甲子園は最後まで厳しかった。「チャンスだったので何とかしたいと思ったんですけど…」。唇をかみしめながら、根尾が帰りの通路を歩く。今季最終戦。爪痕を残すことはできなかった。
出番は7回2死一、二塁。代打での登場。カウント2―2から防御率1点台を誇る虎のセットアッパー・岩崎のスライダーに食らいつき、2球ファウルで粘ったが、最後は同じ外角スライダーにバットが空を切った。
だが聖地からは特別な贈り物もあった。直後についた遊撃では鳥谷と交互に守備についた。野球にのめりこんだころ、テレビの画面越しに見詰めた虎の背番号1のプレーを目に焼き付けた。「すごい歓声だった。鳥谷さんと同じグラウンドに立っているんだなと実感しました。今後の野球人生の財産になると思います」
ルーキーイヤーは2試合とも途中出場。打席では2打数2三振。この経験を生かさねばならない。「1軍の舞台で打てるようにならないといけません」。来季へ。両手で数え切れないほどの宿題を抱え、実りの秋を迎える。(長森謙介)