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お父さんが草間さんを連れてきたことで喜美ちゃんの家の家計はますます苦しくなりました。
(喜美子)心に栄養!? 何や それ。ちょっと行ってくるわ!
(マツ)えっ 何を?草間さんの様子 見てくるで!
給食という至福の時間が奪われるかもしれない。
喜美ちゃんにとっては一大事です。
♪~
♪「涙が降れば きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火 どうかここにいて」
♪「私を創る 出会いもサヨナラも」
♪~
♪「日々 恋をして 胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら 笑うのよ 赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も涙に負けるもんか」
(慶乃川)おにいさん 分かるんけ?信楽の土のよさ。
(草間)いや…。
大昔 この辺りも琵琶湖だったと聞いたことがあります。
ほう。
それで こういった独特の肌の粗さがあるんでしょうか。
ほう…。
あったかい感じがします。
あったかい!? ええこと言わるわ!
どんどん あったまっていってや!ほいほい…。 アッハッハッハ。
どんな焼き物を作られるんですか?
まあ この辺では 火鉢やの。慶乃川さんです。
わしけ? わしは…最近は 茶わんをの。
この土で…。
見てみたいな どんな茶わんだろう。
いや… いや いや いや。
見せて下さい。
あっ! こないだの…。
草間さん 見たいんですよね?見せたげて下さい!
慶乃川さんは 陶芸家いいます。
うん。
げいじゅつか… ともいいます。
うん。
満州にいた頃陶芸家の作品に触れたことがあるよ。
上司のお宅に陶磁器の大きなお皿が飾ってあった…。
お皿…?
心が…。
えっ?
あの時 心が動かされた…。
繊細で美しい絵付けがされたすばらしい作品だった…。
懐かしいな。
それは 心に栄養がしみ渡ったってことちゃう?
栄養? 心に?足らんて言われたんやろ?
ああ… そうか。 うん そうだね。
・(慶乃川)お待たせ。
あっ 来た!ヘッヘッヘッヘッ…。
いや 何か は… 恥ずかしいの。
ええから見せて!ああ。
ヘッヘッヘッヘッ…。なに じらしてんねん!
いや あの… 色がの焼き上げる温度の具合がこう 何て言うか…。
見せる前に言い訳か…。説明や!
ええから貸して!
何 これ?
これが 慶乃川さんの作品?うん。
ゆがんでるで?えっ?
あっ はげてある。
あかんやん!?あかんか?
あかんわ! もう~もったいぶって 何やの これ。
こんなん ただのゴミやん。
何や もう… 最悪やぁ!
そのうち 内職でもしてお母ちゃんも働くわ…。
あかんよ。 お母ちゃんはえ~ ほら 数字みたいな…1 2 3… あっ 産後!
産後の肥立ちが悪うて寝込んだやん。
体弱いねんから 無理したらあかん。
草間さんに お水持っていったげてくれる?は~い。
・草間さん?
はい。
ここ 置いときます。
ありがとう…。
具合… どうですか?
今日 ひどかったね。
ああ 慶乃川さんの作品?
ひどかったなぁ心動かされるどころか がっかりやった。
人の心を動かすのは 作品じゃない。
人の心だよ。
作った人の心が作品を通して こちらの心を動かす。
ひどかったのは君だ。
子どもだからといってああいう態度はいけないよ。
一生懸命 作った人に失礼だ。
慶乃川さんに失礼だ。
♪~
(信作)「君は鋭いね」。
はあ…。
草間さんて人に言われたんやろ?「君は鋭いね」。
はあ… いつの話や…時代は刻一刻と動いてんねん。
(照子)紙芝居のなお菓子が新しくなったん知ってる?
ポン煎餅いうの。一緒に食べてあげてもええよぉ。
ポン煎餅!? どんな味すんのん?
(拍子木)(紙芝居屋)夢と希望の紙芝居が来たでぇ。
今から ポン煎配るでよ順番に並んで 並んで。 さあ 並んで。
ほうや よっしゃ…。
はいよ。ありがとう。はいよ。
やった~!はいよ~。 はいよ。
おうおうおう…。 はい どうぞ はいはい。
はい。
お金は?
お金 要んのん?
家の人に言うて 出直してきやい?
妹だけでも ちょうだい?こっそり ええやん。
う~ん… こっそりて…ほやけど 切りないしの。
すまんの 堪忍の?
(次郎)どけや。
お金ないくせに厚かましいど。
なあ? 厚かましい!
(少年たち)厚かましい! 厚かましい!
こら!(少年たち)厚かましい! 厚かましい!
(紙芝居屋)お前ら!
やるんけ?
♪~
はい。おじさん 早く。
並ぶの遅えよ お前ら。はよして…。分かっとる 分かっとる。
早く 早く!分かっとる。
偉そうに言うなて お前らは…。
はいよ はいはい。はい どうぞ。 はい ポン煎餅。
行こ。(直子)紙芝居 見たい。
見たい!
見たことないさかい 見てみたい!
(子どもたち)おお~!紙芝居だけやったら お金要らんで。
♪~
行くで。紙芝居は?
腹の足しにならんもん いらん!ほら 行くで。嫌や~!
見たい~。行くで。
♪~
見たかった。
紙芝居 見たかった!
見たかった!
見たかったぁ!
見たかった!
おう!
アッハッハッハ。そんで わざわざ謝りに来やったん?
失礼なこと言うてすんませんでした!
ヘッヘッヘッヘッ。 名前 何やったかの?
川原喜美子です。
喜美ちゃん 気にしんでええよ。
もうな 焼きもんは若い人に任せてな田舎に帰ろう思うてる。
田舎…。田舎いうても ほん そこやけどな。
畑があるさけ 細々暮らしていくわ。
最後に…ええ茶わん一つ 作りたかったな。
ええ茶わんでした!フッ 無理しなや?
はい…。
ずっとな 陶工やりながら陶芸家に憧れてたんや。
陶工って 陶芸家のことやないんですか?
そうは言うたけどなわしの中では ちょっとちゃう。
自分だけの作品を作る 芸術家や。
分からんけ?
まあ ええわ。陶芸家は あかんいう話や。
そもそも お金にならへん。大変なんや。
陶芸家なんか なったら あかんで?お金にならんことはしません。
フフフッ。 頼もしいな。
ほんま 失礼なこと言うてすんませんでした!
こちらこそ 失礼な作品見せてすいませんでした!
すんませんでした。いや すいませんでした。
あの… あれ 要らんのやったらもろうてもいいですか?
これか?はい…。
ああ ええよ。
(陽子)ああ あった あった。伊賀のおばあちゃんが甘やかしいでな新しいの買うてくれてん。これ よかったら。
ありがとうございます。
(陽子)何 描くの?(マツ)何や 紙もろうてきてんな?
(常治)うん? 何や…。
よいしょ よっこらせと。まだ起きとったんか~。
臭っ。
丸熊の社長に ええ酒飲ましてもろたハア~。
ああ もう 臭い 臭い。
あ… 社長の娘さんお前と同じや言うとったぞ あの…て… て…?照ちゃん?
それそれ それそれ。お前 ちゃんと仲ようしてるか?
もう ええから寝てぇや。
よっこいしょ…。
草間さん どないなっとる?
知らんわ。
いつになったら元気になって出ていくんやろ。
何 言うてんのん。あんなん 誰が連れてきた… 俺や。
ハッハッハッハ…。はあ… もう寝て下さい。
う~ん? かわいいなぁ。分かったから 寝て下さい。
喜美ちゃんは 読み書きが苦手です。
でも 得意なことがありました。