10話 勉強
やっと「ほのぼの」の一端にたどり着けたような?
「まずは私からですね。サシチあなたにはレポートの提出をお願いします」
「は?」
「私が面白いと思うレポートをとりあえず100種類提出してください。もちろん言語はガンドラル語でお願いします」
「え?」
レポート???
「もちろんガンドラル語のレクチャーはきちんと行いますので安心してください」
「いや、あれ?」
え?勉強?
「ああ、レーブの試験についてはサシチが言葉を覚えてから聞いてください」
「あ、ああ」
どんどん話が予想外の方向に。
「言葉が分からないと試験の内容も分かりにくいでしょう?」
「た、確かにその通りなんだが。ルドちょっと待ってくれ」
「なんでしょう?」
「戦闘ではなくレポートが試験なのか?確かあのじいさんは全ての配下を倒せといっていたはず」
「私は殴りあいに特に興味もありませんし。ああ、サシチが戦闘についてレポートを書きたいのなら止めませんよ。私を楽しませてくれるレポートなら大歓迎です。倒すというのは認めさせろということでもあるんですよ」
「いやいや、え? ほんとに?」
「もちろん私とレーブの試験に合格すれば倒したことになりますよ。それで問題ないと許可もいただいています」
この目は本気の目だ。
本当にレポートを書かせるつもりだ。
ルドは別の意味でヤバイのかもしれない。
「さあ、サシチまずはガンドラル語の勉強ですよ」
ルドは教えるのが上手いのだと思う。
俺は学生時代ずーっと外国語が苦手科目だった。
苦手というかほぼ壊滅している科目だった。
大学の基礎科目の英語の点が悪すぎて教授から
『君は高校で英語の授業を受けていたのかい?』
と本気で心配されたのは良い思い出だ。
そんな俺がゆっくりではあるが、ガンドラル語を習得できている。
最近は読み書きに加えて、日常会話もなんとかこなせるようになってきた。
そして言葉を覚えてくると、自然と他の住民とも話すようになり、色々なことがわかってくる。
まずは俺以外の住民について。
ランガーことランガー・ボルガナフ。
散々俺を切り殺してくれた初老のオヤジ。
一人称が拙者な、モーガ○・フリーマン似の剣士。
刀の話をしたらめっちゃ食いついて来た。
んで弓エルフことリシャル・トラナクトン。
書物なんかだとエルフって気難しかったりするのだがむちゃくちゃ気のいい兄ちゃんて感じだ。
まあ、ぶっぱなしてくる攻撃は性格に似合わず、かなりぶっとんでるが。
この二人とルドとレーブの四人。
さらに最初にあった爺さん。
ここにはその五人しかいないそうだ。
なんで五人しかいないのか聞いたら
自分で調べろってよ。
んで五人しかいない理由ってのが、最初の俺のレポートのテーマになった。