【童話の森で】

第1章 /【ざわめき】

いつからだろう…
貴女と目が合うようになったのは。

私の働く小さな喫茶店の窓際はある女性の特等席だった。
と、言うよりも、私が案内を任されてるのを良い事に、その女性が来そうな時間になると、窓際へは誰も座らせないようにしていたのだが…。


12時を過ぎると、長くて艶やかな髪をなびかせ貴方は入ってくる。
『いらっしゃいませ。』
銀のトレーに氷の入った水、そして湯気の立つおしぼりを乗せて彼女に届けた。
「ありがとう。」
笑顔を向けられ、こちらも笑顔を返す。
「いつもの、お願いします。」
彼女の定番メニューは、苺ジャムをたっぷり入れたアールグレイと、マスターが作る自家製のバタークッキー。
紫の鞄から本を取出し、ゆったりとした時間を過ごす彼女。
私はそれを見ているのが好きだ。

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