タイトルを確定させた大野雄がマウンドを降りた途端、阪神打線が猛虎になった。前回のノーヒットノーランに続き、この夜も4回1死まで無安打無得点。12イニング1/3連続、打者39人連続で抑えられ続けたものの、交代が攻撃開始の合図となった。スタンドもそれが分かってか、大歓声で後押しだ。
「勝つしかない大事な一戦で先制点を取ることができてよかった」と殊勲の先制打を放ったのは4番に戻って3試合目の大山だった。4回の1死一、二塁で三ツ間から中前へはじき返した。暴投による2点も加え、完封リレーで逃げ切った。
矢野監督が「ウチの一番の強み」と言う自慢の救援陣を駆使して、1敗したらCSを逃す状況から6連勝フィニッシュ。広島を逆転して3位に滑り込んだ。最後を締めくくった守護神の藤川が言う。
ここ一番の勝負に弱いとされてきた阪神だが、脳腫瘍の後遺症から引退を余儀なくされた横田、今季限りで退団する鳥谷の存在が執念、粘りを生んだ。矢野監督が言う。
「苦しんだからこそ価値がある。(逆転CSの要因は)気持ちと思う」
CSファーストステージの相手は2位のDeNAだが、今季は16勝8敗1分け、横浜では8勝4敗と圧倒している。「このメンバーで戦うことを続けていきたい。もう一回甲子園に帰ってきて戦えたら、と思います」。日本シリーズまで戦う。矢野監督は力強く宣誓した。(吉川学)