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聖者無双 ~サラリーマン、異世界で生き残るために歩む道~ 作者:ブロッコリーライオン

15章 運命を切り開く者(仮)

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357 迷宮の罠……

ご無沙汰しております。

 魔法陣から転送された場所は最後に見えた黒い渦とは裏腹に瘴気が僅かにしかない場所だった。

「ここは……はぁ~」


 転送された場所がどこなのか、空間把握スキルのおかげで理解した俺は少しだけ落胆した。

 目の前には大きな扉があり、一瞬先にへ進んだことを期待しただけにその扉が先ほど入った十階層のボス部屋への扉だと認識したからだ。


 ただこれはこれで転移する以外での帰還方法が分かったことを素直に喜んでおくべきか、それともルミナさん達が先へ進むしかなかったことを悲しむべきか……。

 そんなことを考えながら、俺は再び十階層のボス部屋へと侵入した。


 当然のようにボスとしてアンデッドドラゴンが魔法陣から出現してきたので、すぐに成仏をしてもらい、先程とは別の魔法陣へと進んだ。

 すると今度は黒い渦が噴き出てくることを見ることはなく転送された。


 そして転送された先には予想通り瘴気が溢れていたので、たぶん十一階層へと無事に転送されたのだろう。

 出来ればこの場に戦乙女聖騎士隊の皆が止まっていてくれれば良かったけど、残念ながら皆を補足することは叶わなかった。


 教会本部の結界を越えた時にルミナさんと通信することが出来たのだから、そこまで深く潜っていないと思ったんだけど……。

 とにかくやることは決まっているのだから、しっかりと油断せずに探索を続けるしかないな。


 まぁルミナさんを筆頭に皆しっかりと強くなっているし、装備も充実しているから問題なく先へ進めているとは思うけど……。

 俺は気を引き締め直し、まずは今までの階層を同じように浄化波を発動し、瘴気もろとも魔物を浄化していくことにした。

 しかし思っていたよりも早く浄化波だけでは浄化して倒せない魔物が現れ始める。


 十六階層から新たに出現した全身から瘴気をまき散らす漆黒の巨大ウルフと巨大熊はその瘴気で一度で浄化されることを拒み、接近してくる。

「もう少し楽に戦わせてもらえると思っていたんだけどなぁ」

 そう呟きつつ、再度浄化波を発動した。

 すると今度は倒せないまでも目に見えて弱り切り、動きの遅くなった魔物達へ更に追撃の魔法を放ち倒していった。


 厄介だったのは群れで現れることと、レイスの上位種が一緒に出現してきた時だった。

 レイスの上位種への浄化波の盾になり、レイスの上位種が精神魔法を仕掛けてきたことだった。

 もちろん俺は聖域鎧を常に発動しているし、精神攻撃に対しても耐性が高いから、全く問題ないけど、戦乙女聖騎士隊の皆は対策をしていないと危ないかもと感じた。


「合流するまでは全力でいくか……」 

 以前なら魔力量を計算しながら戦う必要があったけど、今は普通にしていても魔力が回復していくし、仮に魔力が底を尽いても瞬時に回復することが出来る魔力球もあるから問題ない。

 強くなって本当に良かったな~……。

 そんなことを思いながら、罠だけには気をつけて進み、苦戦することなく二十階層のボス部屋へと突入した。


 二十階層のボス部屋にも十階層のボス部屋と同じように中央に巨大な魔法陣が出現したので聖域結界を発動させておくと、今度は巨大なキマイラが出現したところで雄叫びを上げた。

 世界樹の迷宮にいたキマイラよりもかなり強そうなんだけど、よく聖域結界や聖域鎧がなくて倒せたな。

 そんなことを考えながら浄化波を発動しようとした時だった。 


 巨大なキマイラの背中から顔を出していた鹿の角が光ったかと思うと、巨大なキマイラの身体が赤黒く変色し始め、さらにライオンの顔が大きく口を開けてブレスを吐き出した。

 そのあまりの迫力に思わずアンデッドドラゴンの時よりも多くの魔力を込めた浄化波を巨大なキマイラへ向けて放っていた。

 巨大なキマイラは今までの倒してきた魔物や魔族と同じく、その身を聖域結界で増幅された浄化波を浴びて青白く燃えだしたけど、再度キマイラが雄叫びを上げたと思ったら青白い炎が消失した。


 こんな序盤からこれだけ強いとなると、この先に進むのが怖くなるな……。

 まぁさすがに無傷とはいかなかったようだけど。


 巨大なキマイラは身体の至るところから煙を上げ、既に虫の息の状態だった。

 ただまだその戦意は失われずにこちらを睨みつけていた。

 その姿勢に対しては素直に驚嘆した。

「でも、悪いけどこれで終わりだ」


 そして俺はエレメンタルフォースドラゴンを放つと、巨大なキマイラは為す術なく消滅し、再び二つの魔法陣が出現した。

「今回は十階層へ戻れる魔法陣を合わせて三つ出てくることを期待していたんだけど、そこまで甘くない……か」

 ここで悩んでも仕方ないので、直ぐに片方の魔法陣へ乗ると、またあの黒い渦が出現した気がした。


「またか……。本当に運がいいのか、悪いのか分からないな」 

 そんなことを呟きつつ、再び二十階層のボス部屋の前に立っていたので、すぐに扉を開けてボス部屋へと突入した。


 ボス部屋の中央に魔法陣が出現したところへ聖域結界を発動したと同時に、今度の巨大なキマイラは飛びかかってきた。

 攻撃のバリエーションにも個体差があるんだな。

 しかしそう思ったところで聖域結界を警戒したのか巨大なキマイラは急停止し、不用意には近づかずこうとはせずにブレスを吐こうとした。

「悪いけど急ぐから」

 俺は巨大なキマイラがブレスを吐き出したと同時にエレメンタルフォースドラゴンを放った。

 すると四色ドラゴンが巨大なキマイラのブレスを飲み込んでいき、キマイラごと消滅させたのだった。


 そして今度こそ二十一階層への魔法陣に乗り転送されたことを、再び濃くなった瘴気で把握することが出来た。

「いない……か」

 まぁ考えてみれば魔法で精神攻撃を受けていなければ、戦闘センスも能力的にも問題はないからな。

 ただ一点だけ気になったのは、十階層へ戻る魔法陣がなく、先に進むことしか出来ないことだろうか。

 それでも万が一を起こさないために進む。


 二十一階層からは驚くことに魔族が現れるようになった。

 ただ迷宮が産み出した存在だからなのか意思のようなものはなく、同じ魔族がいようと構わず魔法や接近戦を仕掛けてくるバーサーカー状態だった。  

 しかしだからこそ、なりふり構わず攻撃してくる攻撃はウルフや熊よりも強く速かった。

 まぁ師匠やライオネル達をずっと相手にしてきていたこともあり、俺的にはとても対処しやすかったけど……。


 それでも一つだけ驚いたのは幻想剣で首を刎ねても魔族が直ぐに消滅しなかったことだ。

 危うく近距離から魔法攻撃を受けそうになってしまったのだ。

 聖域鎧が弾いていなかったら本当に危なかった。


 それからは一体一体しっかりと倒していくことにしたので、探索する速度は徐々に遅くなっていた。

 そしてようやく三十階層のボス部屋の扉が見えてところで俺は走り出した。 

 扉の前に倒れている数名の人影を発見したからだ。

 これが罠だとは知らずに……。



徐々にリハビリをしながら、完全復活を目指していく所存です。

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