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原発マネー、関電に還流か 高浜元助役、20人に3億2000万円

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 関西電力の八木誠会長(69)らが、関電高浜原発が立地する福井県高浜町の元助役森山栄治氏(今年三月に九十歳で死亡)から多額の金品を受領していた問題で、岩根茂樹社長(66)は二十七日、臨時の記者会見を開き、二〇一一年からの七年間で二十人が総額約三億二千万円を受け取り、自身や八木会長を報酬減の処分にしたと明らかにした。辞任は否定した。

 岩根社長は「常識の範囲を超える金品は受け取りを拒んだり、返却を試みたりしたが、強く拒絶されたため一時的に個人の管理下で保管していた」と釈明した。

 菅義偉(すがよしひで)官房長官は会見で「公益事業を担う事業者は地元や国民からの信頼が不可欠。不透明な形で金品を受領していたのは大変な問題だ」と発言。経済産業省は関電から事情を聴いた。

 森山氏は一九七七~八七年、助役を務めた。当時から関電と付き合いがあり、退職後も町の顔役として影響力を持っていたとされる。

 関係者によると、金沢国税局は昨年一月、原発関連工事を請け負う高浜町の建設会社への税務調査に着手。この会社から工事受注に絡む手数料として森山氏へ約三億円の資金が流れていることが判明した。さらに森山氏を調べると、関電役員らに金品を送っていたことが確認された。森山氏は生前の調査に対し「関電にはお世話になっているから」と説明したという。

 電気料金を原資とする工事費が関電役員らに還流したとも言える構図が浮かんだが、岩根社長は「還流したという認識はない。発注プロセスに問題はない」と強調した。

 税務調査の段階で判明した受領者は役員ら六人。総額は二〇一一~一七年で約一億八千万円だった。額が最も多かったのは、原子力事業本部長を務め、原発立地地域への対応に当たっていた豊松秀己元副社長(65)だった。元高浜原発所長の役員二人も受け取っていた。調査では森山氏から役員らの個人口座への送金が確認されている。しかし、会見で社長は、振り込みはないと述べた。

 六人中四人は森山氏への調査が始まった昨年、すぐに全部や一部を返却。ただ、受領から既に相当の期間が経過し、自身の所得に当たるとみなされる可能性があり、自主的に雑所得として税務申告もした。

 工事経歴書によると、高浜町の建設会社は一五~一八年、原発関連工事を少なくとも二十五億円受注。森山氏は、受け取った約三億円を所得として申告していなかったため、金沢国税局は申告漏れを指摘し、追徴課税した。

 

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