サッカーのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)は2日、埼玉スタジアムでホームアンドアウェー方式の準決勝第1戦が行われ、2大会ぶり3度目の優勝を狙う浦和が広州恒大(中国)に2―0で快勝した。前半19分にFWファブリシオ、後半30分にMF関根がいずれも弾丸ミドルを決めた。第2戦は23日に広州で行われる。
右足を振る。うなりを上げて飛び出した弾丸が一直線に突き進む。一拍置いてネットが揺れ、埼スタが沸騰した。「自分でもびっくりした。打った瞬間、入る感触があった」。1―0の後半30分、約25メートルのミドル弾。関根は両拳を静かに握り、感極まった。
「1対1で誰も負けていなかったのがポイントだったと思う」。殊勲のヒーローがそう振り返った大一番。浦和は危険な「勝負手」を完遂した。
ACL準々決勝・鹿島戦を4バックで戦った広州恒大は浦和に合わせて3バックを敷き、選手の並びが対称的な“ミラーゲーム”を挑んできた。変更は予想外だったが、「試合前のウオーミングアップで分かった」とは槙野。出陣前のロッカーで3バックを形成する鈴木、岩波と話し合い、中国代表FWエウケソンら強力3トップに対して、2対1で守る原則をあえて捨てることを決めた。
「1対1の局面をわざとつくることで自分たちの良さを出そう、と。1対1で(選手個々に)責任を託すやり方がうまくいった」(槙野)。助け合うのではなく、腹をくくって独力で止める。選手たちの覚悟と決意が公式戦17戦ぶりの完封劇を呼び込んだ。
ホームで盤石の先勝。ただ、選手たちに笑顔はない。関根は「喜んではいられない」と表情を引き締めた。23日、敵地で迎える第2戦。アジアの宿敵を破って、史上最多3度目の頂点へ駆け上がる。(松岡祐司)