森岡みづほ
「フリーマーケットアプリ」で、農産物の出品が急増している。洋服などの不用品を個人同士で手軽に売買するように、野菜や花などが取引されている。
「におい控えめ。栄養価は高い。週に1、2回は食べてほしい」
テレビショッピングのような実況が続く。佐賀県武雄市の「ミヤハラ農園」の農場。経営者の宮原龍磨さん(30)が三脚に固定したスマートフォンに向かって、主力商品の発芽ニンニクの魅力を力説していた。
宮原さんの動画は人気だ。多いときは週に4回ほど、農産物や調理方法の紹介、生産現場の様子をスマホでライブ配信する。
使っているのは、フリマアプリ最大手「メルカリ」の「メルカリチャンネル」。同社によると、ミヤハラ農園は7月時点でフォロワー数が6千人を超え、メルカリの出品者の中で最も多いという。
脱サラして農業に参入した宮原さんは2016年から、ニンニクなどをメルカリに出品し、17年夏からライブ配信を始めた。発芽させた10個500円のニンニクが飛ぶように売れていく。農産物の取引件数は月平均約3千件。3~4時間の配信中に最高97万円を売り上げたこともある。
宮原さんは「30~40代の女性が特に見てくれていて、出品リストで私の商品が目にとまるらしい。ライブ配信では実店舗のようなやりとりができて訴求力が上がる」と話す。
フリマアプリを通じた農産物の取引件数は急増している。楽天が運営する「ラクマ」は、今年3月時点の取引額が前年同月比で6倍に増えたと発表した。魅力の一つは安さ。ラクマによると、米の平均購入価格は一般的な小売価格より1キロあたり75円安く、直接取引の効果が出ているという。
利用者の多さも魅力だ。経済産業省の電子商取引の市場調査では、17年のフリマアプリの推定市場規模は4835億円で、前年から58%増えた。
「もともと農産物を買うつもりがなかった人も、出品された商品を何げなく閲覧しているうちに興味を持ってくれるようです」。高知市の農家吉村奈々さん(40)は、街中で開かれるフリマと同じような販売形態の良さを指摘する。
食用花「エディブルフラワー」のネット販売に力を入れようとホームページを開設したが、売り上げに伸び悩んだ。1年半前からフリマアプリに出品すると立て続けに注文が入った。
フリマアプリは、食用花など知名度の低い農産物や規格外品を消費者に売り込める場にもなっている。
■農水省「経営力上げる手段の一…
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