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関西電力がきのう、高浜原発がある福井県高浜町の元助役(故人)から首脳らが金品を受け取っていた問題で2度目の会見を開き、公表を拒んできた社内調査報告書を開示した。
現金のほか商品券や仕立券付きスーツ生地、金貨、米ドル……。一度に1千万円の現金授受をはじめ、総額が1億円を超えた役員が2人。関電が「20人で3・2億円」としていた受領の中身を知り、その非常識ぶりに改めてあぜんとする。
さらに、地元の有力者だったという元助役と関電、とりわけ原子力事業本部との異様な関係と、直面する問題に当事者として向き合おうとしなかった企業統治の不在もあらわになった。
報告書によると、関電が原発増設などで協力を仰いできた元助役は、金品を受け取らないと厳しく叱責(しっせき)することが多々あった。機嫌を損ねては原発事業に影響しかねないとの心配から受け取り、「返却の機会をうかがいながら個人として保管していた」とするが、理解しがたい。
金品を受け取っていたのは原子力事業本部の幹部が大半で、授受は同本部で引き継がれていた。一部からは金品を会社で管理できないかと相談があったが、本部の責任者は個人で対処するよう回答。調査に対して「会社として対応すると会社全体の問題になってしまう」との声もあったという。
関電は1年前に報告書をまとめ、岩根茂樹社長と八木誠会長が報酬を一部返上するなど社内処分もしたが、一連の対応を非公表としたばかりか取締役会に報告しなかった。社内の役員で情報は共有したとするが、かねて閉鎖性を指摘されてきた原発事業の実態にがくぜんとする。
八木氏や原子力事業本部の幹部らは金品を受領したまま昇進を重ね、岩根氏も社長就任祝いで受け取った。報告書は「前例踏襲主義」を批判したが、経営の根幹にかかわる事態である。
関電は、社外の弁護士らだけからなる調査委員会を新設し、調査の対象や時期を拡大して調べ直すと発表した。
元助役は、関電の工事を受注し、関電に流れた資金を用意した地元の土木建築会社をはじめ、原発事業にかかわる複数の会社で要職に就き、関電の子会社でも顧問として報酬を受け取っていた。関電は元助役に対し、地元で発注予定の工事の概算額や時期の見通しを伝えていた。社内報告書は「実際の発注に影響はなかった」とするが、元助役や土木建築会社からの聞き取りはしておらず、新委員会での検証が欠かせない。
岩根、八木両氏は引責辞任を否定する。しかし、責任は明白である。
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