内視鏡の歴史

紀元前にまでさかのぼる起源から、医療界に広く普及し発展してきた内視鏡の歴史をご紹介します。始まりは性能面でも患者への配慮の面でも優れているとは言えないものだった内視鏡ですが、飛躍的な進歩をとげた現在では医療現場で欠かすことのできない存在となっています。

内視鏡が誕生して、約50年。
内視鏡の可能性はさらに拡がっているのです。

50年の探究眼

「人間の身体の内部を見たい…」

その夢の起源は古く、ギリシャ、ローマ時代の医学の祖といわれる、あのヒポクラテスから始まったと言われています。それが実現したのは、ようやく18世紀になってから、ドイツ人の Nitze によってでした。そしてそれを検査装置としての“内視鏡”へと実用化したのが、1868年 Kussmaul が作成した硬性胃鏡でした。しかしその医学的に必要な性能はもちろん、患者さんや安全性への配慮も充分ではなく、かなりの苦痛が伴うこともあって、広く普及することはありませんでした。

軟性ガストロカメラの誕生で医療界に広く普及

ガストロカメラ

それから1世紀近くが経とうとする1950年、日本の国内メーカーは世界に先駆けて内視鏡の本格的な実用化に成功、独自の軟性ガストロカメラを誕生させました。胃の内壁を直接撮影して現像・拡大し読影・診断するその方法は、診断の正確性向上と患者の苦痛軽減を両立させ、内視鏡を広く医療界に普及させました。

ファイバースコープの誕生

1960年代初めにはグラスファイバーを応用したファイバースコープの誕生により、その役割を治療へも拡大。以来、完全防水を実現したファイバースコープ、電子技術を駆使したビデオスコープ、さらに超音波内視鏡などを次々と開発し、科学の進歩とともにその可能性を体内のあらゆる病気へと拡げてきました。いまや内視鏡は、内視鏡医療という新しい分野を確立、世界の医療の最前線で活躍し、その発展を担う機器となっています。

医学における内視鏡の歴史

医学における内視鏡の歴史は非常に古く、ギリシャ・ローマ時代に遡ります。当時、乗馬の影響で痔になる人が多く、拡張子と呼ばれる“やっとこ”のような機具が考案されました。

1868年、ドイツの医師クスマウルは、初めて生きている人間の胃の中を見る「胃鏡」を作りました。長さ47センチ、直径13ミリの真直ぐな金属管に光を送って食道の内部を見るというものです。その約10年後、ドイツの医師ニッチェは、今日の光学内視鏡に匹敵する、尿道。膀胱鏡を作りました。

屈曲できる胃鏡の誕生

胃鏡は時代とともに進化しました。1879年、エジソンによって白熱電球が発明されると小型化が進み、やがて電球は内視鏡に使用されるようになります。管の太さと、曲がった消化器の中に挿入する為の形状も改良が加えられ、1932年ドイツの医師シンドラーによって長さ75センチ、直径11ミリの管は、先端に近い35センチの部分で曲がるようになりました。管の内部には、多数のレンズが入っており、先端の豆電球の光で胃の内部を見ることが出来ました。これが、最初の軟性鏡といわれています。

日本で1950年に東京大学付属病院小石川分院の医師、宇治達郎と、光学メーカーの技師達によって開発された胃カメラは、以前より挿入時の苦痛が少ない為急速に普及発展し、当初、白黒だった内部を写した写真も、カラーで撮られるようになります。

新素材を採用したファイバースコープ

ファイバースコープ付き胃カメラ

やがて1960年代になるとグラスファイバーという新素材を使った「ファイバースコープ」が登場するようになり、体外から胃などの内部の様子を直接見ることが出来るようになります。

細いガラス繊維から作られたグラスファイバーは、光を減衰させずに伝え、曲げることも容易な為、このファイバースコープは爆発的に普及しました。

現在では直径0.5ミリの血管用ファイバースコープまで実用化され、現代医療の進歩の一端を担っています。また、ビデオカメラを内視鏡に組み込んだ「ビデオスコープ(電子スコープ)」は、内部の画像を複数の人が同時に見ることができ、画像処理をすることで肉眼では見えないことを知ることが出来るようになりました。

内視鏡の進歩は、検査器具としてだけでなく、今ではむしろポリープを切除するなど治療に用いられ、新たな医療の進歩に大きく貢献しているのです。

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