【東京】ハンセン病元患者家族への補償を巡り、1972年以前の米統治下で続いていた隔離政策によって受けた差別被害の扱いについて、政府は復帰の前後で区分けせず、一律に救済の対象とする方向で調整していることが1日、政府関係者の話で分かった。ただ、救済額などについて原告・弁護側と政府との間で隔たりがあり、被害補償制度全体で合意に至るかは不透明だ。
ハンセン病家族訴訟を巡る6月の熊本地裁判決は国の家族への損害賠償を命じた。
しかし、米統治下の沖縄における患者の療養所隔離を被害と評価しておらず、原告らから批判があった。
弁護団は米統治下の沖縄の救済について「乗り越えなければいけない最重要課題だ」と位置付けていた。
根本匠厚生労働相(当時)は7月、2001年の熊本地裁判決が沖縄の原告の賠償を復帰後に限定したものの、議員立法の「ハンセン病補償法」が復帰前の沖縄も補償対象とした例を挙げ、「補償措置の具体的な内容はこの経緯も踏まえて検討する」と述べ、復帰前も救済対象とすることに前向きな姿勢を示していた。