8話 流術
白い空か。
何十何百何千?
気にしたところで現実は変わらないか。
空間を削り取りながら力の塊が向かってくるか。
その塊の先端を!
よし、力の塊の軌道がそれた。
後方の地面にクレーター?
とんでもねえ威力だな。
だが成功した、力の流れを変えられた。
この目に見えている流れは力の流れで間違いないみたいだな。
そしてその流れに干渉できるのも間違いないようだ。
だが俺の仮定は正しかったみたいだな。
二発目か。
さっきと同じ要領で。
相手の顔は見えないが驚愕してくれていると嬉しいが。
今度は散弾か。
これも!
押し寄せる流れの先端を払って!
よし、散弾が俺を避けるように軌道を変えた。
さらに追加の散弾か。
要領は掴んでる、何発きても!
弓エルフとの距離はもう10メートルもないな。
弓エルフは?
驚愕の表情を浮かべているな。
「はははっ」
驚いただろ?
なんせ俺自身も驚いている。
そのまま驚いてろ!
吹き飛んだまま撃ってくるか。
予想通りだ。
今までの間はポーズだけだろ?
追撃だよ、この野郎。
腹部に右拳。
前屈みになったその顎を左拳で撃ち抜く!
撃ち抜いた反動を利用して、顔面に裏拳をたたきこむ。
そこから回し蹴りの要領で踵を横っ面に!
最後はそのまま地面に打ち付ける。
最後の踵での叩きつけ、普段なら分散するはずの力の流れを分散させず、全て弓エルフに向けてみたが。
弓エルフが作ったよりも遥かに大きなクレーターになったな。
弓エルフの顔は……跡形も無くなってるな。
ランガーの時と同じように弓エルフの遺体?が消えていくか。
倒したかな?
それよりもだ。
久しぶりに自分のスキルを確認と。
七色に光る文字が新たに増えてるな。
流術:全ての流れを操る。
これだけか……
説明が少なすぎる、自分で検証していくしかないか。
とりあえず終りか?
それとも続きがあるのか?
えーと、次はあの点か?
遠距離攻撃を警戒しながら、距離をつめる。
特になんの変化もないな。
なんだありゃ。
大きな屋敷?
これまたでかい門だな。
勿論、門は閉じている。
立て札?
見たこともない文字だな。
何が書いてあるのかさっぱりわからない。
とりあえず門に触れてみるか。
押す。
開かない。
引く。
開かない。
となれば壊す!
壊れない。
殴っても蹴っても壊れない。
流術をつかった攻撃でも壊れない。
なんというか攻撃した力が門に届いていない感じだ。
力の流れに集中しながら殴ってみる。
やはり門に力が届いていない。
まるで門の時間と存在が完全に止まっているようだ。
言ってて意味がわからない。
わからないがそんな感じだ。
止まっているのであれば強引に動かしてみるか。
殴ると同時に門に流れをつくってみる。
ゆらぎが見えた気がする。
もう一度。
ゆらぎが見えた。
もっと集中して殴ると同時に門の中に流れを流しこむ。
大きくゆらいだ。
もう一度殴ると同時にゆらいでいた場所全てに流れを押し込む。
門の一部がさらに大きくゆらぐ。
これで終わり。
門の一部が粉々に砕け散った。
中にはデカイ梟とゴツイおっさん?