと納税の対象から外れるという今のお話、そして不交付団体としてのデメリット、こういったことが一つ加わるということについて、大臣、どうお考えか、お伺いいたします。

○石破国務大臣 これはきのうも議論がありましたが、不交付団体になったということは本来大変めでたいことでありまして、花火を上げてお祝いすべき事柄だと思います。ところが、不交付団体になるとがっかりしちゃうみたいなのは、きのうは病理現象という言葉を使ってよかったかどうかわかりません、何となく釈然としないところがあるのですね。

 直接お答えをすれば、それをもってデメリットとは言わないのである。認定が取り消されることがあるかもしれない、そうなるでしょう。でも、そのこと自体は慶賀すべきことであって、それをデメリットとは言わないし、そうであるがゆえに財政をさらによくしていくという努力を怠るようなところがありとせば、それは自治体としていかがなものであろうかというふうに私は思っておるところでございます。

 ですから、委員のおっしゃることはよくわかるんですが、それをもってしてデメリットと言うかというと、それを判断基準にして努力を怠るということはないのではないかと思いますが、もし足らざるところがあったらまた御指摘をいただきたいと思います。

○篠原(豪)委員 それでは、言い方をかえます。モチベーションにかえます。

 最後に、この不交付団体、モチベーションが下がるような、この項目が最後ではないんですけれども、不交付団体にならない方が得だというふうには思わない、そういった性善説に立って本来であれば自治体というのは運営されるべきである、それはわかります。

 しかし、地方財政や国家財政、地方創生の観点からも、やはりリーマン・ショック以前からのあと八十団体を不交付団体にしていこうというそもそもの目的がございますので、こういったぎりぎりのところに関しましては、しっかりとモチベーションが上がるような仕組みを石破大臣であればやっていただけるんだろうというふうに思います。

 ですので、今後は、不交付団体をふやしていく方向へ、さまざまな政策について慎重に政策決定は討論していただきたいと思うんです。

 このことについて、プラスになる、不交付団体をふやしていく方向へどう全体的にお考えか、大臣のお考えを伺います。

○石破国務大臣 モチベーションというお言葉をお使いになられました。それはそうだと思います。モチベーションが低下しないための、モチベーションがさらに上がる、そういうようなパッケージを提示しなければいけないと思います。

 この企業版ふるさと納税の対象となるかどうかということ、それが全てだとはもちろん委員はおっしゃっておられないわけで、モチベーションが上がるような手だてというのは何なのか、また政府部内で検討させていただき、また機会を見て委員の御教示を仰ぎたいと思います。

○篠原(豪)委員 自治体が正直にやって、正直者が何々を見るというようなことも言われてしまっては本当に残念だと思います。真面目にやっている方々、私も地方自治体議会を経験しておりますので、一生懸命やられているんです、個別には、本当に。

 それが制度上のものであったり、あるいは国から来て、それに対応させられるということが次から次に変わる。そして、民間の事業者さんに対していろいろとまたお願いをし、いろいろとお願いするたびにまた事務手続が煩雑になる。そして、利用者の方々も、いろいろと制度に対して、運営者側の自治体がいろいろなことをやっていますけれども、こういったことがわかりづらいということで、どういう政策をどういうふうにしたらいいかわからない、こういったことはよく起きています。

 例えば、ちょっと話が違いますけれども、今はやりの一億総活躍社会ということで一点申し上げれば、子ども・子育て支援新制度が昨年始まりました。今、保育士さんの給与が低いとかといろいろ話題になっていますけれども、それも公定価格の中で三%上げていくということになっていまして、では実態はどうなっているのか、こういった調査も必要だと思うんです。

 これも結局は、保育所、認定こども園そして幼稚園、これを一緒にするときに、今までは縦型の、文部科学省と厚生労働省がばらばらにやってきた、それを、もともとは総合こども園みたいにして、本当にみんなが活躍できるものを国で一本化して、そして子供を育ててやっていこうといったときに、では実際にどうなったかといってふたをあけてみれば、ばあっと、ちっちゃくするものだった給付の類型がふえてしまって、利用者の方々がどれをどういうふうにやったらいいかわからないみたいなことが実際に起きました。

 そして、公定価格が来るのも遅かったので、自治体の方々も、新しい制度が始まるんですけれども、これに対してまだ国から来ないんです、どうしたらいいかわからないんですと。四月に施行されるのに、これが十一月の話でした。そして、それから民間の事業者の方々を説得し、そして参加をしていただいて、その上で初めて利用者の方々がどうするかというような話になってきます。

 いろいろ施策をつくっていればそれでいいのかどうかというところはありますが、もう一度、ひとつ、この地方創生というものを、超少子高齢化があって、これは社会構造の転換があってやっていく。そのためには、今までの行政のあり方、行政に頼るだけではなくて、市民の皆様の自助、共助とかいろいろありますけれども、この形を心から、気持ちから変えていかなければいけない。そういったステージにありますので、きょう、今お話しさせていただいた交付金は、企業版ふるさと納税をきちっとやるのであればやらなければいけないし、そういうモチベーションを上げていくための仕組みにきちっとなるようにというふうに思っています。

 まだもうちょっと聞くんですけれども。済みません。

 今、一億総活躍社会の話をしましたので、先週の九日の当委員会において、宮崎岳志議員の質疑で、石破大臣は、地方創生は一億総活躍の一部と解釈しても問題はないと御発言していましたけれども、これはそういう理解でよろしいでしょうか。

○石破国務大臣 結構です。

○篠原(豪)委員 これは先週の所信質疑のときにもちょっとお伺いしたことですけれども、アベノミクスが地方に浸透しているという意見がなかなかない。そういった中で、企業版ふるさと納税の導入によって企業から寄附が盛んになることによって、ここからはきのうからの話なんですけれども、地方自治体は地方創生に関連事業が展開でき、それが地域経済の活性化につながればいいということだと思います。それはそのとおりだということも申し上げてきました。

 ですが、このような展開を期待されるためには、一億総活躍ということでいえば、偏在性の問題なんですけれども、寄附が多くの自治体に分散されればいいと思っているんですけれども、恐らく実態としては、これは一億総活躍じゃなくて、ある一部の活躍のために偏在する、そういった自治体に集中していくということがあると思うんですが、このことについて政府としてどういうふうに考えているか。大臣として、今の話にちょっとあれば、教えていただきたいと思います。

○石破国務大臣 これはやってみなきゃわからぬことでありますが、本当に偏るだろうかと思うのですね。

 きのうも答弁申し上げましたが、かなりハードルは高いわけですね。経済的なメリットはあってはならぬという話ですから、何でそんなところに寄附するんだということで株主総会で追及されると、なかなかつらいということもございます。

 そうすると、経済的利益もない、しかし、そのことによって企業のPRという効果が非常に上がる、そしてまたその地域においていろいろな雇用が生まれるということになると、私は、経済的メリットが与えられるということを除きますと、むしろ、過疎町村とかそういうところに集まることが起こりはしないだろうかという気がしないではないのです。

 例えば、うちの県のことで恐縮ですが、大山の水というのがありまして、そこに某々飲料メーカーというか酒造メーカーというか、そこのミネラルウオーターはそれを使っているということになって、そこの自然をさらに守りながら企業も地域もよくなっていくみたいな、そういうテレビコマーシャルをごらんになったことはあるかもしれませんが、そういう形で企業のイメージをアップしていくということになると、そこに仮に集まったとしても、そのことは否定すべきじゃないんじゃないだろうか。

 やはり、どういう総合戦略をつくり、企業のそのようなマインドを引きつけるかということも、自治体の力が問われているのだと思います。

○篠原(豪)委員 そういうケースについては、自治体の努力でございますので、これはしっかり頑張っていただいて、競争原理を働かせるという考え方も一方でこの中にあるでしょうから。

 しかし、心配なのはそのやり方でありまして、宮崎委員も本会議で、私も知らなかったんですけれども、マグロ一本をもらえるとか、個人版ふるさと納税はいろいろ、あれはちょっと私には衝撃的でありまして、目的が完全に、インセンティブをどうやって出すかというところで、本当に競争が過熱していくとふるさと納税制度が本来の趣旨から変わっていって、本来であればNPOとかにもいろいろと寄附金というのは流れていたと思うんですよ。

 そういったものが全部違うところに行ってしまったりすると、この税制が、これは大臣もおっしゃいますけれども、地域の方々で、なるべく一番わかっている方々が連帯を組んで、そして下から何か計画を立ち上げて、小さな拠点づくりもそうです、そういったこともやっていかなければいけないというときに、心配になってくるというふうに思います。

 ですので、そういったことに対して、きょうはもう時間がないので、最後、御感想をいただければと思います。

○石破国務大臣 これは、企業版にしても個人版にしても、そういうことが実際に起こっているかどうかよく検証したいと思っております。

 このようなふるさと納税個人版が普及することによって、NPOに対する寄附の優位性というか魅力性というか、そういうものが低下して本当に減ったかといえば、数字を見ると、必ずしもそうではないと認識をしております。

 そういう御指摘は個人版ふるさと納税がスタートしたころから何人かの識者の方から頂戴をしておるところでありまして、そういうことが本当に起こっているのかどうなのか、そこはよく検証して、またお答えをしたいと思っております。

○篠原(豪)委員 時間ですので、終わります。またいろいろとお伺いしたいことがありますので、その際にはよろしくお願いいたします。

○山本委員長 次に、宮本岳志君。

○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 地域再生法改正案について質問いたします。

 地域再生制度は、地域経済の活性化、地域における雇用機会の創出その他の地域の活力の再生を総合的かつ効果的に推進するため、地域が行う自主的かつ自立的な取り組みを国が支援するものと説明されております。ところが、現場ではどのような実態になっているのか。

 きょうは、ことし一月二十日に第三十五回認定が行われた、私の地元阪南市における「阪南 こども子育て みらい計画」というものを取り上げて、大臣と議論したいと思います。

 資料の一を見ていただきたい。これは、内閣府が認定したペーパーであります。

 この計画は、現在市内七カ所に分散している公立幼稚園四園と公立保育所三園を認定こども園として一カ所に集め、市内六百三十人の子供たちを、資料左下に写真が載っている、大手家電量販店ヤマダ電機が撤退した空き店舗に詰め込もうという計画であります。

 資料二を見ていただきたい。

 黒字で示した四つの幼稚園、赤字で示した三つの保育所を、青で示したこども館一カ所に集める計画になっております。

 内閣府、これは間違いないですね。

○麦島政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘のとおり、間違いございません。

○宮本(岳)委員 この計画が十二月八日の市議会全員協議会に示され、十二月末発行の市の広報誌に掲載されて以来、市民、とりわけ子供を幼稚園や保育所に通わせる保護者の間で、通園、通所ができなくなる、六百三十人もの子供を一カ所に詰め込んで感染症など大丈夫なのか、どうしてこんなに性急に進めるのか等々、一気に不安の声が沸き上がりました。

 地域再生計画の作成基準として解説をしたこの地域再生計画申請マニュアル、総論では、地域のニーズを把握することとされております。

 内閣府に聞きますが、地域のニーズの把握なしに計画を進めることは許されておりますか。

○麦島政府参考人 お答え申し上げます。

 地域の活性化に向けた取り組み、いろいろな取り組みを地域で取り組まれておられますけれども、いずれにいたしましても、地域の方々の御理解、地域の方々のニーズを前提としたような取り組みということが前提でございます。

○宮本(岳)委員 認定地域再生計画をしっかり公表して、地域住民にわかりやすく内容を知らせるのは当然のことだと思うんですね。

 そこで、きょうは会計検査院に来ていただいております。

 二〇一五年十月に会計検査院が発表した、地域再生法に基づく事業の実施状況等についての報告書、要旨の二ページでは、地域再生計画の作成及び認定状況等について、そのウとしてどのような指摘がなされておりますか。

○斎藤会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 先生がただいまおっしゃっていただきましたとおり、会計検査院は、地域再生法に基づく事業の実施状況等について検査を実施し、その状況を取りまとめまして、二十七年十月に、会計検査院法第三十条の二の規定に基づき、国会及び内閣に対して報告をしております。

 お尋ねいただきました認定地域再生計画の公表状況等について御説明をいたしますと、検査に当たって対象とした千七百五十六計画から二十六年度末に認定を受けて間もないものを除いた千五百八十七計画について、認定地方公共団体における公表状況を見ると、みずからは公表していないとしているものは七百六十一計画で、千五百八十七計画の四七・九%となっておりました。また、公表していない理由を見ると、認定地域再生計画の実施内容について公表する必要がないと考えたためとしているものが二百六十計画で、七百六十一計画の三四・一%などとなっておりました。

○宮本(岳)委員 何と、認定地域再生計画の半数近くは公表すらされておりません。しかも、その三分の一の自治体では、地域再生計画を公表する必要すらないと答えております。

 会計検査院は、この報告書で、「内閣府は、地方公共団体に対して、地域のニーズを十分把握するとともに、地方公共団体間の調整及び連携を十分に図った上で地域再生計画の認定を申請するよう助言する。また、認定地方公共団体に対して、認定地域再生計画については、適時に公表することが望ましいことを助言する。」と指摘しております。

 大臣、この会計検査院の指摘をどう受けとめますか。

○石破国務大臣 会計検査院の指摘でありますから、私どもとして、それは謙虚に、虚心坦懐に承らねばならない、そういうものだと認識をしております。

○宮本(岳)委員 ところが、この阪南市の認定地域再生計画は全然そうなっておりません。

 会計検査院は、地域のニーズを十分把握した上で申請せよ、こう言っているのに、統廃合されるそれぞれの保育所や幼稚園で初めて保護者に説明を始めたのは、市内二カ所の保育所で一月十七日、一月二十日の認定の三日前。それ以外の五つの幼稚園、保育所は、保護者への説明会すら認定された後でありました。

 もう一度会計検査院に確認いたします。

 会計検査院が昨年十月に指摘したこの報告書の要旨は、申請の前にニーズを十分把握せよということで、認定の前にニーズを把握すればよいということではない、ましてや認定を受けてからニーズを把握すればよいということではありませんね。

○斎藤会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 お尋ねのございました件につきましては、地方公共団体が地方公共団体間の調整及び連携を図る必要があるのは、地域再生計画を内閣府に申請する前の作成段階でございまして、委員の御説明されたことに相違ございません。

○宮本(岳)委員 認定の前ではありません。申請の前であります。しかし、阪南市は認定日の三日前に初めて保護者に説明し、五つの幼稚園、保育所は全て認定後、市民説明会はさらにその後でありました。

 内閣府に聞きますけれども、この会計検査院の報告書は既に昨年十月に出ておりますけれども、これを内閣府はどう受けとめたのか。地域のニーズを把握するどころか、保護者の意見さえ聞いていないような計画を一月二十日に第三十五回で認定したということは、会計検査院の指摘など聞く気はないということでありますか。

○麦島政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のプランにつきましては、我々、市から聞いております部分につきましては、この七つの園の保護者の皆様に関しては、先生御指摘の一月十七日というものの御説明の前に、十二月二十一日と二十四日に七つの園の保護者会の役員会で御説明をされたというふうに承っております。

 地域の声の吸い上げ方はいろいろなやり方があろうと思いますが、私ども聞いておりますのは、例えば議会との関係でいきますと、昨年十二月の上旬に全員協議会等々で御説明をされているというふうに聞いてございます。

 いずれにいたしましても、我々も、申請の段階また認定をするまでの段階で地域のニーズを十分に吸い上げるということは重要だと思ってございます。

 ちなみに、会計検査院の御指摘のお話がございました公表の問題でございますが、公表に関して言うと、我々、内閣総理大臣が地域再生計画の認定をさせていただいてございますが、国は認定をした際に公示するということが義務づけられておりますので、これを徹底しております。

 地域の自治体の公表に関して言えば、やや地域主権との関係がございますが、いずれにいたしましても、我々、会計検査院の指摘を真摯に受けとめておりまして、今回、三月末に、この地域再生法を執行していくに当たりましての政府全体の基本的な方針、基本方針というのを改定する予定にしてございますが、ここにおきましては、地域再生計画の公表が望ましい旨、きっちりと位置づけたいというふうに思ってございます。

○宮本(岳)委員 十二月八日に市議会全員協議会を開いて、そこで報告をしたことは重々わかっております。役員に対して以前にやったということが今出ましたけれども、間違いなく全ての保護者は集まってくれということで説明が始まったのは認定の直前、五つの幼稚園、保育所では全て認定後の話でありました。

 それで、その阪南市議会は、去る三月十日、この地域再生計画を踏まえて、資料一に画像が載っております、撤退した家電量販店の建物を約四億円で購入する議決を行いました。我が党の二人と無所属一人の三人が反対しましたが、賛成多数で可決をいたしました。

 市の説明は、今年度中に決めなければ国の交付金が受け取れないというものでありましたけれども、市議会でも、余りに拙速である、市民への説明や意見聴取が十分ではない、こういう声が続出したのは当然のことであります。

 資料三を見ていただきたいんです。その三月十日に阪南市議会において、一般会計予算のうち、公立幼稚園、公立保育所を一極集中し、総合こども館とするための建物購入費に関してつけられた議会の附帯決議であります。三項目め、「国の交付金、補助金交渉の影響にもよるが、余りに拙速であり、市民、関係者への説明や意見聴取が充分なされていないように考える。」、国の交付金、補助金交渉の影響だと議会が附帯決議で言っております。

 内閣府に聞きますけれども、この、三月までに事業を決め、事業が終了しなければ受け取れない交付金というのは一体何ですか。

○麦島政府参考人 先生お尋ねの交付金の関係でございますが、二十七年度、今年度私どもが執行しております交付金は、地域再生戦略交付金という交付金でございます。この交付金は、当初予算でいきますと、今年度創設をいたしたものでございますが、経緯からいきますと、この地域再生戦略交付金につきましては、来年度から、今回法案でも御議論を賜っておりますが、地方創生推進交付金に再編をいたすという形にいたしておるところでございます。

 いずれにいたしましても、この附帯決議の「影響」というのがどういうことを意味しているのか、やや定かではないと思いますけれども、我々、この戦略交付金は今年度の措置として、来年度からは結果といたしまして再編をいたすわけでございますが、別にこの交付金がなくなるとか終了するということを申し上げたことはないということでございます。

○宮本(岳)委員 この地域再生戦略交付金、平成二十七年度限りの事業でありますから、これについては三月末ということになる。しかし、別に全てなくなるわけじゃない、新型の交付金ということもあるので、それも使えるという話が今あったかと思います。

 私は、一応、市議会全員協議会の議事録も住民説明会の記録も、市が公表しているものを全て読ませていただきました。

 昨年十二月八日の全員協議会で初めて市議会に説明され、ことし一月から二月に保護者や市民向けの説明会が開かれているが、そんなに急ぐ理由は何か、なぜもっとじっくり議論を尽くさないのか、地域再生とか地方創生と言うが、住民の意見など全く置いてきぼりではないのかとの批判や意見に対する答えは、三月に市議会が建物の買い取りを議決しなければその地域再生戦略交付金がもらえない、この一点張りであります。

 大臣は答弁で繰り返し、地方創生や地域再生は、上から型にはめるようなものではなく、あくまで地域の自主性、主体的な取り組みを支援するものだ、こうおっしゃってまいりました。しかし、実際に地域再生計画の名において現場でやられていることは、国の補助金、交付金で誘導し、期日まで切って地方を型にはめるような結果になっている。これでは相も変わらぬ補助金行政ではありませんか、大臣。

○石破国務大臣 経緯は担当次長がお答えさせていただいたとおりであります。

 このことにつきましては、私どもも、市からお話があって、はいはい、わかりましたなぞということを言ったわけではなくて、阪南市との間で、御理解というのを得る努力をしましたか、あるいは議会の方の理解は進んでいますかということを何度も確認して、それなりの時間をかけて今日に至っておるものでございます。

 ここは難しくて、型にはめるとかそういうものではございません。であらばこそ、こんなものが出てきている。かなりユニークなものだと思っております。これは、今の既存の施設が老朽化をしたとか、あるいは災害に耐えられないとかそういう配慮もある。あるいは、市の財政もあるのかもしれません。全てつまびらかに存じておるわけではありませんが、そういうような状況の中で一カ所にまとめるというかなりユニークな取り組みだと承知をいたしております。

 ですから、そういうユニークな取り組みでも可能にするという観点から見れば、別に開き直るわけじゃありませんが、かなり地方のそういう事情を反映したものも使えるということであります。

 ですから、私どもがこういう制度を用意しているので独創的なものが実現したのではないか、そういう因果関係に立つとは私は考えておりません。

○宮本(岳)委員 では、その阪南市の「こども子育て みらい計画」の内容について議論したいと思うんですね。

 私は、はっきり言って、これはむちゃくちゃな計画だと思います。

 今回、阪南市が総合こども館の場所に予定しているヤマダ電機は、全国で郊外型大型家電量販店を展開してまいりました。二〇一三年七月、ヤマダ電機は阪南市でも、一体なぜこんなところにと多くの市民が首をかしげるようなところに地権者と二十年間の定期借地権を設定して、毎月二百七十万円もの借地料を支払う契約で出店をいたしました。

 ところが、昨年五月末、二年もたたずに早々と撤退することになり、借地料を阪南市が十年間肩がわりし、三億二千万円を支払った後、十年後には土地そのものを時価、市の説明では約五億円と言っておりますが、これで購入をする。さらに、店舗も、市がヤマダ電機から先ほどの四億円で購入し、総合こども館に八億円かけて大規模改修するという計画であります。

 私は、この計画の経緯を市議会議員に初めて説明した昨年十二月八日の市議会全員協議会の議事録、会議録を全て読みましたけれども、つまり、現存の幼稚園や保育所の耐震化が一カ所を除いてできておらず老朽化している、これをどうするか頭を悩ませてきたが、五月末にヤマダ電機が撤退を発表した、それに飛びついて、昨年六月二十九日には群馬県高崎市のヤマダ電機本社を副市長らが訪問し、協議を開始しております。地権者との協議も、正式に七月十六日に始めております。

 ところが、同時に、文部科学省や内閣府との接触は、さる与党衆議院議員の仲立ちで、ヤマダ電機や地権者よりも早い六月二十二日から始まっております。

 資料四の一ページ目を見ていただきたい。これが阪南市のホームページで公表している市議会全員協議会の議事録であります。

 昨年六月二十二日、文科省へ行った後、内閣府で、副市長以下三名が内閣府子ども・子育て本部の参事官、子ども・子育て本部認定こども園担当の参事官補佐と会った。参事官から、子ども・子育て本部はハード整備の予算は持っていないことから、交付金等についてはまち・ひと・しごと創生本部と協議したらどうかと助言されたと書いてあります。

 子ども・子育て本部に聞きますけれども、これはつまり、阪南市は真っ先にハード整備の予算、交付金等の相談に来たということですね。

○中島政府参考人 委員御指摘のとおり、平成二十七年の六月二十二日に阪南市の副市長さん以下三名が私どもの認定こども園担当者の方に訪問されたということは事実でございます。

 私ども内閣府子ども・子育て本部といたしましては、認定こども園に係る施設整備費については予算を有しておりませんので、その際、例えば子育て支援を軸にしたまちづくりということであれば、地方創生の関係で交付金があるかもしれないので、地方創生の担当部局の方に確認してみてはどうかというサジェスチョンはさせていただいたところでございます。

○宮本(岳)委員 ですから、私は、今の話を聞いて、認定こども園の中身、ましてや今議論になっている一カ所に集める中身を相談に来たというよりは、交付金、要するにハードの整備の予算についての御相談が先にあったというふうに受けとめたんですね。

 子ども・子育て支援法は、第二条で基本理念として、「子ども・子育て支援の内容及び水準は、全ての子どもが健やかに成長するように支援するものであって、良質かつ適切なものでなければならない。」「子ども・子育て支援給付その他の子ども・子育て支援は、地域の実情に応じて、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われなければならない。」としているわけですね。

 そう定めている以上、七つの幼稚園、保育所を一カ所にまとめて六百三十人の子ども館をつくるなどという計画は、まず、それが子ども・子育て支援法の基本理念に照らしてふさわしいかどうかということから検討しなければならないと思うんですが、子ども・子育て本部、これは検討したんですか。

○中島政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、六月二十二日に副市長さん以下三名に来ていただいてお話は伺っておりますが、その際には、いわゆる保育所、幼稚園、七カ所でしたかを統合して六百人超の定員を持つ認定こども園をつくりたいんだという話でありまして、具体的な詳細について御相談を受けたというわけではなく、交付金その他、国からの支援というのはどのようなものがあるんだろうかということのお尋ねがあったということでございます。

 いずれにいたしましても、今委員の方から御指摘がございましたように、認定こども園の整備に当たっては、地域の実情に応じて、保護者の教育、保育ニーズを満たしつつ、子供さんが適切な教育や保育を受けられるような環境整備を進めていくことは当然のことながら重要だと考えておるところでございます。

○宮本(岳)委員 今のでよくわかりますね。

 では、子ども・子育て本部から協議を振られたまち・ひと・しごと創生本部はどうしたか。

 もう一度配付資料の議事録に戻っていただきたい。

 八日後の昨年六月三十日、また同じ現職衆議院議員の御尽力で、副市長以下三名は、内閣審議官、内閣府地方創生推進室次長、内閣参事官と面会したとなっております。

 もう一枚めくってもらった資料四の二枚目ですね。二と書いたもの。

 審議官からは、幼保連携というのは国の流れであり、アイデアとしてはおもしろいと。また、その次の下線部、参事官から、アイデア次第だが、単に建物購入だけというのではなく、まちづくり全体に相乗効果が出るという仕組みが描けるのなら、私なら交付金をつけるとのお言葉をいただいた、さらに審議官からも、そういった全国の見本、手本となるリーディングプロジェクトを内閣府としては全力で支援したいとのお言葉もいただいた次第と。これははっきり字になって出ておりますね。

 この審議官というのは内閣府地方創生推進室の麦島次長だと思いますが、きょうは来ていただいておりますが、このように語ったんですか。そして、麦島審議官は、この阪南市の計画を全国の見本、手本となるリーディングプロジェクトだと評価しているんですか。

○麦島政府参考人 お答え申し上げます。

 六月三十日に、副市長以下、市の職員の方が見えられました。お会いしたのは私でございます。

 それで、そのときのお話は、まだ全体の事業の概要ということではなくて、先ほども御答弁がございましたけれども、市が考えるプランを進めていくに当たって、国の制度としてどういう使えるものがあるかなというのを検討されているような会合でございました。

 私ども、おおむねここに書いてあるようなやりとりをしたというふうに記憶してございますが、少なくとも、私がここで、手本となるリーディングプロジェクトとして支援していきたいというのは、この阪南市のプロジェクトについては具体的な絵姿もまだできていなかったという状況でございますので、これは正直申し上げまして、一般論といたしまして、地方創生、地域活性化の取り組みの中でほかの自治体のモデルとなるような、そういうプロジェクトについては、内閣府として積極的に支援をし、一緒にやっていきたいということを申し上げたということでございます。

○宮本(岳)委員 このような赤裸々な国の官僚と市の理事者のやりとりを克明に記録した文書というのを見るのは、私も初めてであります。

 いつ、どこで、誰と会ったかまで書いてあるし、衆議院議員については、ここでは名前は言いませんが、皆さんのお手元の資料、議事録には与党議員の実名が出ております。しかし、これは阪南市議会の議事録でありますから、ホームページで公表されているものでありますから、逃れようはありません。私は、改めて、こんなふうに自治体の地域再生計画というようなものはつくられているのだなと納得した次第であります。

 重ねて麦島審議官、地方創生推進室次長に聞くんですが、認定こども園の計画でありますから、まずは子ども・子育て本部に、六百三十人もの子供を一カ所に集める認定こども園の計画が子供にとってどういう影響があるか、よりよい保育環境になるのか、協議に行ってくれ、こういうふうに言うのが筋だと思うんですが、言ったんですか。また、そういう子供の保育環境については検討や検証をしましたか。

○麦島政府参考人 お答えを申し上げます。

 六月三十日の時点で、今先生がおっしゃられたようなことは、私は発言をしてございません。

 いずれにいたしましても、このプラン、その後、九回ほどいろいろ調整をさせていただいてきてございますが、その過程で、市が考えておられるプランを進めていくに当たって必要な、例えば関係各省庁との調整等々は当然行うものという前提で作業をしてきているということでございます。

 この六月三十日の時点で、そういうようなアドバイスを私の方ではしてございません。

○宮本(岳)委員 では、この計画の、六百三十人の子供たちを一カ所に集めるというのがどういうことであるか、議論をしたいと思います。

 きょうは、厚生労働省と文部科学省に来ていただいております。

 順番に聞きますけれども、厚生労働省、直近の社会福祉施設等調査で、定員三百人を超える公立保育所というものが全国にございますか。

○吉本政府参考人 お答え申し上げます。

 直近の社会福祉施設等調査によりますと、平成二十六年十月一日現在で、定員二百人以上という区分でとっておりますけれども、その規模の公営保育所は百八十二カ所、全体の二%ということでございます。(宮本(岳)委員「三百」と呼ぶ)

 恐れ入ります。それ以上の区分は通常の調査におきましてはとっておりませんけれども、平成二十三年に特別集計をしたものがございます。それによりますと、公営保育所ですと三百人以上の規模のものはございません。

○宮本(岳)委員 六百人どころか、三百人を超えるような公立保育所は全国に一つとしてありません。

 きょうは文部科学省にも来ていただいております。

 直近の学校基本調査で、全国に定員五百五十人を超えるような公立幼稚園は存在いたしますか。

○藤原政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省の平成二十七年度学校基本調査報告書によりますと、これは百人ごとで区分をしておるわけでございますけれども、在園者数が六百人を超える公立幼稚園はないという数字でございます。また、その下に下がってまいりますと、三百一人から四百人の区分が公立幼稚園では一つございます。四百一人以上の区分については、ないというふうな状況でございます。

○宮本(岳)委員 ないんですね。公立ではもちろんこんな規模のものはありません。それから、保育所は、私立を含めても四百五十人を超えるような保育所というものは我が国には存在いたしません。

 厚生労働省に聞きます。

 これは、子供たちの数がふえればふえるほど、災害時の避難や感染症対策など、子供たちの保育にとってやはり難しい面が出てくる、負担が大きくなるということを示しているんじゃありませんか。

○吉本政府参考人 お答え申し上げます。

 保育所の施設の規模の大小にかかわらず、その保育の質をきちんと確保していくということは当然のことでございまして、厚生労働省といたしましては、児童福祉施設の設備、運営に関する基準、また保育所保育指針、さらに今お話がございました安全面、衛生面、感染症対策ガイドラインなどによりまして、きちんと保育が行われるように、それにのっとってやっていただくようにということが重要だというふうに思っております。

○宮本(岳)委員 今回の計画は、三十六平方キロを超える面積を持つ阪南市という町に、公立の保育施設が一カ所になるという計画であります。市ではバスで送迎するというわけでありますけれども、市の説明でも、ゼロから二歳児の送迎は困難、就労されている保護者の個別の時間帯に合わせた運行は難しい、はっきりそう説明しておられます。

 厚生労働省に聞きますけれども、保育所の場合、就労している親にとって送迎に支障が出る、こういうことがあっていいんですか。

○吉本政府参考人 保育所における子供の送迎でございますけれども、日々行うことが必要なものでございますので、一般的には、身近な地域におきまして保育園を希望される保護者の方が多いというのが現状だというふうに思っております。

 その送迎の時間の長短というのはございますが、保護者の方にとりましても子供にとりましても、ともに過ごす貴重な時間というような見方もできますので、長短のみをもってその是非を判断することはなかなか難しいのかなというふうに思っております。

○宮本(岳)委員 徒歩とか自転車で近くの保育所に送迎していたという人は一カ所に集められると行けませんので、それでバスが出るというんですが、ゼロから二歳のバスは、はっきり、送迎は困難、こう言っております。だから、今の状況よりも条件は悪くなると思うんですが、これは問題ないんですか。

○吉本政府参考人 個別の状況について個々には承知をしておりませんけれども、それぞれの実情に応じまして保護者の方の保育ニーズというのがございますので、それをきちんと満たしつつ、かつ、子供が適切な保育を受けられるような環境整備が必要だというふうに考えております。

○宮本(岳)委員 就労に支障が出るようなことで、何が一億総活躍だと言わなければなりません。

 文部科学省にきょう来ていただいております。

 幼稚園設置基準の第七条には何と定められておりますか。

○藤原政府参考人 お答えいたします。

 幼稚園設置基準の第七条では、第一項で「幼稚園の位置は、幼児の教育上適切で、通園の際安全な環境にこれを定めなければならない。」、また第二項では「幼稚園の施設及び設備は、指導上、保健衛生上、安全上及び管理上適切なものでなければならない。」というふうに規定をされているところでございます。

○宮本(岳)委員 幼稚園の位置は、そういう場所に定めなければならないと。

 もう一度資料一の内閣府のペーパーを見てもらったら、画像のこの建物はもともと家電量販店なんですね。みんな車で買いに来ることを想定しておりまして、国道二十六号線に面しております。もともとそういう場所につくるのが当たり前であって、隣は紡績工場。これのどこが「幼児の教育上適切で、通園の際安全な環境」なのかと、私は非常に疑問に思うんですね。

 きょうは国土交通省にも来ていただいております。これも確認したいと思うんですね。

 もう一度資料四の議事録の二枚目に戻っていただきたい。

 阪南市は、国交省についても、同じ衆議院議員同席のもとで、昨年七月七日、都市局都市計画課土地利用調整官並びに、ことしの三月まで近畿地方整備局の都市計画課長をしていたという市街地整備課課長補佐と会っております。

 昨日、私はこの課長補佐本人に会い、本人もこの面談を認めておりました。

 この課長補佐は都市再構築戦略交付金についてるる説明した上で、資料四の二枚目、下から十二行目、課長補佐からは、事業と補助の組み合わせで結果的にたくさん交付金がとれる方策を考えたらということで、近畿地整で相談されたしと助言しております。

 国土交通省は、与党国会議員が尽力すれば、一部の自治体に事業と補助の組み合わせで結果的にたくさん交付金がとれる方策を考えてやっているんですか。

○清水政府参考人 お答えいたします。

 昨年七月に国土交通省都市局の職員が、今おっしゃった職員でございますけれども、阪南市と打ち合わせを行っておりまして、阪南市からの相談に乗っております。当日は、国土交通省の職員から、交付金等さまざまな支援策を適切に選択することをアドバイスし、近畿地方整備局でも相談に乗る旨を伝えたものと認識しております。

 我々は、地方の実情を把握し、それからまた我々の目指しておりますような政策がきちんとできますように、そういった面からの助言ができる機会というのを非常に重要だと考えております。

○宮本(岳)委員 結局、この「阪南 こども子育て みらい計画」なるものは、現在の公立幼稚園、保育所の建物が未耐震で老朽化が進み防災の対応が必要になる中、既存施設の建てかえはコストが高くつくので、国の補助金、交付金をとってきて、市の負担が少なく済むように、六百三十人の子供を一極集中させようというものだと思います。子供にとってよりよい保育とかよりよい幼児教育などを検討した形跡も見られないと私は思います。

 説明会には多くの父母が詰めかけました。なぜ今通っている施設を耐震補強してくれないのかと訴えました。市長は、公立保育所整備について一切国の補助制度はない、こう繰り返し議会で答弁しております。

 私は、念のために、近隣であります私の住む大阪府岸和田市の保育所の耐震化について聞いてみました。岸和田市では、既に全保育所の耐震化が終了しております。耐震化工事に当たっては、国の補助が出たということでありました。

 厚生労働省に聞きますけれども、かつては出していた保育所の耐震補強の補助金は今は全部なくしてしまった、小中学校は手厚い補助金を出して全国的にほぼ一〇〇%耐震化をやりましたが、未就学の学校に入るまでの子供は地震で死んでも構わないということですか、厚生労働省。

○吉本政府参考人 お答え申し上げます。

 公立保育所のハード、施設整備の補助に関しましては、原則といたしまして一般財源化しておりまして、地方交付税による対応ということで、それ以外の補助はしていないところでございます。

○宮本(岳)委員 こうなっているんですよ。三位一体のときにそういうことをやりましたね。

 つまり、一般財源化したということは、ここでもよく議論がありましたよね、ミシン目がついていないから、これですということにならないから、ないのも同然だという議論をよく議員の側からされておりますが、なくなっちゃったということですか。

○吉本政府参考人 ただいま申し上げましたとおり、一般的な公営保育所に対するハードの補助金は、一般財源化により、なくなっております。

○宮本(岳)委員 その議論のときも私はおりましたからよく覚えておりますが、一般財源化するというのは、補助金はなくすが、そういうものについてのお金がなくなるんじゃないんだと。一般財源化するんだと言ったから、国会を通っているんでしょう。そうでしょう。取り上げてもう渡さないんだという議論だったら、通らないだろう。子供たちの命を守る、そんな予算をなくしちゃって、もう一切なくなっちゃうんだから諦めろという話なんかあるわけないじゃないですか。でも、なるほど、補助金の制度がなくなった。あなたはそう御答弁する。それはそうでしょうよ。

 現場では、一切ないんだ、この交付金をとらなきゃやれないんだ、これに反対する者は子供は死んでいいと言うのかという議論がやられているわけですよ。そういう議論までされているわけですよ。私は、本当にこれはひどい話だと言わなければなりません。

 文部科学省に聞きましょう。

 学校施設整備指針では、幼稚園などの施設の老朽化対策として長寿命化改修を打ち出しておりますけれども、これはなぜですか、文部科学省。

○藤原政府参考人 お答えいたします。

 突然のお尋ねでございますので、ちょっと詳細はお答えできませんけれども、公立幼稚園につきましては、その施設の新増築あるいは耐震の補強などにつきまして補助を行っているという状況でございます。

○宮本(岳)委員 学校施設整備指針の主な改正内容というのを持ってきましたけれども、「改築より工事費を抑えながら改築と同等の教育環境を確保でき、排出する廃棄物も少ない長寿命化改修を積極的に取り入れていくことが重要」だ、こういう文書も出ているわけですよね。

 市が一月二十日に地域再生計画の認定を受けてから開いた幼稚園、保育所単位の保護者説明会、大分時間がかかりましたが、私もこれを全部読ませていただきました。お母さんたちの切実な怒りと不安の声がどっと出されております。

 私は今の保育所に自転車で子供を乗せていっている、保育所の前におばあちゃんが住んでいるので、仕事で午後七時半になっても迎えにいってくれるから何とか働いている、この保育所がなくなり、ヤマダ跡になれば仕事はやめなくてはならないし、保育時間を延長してもらえるのかとか、私は近くに歩いて行ける保育所があるからここに引っ越してきたのに、あんな遠いところにできたら行けなくなる、こういう声とか、ただ単に施設をつくって詰め込めばいいということではない、この計画は民間施設の活用ありき、国の補助金獲得ありきの発想しかない、一人一人の子供たちに行き届いた保育、教育を保障するという考え方がすっぽり抜け落ちている等々の声が出されております。

 大体、子供六百三十人ともなりますと、一度に運動会も生活発表会もできなくなります。この説明会での市の説明を見ておりますと、阪南市の説明会では、運動会を園庭で実施するのは難しいため、例えば市の中央グラウンドや総合体育館などを使って開催する方法などを検討していく、また音楽会などは、一度に全園児が実施することは難しいので、日を変えたり時間を変えたりすることで対応していく、こう説明するわけですね。

 大臣、本当に大臣としての認識をお伺いしたいんです。こんな計画を内閣府地方創生推進室が、この内容まで含んで言ったわけじゃないとさっき答弁がありましたけれども、全国の見本、手本となるリーディングプロジェクトなどといって進めるのは、余りにもおかしいんじゃないですか。いかがですか、大臣。

○石破国務大臣 これがリーディングプロジェクトになるかどうか。それは、委員がおっしゃいますように、運動会は園庭ではできませんとか音楽会は何度にも分けて行わねばなりません、それをどういうふうにして考えるかということだと思います。

 普通に考えれば、少し小さな規模で、お母さんが送迎しやすい場所で行われるということが一つの価値観だと思いますが、では、そういう形に移行したからといって子供の健全な保育が損なわれるかといえば、そうではないこともある。つまり、お母さん方のいろいろな御負担を軽減するために市としても考えられる限りの対策を講じている、そうでなければ議会の理解なんか得られないと思っております。

 地域の方々の御理解また議会の御理解を得るに当たって市としても最大限の努力をしておると思いますし、内閣府として、それがそういうものであるかどうか、よく住民の方々、実際に利用されるのは住民の方々ですから、そういう方々とよくお話をしてくださいということは何度も申し上げてきたところでございます。これから先、この事業がさらに子供たちあるいは保護者の方々の利便に供するように、私どもとしてもよく見ていかなければなりません。

 ただ、何度も御指摘がありますように、国のお金が切れるので、望ましくもないのだが、そうなっては困るのでやったのだという御説明をされたとしたらば、それは我々の意図するところとは相当に異なるものでございます。

○宮本(岳)委員 そういう説明で、三月十日の市議会で建物購入の予算が可決をされました。

 附帯決議では、言っているように、議会としてももっとじっくり議論したいところだが、国との補助金や交付金の交渉の影響でいたし方ない、議決をしたという表現になっているわけですよ。それは、そういう形でやられました。

 そのことを受けて、阪南市では、まるで、これですべて決まってしまった、ああ、これはもうそうするしかないんだという誤解が現にございます。

 しかし、現時点で決まったのは、今申し上げたように、撤退したヤマダ電機の建物を市が四億円以内で買い取るということであって、その先の計画はこれから、今後、施設整備、送迎アクセス、交通や感染症の問題、災害や自然環境の問題、保育、教育の課題、とりわけ幼児、乳児一人一人の心身の適切な発達の保障、こういう点について計画もし、議論もし、計画を練り上げていくということになると思うんですね。また、その都度、市民の議論と納得、議会の議決が必要となる。何も全て決まってしまったわけじゃないというふうに思うんですが、内閣府、これは間違いないですね。

○麦島政府参考人 お答え申し上げます。

 先生がおっしゃるとおりに考えてございます。

○宮本(岳)委員 もちろん、そういう議論が積み重なってこの地域再生計画をぜひ変更したいということになれば、所要の手続を経て変更することは可能ですね。

○麦島政府参考人 お答え申し上げます。

 可能でございます。

○宮本(岳)委員 石破大臣は、本改正案の提案理由説明で、地方公共団体の自主的、主体的な事業で先導的なものを支援する、こう述べましたけれども、現実にあなた方がやってきたことは、この事例でいうと、そんなものではないと私は思います。

 議会や保護者、住民に一切知らせないまま、国会議員の仲立ちで早くから自治体とすり合わせ、どうやれば目いっぱい交付金がとれるかを相談し、国のめがねにかなうような地域再生計画をつくらせる。その要件をクリアするためには、議会の拙速との声にも、住民の不安や批判にも耳をかさない。そして、とにかく早くしなければ金がもらえない、これを決まり文句にしているわけです。こんなもののどこが地域再生計画なのかと言わなければなりません。

 相も変わらぬ交付金による愚かな政策誘導をきっぱりやめて、真に自主的、主体的な自治体の努力をしっかり支援することを求めて、私の質問を終わります。

○山本委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時二十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時三十分開議

○山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。福田昭夫君。

○福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 きょうは、地域再生法の一部を改正する法律案についてでありますけれども、どうすることが真に地方創生につながるのかということで、たくさんの問題点を抱えておる地元の案件についても二件、一つは、先日に引き続きましてLRTの問題点、もう一つは、思川開発事業というダムの検証の件について質問をしてまいりますので、大臣にはきょうは余り質問しませんけれども、ひとつ簡潔にそれぞれ御答弁をいただきたいと思います。

 まず第一点は、地方創生推進交付金の創設についてであります。

 時間の関係で、四点まとめてお伺いします。

 まず一つ目ですけれども、地方創生先行型交付金と地方創生加速化交付金と地方創生推進交付金の違いと、それぞれどのような効果を期待しているのかお答えください。

 そして二つ目は、地方創生推進交付金一千億円の財源は、地域再生戦略交付金、平成二十七年度予算額七十億円と、地域再生基盤強化交付金、平成二十七年度四百三十億円の再編によって五百一億円を確保したと思いますが、残額はどのように確保したのか、お答えください。

 三つ目は、五カ年以内にわたる計画も対象となるようですが、どの程度の規模で継続する考えなのか、お答えください。

 四つ目でありますが、地方創生推進交付金五百八十四億円と、地方創生整備推進交付金四百十六億円を合わせて地方創生推進交付金一千億円と説明している理由について、また、両交付金の一体的な運用が可能なのか、将来的には統合があるのかどうか。

 この四点、まとめてお答えください。

○末宗政府参考人 お答えいたします。

 まず、第一点目の地方創生先行型交付金と加速化交付金と地方創生推進交付金の違いについてでございますが、基本思想としましては、先行型交付金の上乗せ分以降でございますけれども、一つ目は、成果指標とPDCAサイクルを確立させること、二つ目には、地方の自主性、主体性を尊重すること、三点目には、官民協働、地域間連携、政策間連携という観点からの先駆性のある取り組みというところは共通をしてございます。

 違いという意味では、まず、加速化交付金は、補正で一億総活躍社会の実現に向けた緊急対策ということでございますので、仕事の創生に重点を置いて、なおかつ、上乗せ交付から、さらに先駆的な取り組みを裾野を広げてレベルアップを図るというところが主眼でございました。

 新しい地方創生推進交付金につきましては、補正ではなくて本予算に位置づけをしてほしいという地方の要望を踏まえたものでございまして、なおかつ、安定的、継続的に支援するということから、複数年度対応で法律補助に位置づけて、今回改正法案を提出しているというものでございます。

 二点目でございますけれども、交付金の一千億円の財源のお尋ねでございます。

 これにつきましては、予算要求の段階で、まず、石破大臣の所管でございます地域再生戦略交付金と地域再生基盤強化交付金、自分の財源を組み入れた上で、残余につきましては、関係省庁の御協力をいただきまして、地方創生関連予算以外の経費について合理化、効率化を図っていただきまして、そこから予算要求の財源を拠出していただいたというものでございます。

 三点目のお尋ねでございますけれども、五年以内にわたる計画の規模ということでございますが、これにつきましては、先ほど来から、地方が安定して継続して取り組めるということが大事でございますので、今後の予算編成過程で二十九年度以降は議論していくことになるわけですが、地方公共団体の取り組み状況を踏まえながら、地方創生の取り組みが安定的、継続的に推進していけるように前向きに取り組んでまいりたいと考えております。

 最後、四点目のお尋ねでございます。

 地方創生推進交付金一千億でございまして、予算上の内訳としましては、地方創生推進交付金五百八十四億円と地方創生整備推進交付金四百十六億円ということでございますが、これは予算書上の取り扱いとして、ソフト事業と非公共のハードを対象とする地方創生推進交付金五百八十四億円、それから道、汚水処理、港湾のハード事業を対象とする地方創生整備推進交付金四百十六億円。

 形式上は区分をしておるわけでございますが、両方とも地方版総合戦略に位置づけられた事業を対象としておりまして、原則といたしまして、ソフト事業単体で実施するか、あるいはソフト事業とハードを組み合わせながら事業執行を行うということでございますので、両者を一体的な運用で行うことと考えております。

○福田(昭)委員 今るる説明をいただきましたけれども、本当に皆さんの苦労のほどがよくわかるなという中身だったと思います。

 そういった意味では、地方自治体の側から考えれば、地方創生先行型千七百億円が一番よかったんじゃないかなと私は考えております。基礎交付が千四百億円、上乗せ交付三百億円でありました。私は、この地方創生先行型交付金が一番地方自治体が喜んだお金だったのかなというふうに思っております。

 次に、まち・ひと・しごと創生交付金の交付対象事業について、二点続けてお伺いをいたします。

 一点目の、支援対象である先導的な事業とされる先駆タイプ、横展開タイプ、隘路打開タイプの三タイプについて、どのような事業が対象となるのか。そして二つ目、その場合どのような基準で自立性の有無を判断するのか。また、事業の性格や条件不利地域などの各団体の個別事情にどのように配慮するのか。

 二つ続けてお答えをください。

○末宗政府参考人 お答えいたします。

 まず最初の、先駆タイプ、横展開タイプ、隘路打開タイプの中身でございます。

 先駆タイプは、官民協働、自治体間の広域連携、それから政策間連携の先駆的要素が含まれたものを意味しております。横展開タイプは、そういった先駆的、優良事例をほかの団体に広く横に展開していくという意図のものでございます。三つ目の隘路打開タイプにつきましては、これはKPI、PDCAというのを求めておりまして、自治体の方で事業をある程度やって、PDCA、チェックの段階で、今までうまくいかなかったところ、隘路を発見してそれを打開するような取り組み、PDCAを回していただいた上で事業をやっていくようなタイプを意味してございます。

 そういう定性的な要件に当たれば、対象物は地方団体の自主性を発揮していただけるということを考えております。

 それから、二点目の自立性の問題でございます。

 これは、ずっと補助金、交付金を出し続けるということではなかなか地方創生としてまずかろうと思いますので、やはり将来的にこの交付金に頼らずに自走していけるということが大事だと思っております。

 ただ、その場合に、自立性を余り画一的に判断してしまいますと、都市部と地方部でいろいろ状況も違います。やはり、例えばDMOのように独自の事業収入を確保しながら経営を目指していくようなタイプもあれば、小さな拠点のようにコミュニティービジネスといったような形で努力をしていくとか、自立性の規模、態様はさまざま幅があると考えておりまして、そういった事業の規模ですとか地域特性を十分に考慮しながら対応していきたいと考えております。

○福田(昭)委員 説明を聞いていると、何か以前の国庫補助金より細かいなということで、これは本当に地方の自主性なんてどの程度発揮されるのか、非常に疑問が湧いてくるような答えかなというふうに思っています。

 三つ目は、外部有識者等による審査は、どの程度の人数で、いつからどのように実施され、どの程度の期間を見込んでいるのか、また、交付決定の時期はいつごろか、お答えをいただきたいと思います。

○末宗政府参考人 お答えいたします。

 先駆タイプにつきましては、外部有識者の審査を行っていこうと考えております。

 まだ具体的に人数を決めているわけではございませんけれども、上乗せ交付のときには、例えば観光ですとか農業とか、それぞれ五分野で三人ずつ、合計十五人の有識者の方々にお世話になりました。そういったことも参考としながら、どのような規模でやるかはこれから検討していきたいと考えております。

 それから、期間についてでございますが、これはやはり効果的な事業に取り組んでいただくためには、ある程度仕込みが大事でございますので、法案の御審議、成立をいただきました後、制度の周知をしっかり行っていきまして、個別相談にも丁寧に対応しながら、まず磨きをかけていきつつ、その後三カ月以内に認定をする。申請からの期間が法律でそのように定められておりますので、そういう法律を踏まえまして、なるべく速やかに審査を進めてまいりたいと考えております。

○福田(昭)委員 それでは、これは、申し込んだ地方自治体においてはいち早い結果をきっと望んでいるかと思いますので、審査は急いでやっていただきたいというふうに思います。

 地域再生基盤強化交付金との関係については先ほど大体お答えをいただいたと思いますので飛ばして、その次の効果検証の方法と検証結果の活用方法についてであります。

 交付金取り扱い案では、各事業ごとに具体的なKPI、重要業績評価指標を設定し、PDCAサイクルを整備すること、事業年度ごとに効果検証を行い、その結果を公表するとともに、国へ報告を行うこと、翌年度以降もKPIの達成状況等を検証した上で交付金を交付し得る仕組みとすることなどとなっておりますけれども、効果検証の具体的な方法と活用方法を教えてください。

○末宗政府参考人 お答え申し上げます。

 この事業は、地方は自主性、主体性を駆使してやっていただくわけでございまして、その効果検証をまず地方公共団体がやっていくということが大事だと思っていますので、地方団体においてできるだけ、外部有識者の意見、あるいは議会でも御審議をいただきながら効果検証を行っていくということが第一弾でございます。

 その上で、国がその報告を受けることといたしまして、KPIの達成状況とかを検証しまして、先ほど申し上げましたように複数年度も可としておりますので、その検証状況を見まして次年度以降の交付金の交付に反映をさせていくということを考えておりまして、KPI、PDCAというのはこの交付金の重要な要素として対応していきたいと考えております。

○福田(昭)委員 今までるるお聞きしてまいりました。新型交付金ということで鳴り物入りで検討が始まりましたけれども、しかし、そういった意味では、何とも額は小さい、それからやり方は中央集権的ということで、本当にこれが地方分権の時代にふさわしい地方創生推進交付金なのかと疑わざるを得ないような交付金になっちゃっているんじゃないかなと思います。

 もしこうした交付金であるならば、各省庁が持っている交付金、こっちの方が使い勝手がむしろいいんじゃないかと思われるような創生交付金になっているかなと思います。

 しかしながら、出すお金は税金、公金ですから、今までのようにばらまきじゃない、しかし、ちゃんとそのお金を使ってもらわなくちゃならないという思いはよくわかりますけれども、その思いが強過ぎて、余りにも地方自治体を縛り過ぎているような仕組みになっちゃっているんじゃないかなと私は思っています。

 そこで、全国の都道府県や市町村に人口減少対策の地方版総合戦略を推進するよう求めておりますけれども、実は先日、大正大学が全国千七百八十六の自治体を対象に調査をいたしました。

 地方創生を担う職員の過不足を分野別に聞いたところ、不足している、どちらかといえば不足しているの答えが最も多かったのは、地方創生に関連する事業を経営するで計八八・八%。二位は、専門性を活用して事業計画をまとめるで八八・三%。地域の戦略全体を統合管理するが続いたということで、地方自治体に国が音頭をとって、地方版総合戦略をつくって頑張れと言ってくれておりますけれども、八割の自治体は人材難で、とてもとても難しいよ、こう答えているんですね。

 ですから、そういう意味からいうと、本当に今回のやり方がちゃんと効果を発揮できるのかどうかというのが甚だ疑問であります。

 そういった意味では、民主党政権時代に一括交付金というのがありましたけれども、これにも難しい点がありました、確かに。小さな市町村に対してこの一括交付金を交付するということがきちっとできるかどうかという課題もありましたけれども、しかし、一括交付金の方が自治体にとってはありがたいお金であったということは確かだというふうに思っております。

 そういった意味では、ぜひこの地方創生推進交付金も、これからの効果を検証する中で見直しをした方がよろしいんじゃないかということをあらかじめ申し上げておきたい、こう思います。

 それでは次に、二番目の、宇都宮市のLRT事業にかかわる軌道運送高度化実施計画の問題点について、前回に引き続き、国土交通省の考え方をお聞かせいただきたいと思います。

 まず一つ目は、今回申請された高度化実施計画の認定についてでありますけれども、認定申請書を見ると、「全線、併用軌道として運転最高速度四十キロ・パー・アワーとする。ただし、運転最高速度については、将来的に自動車交通との並走区間(平面一般区間の一部)で五十キロ・パー・アワー、LRTのみが走行する区間(高架専用区間の一部)において七十キロ・パー・アワーで走行する軌道法における特認を目指すものとし、軌道線形の設計を行うものとする。」と申請書には書いてありますけれども、今回の審査についてはどの速度で審査をするのかどうか、まずお尋ねをしたいと思います。

○志村政府参考人 今回認定申請のありました軌道運送高度化実施計画においては、軌道運送高度化事業の内容として、運転最高速度、今先生の方からございましたように、時速四十キロメートルと記載されております。

 一方、申請書の中では、運転最高速度については、将来的に自動車交通との並走区間で時速五十キロメートル、LRTのみが走行する区間において時速七十キロメートルで走行する軌道法における特認を目指すものとし、軌道線形の設計を行うものとすると記載されてございます。

 これは、申請者における将来的な構想を記載したものというふうに理解してございまして、国土交通省といたしましては、運転最高速度時速四十キロメートル、これを前提とした審査を行ってまいります。

 いずれにいたしましても、国土交通省としましては、審査基準に従いまして所要の審査を適切に行ってまいりたいと考えております。

○福田(昭)委員 次長、四十キロで審査をするということになりますと、しかし、線路そのものが、どうも五十キロ、七十キロでつくるような設計になっているんですが、それでもよろしいんですか。

○志村政府参考人 将来的な構想ということでございますので、私ども、審査に当たりましては、最高時速四十キロメートルを前提として、施設として、その最高速度に適した対応、措置、構造になっているかどうかといったことにつきまして、審査基準に基づきまして審査をさせていただくということでございます。

○福田(昭)委員 次長、地元の方あるいは市議会議員の方に聞くと、平石中央小学校の敷地を削りながら走る計画になっているんですが、そこはLRTの専用道路、自動車専用道路、歩行者専用道路ということで、その間にはフェンスで隔離するというような形が示されているんです。そうすると、最初からもう七十キロで走る、そういう設計になっているんじゃないかなと思うんですが、そういうことは審査しないんですか。

○志村政府参考人 今先生の方から御指摘のありました交差点部分における安全性の確保につきましては、そういった意味で、歩行者との関係でありますとか利用者の関係、周辺の方との関係において、きちんと安全性が確保されているのかどうかといった視点から審査をしてまいりたいというふうに考えてございます。

 直接、フェンスでありますとか今おっしゃられたような事柄について、速度との関係で、もし万一そのこととの関係で関連性があるということであればそういった視点からも審査するということだろうと思いますが、基本的には、交通利用者というか一般の交通者との関係においての安全の確保という視点から審査されていくべきものだろうというふうに考えております。

○福田(昭)委員 次長、それは交差点だけじゃないですからね。専用道路全部ですからね。次長、それは認識していますか。交差点だけじゃないですからね。

○志村政府参考人 交差点のみならず施設全体につきまして、そういった施設構造につきましては、先ほど申し上げましたとおり、最高速度四十キロを前提として適切な構造となっているかどうかといったことについて審査をする、こういうことでございます。

○福田(昭)委員 どうも納得できませんが、今後しっかり宇都宮市からヒアリングをして、四十キロでは耐えられないような構造になっているということであれば、それはしっかり是正すべきだと思います。

 それでは、資料の一をごらんください。

 これは申請書に添付されている、軌道を敷設すべき道路の種類ごとの延長、それから一般幅員及び計画幅員であります。

 ここにあります4と8ですね、仮称芳賀・宇都宮ライトレール線となっております。市道とすると六千四百十三号と六千四百十四号ということになりますが、位置は下の図のとおりですね、4それから8ということであります。

 この道路については、今後市道として認定されようとしておりますけれども、この芳賀・宇都宮ライトレール線、資料の一の4と8ですけれども、二路線は、先ほど申し上げたようにフェンスで区切られますから、人や車等が利用できる道ではないのでLRT専用道路になると思うんですが、この判定はどうなりますか。

○志村政府参考人 御指摘の芳賀・宇都宮ライトレール線につきましては、これは仮称でございますけれども、宇都宮市が道路法上の市道として認定するということを前提に、今回認定申請のありました実施計画におきまして全線併用軌道と記載されているところでございます。

 他方、これに関しまして宇都宮市の方に確認をいたしましたところ、このライトレール線につきましてはLRT車両のみが通るとのことでございます。

○福田(昭)委員 そうすると、次長、LRTのみが走る道路も、これは併用軌道というふうに認定できるんですか。

○志村政府参考人 この併用軌道につきましては、道路に敷設されている軌道につきましては併用軌道ということで定義されてございまして、そういった意味で、申請におきましても全線併用軌道ということで御申請をいただいているということで理解してございますし、私どももそれを前提にして審査をしていく、こういうことでございます。

○福田(昭)委員 普通の常識では、LRTの軌道の上も、もともと道路の上に線路を引いてありますから、線路の上を実は車が入るということも可能なのが併用軌道というんじゃないかと思いますけれども、LRTしか走らない道路を併用軌道というのは、どうも日本語として全く理解できないんですが、いかがですか。

○志村政府参考人 これは、軌道建設規程の第三条というのがございまして、道路上に敷設する軌道を併用軌道という、こういうふうに定義をされてございます。

 また、私ども、実際の取り扱いといたしましても、沖縄都市モノレールでございますとか日暮里の舎人ライナーの軌道も、道路に敷設されていることから併用軌道として取り扱ってきているところでございます。

○福田(昭)委員 次長、沖縄のモノレールで、道路の上にあるけれども全然自動車がぶつかるような話じゃないので、それと同じく考えるというのはおかしいんじゃないですか。

 時間がなくなっちゃうので先へ行きますけれども、三つ目と四つ目をあわせて伺います。

 道路との併用軌道は軌道法が適用され、新設専用軌道は人や車等が利用できる道路ではないので、鉄道に関する技術上の基準を定める省令が適用されるべきではないか、こういうふうに思うわけであります。

 その鉄道技術基準省令には、鉄道は道路と平面交差をしてはならないとの原則規定がありますので、この市道、仮称芳賀・宇都宮ライトレール線をルートとする専用軌道は、道路交差の安全性の確保から、踏切の設置を避けるため、軌道の高架化を求めるべきではないかという提案があるんですが、いかがですか。

○志村政府参考人 新設軌道として取り扱うべきではないかという御趣旨の御質問でございまして、新設軌道について御説明を申し上げます。

 軌道法における施設及び運転に関する技術基準は、新設軌道におきましても、軌道建設規程それから軌道運転規則が併用軌道と同様に適用されるものでございます。

 他方、新設軌道につきましては、その特性に応じて、軌道建設規程及び軌道運転規則の規定に基づき、鉄道の運転でありますとかプラットホームの長さなどにつきましては、先生おっしゃられた、鉄道に関する技術上の基準を定める省令を一部準用しておりますが、他方、道路との平面交差に関する基準につきましては、鉄道に関する技術上の基準を定める省令を準用してございません。

 したがいまして、新設軌道につきましても、道路との平面交差にあっても軌道建設規程が適用されまして、同規程において、新設軌道にあっては、警標でございますとか保安設備の設置等について規定をされているところでございます。

 それから、高架化を求めるべきではないかといったことでございますが、今回申請のありました高度化実施計画におきましては、先ほど御説明申し上げましたとおり、全線併用軌道ということで御申請をいただいているところでございます。したがいまして、この併用軌道と道路の交差部分の取り扱いについては、これは交差点として取り扱っていくということになります。

 また、今、先ほど御説明いたしましたとおり、御指摘の鉄道に関する技術上の基準を定める省令は、第三十九条の規定となりますが、軌道法に基づき整備される路線には、これは適用されるものではございません。

 いずれにいたしましても、国土交通省としましては、先生先ほど来おっしゃられている安全、安心が第一でございますので、安全、安心な運送サービスの提供といった観点から、今回提出された高度化実施計画について、審査基準に従い所要の審査を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

○福田(昭)委員 先ほど申し上げたように、フェンスで区切ったり何だりすると、本当に生活道路を実は遮断をするということも出てきちゃうんですね。

 資料の二をごらんいただきたいと思いますが、これは、平石学童をLRTの危険から守る会という人たちが提案している改善ルート案ですね。「新四号国道を通過後に軌道の高架化を図り、県道辰街道を陸橋で通過してから、現ルート案の北側農地を迂回。仮称「下平出駅」を地区センターに百メートル近づけた地点に「橋上駅」として設置し、阿久戸地区で現行ルートと高架のまま接続して東進するルート案」ということでありますが、この地権者の方々あるいは保護者の方々、PTAの保護者が四十三人いますけれども四十一人が反対しているわけであります。その人たちがこの案であれば賛成できると言っているんです。しかし、残念ながら、宇都宮市も県も全く耳をかさない、こういうことになっているわけであります。

 五つ目の質問に入りますが、こうした案を受け入れれば、それこそ、地区住民、保護者が問題視している平石中央小学校の併用軌道によって遮断されることによる通学路の問題も安全性が確保される、それから生活道路が閉鎖されるという心配も解消される、こう思うんですけれども、国土交通省としてはどう思われますか。

○志村政府参考人 本年一月二十二日に申請のありました高度化実施計画、これにおきましては、申請者におきまして、関係の自治体それから道路管理者などの意見も踏まえまして作成されたものというふうに認識をしてございます。

 現在、認定申請を受け付けた関東運輸局におきまして、各道路管理者より意見を聴取する手続を行っているところであります。

 各道路管理者は、この意見提出に際しまして地方公共団体の議会の意見も聴取することとなってございまして、現時点では、各道路管理者におきまして、御指摘ありましたような通学路の安全性の確保の問題でございますとか生活道路閉鎖の問題などについて、そのような点も含めて意見を整理されているところというふうに承知をしてございます。

○福田(昭)委員 賛成している人たちの意見だけ聞いてもだめなんですね。問題は、肝心なのは、平石中央小の保護者の人が圧倒的に反対している、地権者が反対している。この人たちの意見を聞かないとだめなんですね。

 その次、六つ目でありますが、今回申請された高度化実施計画の認定に当たって、市道として新規認定する仮称芳賀・宇都宮ライトレール線の地権者の同意なしにこの高度化計画の認定をするのかどうか、お答えをください。

○志村政府参考人 先生御指摘いただいておりますように、こうした地方公共団体が事業を進めていく際に、住民の方々を初めとする関係者の合意形成に向けた取り組みは極めて重要であるというふうに私どもも認識をしてございます。

 また、そうした観点から、宇都宮市及び芳賀町においては、このLRTの導入計画について、これまで地域説明会の開催など、住民の皆様方の理解の促進に向けて熱心に取り組まれているというふうに聞いております。

 今回認定申請のありました高度化実施計画につきましては、申請者において、関係自治体でありますとか道路管理者等の意見も踏まえまして、地域公共交通の活性化に資する計画として作成されたものというふうに承知しております。

 先生御指摘のあった地権者の同意につきましては、この高度化実施計画の審査基準において認定の要件とはなっておりませんが、国土交通省としましては、審査基準に従いまして、計画の内容が十分実現可能なものであるかどうかといった観点を含めて、所要の審査を適切に行ってまいりたいというふうに考えております。

○福田(昭)委員 次長、住民説明会をやったからといって、理解が深まったというわけじゃないんですよ。依然として反対者がいる。先日もお話ししましたが、アンケートをやると七割の人が反対なんですよ。そんなものが何で理解を得られていると判断できるんですか。

 それから、地権者の方の同意なしに認定するということは非常に危険なことですよ。仮に国土交通省がこのずさんな計画を認定するとすれば、それは宇都宮市にお墨つきを与えるようなもので、市と一緒になって国が地権者に圧力をかける、そういうことにもなっていくんですよ。それでもいいんですか。

 これから、やはり、こうした計画を認定する際にはもう少し事前の話し合いをしっかりしろ、それこそ、反対者がいなくなるほど徹底的な話し合いを行えという指導をすべきだと思うんですが、いかがですか。

○志村政府参考人 先生がおっしゃられるように、やはり、住民の皆様方を初めとして、地権者の方も含めて十分に理解を求めていく、図っていくといったことは重要な事柄であろうというふうに考えております。

 こうした中で、私どもといたしましては、実施計画の審査基準がございますので、この中で、計画の内容が十分に実現可能なものかどうかといった観点を含めて、所要の審査を行ってまいりたいというふうに考えております。

○福田(昭)委員 次長、そうしたら、今までの審査基準にないんだったら、これからの審査基準にぜひ入れてください。地権者の同意は必須条件とすると。

 なぜかというと、私もドイツの都市計画の話を聞いたことがありますけれども、ドイツでは、もし都市計画道路を一本つくるについても、徹底的に地域の皆さんと地権者と話し合う。話し合って合意に達したものをやる。そうすると、始まってから反対が出ないんですよ。

 ところが、日本の場合は、行政が勝手に道路計画を立てちゃう。市道として認定しちゃう。国道として、県道として認定しちゃう。それで、地域に入っていったらば反対運動が起きるということがしょっちゅうです。こういうやり方は、そろそろやめましょうよ。

 もう計画を立てたら、それを事前に、まず地域の方、住民の方と徹底的に話し合いをした上で、実際に事業が始まったときには反対運動は起きない。そういう考え方に基づいてこういう公共事業の審査はやるべきだと思うんです。そういうふうに考えを改めませんか。どうですか。

○志村政府参考人 私ども、実施計画の審査基準というのを定めて運用してまいってきているところでございますので、これは、基本的に、こういった審査基準で引き続き対応をさせていっていただくものであろうというふうに考えております。

 他方、地権者の皆様、あるいは、より広く住民の皆様方の理解を求めていくといったことは非常に重要なことであろうと思いますので、そこは、宇都宮市あるいは芳賀町の方で、私ども、これまでも熱心に取り組んできているという報告は受けておりますが、また引き続き、そういった事柄についてお話を伺っていきたいというふうに思います。

○福田(昭)委員 先日も言ったんですが、残念ながら、地方自治体のガバナンスが弱いんですよ。議会にもチェック機能が働いていない。それだからいろいろな問題が起きてくる。

 ですから、もし、この事業で、高度化計画を認定しました、はい、市道も認定されました、いよいよ事業計画が出てきました、では、これも認定しましたといって事業に入るときに、地権者が反対して事業に入れない、あるいは、これを強制執行して事業をやっちゃった、赤字で会社が破綻したというときに、住民から損害賠償請求が首長に対して出たときに誰が責任をとるんですか。次長、公金、国のお金も半分は入るんですよ、半分以上。そうしたときに誰が責任をとるんですか。

○志村政府参考人 高度化実施計画の審査基準の一つとして、その軌道事業の内容が経営上適切なものであることとございます。この審査基準に基づきまして、私ども国土交通省といたしましても、軌道事業の安定的かつ継続的な経営を行う上で適切なものであるかどうかといった観点からも審査を行ってまいりたいというふうに考えております。

 また、赤字になって運送をやめた、やめることとなった場合という御言及もございましたけれども、軌道運送事業等の経営につきましては、その事業者においてまず適切に行われていくべきものだというふうに認識をしてございます。

○福田(昭)委員 どうも、先ほどの地方創生推進交付金と比べると非常に生ぬるいですよね。

 では、こういう話をしてこの質問をやめますけれども、昨日、地方制度調査会から総理に対して答申書が渡されました。どういう中身かというと、地方自治体による違法な公金支出の防止策を強化するため、住民訴訟や監査制度の見直しを求めた答申書です。

 首相は二〇一四年五月、人口減少社会に対応した地方自治制度を諮問した。地制調は、行政サービスの効率化などを進めるためには自治体への住民の信頼が欠かせないと判断。ことし二月、違法な公金支出を初めとした不祥事を減らす方策が必要との答申をまとめた。

 違法支出をした疑いのある首長らに賠償を求める住民訴訟に関しては、地方議会が係争中に首長らの賠償責任免除を議決することを禁止するよう求めた。裁判所が支出の違法性の有無を判断せずに住民敗訴とするケースが減ると見られ、自治体側の緊張感を高める効果などが期待できる。

 監査委員が経理をチェックする監査制度は、自治体によって手法に違いがあるため、統一基準が必要としたと。

 私も前に言ったけれども、実は今の制度では、自治体のガバナンスがきいているところがほとんどないんです。だから、地方制度調査会からこんな答申書がきのう出たんです。五百三十六億もかけてやったわ、はい、五、六年で倒産したわ、国からも半分以上の公金が出ているわ、県も市も負担したわ、これは誰が責任をとるんですか。

 ですから、これはぜひ国土交通省も、最初が肝心だから、最初の高度化計画の審査からしっかりやらないとだめだということを申し上げて、この質問を終わります。

 次に行きます。

 三番目は、思川開発事業の検証作業についてであります。

 一つ目は、水利権及び暫定水利権並びに慣行水利権についてであります。

 まず、この三つの水利権の定義と違いをちょっと教えてください。

○野村政府参考人 お答えを申し上げます。

 水利権、暫定水利権、慣行水利権についてのお尋ねでございますけれども、これらの用語は、実態的に広く社会で使われているものの、法律に定義が規定された用語ではございません。

 ただ、関係する河川法の規定がありますので、それに沿いまして、若干るるの説明になって恐縮でございますけれども、お答えを申し上げます。

 まず、水利権でございます。

 一般的に、水利使用に係る申請に対する流水の占用の許可、これは河川法の第二十三条でございますが、これにより認められた河川の流水を使用する権利のことをいいます。原則として、河川管理者が、河川の流況などに照らして、河川の適正な利用などに支障を与えることがなく、安定的に許可に係る取水が行えるものであることなどの審査を経て許可しております。

 次に、暫定水利権でございます。

 これは、水需要が増大し、緊急に取水することが社会的に要請されている場合には、取水が安定的に行えなくても、例えば豊水、通常、過去十カ年の渇水時の流量のうちの最も最少の流量、これを基準渇水流量といいます、それを上回る部分だけの流量をいいますけれども、その豊水のみからの取水をしろ、あるいは必要な水源確保のための措置を講じることなどの必要な条件のもとに許可をする場合がございます。そのようにして認められた水利権を暫定水利権といっております。

 さらに、慣行水利権でございます。

 これは、むしろ権利の成立の由来に着目して、旧河川法、明治二十九年の制定になりますけれども、その旧河川法の制定前、あるいは河川法を適用する河川としての指定前、法定河川になる前から長期にわたり継続かつ反復して水を利用してきたという事実があって、当該水利使用の正当性が社会的に是認されているもののことをそう呼んでおりますが、一部には河川管理者に届け出がされたものがあり、それらは河川法の規定による流水占用の許可を受けたものとみなされております。

 以上でございます。

○福田(昭)委員 説明ありがとうございます。

 私は、特に暫定水利権ですけれども、人口が右肩上がりで水需要がどんどんふえていくというときには必要な水利権だったと思います。しかし、国土交通省でも二〇五〇年を見据えて国土の新しいビジョンをつくっておるように、日本の人口はこれから減っていく、地方創生もそれで叫ばれているわけでありますけれども。そうした、もう人口がどんどんどんどん減っていく、百年たっても一億の人口を維持するのは容易じゃない、こうした中で、暫定水利権をこのまま放置しておくということはいかがなものかと思うんです。

 暫定水利権を与えておって、今まで暫定水利権で水をとっていた、ダムをつくらなくても可能だったという自治体があるわけですね。そういう自治体に対しては、法定水利権をもう与えるということも可能なんじゃないか。何十年も暫定的に、毎年毎年申請して水利権を取得しているわけですよ。こういう自治体に対してはもう法定水利権を与えてもいいんじゃないかと思うんですが、どうですか。

○野村政府参考人 お答えを申し上げます。

 今ほど御説明申し上げましたとおり、いわゆる安定した水利権というのは、原則として、取水しようとする流水が安定的に確保されて初めて許可されるものでございます。暫定水利権は、これも先ほど申し上げたとおりでございますが、水源確保の措置を前提に、先ほど申しました豊水条件などを付して許可がなされているものでございます。

 思川に照らして申し上げますと、例えば利根川水系、過去二十年で六回、約三年に一回という比較的高い頻度で渇水に見舞われ、取水制限なども行われているところでございます。したがいまして、やはり、これを安定的な取水とするためには何がしかの新規の水源の確保が必要になるということで、それが前提になろうかと思います。

○福田(昭)委員 次長、今から私が申し上げることは、驚くべき事実を申し上げますよ。

 この思川開発事業で南摩ダムをつくるという計画によって、何と、茨城県の古河市、昭和四十八年からことしで四十三年ですよ、暫定水利権。小山市は平成七年からことしで二十一年、それから五霞町は平成八年から二十年ですよ。暫定水利権で取水しているこの古河市、小山市、五霞町。古河市に至っては四十三年、小山も五霞も二十一年、二十年ですよ。

 こんなに、四十三年も毎年毎年暫定水利権を与えておいて、ダムができなくちゃだめですよと言えるんですか、これは。どうですか。

○野村政府参考人 今ほど御指摘のございました、古河市などに許可されている暫定水利権でございます。

 確かに、非常に長きにわたり暫定水利権が続いてございますけれども、これも、思川開発事業という水源確保の措置を前提に、豊水条件のもとに許可されているものでございます。

 先ほど申し上げましたとおり、利根川水系はやはり引き続き渇水が見られる状況でもございまして、こういう渇水被害が軽減して、これらの暫定水利権を安定的な取水とするために新たな水源の確保が必要ということは変わってございません。この措置がなされないまま安定した水利権に転換するということはなかなか困難であろうと考えております。

○福田(昭)委員 それでは、これは質問じゃありませんが、民法上では、悪意であっても他人の土地を二十年占有していれば取得できちゃうんですよね。水利権はどうです。二十年以上暫定水利権として与えておいたら、これは水利権を取得できる権利が発生しちゃうんじゃないですか。これは質問じゃありませんので、二つ目に行きますけれども。

 二つ目は、個別ダムの進め方についてと、三つ目の、概略評価による新規利水対策の抽出について、関連がありますので二つ一緒に質問をいたします。

 資料の三をごらんください。個別ダム検証の進め方ですね。この表は、洪水調節の例として描かれております。

 複数の治水対策案を立案するということで、「各治水対策案は、河川を中心とした対策に加えて流域を中心とした対策を含めて幅広く検討することが重要であり、様々な方策を組み合わせて立案する」ということで、その立案した概略評価による治水対策案を抽出して二つから五つ程度の案をつくって、治水対策案を評価軸ごとに評価する。評価に当たっては、「コストの評価に当たり、実施中の事業については、残事業費を基本とする」、「ダム中止に伴って発生するコストや社会的影響等を含めて検討する」と。

 この形で検討すると、必ず原案がよいということになっちゃうんですね、実は。右の方に、サとして、「新規利水の観点からの検討」、それから「流水の正常な機能の維持の観点からの検討」、「その他の目的に応じた検討」、こういうふうになっておりますし、さらに右の方を見ますと、右の方は、「「関係地方公共団体からなる検討の場」を設置し、相互の立場を理解しつつ、検討内容の認識を深め検討を進める」ということが書いてあるんですが、関係自治体のみで検証したのでは、つくらないという結論は実は出てこないんですよ。

 今回、思川開発事業の場合は、検証主体は水資源機構と関東整備局ということになっているわけです。したがって、これではつくらないという結論は出てこない。

 そして資料の四でありますが、今度は利水に関したものですね。個別ダムの検証における新規利水の観点からの検討。利水参画者に対して、ダム事業参画継続の意思があるか、開発量として毎秒何立米が必要か確認。検討主体においてその算出が妥当に行われているか確認。そしてさらに、代替案が考えられないか検討するよう要請して、検討されない場合は、検討主体は、ダム事業者や水利使用許可権者として有している情報に基づき可能な範囲で代替案を検討、こういう形になっているわけでありますが、これも、残念ながらやめるという選択肢が出てこないような代替案に実はなっているんですね。

 そこで、三の方に行きますけれども、今回の見直しの表のとおり検証が行われているか甚だ疑問であります。

 その一つが、利水参画者に対し参画継続の意思は確認をしたようでありますけれども、しかし、検証主体においてその算出が妥当かということが確認されているのかどうかというのは甚だ疑問であります。

 その例を申し上げますと、栃木県が県南の水道水を供給するための計画がなかったために、今回、思川開発事業については三年余り検証がストップしておりました。その指摘を受けて、栃木県が今回水道ビジョンを策定いたしました。しかし、ダムができたときにその水を使用するのは多分暫定水利権を取得している小山市ぐらいで、他の市や町は使用するつもりはないというふうに思います。

 その点、多分、県の方からこれだけ使用しますよという申請書が出てきたので、検討主体では、ああ、そうですかというふうに見たんだと思いますが、実際に私が全部の自治体を訪問してみました。ですから、そういう意味で、多分鹿沼市も栃木市もすぐ使いません。壬生町に至っては、思川からどうやって導水するんだろう。壬生町は思川から相当離れていますから、どうやって導水するんだろうと。なのに、水を利用しますと手を挙げているわけですよ。これは全く絵に描いた餅であって、絵そらごとなんですね。ですから、こういうのをちゃんと検証したかどうかということをまず確認したいと思います。

○野村政府参考人 今委員お示しの資料四でございますけれども、そこに、まさに一番上の方に、利水参画者に対して、ダム事業参画継続の意思があるか等々と書いてございます。

 今回、思川開発事業には全部で七つの団体が利水参画者として参画してございますけれども、ここに書いてあるとおり、ダム事業参画継続の意思があるか、それから開発流量ですね、毎秒何立米が必要か、そしてその算出が妥当に行われているかどうかということを確認するとともに、その上の箱の右側にございます、代替案がその実施参画者自身において考えられないかということについての検討を要請しておるところでございます。

○福田(昭)委員 次長、栃木県内の市や町で建設負担金をみずから納めているのは小山市だけです。鹿沼市、栃木市、壬生町、これは全部納めておりません。だから、もしあなたのところが納めろと言われたら、はい、やめますと言ってきます。栃木県が肩がわりして負担しているからノーと言わないだけの話です。それをよく確認してください。

 それからもう一つ。二つ目ですが、「代替案が考えられないか検討するよう要請」とあるんですが、時間がなくなったのでこれは省きます。

 もう一つ。三つ目でありますけれども、検討主体、水機構及び関東整備局は、ダム事業者や水利使用許可権者として有している情報に基づき、可能な範囲で検討したのかどうかということをお伺いしたい。

○野村政府参考人 まず、この思川開発事業にかかわる、その検証主体によって開催をされます検討の場につきましては、過去五回開催をされているところでございます。それぞれ検討を進めてきたわけでございますが、どちらかというと、まず利水に関して、先ほどのような手続を経た上で、利水に関する代替案というものを幾つかピックアップしまして、そして、その抽出まで終えて、全部で四つの代替案に至ったところでございます。

 それから、治水については、まだ目標水量の精査だけをやったところでございまして、この後、代替案等の絞り込みに入りますけれども、そこに来るまでに必要な情報を開示しつつ、検討がなされてきたものと承知しております。

○福田(昭)委員 私もその五回目の検討幹事会の資料をいただいておりますけれども、これによると、結局、ダム使用権等の振りかえ、水利権の振りかえですね、プラス、ダム再開発で湯西川ダムのかさ上げという案なんですよ。ですから、この湯西川ダムのかさ上げをなくして、ダム使用権等の振りかえだけで十分私は可能だと思っているんですよ。

 ですから、この図を見ますと、例えば、思川水系、渡良瀬水系では群馬県の草木ダム、桐生川ダム、足利の松田川ダム、この三つの開発した水が相当余っています。それから、こっちは調べていませんが、群馬県の奈良俣、四万川、それから道平川、この三つのダムもきっと余っているはずです。それに加えて、八ツ場ダムを今回実施することになりましたから、新しく完成した湯西川ダム、そして八ツ場ダムの開発水量が幾らか、実際とられている許可水量が幾らだか、それを計算していれば、この水系ごとに、では、渡良瀬水系で小山市とかあるいは古河市とか。五霞町は、聞くところによると、思川に乗っかっているけれども思川からは取水できずに、利根川からいただいているそうじゃないですか。思川開発に乗っかっていても、思川水系から取水できないので利根川からいただいているじゃないですか。しかも、埼玉県の企業局から、埼玉の水道事業から五霞町は利根川の水をいただいている。きちっとこういうことをやっているんじゃないですか、水の融通を。

 だから、そういうことで、この見直しの中で、湯西川ダムのかさ上げをしなくても、既に開発された水、これから八ツ場ダムで開発する予定の水、それの合計で、既に水利権は取得したけれども使用されていない水がまだたくさん余っている、これを振り向けてやれば、幾らでもダムをやめられるじゃないですか。そういう選択肢がここにない。そういう選択肢があってやめたら、これは国土交通省、褒められますよ。いかがですか。

○野村政府参考人 お答えをいたします。

 今ほど委員御指摘のありました事柄のうち、いわゆる未利用の水、これは、ダムの使用権は持っているけれども、まだ水利権を乗っけていない、水利権は取得していない、そういう意味でまだどなたの水となっていない、いわゆる未利用の水があることは事実でございまして、この未利用水の活用について、まさに未利用水の所有者に対して、今回、その転用に関して意見聴取をしてございます。ただ、いずれも、その結果は、まだ水利権はおりていないけれども、引き続き所有したいという意見を確認しているところでございます。

○福田(昭)委員 次長、そういうものを調整するのが国土交通省の役割じゃないですか。それは、取得した都道府県では減らしたくないというのはわかるよ。でも、何十年も使っていないんだからね、これは。

 極端な話をすれば、栃木県の川治ダムの水、毎秒一トンの水は全く使っていないんですよ。船田知事時代から、一トンの水は一般会計で負担金を納めてきた。それは、企業局に持たせると企業局の会計が赤字になっちゃうから、水を売れないんだ。だから、そういう手だてを講じてやってきた。そういうものがほかにもあると思うんです。草木ダムの水もそうかもしれない。

 だから、ここを調整するのが、全体が、利根・荒川フルプラン、計画をつくって管理している国土交通省にその役割があるんじゃないですか。せっかく思川開発事業で南摩ダムをつくったわ、しかし、開発した水は、あれ、使うところがなかったわ。そうしたら、誰もこれの責任をとらないとなったら、やはりさっきのLRTの話じゃありませんが、公金の支出についてもし住民訴訟があって、今度こそ有罪になっちゃうかもしれませんよ。今までの裁判では、行政の裁量権が認められました。しかし、今度は裁量権を認められないかもしれませんよ。

 ですから、ここはやはり、権限を持っている国土交通省がリーダーシップを発揮してやめる。この質問は、いずれ国交委員会で直接大臣にやりますから。大臣の決断を迫りたいと思っています。

 以上で終わります。

○山本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時三十二分散会


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