トップ > 中日スポーツ > ドラゴンズ > ドラニュース一覧 > 9月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【ドラニュース】

中日・大野雄 日常生活の隙をなくしつかんだ うれしい9年目の初タイトル

2019年9月30日 23時57分

4回裏、近本を打ち取りマウンドを降りる大野雄はスタンドに手を振る

写真

 かつてのドラフト1位左腕が、9年目でうれしい初タイトルを手にした。中日の大野雄大投手(31)が、今季のチーム最終戦となった30日の阪神戦(甲子園)に先発し、3イニング1/3を投げひとりの走者も許さず無失点。今季の防御率を2・58として広島のジョンソンをかわし、最優秀防御率の栄誉を手にした。

 手にした勲章は完全復活を遂げた1年の締めくくりにふさわしい。「まさか自分が取れるとは思ってなかった。素直にうれしい」と喜んだ最優秀防御率のタイトル。今季最終戦。大野雄が自らの手で引き寄せた。

 ミッションは3イニング1/3以上を自責点0、もしくは7イニング以上を自責点1以下に抑えること。全力で飛ばした。最速149キロの直球を軸に阪神打線を寄せ付けない。打者一巡を完全投球。4回無死。あと一人で迎えた近本を難なく一ゴロに。マウンドを後にした。降板する際には球場には竜党、さらに虎党からも「大野、よくやったぞ!」と歓声が鳴り響いた。

 「絶対取らないといけない」。そう感じたのは仲間の思いを聞いたからだ。27日の広島戦(マツダ)の試合前。ベンチ前で円陣が組まれた。合言葉は「大野のためにジョンソンを打つ」。奮起した打線は防御率で断トツトップを走っていたコイの助っ人から4点をもぎ取った。ちょうど名古屋で調整中だった大野雄。この話を耳にして燃えないわけがなかった。

 3イニング1/3でお役御免となったが、仕事はまだ残っていた。7回。引退する阪神・高橋聡に花束を届けた。「本当にお世話になった」と中日在籍時から兄貴分として慕う先輩の花道を飾った。

 体力的に厳しくなる夏場で加速し、大逆転でのつかんだタイトル。だが2015年は逆の立場だった。前半で9勝を挙げたが後半に失速。11勝止まりで最多勝を逃した。「体力は変わらないと思う。違うのはメンタル」。ポジティブ思考を貫いた。一方で心掛けたのは日常生活の隙をなくすこと。この日もそうだ。

 試合前練習を終え引き上げてきた際。グラウンドの隅へとわざわざ足を運び落ちていた小さな紙切れを拾い上げ、そのままベンチ裏へと消えた。4年前、試合前にスパイクを磨き忘れてから勝てなくなった経験を持つ男は登板前の研ぎ澄まされた状態でもささいなことを見逃さなくなった。「心の隙は試合に出るので」。心身ともに磨かれた背番号22は2011年の吉見以来のタイトルを手にした。

 

この記事を印刷する

閉じる
中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ