福井県議会 2013-12-13
2013.12.13 平成25年予算特別委員会 本文
◯山岸委員長 ただいまより予算特別委員会を開会する。 本日の傍聴人は11名である。傍聴人の方々は、さきにお知らせした留意事項を守って傍聴願う。 これより、本委員会に付議されている県財政の運営及び県政上重要な案件についてを議題とし、総括質疑に入る。 質疑の順序及び時間については、お手元に配付のとおり理事会で決定しているので、発言者は、この順序により、持ち時間の範囲内において発言願う。 田中宏典委員。 「
エネルギー基本計画について」 田中 宏典 委員 ◯田中(宏)委員 自民党県政会の田中宏典である。 今回も原子力を抜きで発言しようかと思っていたが、せんだって一般質問させていただき、翌日に基本政策分科会が開催をされて新たな
エネルギー基本計画に対する意見案というものが示されたということで、そのことについて少し触れさせていただきたいと思う。また、地元の立地町の首長を初め、関係者からもいろいろと意見を賜っているので、そういったことも含めて、知事の所見を伺いたい。 今ほども申し上げたように、12月6日の
総合資源エネルギー調査会基本政策分科会においては、新たな
エネルギー基本計画に対する意見案が示された。 原子力は安定供給、コスト低減、温暖化対策の観点から、安全性の確保を大前提に引き続き活用していく重要なベース電源である。安全性を全てに優先させ、国民の懸念の解消に全力を挙げる前提のもと、
原子力規制委員会によって安全性が確認された原発は再稼働を推進していくと示されている。原子力政策の推進、堅持を訴えてきた私どもにとっては、一安心、ほっとしたというような内容ではあるが、計画という部分では、まだまだしっかりと記載していただかなければならない事項等々もあろうかと思う。 今回示された
総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の意見案について、知事の率直な意見を伺う。 ◯知 事 12月6日の
総合資源エネルギー調査会基本政策分科会で示されているのはまだ案の段階と思うが、
エネルギー基本計画案についてである。 なお、きょう夕刻になると思うが、実質最終的な会合が開催され、委員会の配慮により出席することにしている。 6日は、まだ案の段階であり、動くところもあると思うが、そこでは原子力を重要なベース電源とした上で、安定供給、コスト低減、地球温暖化対策、また原子力等安全確保のために必要な技術、人材の維持とか発展を図るという意味であるが、そういうことについて、必要な規模を十分に見きわめて、その規模を確保するとされている。 こうした点については、いろいろな条件はあるわけであるが、
エネルギー政策における原子力の重要性を、国として大きな方向を示しているものと認識している。
しかし、これについては、国民の誰もがこのことの意味を十分に理解する必要があるし、原子力の安全がどういう問題なのかということも、よくわかっていただく必要がある。原子力が我が国の電力供給の基盤となる電源であることをより明確にする必要があると思う。 また、原子力については、常に最新の
科学技術の知見、あるいはその成果を広め、また開発していく必要があると同時に、人材育成が大事である。安全性を高めた原子力技術を追求するという姿勢を示すように求めているところである。 ◯田中(宏)委員 知事の意見には同感である。しかし、
総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の意見案には、原子力は引き続き活用していく重要なベース電源であると表記をしながらも、
エネルギーミックスについては、具体的には示されていない。そういう点では、もう少し踏み込んでいただきたいというのが、私の率直な意見である。
原子力発電所の再稼働や
再生可能エネルギーの導入状況、また地球温暖化の問題の議論の状況等を見きわめ、先行きがある程度見通せると判断された段階で速やかに示すとされているが、これは待ちの姿勢であって、積極的な国の姿勢が感じられないと思う。国の置かれた状況を考えたとき、余り時間はなく、積極的な議論や行動が必要であると私は考える。 せんだって開催された厚生常任委員会の中でも、委員の皆さんからも、このことについてさまざまな質問があったし、そういった目標というものがしっかり示されることで、また議論が進んでいって、施策も進展していくのではないかと考えているが、その点について、知事の所見を伺う。 ◯知 事 いろいろな条件はあるが、原子力が重要な電源だという中で、それぞれの
エネルギー源のバランスと構成、つまり
エネルギーミックスを早急に示すべきではないかという議論である。 このことについては、基本計画の原案では、
原子力発電所の再稼働や地球温暖化問題に対する国際的な議論の状況等を見きわめ、先行きがある程度見通せると判断された段階で速やかに示すとされている。いつまでに示すかという期限は明確にされていないところである。 地球温暖化の問題は、我々の生活、あるいは地球全体にかかわる重要課題であって、実効性のある
温室効果ガスの削減目標を立てるためには、原子力を含めた
エネルギーミックスについて、可能な限り定量的に定めることが大切かと思う。 このため、2020年以降の
温室効果ガスの新たな削減目標を定める平成27年のCOP21という国際的な会合があるわけであるが、できる限り前倒しして、具体的な姿を示すよう求めていく必要があると考える。 ◯田中(宏)委員 今ほどの点で、さらに少し質問させていただきたいと思う。先ほども申し上げたが、私は、目標がしっかり示されない中では、それぞれの施策というものがなかなか進んでいかないのではないかと懸念している。 原発依存度については、省エネ、再エネの導入、また火力発電所の効率化等により、可能な限り低減していくと示されているが、
再生可能エネルギーの現在の比率は1.6%である。この計画、意見案においては、
再生可能エネルギーの導入を3年以内に精力的に進めていくと書いてあるが、今後、積極的に導入が行われたとしても、これまでの原子力、またそれ以外の電源等々との構成比率には遠く及ばないと思われる。したがって、私は、たとえ
再生可能エネルギーが整備されても、基幹電源として使われることはあり得ないと思っている。 安定電源ではない以上、同じ程度の
バックアップがどうしても必要になる。それはやはり基幹電源である原子力であるとか火力に頼らざるを得ないと思うが、この火力を頻繁に使ってしまうと、今ほどのように、環境の問題がまたクローズアップをされてくる。たとえ平成27年にCOP21において新たな目標を示すと言っても、それほど変わるものでもないし、もう少し考えていく必要があるのではないかと思う。 こういったさまざまな要素を考慮すると、原発依存度というものは、震災前と比較して少しは低減されるものの、大きく下回っていくということは余り考えることができないと私は思うが、知事の所見を伺う。 ◯知 事
原子力発電所の依存度についてである。 福島原発事故前の2010年、平成22年度の原子力の比率は28%ということで、約3割という実績であった。 それで、新たな
エネルギーのそれぞれの割合、つまり
エネルギーミックスを策定するということになると、
エネルギー資源に乏しい我が国の現実をよく見なければならない。安定供給の課題、コスト削減、温暖化対策の観点から、適切な比率を確保すべきということになると思う。 いずれにしても、再生
エネルギーについては、今いろいろ進んでいるが、ある程度どういう限界があり、どこまで可能かという見通しや、またそれぞれの
エネルギー源の安全性も含めた技術的課題もだんだんわかってきているわけであって、その状況を考えながら、福島事故の後を踏まえて、
エネルギーミックスをできるだけ早く明らかにするということが重要と思っている。 ◯田中(宏)委員 私ども
原子力発電所の立地地域の住民としては、今回、新増設またはリプレースという言葉が表記されていないということに対して少し残念に思っているし、推進をする側にとっては、非常に残念という思いもある。 法律で定められた40年という期限の問題もあり、またさらに安全性を高め、原子力を基幹電源として活用していくのであれば、避けて通れない積極的な取り組みが必要であると私は考えている。 今後ベース電源として考えていくのであれば、こういった新増設やリプレースというものも、先ほど言ったように避けて通れない問題である。40年を期限に切るという意味ではなしに、これからも活用していくのであれば、より安全なものをしっかりと活用していきながら、またどうしても安全が確認できないものであれば、安全性を追求するためにリプレースや新増設が必要である。その必要な数や量は、定量的に原子力の発電というものがどれだけ必要かということをしっかりと設定していただければ、おのずと出てこようかと思う。 そういう中で、リプレース、または新増設ということについて、知事の所見を伺いたい。 ◯知 事 原発の廃炉とか、あるいは新増設、リプレースという問題があるが、この問題を置いたとしても、今のように、将来の展望が十分示されないまま単に古いものをずっと使っていくだけであるならば、原子力技術の承継、発展は望めない。また、今それぞれの立地地域にある
原子力発電所の安全運転そのものにも決していい影響は与えないし、原子力をいかに高い意識のもとに運転できるかという意味のモラルの低下にもつながりかねないわけである。 新しい技術を生かして安全性を強化させていくという姿勢が、今あるものにとっての安全にも重要だと思っている。このことは、何よりも立地地域の住民また福井県民の安全に深くかかわるわけであるし、ひいては国民全体の安全確保の問題にもつながるわけである。 一方で、海外に向けては、安全性を高めた原子力技術を提供していくことにより世界の原子力安全の向上に貢献するということを今回の報告書等でも書いているわけであって、国内の方針をあいまいにしておくわけにはいかないと思う。 原子力については、常に最新の
科学技術を開発、活用し、優秀な人材を育成しながら安全を強化させていくという姿勢を示す必要があると考える。 ◯田中(宏)委員 きょう、最終と思われる基本政策分科会を行うということなので、これまでも知事は述べているが、立地県として、できるだけ国民が安心して生活していけるような、しっかりとした目標が示されるように、発言をしていただきたい。また、私たちもきちんとそれに応えていけるように、頑張って発言し、行動していきたいと思っている。 これは通告にはないが、意見と捉えていただいても結構だが、使用済み燃料なり廃棄物の件で、知事はその分科会にも入っているので聞きたい。 せんだって、口頭ではあったが、少し言い方は違うかもしれないが、長期中間貯蔵ということを申し上げた。少し視点は違うが、12月11日の福井新聞に多摩大学の大学院の田坂教授の意見の中で、長期貯蔵として地層処分からの転換ということが記載されていた。 最終処分のやり方として地層処分というものが、ある程度技術的に確立をしてきており、今はそれしかないというような状況で、国が責任を持ってその方向へ進めていくということであるが、50年前には今の原子力技術というものが確立をされていなかったし、そういった処分方法が確立されると思っていた方も少なかったのではないかと思う。 これは期待の範囲を超えないが、これから先50年、100年についても、今後原子力を進めていく上で、まだまだしっかりとした技術の革新、進捗というものがあると思う。 そういったことも含め、最終処分についても、いろいろな方法が考えられると思うので、ごみという感覚だけではなく、資源として今後も使えるような方法も今後検討していっていただければありがたいと思う。 これについては、何か所見があればいただきたいが、なければ意見ということにさせていただく。 「教育と児童福祉について」 ◯田中(宏)委員 本来なら私の
ライフワークとしたいところではあるが、2点目に教育と児童福祉ということで質問させていただく。 このことについては、以前の予算特別委員会の中でも訴えたが、さわりしか言っていないので、改めてもう一度質問したいと思う。 福井県は、現在、福井型18年教育ということで、生まれてから高校を卒業するまで、さまざまな観点から、教育、また児童福祉に関する施策を進めている。 私見だが、就学前の家庭や
保育所は物事の区別を教えるところであり、小学校は協調性、
中学校は社会性、高校は社会貢献をしていくための使命感というものを教えるところであると思う。さらに、大学や
専門学校は、その使命感を達成するための高度な技術や知識を習得するための場と思っているが、このことについては、以前、
社会教育のある講演を聞いて感銘を受けた。この10年ぐらい、ずっとこのことを子供たちや
保護者の皆様にも言い続けている。このように、教育の区分や役割等があると私は考えるが、現状は、それぞれの段階で、しっかりと子供たちへの指導ができていないのではないかと思う。 以前にも申し上げたが、原因の一つとして、学習障害や
発達障害などの課題が考えられる。このことだけが問題というわけではないし、以前からあった問題だと思うが、なかなかこういったことが口にできない、表にできないという感情もあって、問題にされてこなかったということもある。しかし、これはあくまでも病気であるので、しっかりと対応していくことも必要だと思う。 それぞれの
教育課程における気がかりな児童、生徒と言われる子供がどれくらいいて、どのような対応をしているのか、現状とこれまでの対策を伺いたい。 ◯教育長 お尋ねの
発達障害の可能性のあるような子供で、教育上の特別な支援を必要とする児童・生徒の現状ということだが、現在、国全体で把握しているものは、実はまだない。本県独自に昨年12月に行った調査では、通常学級で全体の子供に対して、そういう特別な支援が必要な子供の割合は、小学校で約7%、
中学校で約5%、高校で約2%であり、これは昨年2月に、国が抽出で行った調査とほぼ同様な状況である。 そして、本県は20年に一度調査をしているが、小・
中学校の割合を過去と比べると、1%ほどふえている。ただ、これは認識が高まっているということもあると思うので、もう少し実情を把握したいと思う。 そして、現在、大きく言うと2つのことを進めている。一つは、今の数字にもあるが、早い段階から対応を進めていくことが非常に重要であるということで、小学校入学前の
保護者に対して、特別支援に対する理解を促すリーフレットをつくって、昨年12月に配布し、ことしの入学生から対応を始めている。 もう一つは学校へ入ってからの先生の対応に関することだが、個々に子供たちの状況が違うので、さまざまな指導事例を集めて、先生方に配布している。 それから、先ほどの話のように、幼児期から高校まで各校種をつないで、このような支援方法を円滑に引き継いでいくことが必要である。これについては、健康福祉部と連携して、そうした指導内容を記載したファイルをつくり、ことしの春からそれを活用して、切れ目のない引き継ぎを進めているところである。 ◯田中(宏)委員 さまざまな捉え方があると思うが1%増ということで、教員の負担もかなり増大してきているのではないかと思うが、教員が置かれている現状を、教育長はどのように認識をしているのか伺う。 ◯教育長 委員の話のように、
発達障害など特別な支援を必要とする子供に対する個々の対応に加えて、通常学級の担任教員としては、当然学級全体の運営があるが、そういう負担を軽減するため、人的な応援と専門的な指導という2つをやっている。 人的な面では、県では昨年度から非常勤講師を配置しており、特にそういう問題が大きい学校を中心に、ことしも5名増員し、全体で36名の非常勤講師を置いている。 それから、市町においても、一般の方に協力いただき支援員という形で県下で329人を配置している。 専門的な指導という面については、県の特別支援教育センターに指導職員がいるので、ことし前半だけでも学校全体に約750回、1,000時間にわたる授業観察を行い、一緒に個別支援計画づくりを進め、学校の支援会議などにも参画しているところである。 このように、そうした子供たちに対する指導については、担任教員1人が担うのではなく学校全体でサポートできる体制の充実が非常に大切だと考えているので、そのようなことを含め、全ての子供たちに十分な教育指導ができる体制をさらに整えていきたい。 ◯田中(宏)委員 今ほど教育長から、健康福祉部としっかり連携をしていくという話があった。健康福祉部で所管する児童福祉という観点から、
保育所でのこのような障害児、あるいは気がかりな児童の現状は、現在どのようになっているのか、またどのような対策を講じているのか伺う。 ◯健康福祉部長
保育所における状況である。 平成18年より県は独自に調査をしており、今年度の調査結果では、
発達障害など特別な支援を必要とする児童数は約10%いる。これについては、やはり近年増加傾向にあるという状況である。 こうした児童を早期に発見して、それぞれの特性に応じた適切な支援につなげることが必要である。このため、県では平成21年に福祉と教育が連携して庁内にプロジェクトチームを設けた。そこでいろいろな議論をして、先ほど教育長からも話があったが、平成24年度には、全国に先駆けて幼児期から就労期まで途切れることなく支援をするための福井県独自の支援ツールである「子育てファイルふくいっ子」を作成した。 このファイルは、子供の発達段階に応じて、その子の特性を客観的かつ総合的に見ることができる評価シート、その評価を活用した支援計画、次の支援機関に引き継ぐための支援シートからなっている。
保育士の方々からは、子供の特徴を客観的に把握できるという意見を聞いている。今年度から、保育や教育の現場へファイルの周知と活用を図るために研修会を開催しているが、現在までに13回で、約1,000名以上の方が参加されているという状況である。 ◯田中(宏)委員 教員と同じように、
保育士の負担もかなり増大していると思われる。公立、私立の別であるとか、それぞれの地域の現状等々によっても違うとは思うが、県内の
保育士の置かれている現状について、どのような認識であるのか、所見を伺う。 ◯健康福祉部長
発達障害などの特別な支援を必要とする子供は、他人との
コミュニケーションがとれない、あるいは待つことが苦手でじっとしていることができないなど、一人一人の状況が異なっているため、
保育士は現場において、その子に応じた支援に努めているという状況である。 こうした状況もあり、本県独自の制度として平成22年度から各市町に保育カウンセラーを配置しており、現在33名が全ての
保育所を年2回から5回巡回し、専門的な立場から子供へのかかわり方や
保護者への接し方などについて、
保育士への指導、助言を行っている。 さらに、現場でこうした子供たちへの保育の充実を図るために、今年度は県内の104
保育所に210名を加配しているという状況である。この
保育士の加配に対しては、県が助成をしているが、本県を含めて全国では12県で実施しているものである。今後も、引き続き
保育所への支援を行っていくとともに、市町を初め、地域で相談や療育を行う児童発達支援センターなどの関係機関と協力して、地域全体で子供を支える体制づくりを進めていきたい。 ◯田中(宏)委員 教員、
保育士の負担軽減について、さまざまな対策を講じてもらっているが、それでもまだ負担になることも考えられるので、それぞれ現状をしっかり認識し、さらに充実をしていただきたい。 少し視点を変えるが、このような中で、平成18年から教員の再教育や指導力不足という課題がクローズアップされている。教員の指導力不足については、各
都道府県で定義がそれぞれ違うということであるが、福井県としてどのように認識し、どのような定義であるのか伺いたいと思う。 ◯教育長 指導力が不足する教員に対する対応については、平成19年に法制化されている。
教育公務員特例法の改正があって、このような教員を認定した上で、指導改善研修を受けて職場復帰を目指そうというもので、それでもまだ指導が不適切な場合には、やむを得ず
分限処分などを行うという制度である。 その際、
文部科学省から教員の指導力不足についての要件が3点指定されている。1点目は、教科に関する専門的な知識、技術が不足しているということ、2点目は、指導方法が不適切であって学習指導をうまく行えないということ、それから3点目は、児童等の心を理解する能力や意欲が少し欠けており、学級経営とか生徒指導について適切さを欠いているということである。この3点から、指導力不足の教員を認定しており、制度が始まった平成20年、21年には、本県の場合、6名を認定していて、その後研修を経て、現在は職場復帰させている。 全国の状況を見ると、制度が開始された平成20年には全国で約300人が認定されたが、現在は多くが職場復帰している。その後は全国的に見ても、このような認定の数は大幅に減少しているのが現状である。
◯田中(宏)委員 最後に全体的な質問をしたい。 このように、児童・生徒がさまざまな課題を抱えている中で学級運営や学校運営を円滑に行うことは、教員の指導力不足を解決するだけでは困難ではないかと思う。教員の指導力不足をサポートする体制を整備し、教員の負担軽減を図ることで、一人一人の児童・生徒に目が行き届くような教育体制を整備していく必要があると考えるが、教育長の所見を伺う。 ◯教育長 今ほど申したように、このように認定して研修をするという制度があるが、その前に、指導に課題のある教員に対しては、特に管理職が中心となって、同じ教科の教員等の力も借りながら、学校全体として支援する体制をとっている。特に退職したベテランの先生にも協力してもらい、学校を巡回して、指導に課題のある教員の授業に一緒に入って、子供の観察方法、発問の仕方などのサポートを行っている。 こうした課題のある教員だけに限らず、生徒、児童一人一人に教員の目が行き届く体制を充実することが大切であるので、現在進めているが、少人数学級の実施、ティームティーチングの指導教員、さらには通級指導教員や特別支援非常勤講師の加配措置について、さらに充実できるよう今後も検討していく。 〜以 上〜 ◯山岸委員長 以上で田中宏典委員の質疑は終了した。 玉村委員。 「農業の振興について」 玉村 和夫 委員 ◯玉村委員 民主・みらいの玉村和夫である。
政権交代が再び行われ、安倍政権が誕生してから1年がたとうとしている。この間、景気が回復する一方で、TPP交渉参加や
減反政策の廃止という形で
農業政策も大きく変わろうとしているが、この政策の大きな転換に関して、本県の農業をどのように守り、振興させていくかという観点から質問と提言をさせていただきたいので、よろしく願う。 4日間にわたって
シンガポールで行われてきたTPPの閣僚会議が、12月10日に閉会したが、日米の主張の溝が埋められない中、新興国においても、全体交渉も停滞し、行き詰まっているという状況であり、妥結については、来年の春に向けて仕切り直しという形になったようである。 この間、TPP交渉においては、政府は重要5項目を死守すべく、自由化率80%台で交渉を進めてきたが、
アメリカを初め、相手国はあくまでも自由化率100%の関税撤廃を目指しており、去る6日には5項目586品目のうちの140品目程度の関税撤廃を視野に入れながら、自由化率95%を提案したという一部の報道があった。これは、選挙の公約において、また農業団体に対しては、聖域なき関税の撤廃には応じない、国益を守るためには1ミリたりとも譲れないと約束や強調をしてきたことに反して、政府がついに聖域の一部に手をかけ始めたということのあらわれであると思う。 このように、私たち国民には、マスコミによって結果だけが少しずつ伝わってくるわけであるが、政府は、4月の衆参
農林水産委員会で採択したTPP協定交渉参加に関する決議を遵守し、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民議論を行うべきとの本県議会を含む各県、地方議会が寄せた意見書などを含めて、国民の声をもっと聞くべきだと考える。 本県議会を初め、多くの自治体や議会が意見書などで要求してきたが、改めてこのTPPの交渉について、交渉の経過や内容について、経済や国民生活全般へのメリット、デメリットなど具体的かつ十分な情報提供を国に要請すべきと考えるが、県の認識を伺う。 ◯知 事 TPP交渉の進展であるが、農業分野に限らず、国民生活の各分野に影響を及ぼすことであり、政府には交渉の各段階において、国民に適切な情報提供を行う責任がある。 これまで国に対しては、県の提案、要望、全国知事会の要望のほか、国の説明会の場においても十分な情報提供と明確な説明を行うよう求めてきたが、具体的な情報提供は十分なされていないのが現状かと思う。 県としては、引き続き国に対して適切かつ具体的な情報の開示を早急に求めているが、特に今回いろいろ要請を行った結果、TPPの交渉を開始して初めてのことになるかと思うが、
内閣官房の交渉担当
参事官に県庁に来ていただいて、情報
交換が実施できるという状況になっている。 ここで得られた情報については、関係団体へ迅速に提供し、またホームページなどでお知らせをするということになるかと思う。 ◯玉村委員 この6日の会合では、先ほど申し上げたように、自由化率95%まで譲歩をしたようであるが、米通商代表のフロマン代表らは、あくまでも全貿易品の関税撤廃を要求するという姿勢を崩していない。この日の交渉は物別れに終わったようであって、その後の会合でも、21分野のうち難航する知的財産や環境など、5分野を残して、対立点の少ない一部の分野を先行して合意するという形の部分合意も目指して議論をされたようであるが、発表された声明では、未解決のまま残った主要な課題の大半で潜在的な落としどころを確認したとの大変苦しい表現で終わっているようである。
マレーシアなどは、
アメリカが求める国有企業改革などに反発をして、交渉離脱も辞さないと大変厳しい姿勢のようであるが、日本もこのような状況では、さらなる譲歩を要求されるのは必至である。 この交渉の流れをマスコミを通じて見る限りでは、とても国民との約束や聖域は守れそうにもない。本県としても、今後の状況によっては、TPP交渉からの離脱、脱退も政府に進言、要請するべきと考えるが、知事の認識を伺う。 ◯知 事 TPP交渉については、情報提供を徹底するということで要請を行っているかとは思うが、交渉は政府の責任において進めていくものであって、交渉からの離脱、脱退の判断は、政府が責任を持って行うべき事柄かと思う。 安倍首相は、国会の答弁の中でも一貫して、守るべきものを守り、攻めるべきものは攻め、国益にかなう最善の道を追求する、公約は守っていく決意であると述べておられる。 交渉からの脱退については、我々から進言するまでもなく、本年4月の国会決議の中で、農林水産分野の重要5品目などの聖域の確保を最優先とし、それが確保できないと判断した場合は脱退も辞さないものとすることが盛り込まれているので、政府は、この国会決議を十分尊重しながら、今後の交渉を進めていくものと考える。 ◯玉村委員 約束がきちんとあるわけであるから、とても国益が守れないと判断したときには、本当に厳しい決断も必要だと思う。 質問を変えて、減反の廃止問題について伺う。 このように、TPP交渉の行方や
減反政策廃止などの影響やそれに対する対策を考えながらも、農業の展望を開くためには、可能なところは農地を集約して大規模化し、効率アップを目指すべきことは言うまでもない。 県内の農地については、平地と山間地の面積の割合が6対4程度と聞いているが、県内全体で大規模化、大型化が可能な農地はどのくらいあるのか、また、どの程度の面積を集積することが適当と考え、集落営農組織などへの集積については、どのぐらいの面積、あるいは組織数を目標としているのか、県の見通しを伺う。 ◯農林水産部長 まず、県内の水田面積は3万6,000
ヘクタールであり、集落営農組織や
認定農業者に集積を図っているわけだが、現状では、2万3,400
ヘクタールの水田が集積され、大体65%の集積率となっている。 現在検討している新たな農業・農村再生計画では、平成30年度までにこれを80%の集積率、面積としては2万9,000
ヘクタールとすること、すなわち現在よりも5,600
ヘクタール拡大するということを考えている。残る7,000
ヘクタールについては、大半は急傾斜地とか、水田の区画が小さいという生産条件が非常に不利な地域であり、
中山間地域が主である。 集積した水田を耕作しているのは、個人の
認定農業者が947人、集落営農組織が580であるが、これらの平均規模は大体15
ヘクタールである。これらのうち法人組織が211できており、これになると平均規模は少し大きくなって、38
ヘクタールである。 県では、農業者の経営体質を強化するため、現在の集落営農組織と
認定農業者を中心にして、経営の統合による規模拡大を図り、また、任意の組織については法人化を推進するという方向で取り組みたいと考えている。 ◯玉村委員 大いに進めて効率が高まっていくことを期待したいと思うが、政府がこのほど出している
減反政策の見直し案の中では、農家の所得13%増とある。農地水保全管理支払交付金にかわる農地維持支払いは、農家ではなく集落へ入り、共同の道路や水路の維持に充てられるものであって、個人にいくものではない。また、米価は現状のまま算定をしている。それから、飼料用米の平均収量も反当たり約11俵、680
キロの最上限で算定をしているということである。
中山間地域では、特に私の地域では、どう算定しても平均反収は8俵、480
キロ程度である。政府の算定値は、大きく算定をしている期待値であるということはわかるのだが、かなり現実離れした算定ではないかと思う。 そういう意味では、政府の
減反政策に関する改革や見直し案については、かなり無理が感じられるが、県はこの政策や提案及び見通しに対してどのような感想を持っているのか、また、どのように対応しようとしているのか伺う。 ◯農林水産部長 今、委員が話されたが、国が示した試算については、3点あって、まず飼料用米の収量については、
福井県の実績から見ると1.3倍という試算をしている。 それから、その飼料用米は不作付地でつくるということになっているが、県においてはそもそもそんなに不作付地がない。それから、県ではオオムギを作付しているが、これは外している。このようなことがあって、
福井県の営農実態をこの試算にそのまま当てはめるのは無理だと考えている。 そこで、今月6日に第2回の
福井県農業政策等プロジェクトチーム会議を開催して、そこでは県の平均的な営農のスタイルということで20
ヘクタール、このうち米は14
ヘクタール、それから2年3作でオオムギ、
ソバを6
ヘクタールずつという営農モデルで、米価が、現状のまま、それから仮に1割落ちた場合、2割落ちた場合という3つのパターンで試算をしてお示しした。 現状以上の所得を確保するためには、水田園芸の導入で例えばネギを入れるなど経営を多角化したり、20
ヘクタールの規模を40
ヘクタールに拡大するなど、現在の営農を改善していく必要があるということを話している。 これらをもとに、生産、流通、販売などの各分野の関係者の意見を聞きながら、今後の対応について検討している状態である。 ◯玉村委員 私の集落のある地域では、約30
ヘクタールのうち傾斜度が6%の中山間に指定されている圃場は1割強の3
ヘクタール程度あるが、その水田1枚当たりの面積は5から8アール程度であり、大規模化にはとても向いていない。また、残りの傾斜がもう少し緩い圃場も、谷からずっと緩い傾斜が続いていて伏流水が絶えずしみ出しているという状況で、かなり入念な排水工事をしても、いつも田が乾燥しない。それぞれの田の3分の1程度はいつも水分が切れていないという状況であるから、水を嫌うような麦や大豆など転作作物は収量が非常に悪くて、転作に向いていないと思われる。 一律に転作作物や野菜など都市の条件に適さないものを栽培するということには、無理があると思う。見直しの中では飼料用米をつくるのが一番適当と考えているが、県内には酪農が大変少ないという状況であり、需要が少ないと思われる。県外に販路を求めれば、輸送や流通のコストがかかり、採算はますます厳しくなると思われる。 このように棚田など
中山間地域のほ場は大規模集落や転作には向いていない。また、見直し案の日本型直接支払制度も、地域活動に支払われて農家の所得には直接つながらないわけである。
中山間地域においても米づくりが続けられるような仕組みや支援策が必要と考えるが、県の認識を伺う。 ◯農林水産部長 農地の4割が
中山間地域であって、そこでは直接支払制度を利用して、306集落、2,477
ヘクタールで地域の方々があぜの草取りや水路の泥上げを行い、米づくりを基本に農地を保全しているという実態である。また、ここには県独自で地域農業サポート事業というのを導入して、743集落、1,230
ヘクタールの農地で、外からの力で農作業の支援を行っている。 今後は、一つの集落ではなくて、複数の集落を合わせて集落営農を拡大するというやり方もある。それから、新たに市町、JAが共同して、広域的に耕作が困難な地域の農作業を請け負うような組織づくりを進めていきたいと考えている。 産物で言うと、こだわり米、それから赤カブやエゴマといった地域特産物の生産販売は引き続き支援し、農業者の所得を確保することに努めるなど、
中山間地域の営農を継続していただくように、さまざまな施策を打っていきたいと思う。 ◯玉村委員 それぞれの集落や集団に出てくる農地水保全管理支払交付金というのは、先ほども言った、あくまでも道路とか水路など共通の部分のみなのである。しかし、棚田などというのは、高さ2
メートルの土手が100
メートルも続いているようなところを個人で管理をしなければならないという大変な作業があるわけであって、その辺をどうカバーできるかということが大きな課題だと思っている。 各地域で、これまでこのようなことにあわせて、転作組合などをつくって大豆や大麦、
ソバなどの転作作物を生産してきた。そのために、減反制度の継続や補助制度を見通しながら組織をつくって
設備投資をしてきたわけであるが、制度が変わって、補助金の状況や生産の易しさという点から見ると、今までの大麦や大豆よりも飼料用米、米ということになってくるだろうと思う。そうなると、せっかく
設備投資をした大豆や麦用の設備が要らなくなり、設備の償還だけが残ってしまうということになるわけである。 40年前の日米の
貿易摩擦のための繊維不況の時には、佐藤
総理大臣あるいは田中通産大臣が織機の買い上げを断行した。織機を破砕し、転業やあるいは廃業を促しながら、一方では
近代化などの構造改善を断行したわけである。これまでの農政を大きく転換し集約化を進めるということを考えるときには、小規模農家の転身を促すためにも、このような設備の買い上げなど、大胆な政策が必要ではないかと考える。 また、こういった買い上げというものは、先ほど述べた転作組合の救済策にもなるのではないかと思うが、国への要請や県の支援策など含めた考えを伺う。 ◯農林水産部長 県では、新たな集落営農組織を立ち上げたり、経営規模を拡大したり、また法人化する際には、その規模に見合った、例えばトラクター、コンバインなどの機械や施設の導入に対する支援をしてきている。 今の話しのように、仮に小規模農家が不要となった機械がある場合、これらの買い上げや借り受けなどを、集落営農組織等のリーダーに対して、指導している。また、適正な価格で買い取りをしてもらえるよえ、県、市町、JA、それぞれがメーカーに対して紹介していく。 それから、一括して農地を貸し付ける農家、いわゆる農業をやめて農地を貸し付ける農家に対しては、その規模に応じて30万円、50万円、70万円という農地集積協力金というものが支払われる。これは、昨年とことしで合わせて240
ヘクタールの農地の集積があり、320戸に対して1億1,600万円支払われることとなっている。そのような協力金のことも勘案しながら、現場でいろいろ指導をさせていただきたいと思っている。 ◯玉村委員 先ほどから述べているように、
中山間地域では非常に苦労をしながら営農をしているわけであるが、一方で何回も述べられているように、農業の多面的機能を維持するためには、このような耕作不利地を含む
中山間地域が果たしてきた役割が大変大きいと思う。 こうした農業、農村に、所得補償という形で税金を投入しているわけであるが、このような政府のいう日本型直接支払制度というものは、単に農家の生産意欲や生活を支えるという視点ではなく、良好な環境や景観、あるいは安全でおいしい水や空気を
再生産するという仕組みを国民全体で支え守っていく、また、負担をしていくのだという思想、これは欧米では当たり前の思想であるが、こういったことを再確認しながら、もう少しアピールする必要があるのではないかと思うが、その点についてはいかがか。 ◯知 事 来年度に創設される日本型直接支払制度であるが、これまで集落で行う草刈りや、泥上げなどの共同作業への支援に加えて、新しく集落コミュニティの強化を目的としたいろいろな集落活動についても支援する制度になっている。現在、国・県、市町で約16億円交付されている。 これまで農地の多面的機能を集落全体で維持してきているわけであるが、さらなる機能を向上するためには、集落のまとまりを強化することや活性化することが重要であって、そのために、さらに国、県、市町に新たに4億円交付される見込みと聞いている。また、集落活動の対価としての交付金は、集落全体としての農家所得の向上にもある程度資するわけであるので、この制度の積極的な活用を進めていきたいと考える。 ◯玉村委員 大変厳しい中ではあるが、
消費者からは良質米、つまり食味のよい米が求められている。これがなかなか難しくて、地域によってばらつきがあり、また本当に熱心に有機栽培等をされているところでも、その年によって食味の変動があるように思う。 既に50年ぐらい前になるが、私が子供のころ、近所の80歳近いお年寄りが、そこの後継者に対して、「あの田んぼは泥田やで、アンモニアを何匁だけやっとけ。こっちは少し多いほうがいいかな、だけれども、あぜ表はやらんでもいいぞ。」ということを、経験上、きちんと指導をしていたのを見た。このように、本当に情報も学問もないような状況の中で、それぞれの地面、土地の特徴に応じて、経験と勘でこのような緻密な営農作業が行われていたわけである。 私の住む越前市でも、東部と西部では酸性度が大きく違う。そういうところへ同じような肥料をやってもこれは効果がないわけであって、それぞれの地域、土に合った営農─つまり肥料をやるとか、あるいは管理をするとかということが必要である。安全でおいしい米を安定して生産をするためには、このようにその土地と風土に合ったきめ細かな栽培や管理が必要であると思うが、営農指導の現状と今後の課題について示していただきたい。 ◯農林水産部長 営農指導については、組織的にはJAにも約200名の営農指導員がおり、主に一般的な通常の技術の改善や、それからそれぞれの困り事に対する対応、それから販売を主に指導している。県の普及員については約120名いるが、これはどちらかというと先進的な技術や、より高度な技術だとか、モデル的なものを実証して行い、それを分析してみたりということで、主に専業農家の方々を中心にした指導などをあわせて行っている。
もちろん今のお話の土づくりも含めて、県農林総合
事務所とJAが協力して、地域ごとに施肥や、米づくりにおける病害虫防除などの、これは自宅にあると思うが、栽培暦というものをつくり、集落ごとの座談会などで農家の方に話をしている。特に現地においては、各農家と個別に話をしながら、例えば葉の色の濃淡や、前の年に倒伏がどうだったかというようなことで施肥の量を増減したり、溝切りで適切な水管理を行うなど、きめ細かく対応をしている。 話があったように、米の品質向上には土づくりが重要であるので、今後JAと共動して農家が行う土壌分析を支援して、その結果に基づき土づくりのために必要な例えばケイ酸やリン酸などの肥料の散布を指導していきたいと考えている。 ◯玉村委員 あまり採算を考えずに農業をする兼業農家の
世代は、多分私たちで終わりだろうと思う。若い人たちが希望を持って農業をやっていけるような、また、農業の世界に飛び込んでいきたいという夢を抱けるような
農業政策、あるいは方針を出していただきながら、コシヒカリのふるさとである福井が、農業を中心に大きく展望していけるように、ぜひこれからも県としても頑張っていただきたいということを要望して、質問を終わりたいと思う。 〜以 上〜 ◯山岸委員長 以上で玉村委員の質疑は終了した。 笠松委員。 「県都福井のビジョン」 笠松 泰夫 委員 ◯笠松委員 自民党県政会の笠松泰夫である。 まず、私から最初に県都福井のビジョンについて質問させていただく。
北陸新幹線の金沢開業がいよいよ近づいてきた。県都福井も、これらの沿線都市間競争に取り残されないためにも、県民、市民、そして行政も一丸となり、福井らしさとインパクトのあるまちづくりを進めなければならない。 まず、第1幕として、福井の顔づくりである。 JR
福井駅周辺整備事業は、西口再開発ビルの着手によって、県都の顔づくりはいよいよ最終段階を迎えた。さらに今議会では、知事が
福井市が整備する屋根付き広場に対して、市と同額の4億円の支援を表明されたことは、大変大きな英断だと思っている。 平成23年8月に市が現在の整備案を提示して、これまで市と協議を繰り返す中で、コンコースからの動線、視線の確保や雨、雪への対応など、利便性を向上させたことを高く評価したいと思う。残るはえちぜん鉄道の高架化と、モニュメントを含めた西口駅前広場の整備や
福井鉄道の延伸工事などとなった。特にモニュメントについては、平成20年に、私が
福井駅周辺での恐竜モニュメントの設置を提言したこともあるが、近年の恐竜ブームを生かしていくことも必要だと考えている。 そこで、第1点目であるが、残るこれらの事業について、県、市の意見調整やえちぜん鉄道などの各事業者間の調整、あるいは課題について伺いたい。 ◯知 事
福井駅西口の整備方向であるが、まずえちぜん鉄道の高架化が重要なプロジェクトであるが、今月工事に着手したところであり、平成30年の福井国体までの完成を目指したいと考える。 それから、
福井駅西口の広場は
福井市が来年度から具体的な整備工事に着手し、28年の春に完成する予定ということになるわけである。 そこで、
福井鉄道駅前線については、
福井駅西口広場の完成に合わせて、広場内に延伸できるよう、来年度から詳細設計に着手したいと考える。また、現在、
福井市と駅前広場の設置物とか、あるいは植栽、修景など駅前空間の利用について協議を進めているが、いずれにしても、今指摘があったように、北陸3県で同じような調子では、全然インパクトもないし、また魅力もないと思うので、何かアピールができ、また
福井県民のいろいろな誇りにもつながることが大事かと思う。 このため、まずは、平成27年には
北陸新幹線の金沢開業、またデスティネーションキャンペーンがあるわけであって、例えば、
福井市と相談しながら、今おっしゃったような福井のトップブランドである恐竜の造形物のようなものを西口駅前に設置するなど、県、市および各事業者が連携、協力しながら、福井の顔づくりというか、特徴づくりに努める必要があると考えている。 ◯笠松委員 福井の駅前では、北陸3県のうちの福井らしさを感じるものをぜひお願いしたいと思う。 次に、第2幕として、福井の歴史再生のまちづくりということであるが、県都
デザイン戦略の実行によって、
福井市の歴史物語の再現を図り、文化都市福井をアピールするため、福井城址公園としての整備を初め、
足羽川や足羽山を結ぶ歴史回廊空間の整備の具体化に向けて、その組織づくりや推進体制について、今後どのように進められるのかを伺いたい。 ◯総合政策部長 県都
デザイン戦略については、まず組織の面から申し上げると、県と市の関係部課長36名による県都
デザイン戦略推進ワーキンググループを設置している。プロジェクトの事業内容であるとか、スケジュール等を調整しながら、一体的に推進しているところである。 また、中央公園周辺の再整備については、現在
福井市が設置した有識者等による会議に県職員も委員として参加しており、城址と一体性のある歴史を基本とした公園として、石垣の遺構などを公園
デザインに生かす工夫をすることや山里口御門からの見え方などの視点も考慮することなど、県としての意見を伝えているところである。 福井城址から
足羽川や足羽山に続く動線については、市の足羽山・
足羽川周辺空間再形成基本構想策定に県職員が携わっているほか、県としては、動線上となる福井城址内における散策路整備であるとか、山里口御門の復元、それから
足羽川の幸橋付近における船着き場整備などを進めているところである。 ◯笠松委員
足羽川の近くの歴史回廊については、先日も
福井市議会のほうで異人館の提案があったように思うが、これについても、県も一緒に相談に乗る中で、ぜひその歴史の復活もお願いしたいと思う。 次に、水と緑のまちづくりということで、第3幕として提案させていただきたい。いわゆる県都
デザインの中では位置づけられていないが、
福井市においては、歴史的な水の空間がある。いわゆる
九頭竜川の鳴鹿大堰、鳴鹿堰堤から取水している芝原用水は、現在も農業用水のほかに、御存じのとおり県庁周辺のお堀も含めて、幾つかの用水系統に分流して、環境用水としても、
福井市街地の大切な水辺空間として機能しているところである。 そこで、これらを生かした水と緑のまちづくりを進めることは、福井らしいまちを整備するための大切なツールだと考えるが、これらの整備計画について所見を伺う。 ◯土木部長 水と緑のまちづくりについては、平成16年3月に策定した水と緑の
ネットワーク整備計画に基づいて、
九頭竜川から芝原用水を経由して
福井市内の用水路や河川に環境用水を導水するとともに、周辺の水辺空間の整備を行っているところである。 水辺空間の整備としては、県では、芝原用水の水が底喰川に落ちるということから、底喰川について、島田橋周辺で階段護岸の整備を完了した。また、今現在は明道
中学校付近の整備を進めているところである。 また、
福井市は養浩館周辺の光明寺用水の親水護岸、また田原2丁目の権現川の階段護岸、また新保2丁目の内輪用水の桜堤などの整備を行ってきたところである。これからも県と
福井市が協力しながら、芝原用水の活用など水と緑のまちづくりを進めていきたいと考えている。 ◯笠松委員 この芝原用水に関しては、非常に歴史がある部分があるが、すでに亡くなられたが、県議会議員をされていた東郷さんが、生前はこの整備について、非常に熱心に提案されていたことを、今思い出す。 そういう一環の中で、この一分派である光明寺用水というのは、この県庁へ入ってきている用水系統なのだが、たしか農林事業でも平成15、16年に、この県庁の周りのお堀の水の水質浄化も含めて、ポンプの設置などの工事を行った。その後の水質の変化などについては、おそらく県庁の財産・
事務管理課がコントロールしてポンプを動かすのかなと思っているのだが、周辺の整備を進めるのも非常に大事であるが、目で見る水質のきれいさを何とか保っていきたいという思いもある。その辺について、コメントがあればお願いしたいと思う。 ◯政策幹 お堀に入っている水については、水質についてきちんと調べていて問題ないが、確かにおっしゃるように、少し青っぽくなっているなどということはある。ただ、たくさん流そうとすると
水利権の関係もあって、なかなか思うようにいかないという中で、我々としても、できるだけ水質の確保を図っていきたいと思う。 「林業問題」 ◯笠松委員 次に、2点目として、林業問題について伺いたい。 先日の一般質問で玉村委員からも提案があったが、私からも県議会の森林・林業・林産業活性化推進議員連盟と林業関係の団体との意見
交換会での要望やあるいは提案に基づき、少し追加的に質問をさせていただきたいと思う。 林業における活性化対策として、森林経営計画の策定と循環型施業による木材の供給増大を図るなど、林業問題として解決すべき課題が非常に多く山積しているところである。 まず、県産材の安定供給体制の整備と利用拡大についてお伺いする。 まず、コミュニティ林業地、あるいは公社造林地からの間伐材を中心とした安定供給体制を構築し、
公共事業による県産材の利用や木質バイオマスへの利用拡大を図ることは、良質材の育成や、あるいはことしの台風18号の災害でも経験したように、この間伐材を片づけることは、山地災害防止の観点からも非常に大切だと考えているが、現状と今後の対策について伺いたい。 ◯農林水産部長 県産材については、お話にもあったコミュニティ林業を進めている。大体1集落あたり、組織づくり等に140万円を支援しているわけだが、それが昨年度までに30集落で実施されており、平成24年度には、その前年度の約3倍となる2万2,000立米の県産材が生産されている。住宅用には、そのうち3,700立米が使われている。
公共事業では、治山
砂防ダムの型枠にこれは丸太材、そのままの材で2,400立米、それから道路のり面の吹きつけに、これはチップにしたものが1,500立米、それから公共施設の木造木質化などで、これは柱材であるが、約100立米が利用されている。トータルでは、平成24年度は前年度1.2倍となる5,000立米が県産材として活用されている。 お話にあったバイオマスについては、現在坂井地区の木質ペレット製造施設でチップ材が600立米利用されている。また、現在、大野市や高浜町ではこのバイオマス発電の検討が行われている。これらを含めて、平成26年度までにコミュニティ林業を50集落にふやすとともに、
公共事業や木質バイオマスの活用で県産材の利用拡大を図り、間伐など森林整備を進め、災害に強い森づくりに努めていきたいと考えている。 ◯笠松委員 最近は、木質バイオマスというのは県内でも結構拡大しているようであるが、ぜひそこへ持っていく価値のあるような間伐材の運搬に対する支援も考えていかなければいけないのかと思っている。 さて、地球温暖化対策としての森林再生のための新たな事業創設について伺う。 利用可能な段階に入っているいわゆる適地の主伐、皆伐。これを進めるために、木材の
トレーサビリティを確立し、品質性能の確かな柱材を現物支給する制度も含めた補助制度、あるいは林業事業体の経営基盤の強化と担い手の育成についての新たな制度の創設が必要と考えるが、所見をお伺いする。 ◯農林水産部長 県産材利用推進のために、住宅分野ではブランド材の生産拡大に約1,100万円。これは運搬費が800万円と、また、含水率が重要なので、その測定費に300万円を使っている。 それから、お話にあった木材
トレーサビリティであるが、これはいろいろな
データ入力や
システム開発の必要があるので、その経費1,500万円の支援を行っている。 新築
リフォームの支援については、県産材の利用量はことし11月末現在で5,000立方
メートルであり、既に昨年の3,500立方
メートルを上回っているような状況である。話があった現物支給であるが、平成23年度に国の財源を活用して柱の現物支給を制度として設けたが、柱以外の県産材の活用につながらないという結果が出ており、それが課題ということで、現在、別途検討をしている。 今後、住宅での使用量が多いはりとか、桁について、強度などを示して、外材つまり県外の材あるいは国外の材から県産材への転換を図ることなどで県産材の生産拡大を進めて、林業事業体の経営基盤を強化していきたいと思う。 人材育成については、研修制度を活用した新規就業者が、従来は毎年約10人程度であったが、最近5年間は毎年約20人となっている。さらに、建設業からの参入促進も進めていて、これにより人材の確保、育成につなげていきたいと考えている。 ◯笠松委員 さて、地球温暖化の原因であるCO2の削減や水源涵養及び山地災害等の防止など、森林には非常に多様な機能があるところだが、これら森林保全の重要性に鑑みて、国民全体が応分の負担を担うところの環境税や水源税などといった新たな安定財源を本県においても確保することを考えるべきだと思うが、所見を伺う。 ◯農林水産部長 国は、税制による地球温暖化対策を強化する観点から、地球温暖化対策のための税を昨年10月に導入したが、その使い道は二酸化炭素の排出抑制対策に限定されている。このため、昨年から全国知事会において、この税の使い道を森林吸収源対策にも拡大するとともに、その一部を地方の役割に応じた税財源として確保するよう、国に対して要望している。 さらに、昨年12月には県議会から意見書が提出されたところであって、本年10月には、県独自で税の使途を森林吸収源対策や県産材の利用対策に拡大するよう国に対し要望している。 また、本県では平成19年度から
核燃料税のうち毎年約2億円を福井型の森林環境税として活用していて、間伐などの事業を実施しているところである。 「国土強靱化計画」 ◯笠松委員 次に、国土強靱化計画についてお伺いする。 11月26日には衆議院において、また12月4日には
参議院において、国土強靱化の基本法案が可決されたところである。この法案については、防災、減災のために国や各自治体が
インフラなどの総点検を実施して地域計画を定め、人命保護を図るための長寿命化工事を進めるほか、高速交通体系の早期整備、あるいは災害防止のための治水対策、その他オリンピック関連事業や
南海トラフ等の地震などに対する対策事業も含まれるということである。 本県においても、
インフラの長寿命化計画は、最小限のコストで最大の効果を目指さなければならないが、そのための
インフラマネジメントとしての
データベース化への対応、あるいはこれらの長寿命化工事に対する事業計画について伺う。 ◯土木部長 県が管理する橋梁、河川、排水機場、下水施設、
トンネルなどの公共土木施設については、各施設の点検結果や保守履歴等を
データベース化して、修繕の優先順位や内容などを定めた長寿命化計画を策定している。 引き続き、計画に基づき、定期的に点検を行って維持補修を予防的に実施することにより、
ライフサイクルコストの低減、さらに公共施設の長寿命化を図るなど、維持管理対策を強化していきたいと考えている。
◯笠松委員 来年の4月に導入予定の消費税の増税に伴う経済対策として、政府においても5.5兆円という大規模な予算が示されているようである。 そこで、本県においても、直轄事業ではあるが、
中部縦貫自動車道路やさらには今言われた県内の
インフラの長寿命化等に対して、ことし、どの程度の規模の補正予算を検討していくのかを伺う。 ◯知 事 今回の補正予算であるが、昨日、国費ベースで5.5兆円、事業費規模で18.6兆円の国の補正予算案が
閣議決定をされている。 県としては、今回の補正予算においても、
中部縦貫自動車道の早期完成が図れるよう国に対し要望を行っている。また、今回の補正予算では、老朽化対策や防災対策を加速化するとしている。県としても、今回の経済対策を使って、道路、河川、港湾の
社会資本の長寿命化を進めていく。 本年1月の、1回前の国の経済対策のことであるが、
公共事業予算額が2.2兆円あって、これに対する国の補正予算額として250億円をお願いした。今回は1.2兆円ということであるが、大体その割合が念頭にある。国土の強靱化の観点からも、地方への重点配分が重要と考えているので、できる限りの規模を確保し、2月補正予算案を編成していきたいと考える。 ◯笠松委員 つい先日の11日、我々県議会議員の政務活動として国土
交通省の企画専門官──女の方であったが、講師に来ていただいてお話を聞いた。
社会資本整備についてということでお話を伺ったのだが、その際の議員からの質問でも、補正予算に限らず、幾ら強靱化を進めても東京中心になってしまうのではないか、やはり地方が取り残されていくのではないかという心配が多く出された。そういうことのないように、補正予算も含めて、ぜひ十分な予算を確保していただきたいと思う。 「全国学力テスト問題」 ◯笠松委員 最後に、全国の学力テスト問題について伺う。 2007年から実施されている全国の学力テストの県別の平均点の発表では、福井県が常に上位にランクされ、全国からも大変注目を集めているところであるが、今後も本県独自の福井型18年教育などを充実させて、より向上を目指すべきものと考えているところである。 さて、平成25年度実施の学力テストの結果が発表されたが、これと同時に行われている学習状況調査の結果は、あまり発表がないような感じがする。そこで、これについての関連性はどのように判断されているのかをお伺いしたいと思う。 ◯教育長 今の話しのように、全国学力学習状況調査においては、全国的に見ても高いレベルの学力面では評価をいただいている。特にその点で少し申し上げると、福井の子供たちというのは、問題が解けなかったという子供たちが少なくて、ほとんどが中位層というか、全体でいうとかなり高いところでまとまっているのが特色である。一方で、そこから飛び抜けて上位層にいる子供も少ない状況であった。 そういった中で、もう一方の学習状況調査というのは、例えば朝食をとっているかどうかとか、睡眠時間がどうかということのいわゆる基本的な生活状況とあわせて、ふだんの学校での学習状況や、家庭学習の状況など、全体では80項目を子供たちに聞いている。その中から、学力面と関係のある部分で言うと、例えば学校ではグループで調べる活動や、あるいは友達と話し合うような活動などの割合は、全国に比べても高い。それから、家庭で、学校から出された宿題をきちんとしてくる割合は、全国に比べると非常に高い状況であるが、一方で、予習や復習、さらには苦手な教科の勉強を自主的にするなどという点を見ると、全国に比べると少し低いような状況が見えている。 こういった両面から見ると、これからの課題は、家庭学習を含めて、子供たちが自分のいいところをもっと伸ばそうということで、自主的に勉強していくような能力を伸ばすような教育を進めることである。それが、今、笠松委員がおっしゃるような、これからの本県の一層の学力の向上につながってくるのではないかと考えている。 ◯笠松委員 時間も押してきたので、2つほど続けて質問させていただく。 平成26年度からは、
文部科学省の学校別成績の公表について、転換するという発表があったが、これにはいわゆる競争主義への助長が非常に心配される部分がある。これについての本県の対応と、それからもう一つは、今後の小・
中学校における教育のあり方や本県の学力向上の対策として、
教育研究所などの研究や指導の方針についてどのようなところに重点を置くのかを伺う。 ◯教育長 2点あるが、1つ目には学校別の成績の公表であるが、これは今回、
文部科学省からも、今の話しのように序列化、過度な競争につながらないように配慮するようにということは通知されているが、まずは、いわゆる授業改善にどうつなげていくかというのが大事であるので、そういった点について、今後どのように取り組んでいくべきかということは、市町と十分に協議しながら対応を考えていきたいと思う。これについては学力面のみならず、学校での教育の状況というのを広く地域の皆さん、
保護者の方に知っていただくことが大事であると思うので、そういった点を含めて検討したいと思う。 それから、2つ目には、
教育研究所の機能についてだが、先ほど申し上げたように、本県の学力をさらに高めていくためには、やはり従来の授業のあり方を少し考えていく必要がある。最近では、例えばICT機能を使って子供たちが進んで学習するような、いわゆる反転授業というような新しい
システムもあるので、こういったものもどう取り入れていくかということについても研究をしたいと思う。あわせてそういった研究の成果を広く教員が共有するということでの研修機能、そのために学校現場での研修や教員の自己研さん、そういうことをサポートする力も高めるような形で
教育研究所が機能していけるような改善をしていきたいと考えている。 〜以 上〜 ◯山岸委員長 以上で笠松委員の質疑は終了した。 佐藤委員。 「西川県政について」 佐藤 正雄 委員 ◯佐藤委員
日本共産党の
佐藤正雄である。 先ほども議論があったが、福井駅西の屋根付き広場の整備に対して県として4億円の支援をすることに、私も一般質問で取り上げたし、総務教育常任
委員会でもいろいろな議論が相次いだと思っている。このことについて、県議会からいろいろな意見が出ることについて、知事として今後の対応をどう考えているのか。 また、支援等の見返りに知事が求めたモニュメントの設置について、福井市は市議会の中で、県の発想であれば県に負担してもらいたいという趣旨を答弁し、福井市が負担を否定したと新聞で報道されている。要するに、福井県と福井市の考えの整合性がとれていないという大きな問題があると思うが、知事の見解を尋ねる。 ◯総合政策部長 まず、総務教育常任
委員会での指摘は、いわゆる屋根付き広場に対する支援に関するものではなく、西口再開発事業を含む県都
デザイン戦略全体の現状、中央公園再整備の検討経過や進捗について、説明をしっかりしてもらいたいということだったと認識している。 それから、モニュメントについて、市と負担の考え方がずれているのではないかという質問については、福井市議会の一般質問の答弁で、市は駅周辺の整備は県と市が協力して進めており、その中で役割分担についての考え方が出てくるのでないかと述べたと理解しており、県と市の考え方にそごはないと考えている。 ◯佐藤委員 県都
デザイン戦略に基づいてやっているということだが、県の資料を読むと、県都の玄関口の
イメージとして、福井の風景や歴史を想起させるものを西口広場の整備として考えていく必要があると書かれているし、それから、プロジェクト
デザインについては、コンペを実施し、すぐれた空間
デザインを実現していくことが必要だと書かれている。どうして、福井市が計画している
ガラスで覆われ、夏にはミストで冷気をつくるような広場が福井にふさわしいのか。東京や大阪と同じような手法だろう。なぜわざわざ、福井でそういう企画が福井の歴史につながるのか、さっぱりわからないがどうか。 ◯総合政策部長 まず、屋根付きの屋根の部分については、どうしても冬場の雨、雪の対応策として、屋外で活動する期間が非常に限られてくるので、広々とした屋根付き広場を駅前空間の中に設けるというコンセプトができ上がったのだろうと思っている。 ◯佐藤委員 それがなぜ福井にふさわしいのか、福井の歴史とそういう
デザインが結びつくのかと聞いている。 ◯総合政策部長 若者が集い合うという目的もあったと思うので、若者がより集いやすい場所としてこの空間が利用されると考えている。 ◯佐藤委員 これまでも依然あった芝生の広場は、いろいろな企画で利用されていて、私も顔を出したことがあるが、基本的に無料である。だから、若者達の利用の勝手がいい。しかし、正式決定ではないだろうが、今度の広場を有料化することになれば、逆に、部長の言う若者が気軽に利用できるという姿から遠くなるのではないか。 ◯総合政策部長 全面を借り切って使う場合の利用料金については、検討されていると聞いているが、そうでない場合には無料で使えると理解している。 ◯佐藤委員 いずれにせよ、今言った県都
デザイン戦略にある福井市の歴史を感じるものとしてふさわしいものかどうか。若者を含めて県民、市民の利用勝手がよくなるのかどうかについては検討が必要だと思っている。 これも一般質問で取り上げたが、地下駐車場の有料化という問題である。これも新聞報道だが、福井市議会で質問されていて、中心市街地の活性化に逆行するのではないかという質問に対して、福井市は、30分未満の利用車は年間約7万台であり、少なからず人出への影響はあると思われると述べている。県は余り影響ないと考えているようだが、福井市は影響があると述べている。これもちぐはぐではないか。 ◯土木部長 土木警察常任
委員会でも答えたが、西口地下駐車場の利用者に対するアンケートを行っている。駐車場利用の理由としては、30分無料だからとの回答が17%、目的地が近くにあるから、屋根つきで雨風にぬれないから、施設がきれいだから、安全だからという理由が83%を占めている。この
データによれば、30分無料だからという人は少なくて、駅前商店街には、影響はないと考えている。 ◯佐藤委員 それなら、そういうアンケートをもとにして、福井市の理事者ときちんと丁寧な打ち合わせが必要だと思う。こういう計画についても、県の答弁と福井市の答弁が正反対というのでは、市民が混乱するのではないか。 ◯土木部長 福井市の理事者は、7万台という数字で多いか少ないかという判断をしたのだと思うが、30分無料だからという理由は17%しかいないということである。これは平成24年、平成25年のアンケートで、それぞれ15%、17%と同じような数字であり、影響がないと考えている。 ◯佐藤委員 このテーマで知事に尋ねるが、この地下駐車場は、もともとは福井市の計画の中で位置づけられたものと思う。もちろん
交通安全施設という面もあるが、福井市にどれぐらいの駐車場が必要かという計画の中で位置づけられつくられた施設だと思う。今回問題になったのは値段の設定だが、福井市との意思疎通が不十分ということは、知事、改善していかないとまずいのではないか。 ◯知 事 今、言われた事柄だけで意思疎通がないのではないかと言われると、ちょっと言い過ぎかと思う。それぞれ主体も違い、県の問題を福井市が考えると、瞬間、瞬間では少しずつ違うように見えるかもしれない。確かに、主体は違うけれども、福井市は県都であり、極力、協力しながら県民、市民の大方の方向を受けとめて進めていくことは重要だと思う。しかし、全く同じことをしては、2つの自治体があるから意味はないと思う。 ◯佐藤委員 市民から見て、同じ時期に同じテーマで全く正反対の意見が報道されるのはよくない。私は地下駐車場に反対してきたが、できた以上は、どう利用を向上させていくか、福井駅前をどう活性化していくかは共通のテーマであり、みんなで考えるべきものだから、ちぐはぐに見えるのはよくないと申し上げている。 次の質問に移る。新幹線工事など、いろいろな工事が始まる時期になってくる。道路をつくるときには、用地交渉をして契約を結んで登記を移転し、代金を払うのが普通だと思うが、登記の移転がなされていない現状がどうなっているか尋ねる。 ◯土木部長 県管理道路で未登記となっている用地は、平成24年度末で2,094筆ある。この未登記地は法務局の公図と現地の実測図が合わない、登記名義人の相続関係人が多いなどの理由により、
所有権移転登記が困難なため発生したものである。 ◯佐藤委員 私のところにも、あそこは実は自分の土地であり耕作させてほしいなどの相談がある。しかし、実際は道路用地になっており不可能であるという事例もあった。こういうことを放置しておくと、今後いろいろな問題になってくることがあると思うが、県はどのように対応しようとしているのか。県として、こういう未登記地を解消するために事務処理の要領などをつくって、きちんと計画的に解決を図っていくことが必要ではないか。 ◯土木部長 道路敷については、道路法第4条の規定によって、自由に土地を使用することができないとされている。例えば、第三者が売買契約によってその土地を譲り受けても、その第三者は県の土地の占有に対して
損害賠償の請求ができないし、使用もできないということである。 どう解消していくかということだが、平成24年度には、相続人とか隣接地権者など関係者の理解を得て74筆の未登記を解消しており、今年度も引き続き解消に努めたいと考えている。
◯佐藤委員 道路法による私権の制限はわかった上で質問しているが、こういうことがどんどん多くなってくると、2世代、3世代後にもめたときに解決が長引き、ややこしくなると思う。もちろん裁判で県が訴えられても勝つだろうが、裁判費用はかかるわけだから、きちんと早く解決していくという姿勢には立てないか。 ◯土木部長 未登記の解消には努力すべきであるが、相続人が多くて非常に時間のかかるものとか、隣接地の境界の確認が遅く未登記になっているものがあって、まずはできるものから一所懸命、解消に努めていくということでやっていきたいと思っている。 ◯佐藤委員 これから新幹線の工事も始まるが、工事区間が長距離に及び、同時多発的にいろいろ地域で工事が行われることになる。常に
公共事業が行われるときには、文化財の埋蔵調査が話題になるが、その調査体制を十分拡充していかなければならないと思うがどうか。 ◯教育長 一般的に埋蔵文化財の調査については、文化財調査員専門員2人と実際に作業を行う者が20名ぐらいで1チームを編成し行っている。その1チームで行われる
発掘調査の規模は、大体年間で3,000平方
メートルぐらいとなっている。新幹線の調査については、最大10チームぐらいとれる体制で取り組む。これは
富山県よりは多く、石川県と比べても遜色のない対応となっている。現段階で新幹線の工事による
発掘調査の面積を約9万平方
メートルと見込んでいるので、この体制で十分対応できると考えている。 ◯佐藤委員 そのような体制で万全を期すということだからやっていただきたいが、福井市内にも工事区間には糞置荘の遺跡があると報道されている。正倉院に開田図が2枚残っているということであり、正倉院の宝物に開田図が複数枚残っている荘園というのは極めて少ないということである。いにしえの時代から東大寺の創建に福井が貢献してきた非常に貴重な場所だと言われているが、そういう場所の調査を特に重視してやるとか、その土地を保全するとか、どのように考えているか。 ◯教育長 もちろん
公共事業による工事のところであるから、そういった遺物等については保存をしながら記録調査して、報告書をまとめていくことになる。ほかの場所でもいろいろな形のものが出てきており、出土した貴重なものについて保存していきたいと思っている。 ◯佐藤委員 古い話であるだが、前回の福井国体のときには道守荘が破壊されたということで、当時の文化財の関係者からはいろいろ意見があったように思う。今回の糞置荘については、文化財関係者の意見を聞いているか。 ◯教育長 今申したように、これから発掘等を行っていくので、その中で記録調査等について
専門家の意見等も十分いただく。今後、実際の発掘が始まるので、これから話をしていくことになる。 ◯佐藤委員 ぜひ丁寧に
専門家の意見を聞くよう願いたい。 これもマスコミで報道されているが、敦賀市の
中池見湿地の下の
トンネル工事によって湿地が破壊される懸念が出ている。ここは
ラムサール条約に登録された湿地であり、世界的にも非常に注目されているが、これについての対応はどのように考えるのか。 ◯安全環境部長 事業者である
鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、
中池見湿地の
自然環境への影響があるかについて、動植物、生態系、水環境などの
専門家で構成される
北陸新幹線中池見湿地付近環境事後調査検討
委員会を設置したところである。11月16日には第1回の検討
委員会が開催され、動植物等の
自然環境の調査、地下水の水位・流量・流れの向きなど、機構の調査、計画案について検討
委員会で了承したところである。 機構においては、来週から猛禽類の調査に着手するなど、おおむね1年をかけて調査を実施することとしている。これを受けて検討
委員会は、今後季節ごとに3回程度検討会を開催し、来年度末までには機構に対し必要な提言を行うことになっているので、県としては環境省、地元敦賀市と情報を共有して、検討
委員会における保全対策の議論を注視していきたいと考えている。 ◯佐藤委員 当初の
トンネルルートから湿地側に150
メートルか200
メートル近くずれたと聞いているが、県はいつ知ったのか。 ◯新幹線・交通政策監 国の認可の時、実施計画が提出された際に知ったという状況である。 ◯佐藤委員 非常に重大だと思う。こういうことを県が、提出されるまで知らなかった、何の相談も受けていなかったということは重大である。そもそも変更の目的は何か。 ◯新幹線・交通政策監 機構から聞いているのは、新幹線ルートは高速の鉄道ルートであるので、できるだけ線形をよくすることや、敦賀の
トンネル出口付近の住宅地を避けるため、変更したと聞いている。 ◯佐藤委員 住宅地のことはともかく、
中池見湿地のことであるが、先ほどの安全環境部長の答弁では、来年度末までに必要な提言をまとめるという答弁であった。そうすると、その間、工事の発注を見合わせることを機構に要求するのか。 ◯新幹線・交通政策監 敦賀市の広報等を通じて、環境調査を1年半かけてやり、中心線測量はこの環境調査を終えてから実施するということを伝えている。 ◯佐藤委員 そうすると、その区間は、来年度の末の結果が出るまでは中心線測量も含めて行わないということだね。その区間については、県は分離発注を提案しているが、その結果によっては前後も、当然ながら影響してくる。前後を先に発注してしまうと
トンネルがつながらないということになってしまうが、その辺はどのように考えているか。 ◯新幹線・交通政策監
トンネル区間の前後については、今回の工期短縮の提案の中でも支障がないように分割発注等を国並びに機構に提言しているところであり、支障がない形で
トンネル工事等を進めてもらうよう機構に申し入れている。 ◯佐藤委員 余り答弁になっていない。支障がないようにといっても、来年度末の結果が出るまで
トンネル工事の位置がはっきりしないわけだから、支障がないようにほかのところだけを工事するというのは、意味が通じない。 ◯総合政策部長
中池見湿地に係る部分については
トンネルのルートがまだ決まっていないということであるが、その他の区間については、影響がないということである。仮に中池見のところで曲がっても、前後についてはちゃんとつながるということになっているので支障がないということである。 ◯佐藤委員 私も専門家ではないので、曲がってもつながることは可能なのか、よくわからないが、やっぱり非常に問題があると思っている。 それで、先ほど安全環境部長が答弁された新聞報道にはこう書いてある。「この審議は、水環境の予測が中心となる。必要であれば小規模なボーリング調査を指示する」とこの委員会の松井委員長が述べたと書いてある。このとおりで間違いないか。 ◯安全環境部長 委員長の発言を正確には承知していない。 ◯佐藤委員 県の職員もオブザーバーで参加しているのではないか。 ◯安全環境部長 その新聞報道の記載内容については、まだ詳細に確認していない。 ◯佐藤委員 では、オブザーバーで参加した県の職員の報告によれば、この環境調査はどういう調査をやられるのか。 ◯安全環境部長 オブザーバーとして参加した職員に確認をしたいと思う。 ◯佐藤委員 ぜひ確認してもらいたい。
京都大学大学院の小杉賢一朗という山中の水の動きを研究している先生がいて、先日敦賀市で中池見関係のシンポジウムがあったときに、私も先生の話を聞いた。実際にこの先生は
兵庫県の六甲山系で調査し、それの報告をしていたが、何本もボーリング調査をしてみると、意外とたくさんの水が貯留されていることがわかったという。やる以上は最小限のボーリング調査ではなく、きちんとした調査をやって
中池見湿地が破壊されないのかどうかということを明らかにすべきだと思うが、いかがか。 ◯安全環境部長 今後、検討委員会の中で議論が進められていくと思う。一方で、
中池見湿地であるが、
ラムサール条約の3つの柱の1つにワイズユースという考え方がある。健康で心豊かな暮らしや産業などの社会経済活動としっかりバランスを図っていくというのも、
ラムサール条約の理念の一つであることは申し上げておきたい。 ◯佐藤委員
中池見湿地が、
トンネル工事によって湿地の価値が失われる可能性があるのではないかということを聞いている。新幹線が通ることによって社会活動が便利になるということで質問しているわけではない。おかしな答弁はしないでいただきたい。そもそも
トンネル工事で湿地が破壊されるかが一番の焦点になっているわけだから、湿地が破壊されても便利になればいいというのでは全然だめで、今の説明はおかしい。 ◯安全環境部長 貴重な動植物が生息している湿地であるので、そのような認識は持っているし、適正に保全されるべきであるということは、県としても認識している。 ◯佐藤委員 新幹線の関係でもう一点だけ尋ねるが、県は3年間の工期短縮を提案して、今、国で協議されていると報道されているが、別の報道では、JR西日本の社長の
記者会見で、フリーゲージトレインの開発は難しく、当初の敦賀までの開業年度にぎりぎり間に合うかどうかだと言っていた。そうすると、県が求めた工期短縮どおり前倒し開業できたとしても、フリーゲージトレインが間に合わないということもあり得るわけである。その場合、私が前から要求しているように、現行の特急存続という立場で要求されるのか。 ◯総合政策部長 フリーゲージが一つの方策であるという提言は受けているが、それが全てではないと理解している。並行在来線の運行の中で特急の存続は厳しいと考えられるが、乗り継ぎ方法は、ホームツーホームなどいろいろな方策があると思っている。
◯佐藤委員 ぜひ、特急存続を選択肢に入れて検討いただきたいと思う。 最後の質問であるが、政府の米の政策が大規模に変更される。価格の乱高下が予想されることや、交付金の廃止削減などで、現在の米価水準と交付金に依存しているが、頑張っている担い手農家、あるいは集落営農を一所懸命やってきている人たちが大きな影響を受ける。農林水産部長の答弁は、農家と地域経済に大打撃を与える政策になっても、何とか福井県の農業を持続、発展させていくという答弁であったと思うが、福井県の農業生産、地域経済に与える影響をどのように分析しているのか尋ねる。 ◯農林水産部長 個別農家に対しては、第2回のプロジェクトチーム会議でもいろいろなパターンを示して試算をした。例えば1,200万円の所得のある農家については、交付金がなくなることによって150万円所得が少なくなる。それから、国の試算では基本的に米価は下落しないという前提であるが、委員の話しにあったように、米の価格、需給バランスが崩れる懸念がある。1割、2割米価が下落した場合には、1割下落した場合には先ほどの150万円も含めて300万円、2割では500万円くらいの所得減の影響があると考えている。 ◯佐藤委員 持ち時間が来たが、福井のような
中山間地域を抱えたところでは、大規模化だけでは農業は成り立たないので、そういうことも含めてきちんと国に対策を求めていただきたいと要望して終わる。 〜以 上〜 ◯山岸委員長 以上で佐藤委員の質疑は終了した。 石川委員。 なお、石川委員よりパネルの使用について申し出があり、許可している。 「高速増殖炉「もんじゅ」について」 石川与三吉 委員 ◯石川委員 県会自民党県政会の石川である。今回は2点に絞って質問をさせていただく。答弁は、少し大きな声でお願いしたいと思う。 まず、高速増殖炉もんじゅについて質問する。 1万件を超える機器の点検漏れが発覚した。そのため、日本原子力機構は改革計画を策定、10月1日から1年間を集中改革期間と位置づけた。県はこの改革計画について、運転管理と
研究開発の指揮命令系統が2つに分かれる点に強い懸念を示し、
副大臣クラスが統括するように求めているということである。 これを受けて国は、11月18日、桜田
副大臣を本部長とするもんじゅ改革本部を設置、改革推進の
事務局とする政策を整備し、
副大臣みずからが西川知事を訪問し報告したということである。 これに対し知事は、まず初めに、来年4月に予定している「もんじゅ」の組織改編、2点目には国民への説明と信頼回復への取り組み、3点目には機構の監督強化の3点についての指摘、要望をするとともに、1年間の集中改革期間をできるだけ前倒しし、「もんじゅ」の研究に集中できる体制づくりを進めてほしいと強く求めたと。このことについて伺う。 改革の推進について、県として進捗状況を把握すべきと考えるが、知事はどのように考えているか伺うとともに、その方策等についてあわせて伺う。 ◯知 事 原子力機構は、過去の事故や機器点検等の反省に基づき、
プラントの保守管理に万全を期し、
研究開発に集中できる体制づくりを早急に進め、成果を上げる必要があると考える。9月26日に原子力機構が公表したもんじゅ改革計画については、県は
文部科学省に対し、原子力機構だけの問題ではなく、政府として責任を持って指導監督するよう強く要請したところである。国としては、多くの事柄については、県の要請内容に沿った制度改革や体制強化をしていると思うし、かつ
副大臣がトップだということで、政治の力で責任を持ってこの問題に対応したいということであった。 先月18日には、桜田
文部科学副大臣が来県し、本県の要請を受けて、みずからを本部長とするもんじゅ改革推進本部を設置する方針が示されたわけである。その際、改めて敦賀事業本部の原子力の問題に対する位置づけの明確化や
敦賀発電所の事務所の体制強化に責任を持って取り組むよう要請した。 質問のあったように、原子力機構については、一つ一つがどのように進んで、どんな成果が上がり、何が問題だということを1年間の工程でみずからはっきりと整理し、福井県、県民に対し、知らせるよう強く申し上げているところである。 県としては、今後、県の原子力安全専門委員会等の審議などを通じ、原子力機構や
文部科学省、国の対応状況を厳正に確認していきたい。 ◯石川委員 「もんじゅ」は平成7年12月8日にナトリウム漏えい事故を起こし、運転停止をして以来、18年の歳月が過ぎた。その間、炉内中継装置の落下事故など、相次いで問題を起こしている。そのたびごとに日本原子力開発機構は、本部長を交代させるなど心を新たに
研究開発を進めると談話を発表しながら、一向に
研究開発は進まない状況である。 先ほども発言したが、今年度も1万件を超える機器の点検漏れが発覚した。機構は本部長を交代させ、安全神話を旗印に再度、国民の信頼に応えるとしているが、本当に「もんじゅ」の生き方はどうなるのか、大変不安に思う。「もんじゅ」については、日本はもとより、世界の原子力の先頭に立ち研究を進めるべきと考えているが、知事はどのように思うのか尋ねる。 ◯知 事 「もんじゅ」のこれからの役割、使命であるが、12月6日に公表されている国の
エネルギー基本計画案では、もんじゅ研究計画に従い、高速増殖炉の成果の取りまとめなどを実施するとされている。資源に乏しい我が国において、大きくいうと「もんじゅ」には2つの役割があると思う。1つは
ウラン資源の有効利用による
エネルギーの安定確保、もう一つは将来の
放射性廃棄物の低毒化、低量化のための使命であって、国際的な
研究開発プロジェクトとして、国際的連携がぜひ必要である。 文科省は、こうした「もんじゅ」のミッション・使命の重要性を国民に丁寧に説明することにより、原子力機構職員のモラルを上げる必要がある。目的をはっきりさせないで安全管理するという体制では、モラルが上がらないし、逆に安全管理が難しくなると思う。申したように、使命をはっきりさせ、安全管理に着実につなげ、1年ごとの目標をしっかりと定め、着実に成果を上げ、国民にこれを知らせ、なすべきことを行う必要があると思う。 ◯石川委員 今の知事の答弁に納得した。私もそのような考え方であり、特に地元であるので、「もんじゅ」についてはしっかりと頑張っていただきたい。 「敦賀市街地の中心部を流れる笙の川について」 ◯石川委員 それでは、次に、敦賀市街地の中心部を流れる笙の川について質問をする。 私は、平成7年4月から笙の川の四季を撮影している。平成10年9月22日、台風7号による大洪水が2
メートル91センチ、平成16年9月30日の大洪水は2
メートル9センチ、さらに今回の平成25年9月16日の台風による大洪水は3
メートル63センチ、氾濫危険水位より1
メートル30センチ以上上昇した。それぞれ堤防決壊寸前まで水位が迫ったことになっている。 このように、年ごとに笙の川の水位が高くなり危険性が増しているのは、近年の気候変動による雨の降り方が原因なのか、それとも笙の川の堆積土によるものか、あるいは笙の川上流の黒河川、助高川、木の芽川の3河川が合流するために想像以上に高くなるのかということである。このことについて伺う。 ◯土木部長 笙の川及び上流河川については、現在まで33基の砂防堰堤を設置してきた。今年度は木の芽川支流の滝ケ谷川において新たな堰堤の整備を着手している。 砂防堰堤は、台風18号により小浜市忠野などで発生したような土石流を防ぐべき箇所について優先的に整備しているが、笙の川上流域についてもこのような箇所があることから、引き続き堰堤等を整備することとしており、下流の堆砂抑制にも一定の効果があると思っている。 笙の川下流域の堆砂、洪水を防ぐため、新たな堰堤の整備とともに、既設堰堤の堆積土砂の除去や、河川のしゅんせつ等の対策をあわせて行う必要があると考えている。 ◯石川委員 上流3河川に
砂防ダムが必要ではないか。十分に考慮、検討する必要があると思うが、いかがか。 ◯土木部長 砂防事業は、土石流などによる土砂災害を防止する目的と上流で砂を止めて下流の河川の堆積を少しでも減らす目的の2つがある。砂防堰堤は、笙の川の堆積抑制に効果があると考えており、治水効果もかなりあると考えている。 ◯石川委員
砂防ダムは、急速に流れる土砂や雑木、濁流を食い止める役割をすることができる。どのように考えているのか、再度尋ねる。 ◯土木部長 確かに委員の言うように、止める効果がある。ただ、既に33カ所という多くの堰堤を入れており、今後も計画的に堰堤を入れていく予定であるが、それでも下流に流れる土砂はある。となると、堰堤を入れ、下流の堆積土砂のしゅんせつ、安全のための堤防の補強をあわせてやることが必要ではないかと考えている。 ◯石川委員 9月30日の土木警察常任委員会で笙の川の質問をしており重なる点もあると思うが、ここに笙の川の四季を撮影した写真があるから、後ほど時間があったら、皆に見てもらう。 ところで、井の口川の河川改良工事の完了は6年後と聞いている。そのため、危険のある笙の川の改良工事は6年後に着手すると聞いているが、そんな悠長なことでは市の中心部を流れる笙の川がもし氾濫した場合、敦賀市の3分の1が水没するおそれがあると思うがいかがか。 ◯土木部長 笙の川については、大正から昭和初期にかけて現在の場所につけかえられた。存じていると思うが、10年に一度の大雨に対応できるように計画されている。 その後、戦後の高度
経済成長によって市街地が拡大したことから、平成21年に50年に一度の大雨に対応できるよう河道の掘削とか、三島橋などのかけかえとか、護岸の補強などを内容とする河川整備計画を策定した。 現在、治水安全度の低い井の口川の改修事業を実施しているが、笙の川についても、現時点の流下能力を最大限に生かせるようしゅんせつを行っている。平成14年から12年間で9万立米を計画的に実施して治水安全度を高めている。これからも、台風18号では危険水位が迫ったということもあり、笙の川の早期事業着手に努めるとともに、改修までにはまだ時間があるので、堆積した土砂のしゅんせつや堤防の補強などを重点に実施したい。 ◯石川委員 先ほどから、土木部長には懇切丁寧に答弁をもらい、大変ありがたいと思っている。しかし、担当部に理解されていても、知事が理解しゴーサインを出さないと調査に入れないと思うがどうか。 ◯土木部長 まず、現況は市街地であり拡幅は困難であるため、河川整備計画を立て、河道を掘削し50年に一度の大雨への対応をするということである。毎年、上流側からたくさんの堰堤をつくっているが、再度、土砂がたまり、流下を阻害している場所についての流下能力の調査、堤防の弱い部分の調査をやっていきたいと思っている。 ◯石川委員 土木部長の答弁を聞いていると、調査よりも、川底を深くしたり、堤防を強化したりする方法でと言っているようであるが、笙の川では、河口と海の境では底が同じ高さになっている。したがって、川底を下げても何ら効果のないと思っているので、そういう考え方は私には納得できない。先ほどから申しているように、まず調査をするということが大事ではないかと思うが、再度その考えはあるか伺う。 ◯土木部長 笙の川の河口付近は、海底とつながっていて、海に近いところについては、確かに海底を掘削しないと効果がない部分もある。ただし、ある程度河床が高い場所になると、しゅんせつの効果はあると考えている。河口付近については、海との兼ね合いがあって難しいが、足羽川のように特殊堤を整備する方法もあり、そういう方法がいいのか悪いのかということも含めて調査もしたいと考えている。 ◯石川委員 やっと調査してみたいという言葉が出たので、知事に伺いたい。 知事の理解を得て、土木部長が言うように調査したほうがいいのではないかと思うが、いかがか。 ◯知 事 土木部長が調査したいと言っているわけだから、調査するということである。 ◯石川委員 調査に入るよう言われたので安堵した。先ほど発言したが、敦賀市の3分の1が水没するおそれがある。堤防が決壊すれば、相当な費用がかかるが、その前に整備すれば被害が少なく済む。そうなる前に完璧なものを仕上げたほうがいいのではないかと思っている。転ばぬ先の杖とあるように、敦賀市民全員から笙の川の整備についての悲願の声が上がっている。きょうは、何としても笙の川について進めていくことを再度答えていただきたい。 ◯土木部長 先ほど全体的な調査をすると答えた。台風18号では、危険水位にかなり迫ったということである。調査において、一番有効な方法、対応策を一所懸命考えていく。
◯石川委員 それでは、笙の川の洪水の写真を見ていただく。(資料提示) 平成7年4月から笙の川の四季の撮影を続けている。ここには花畑のような笙の川、堤防の様子、中島が見事に公園のように見える。人の手では、このようなすばらしい公園はつくれない。自然がつくった笙の川の中島公園。花畑のような笙の川。 それから、松原の曲がり角の桜と赤い欄干のコントラスト。松原橋のさえた赤と黒く光る笙の川。桜の満開、美しいすばらしい笙の川の堤防。笙の川の堤防に集まる水鳥の群れ。きれいだ。 それから、右岸、桜見物に訪れる人影の姿。
コバルト色の笙の川の水鳥の群れ。 それから、夕暮れの桜満開。桜三分咲きの夕暮れどき。 それから、これは大雪時の雪の捨て場、笙の川の上流に、このように積んである。 水の流れ、コサギ、ゴイサギの楽園。 平成10年9月22日のときの台風の写真、多量の堆積土で雑草が畑のように見える右岸側。堤防が雑草か見切りがつかない笙の川である。堤防か川かわからない。こういうのを地元でずっと撮り続けている。 これが今年9月16日に発生した台風18号による笙の川の状態である。もう決壊の瞬間。ここには上流の黒河川、助高川、井の口川が入っている。このように荒れ放題である。 写真で見せたのは、現地を見てもらい、日ごろの苦しみを訴えたいこともあるし、自分は笙の川を気にかけ考えてきたのである。私は井の口川の整備が6年もかかり、その後に笙の川に着手するということに納得ができない。氾濫した場合、一体どうなるのかということを常に言われる。 粟野地区は敦賀市の3分の1の人口がある。今回はどうしても、この状況をしっかりと知事の頭に入れてもらいたい。氾濫してから工事に着手するというようなことでは遅い。今回は小浜市で堤防決壊など、大きな災害があったが、3日間もその対策をとれないという状態であった。もし、笙の川が決壊した場合、敦賀市の3分の1が水びたしになってしまう。国土強靭化という話もあるが、県は少しのんき過ぎるのではないかという気がするが、いかがか。 ◯知 事 笙の川には敦賀市内のあらゆる河川が集まる。以前はそうでなかったが、周辺にも住宅がだんだん密集してきて、工事がなかなか厳しい中であるから、申したようにいろいろな調査もやり、並行してしゅんせつを行うなど努力したいと思う。 まちの中の防災は極めて大事であるが、この問題については、敦賀市や周辺住民のいろいろな協力が要るし、漁業との関係もいろいろあるようなので、それらを考えながら対応していきたい。 ◯石川委員 これは12月8日の写真である。(資料提示)笙の川を美しくする会というのがあって、午前9時ころ、笙の川の周辺をこうして
ボランティアが掃除をしている。表彰もされている。 懸命に川を守っているが、水害時になると大変心配で、本当に水害のことを考えると、あの周辺には住みたくない感じがする。だから、この姿の笙の川は非常に敦賀市にとって大事である。桜が満開の時はすばらしい。しかし、いくら満開でも、堆積土満載ではだめである。時には恐ろしいところでもある。 これ以上申さないし、これ以上、私は笙の川についての質問はしない。あとは知事が土木部長と相談した上で、調査には前向きな気持ちでというのではなく、調査する、早急に調査に入りたいという考えがあれば、答えていただきたい。 ◯土木部長 河川整備計画では、粗く断面をとっており、しゅんせつしている河床等があるので、まず詳細な測量を行う。また、水位が危険水位にまで上がったということで、例えば
コンクリートの擁壁で堤防をかさ上げできるか。堤防の上部は道路になっているので、通行の支障とならないようにできるか、また、堤防の中に水が浸透しないための補強にはどうすればいいかなどの調査を早急にやりたい。 ◯石川委員 以上で終わる。 〜以 上〜 ◯山岸委員長 以上で石川委員の質疑は終了した。 ここで休憩する。再開は午後1時とする。 〜休 憩〜 ◯山岸委員長 休憩前に引き続き委員会を開く。 質疑を続行する。 吉田委員。 「国の
エネルギー計画と原子力」 吉田 伊三郎 委員 ◯吉田委員 県政会の吉田伊三郎である。しばらくこの委員会を離れていたが、9月議会の途中で配属してもらった。長らく質問をしていないこともあり、不備な点があろうかと思うが、お許しいただきたい。また、わかりやすい答弁をお願いし、質問に入らせていただく。 最初に、福井県の原子力の歴史を少し申し上げたい。昭和35年に旧坂井郡川西町で
京都大学の研究用原子炉誘致を
科学技術庁などに陳情されたと記憶している。それ以来、昭和36年に川西町長が、この陳情書を当時の北栄造知事に提出されている。その後、いろいろな調査の結果、不適当であるという地質の結果が出て、昭和37年に敦賀半島で調査をするという運びになったと聞いている。 そして、敦賀半島の敦賀側は日本原電が調査、美浜側は
関西電力が調査にかかり、昭和45年8月に大阪万国博覧会に
関西電力美浜1号機が商業用原子力として電気を送ったと記録されている。この間、私も2日分の手間代をもらえるということで、かっぱを着てスコップを持って、夜間に原子炉の建屋の
コンクリート打ち工事に2回ほど参加した経験があった。 敦賀市、美浜町を例にとると、それぞれの自治体は、敦賀半島の立石地域などは陸の孤島とも言われ、冬はしけになると1週間ぐらい出入りができなくなるという地形であるし、また、美浜町についても、それほどまでではなくても、似たような状況であった。また高浜町なども企業誘致も思うようにはいかず、何としても
原子力発電を誘致したいという思いも強かったと聞いている。おおい町の大島半島も陸の孤島であって、橋ができるまでは行き来ができにくかったという状況の中で誘致をしたが、その結果、町長の
リコール運動に発展し、町を二分する議論があったと伺っている。 いずれにしても、本当に原子力が欲しくてというより、自分の生活水準の向上やほかの地域と同様の経済的水準を望んだ住民が多かったため、今までずっとそのような方向に進んできたと思っている。 そこで質問するが、知事が
総合資源エネルギー調査会基本政策分科会に入り、国の
エネルギー計画と原子力について、いろいろと議論しているのは承知している。 電事連によると、3EプラスS、つまり経済性、安定供給、環境保全、安全という4つの柱が大変重要と指摘している。朝からいろいろな話をしているが、発電は、福島の事故までは大体30%近くを原子力に頼っておったわけだが、震災後には1.7%にまで落ち込んでいる。一方、承知かと思うが、燃料費は3.6兆円から、今は7兆円と約2倍に膨れ上がっている。CO2の排出量も、なかなか日本の示した数字に近づかないことも聞いている。 まず、12月6日に知事が参加した基本政策分科会では、
原子力エネルギーの政策上の位置づけ、増設、リプレース、さらには
エネルギーミックスの問題が話し合われたと聞いているが、どのような議論が交わされ、知事はどのような発言をしたのか伺う。 ◯知 事 12月6日の基本政策分科会であるが、これまでも個別テーマごとに申し上げているが、幾つかある。まず、
エネルギー政策の方向について、政府が責任と自信を持って明確に国民に説明をする。事柄によっては、説得的な状況をつくらなければならないということを申し上げた。これが国民の信頼につながる。 それから、
原子力発電所の廃炉とかリプレースなどの問題であるが、将来の展望を示すことなく古いものを単に使っていくというだけでは、
原子力技術の承継、発展は望めず、新しい技術を生かして安全性を強化していく姿勢が何よりも
原子力の安全に深くかかわってくるのではないかと申し上げた。 それから、実効性のある
温室効果ガス削減目標を立てるために、平成27年のCOP21までには、少なくとも
原子力を含めた具体的なベストミックスが定まっていなければならないと述べたが、こうした点については、特に異論が出ていない状況だと思う。 もっとも世の中にはさまざまな意見があるし、政党の中でも同様であることは事実であり、きょう開催される
エネルギー調査会で再度、いろいろな問題をもう一度検討することになると思う。 ◯吉田委員
原子力発電について、福島事故の前には、知事はどちらかというと消極的な考えと私はとっていたが、この委員会に入ってからの発言内容を見ると、福井県のあるべき姿、財政事情、立地地域の諸事を考えて、今いったことを推進するのかと思う。 特に
原子力発電を基幹電源と位置づけることを求めていると大きな見出しで報道されているが、基幹電源への位置づけのためには、
原子力発電所の発電量を何%ぐらいに引き上げればいいのか、具体的な数値が出せなくても、将来、どのくらいの福井県の
原子力発電を守っていきたいというような思いを聞きたい。 ◯知 事 特に
原子力の問題についての態度が変わっているわけではない。現に
原子力発電所が福井県にあり、県民のためにこの安全をどう確保するか、そして福井県としての役割、また
原子力の将来、こういうことについて責任持った対応が各県議会議員とともに必要だと申し上げている。
原子力エネルギーの問題は、福島の事故があり、反原発、原発容認、廃炉、リプレースといろいろあるけれども、福島の事故はあったが、資源の乏しい日本の状況を冷静に見詰めて、
日本の科学技術を尽くして、福島事故の教訓を生かし、この問題をどう乗り越えられるのか、議論し態度を決めなければ問題なので、政府に強く申し上げている。 6日の基本計画案では重要なベース電源という方向が示されており、いろいろな条件のもとで必要とされる規模を十分見きわめて、その規模を確保するというような結びになっている。これは
エネルギー政策における現在の
原子力の重要性を国として示したものと認識しているが、さらに、これを誰もが理解し納得して、こうした状況がつくられなければならないので、今申したように、最新の
科学技術の開発と人材育成に努め、安全性を高めた
原子力技術を追求する姿勢が大事だと思う。 ◯吉田委員 今の答弁では、科学的に新しい技術を取り入れた
原子力発電を今後検討したいと拝聴したが、いずれにしろ、福井県内には40年を超えた原発がある。そして、今から
原子炉をつくろうと思ってもできるようなものではない。そういう意味で、新しい科学的に安全な
原子炉をつくろうと思うと、今から調査し、計画していかなければ間に合わず、リプレースに向けたあらゆる準備を進めていく必要があると思うが、わかりやすく説明いただきたい。 ◯知 事
原子力発電所の運転停止、廃炉等については、いずれ課題として生じてくる大きな問題であり、委員が言うように時間のかかることもある。こうした状況を前向きの立場でとらえて、ある意味で福井県の県民益を上げ、県益に役立つようにしなければならない。背景には、長い歴史が委員の言うようにある。 この10月に設置した廃炉・新電源対策室では、「ふげん」などの例を参考にしながら、まずは県内外の廃炉に係るさまざまな実務的、技術的な手続や、その時点での安全性の確認、それに伴う国へのさまざまな要請など、その実現、地域の発展、振興などについて全体的、合理的に進めていく必要があるということで、福井県の取り組みについて委員会で申している。 いずれにしても、リプレース等の問題は電力事業者みずからの課題であり、それだけを個別に議論するのではなく、廃炉や安全性を高めた新型炉、新電源の将来性、当面の使用済み燃料の中間貯蔵の問題など、電力全体の課題とあわせて今後の対応を検討していく必要があると思っている。 ◯吉田委員 非常に前向きで積極的な答弁をいただいた。申したとおり、40年を超えた
原子力発電は新しい安全なものに切りかえたらどうかという世論が高まっている。本県では、商業用13基の
原子炉の中で平成生まれはごくわずかであり、あとは間もなく40年、10年もすると40年という発電所が多い。日本全体で
原子力発電の比率は30%であるが、関西地区の電気事業者の
原子力の発電比率はもっと高く、将来の関西経済あるいは将来の新幹線等々の問題にも関与してくると思う。福井県での
原子力発電量が国と同じ割合では、電力を賄い切れないのではないかという懸念を持つがどうか。 ◯知 事 これから資源
エネルギー調査会で我が国の方向性が出され、それを具体化し、国民からの理解を得ないといけないだろうから、その中でこれから議論されるということだと思う。 いずれにしても、我々としては福島のような事故を福井県で起こしてはならないという基本的な立場に立っているので、安全の問題等を何よりも重視しなければならないと思う。 ◯吉田委員 福島事故の前に、関西の電力事業者は美浜町でリプレースの調査に入りたいということで、県に
自然公園法、森林法、
文化財保護法等々の申請をして、少し調査を始めたところであの事故が起き、現在、自主的にその調査を中止している。 今の話のとおり、将来の電源が今から計画しないと間に合わないとすると、仮に県に対して事業者がリプレースの調査を再開したいという申請がされた場合、以前と同じように認可をするのか。 ◯知 事 今はそういう段階ではない。分科会の報告書自体、そういう具体的な話にはなっていないわけであって、電力事業者も、そういう国のいろいろな方針のもとで、これからどう考えるかということだと思う。 ◯吉田委員 国の会議が知事の言うような状況であることはわかるが、調査する場所は、岩盤が強く安全な場所というところであり、ある程度限られていると思う。 そういう自主調査も、知事が参加する調査会で前向きに議論が進まないと好ましくないという意味にとれたが、そういう趣旨の答弁か。 ◯知 事 福島事故があり、何としても事故を収束させ、それからこの教訓を踏まえて日本の
エネルギーの割合をどうするか。今回の報告書では、
原子力を含めてそれぞれの電源が一定のバランスで整備する必要があるとしている。
原子力エネルギーについては、基盤となる重要な電源という位置づけがなされようとしているが、まだ
閣議決定も得ていないし、これから国民のいろいろな意見を聞いて
閣議決定をすると思う。そうした上で、次に何をするかということであり、委員の言うような話までの議論ではないということである。 ◯吉田委員 新聞等では、年内に委員会の結論づけをして、年明けに政府が
閣議決定をされるというような報道がある。
基幹電源と位置づけられた後には、どのぐらいの
原子力を基幹電源として持つのかという議論になり、来年の春ごろには、福井県の
原子力エネルギーとしては、どのぐらい割合を確保していくかがわかるということでいいのか。 ◯安全環境部長 本日、基本政策分科会があるが、国の今後のスケジュールについて、県は具体的な見込みを持っているわけではない。具体的な比率についても、例えば
経済産業大臣の発言では、3年以内にベストミックスの数を目指すという発言がある一方、3年以内に
再生可能エネルギーの整備を加速するなど、さまざまな国の議論が続いている。少なくともCOP21までには示すべきだと知事は委員として要請しているが、国としてどうスケジューリングするかは、国の責任で考えることであって、現時点では、こういう見込みだと申せる状況にない。 ◯吉田委員 そうすると、国で
原子力発電等の比率がまとまった後、電力事業者から申請があった場合、先ほどの調査に関し、既に申請の認可を受けているので、今回はそのまま認可をするつもりなのか。 ◯知 事 今回の資源
エネルギー調査会基本分科会の報告は、福島事故を経て、ようやく国の政策の方向性が出せるのではないかという状態になったわけであるから、これからどうするかは、さらにさまざまな電源について、政府、省庁、電力事業者が個別具体的な計画なども考え、それらが具体的に明らかになってからの議論だと思う。 また、大きな課題として
原子力発電所の再稼働などの問題があり、安全性を確保しながら進めていくという議論になっているということである。 ◯吉田委員 同じことを議論しても仕方ないが、国が一元的に決めても、時間がたち過ぎると立地の市町から
原子力に関する意見もいろいろ出てくる可能性がある。鉄は熱いうちに打てという言葉もあるが、廃炉計画と同時にリプレースの計画もぜひしてもらいたいと思っている。 質問を変える。 「年縞について」 ◯吉田委員 三方五湖の水月湖の年縞の新たな評価について、2006年に
ニューカッスル大学の中川教授が放射性炭素の分析による結果を報告した。2012年10月には
アメリカのサイエンス誌に掲載され、年縞は非常に脚光を浴びている。水月湖は周囲約10キロ、最大水深38
メートル、面積4平方
キロメートルの湖で、三方五湖全体では1,110
ヘクタールあるわけだが、一番深い水月湖の水深の38
メートルから一番浅い湖の三方湖の2.5
メートルまで、それぞれ特性を持った湖が並んでいる。水月湖から日本海につながっている水路は、深いところで3
メートルぐらいであり、日本海から潮が入ると湖底に沈殿する。沈殿と同時に硫化水素が発生し、水深38
メートルのうちの33
メートルぐらいは、生き物が生息できない環境になり、その結果このような好い地層を残したと聞いている。 先日の一般質問で質問した時には、12月中に排水
トンネルの問題等の検証委員会を立ち上げるという答弁があった。嶺南流域懇談会は何回となく開催されていて、日本海へ排水することについて漁業者には一応の理解をしてもらっていると思ってはいるが、当然、排水
トンネルができると年縞はどうなるかという心配もある。湖の下の部分の水は全く動かない。本当は毎年少しずつ下の部分の水が日本海に流れていくといいのだが、たまっている水は永久にたまっていて、上の部分の水だけがそのまま日本海に流れているということである。水月湖では地引網による漁が行なわれているが、網の長さがたかだか7
メートルでも、網を
引き揚げたときには魚が酸欠で仮死するような状況であり、仮に排水
トンネルにより、表面から3
メートルぐらいの深さで水が流れるとすると悪い影響は出ないのではないかという思いである。これについては、専門家に調査してもらい、年縞が宝の持ちぐされにならないよう、幾つかの活用をしてもらいたいと思う。年縞を目当てに観光客が来ても、どこで年縞を見て、どのようにするのかが全くわからないので、何か計画があれば伺いたい。 ◯知 事 水月湖の年縞については、本年7月に三方青年の家において
ニューカッスル大学に留学している中川教授による研究発表会を開催し、8月31日には国際交流会館で茨城大学青山和夫教授による発表があった。また9月30日には、この年縞を使った新たな年代測定の物差しとなる国際標準の放射性炭素年代較正モデル13──これはイントカルという略語になっておるが──イントカル13の公表を受けて、東京で私、中川教授、鳴門
教育大学米延教授、県文化顧問の山根一眞氏で共同
記者会見を行い、全国にアピールした。教科書に何とかして掲載したいという気持ちもあって出版社に働きかけているほか、年縞の歴史や地質学の価値を解説したDVDを8月に作成し県内全小
中学校に配付している。来年1月には年縞ハンドブックの作成、2月には水月湖畔に解説掲示を設置することにしている。 現在、来年度に向けて、年縞研究者の意見を聞きながら年縞の採取、効果的な展示方法、旅行会社への学術観光の提案などを進め、今後の年縞活用の基本構想の策定を進めているところである。 ◯吉田委員 これで終わる。ありがとう。 〜以 上〜 ◯山岸委員長 以上で、吉田委員の質疑は終了した。 鈴木委員。 なお、鈴木委員より資料の配付について申し出があり、これを許可し、既に配付してある。 「河川整備計画の見直しについて」 鈴木 宏紀 委員 ◯鈴木委員 自民党県政会の鈴木である。午前中、我が会派の石川委員から、笙の川と井の口川の整備を急げという質問があった。私は、福井県全体の河川整備計画の見直しについて伺いたい。 先般、産業と土木警察常任委員会の合同で、台風18号の影響により多大な被害が発生した嶺南地域の復旧・復興作業の現地視察を行った。一日も早い復旧を願うとともに、今後の災害の未然防止策の必要性を再認識させられた。この現地視察を踏まえ、我が会派の
代表質問では、甚大な被害をもたらした河川災害への対応など、今回の災害の教訓を生かして災害に強い県土づくりを進めるべきと知事に提言した。 また、私自身も平成23年9月の予算特別委員会で、近年の河川改修に係る予算の縮減に加え、
ゲリラ豪雨など降雨形態の変化があり、県民が安心して生活できる河川整備状況とは言いがたい。甚大な洪水被害が発生する前に河川整備を前倒しして進めてはどうかとただした。 先般の台風18号の影響により破堤した野木川や越水した江古川の現地視察を通して、県の現在の河川整備計画の見直しの必要性を改めて強く感じたので、県が管理する190河川、総延長1,234
キロメートルの河川整備について質問する。 現在、県は
九頭竜川水系や災害が発生した北川水系など、県内を7水系に区分し、それぞれ河川整備基本方針を策定し、その基本方針に基づいて関係地方
公共団体の長や学識経験者、地域住民の意見を反映した6の河川整備計画が策定されている。 配付した河川整備計画の各水系と治水安全度の図を見ていただきたい。 嶺北においては、一級河川の
九頭竜川水系、災害が発生した一級河川の北川水系、石川委員から発言のあった井の口川水系、笙の川水系等6の河川整備計画に沿って、現在、県内の河川整備が進められていると認識している。 図を見てわかるように、県内全体にいつ浸水被害が発生しても不思議ではない赤と黄色で塗られた治水安全度5年未満と10年未満の河川区間が、嶺北地方に多く点在することが一目瞭然でわかる。 今回、被害のあった江古川や野木川も赤色で塗られており、いつ被害が発生してもおかしくない治水安全度5年未満の河川区間となっている。越水した江古川は、平成16年にも浸水被害が発生していることもあり、北川水系河川整備計画の中で整備計画期間内に整備すると明記されているが、残念ながら整備前に浸水被害が発生してしまった。また、破堤した野木川については、整備計画の対象にすらなっていなかった。 そこで、まず、江古川と野木川について、河川整備計画においてどのような位置づけになっているのか伺う。 ◯土木部長 まず、江古川については、北川水系における県管理区間の河川整備計画において、おおむね10年に一度程度発生する大雨による浸水被害を防止・軽減するための治水対策を検討する。また、小浜市と協力して開発の指導に努めることで、新たな宅地化による浸水被害の増大を招かぬよう適正な土地利用の維持を図る。もともと北川の水位に非常に影響を受け水がつく土地であったので、このような2つのことが位置づけられている。今後、市道と兼用している江古川の右岸側堤防のかさ上げなど具体的な改修方法について、地元、田の所有者、被災者や市と協議し、河川整備計画を変更し位置づけしていく。 それから野木川については、台風18号に伴う破堤による氾濫の再度災害防止を図るため、右岸側の堤防かさ上げ、護岸工による堤防の強化といった改修計画を定めて河川整備計画に位置づけ、北川水系の変更を行う予定である。 ◯鈴木委員 野木川については、北川水系の整備計画を見直す検討に入るという理解でよろしいか。 ◯土木部長 野木川については、災害によって堤防補強、右岸のかさ上げという変更が生じたので、北川水系の河川整備計画の見直しを行うということである。 ◯鈴木委員 わかった。そもそも県内のそれぞれの河川整備計画の優先順位、整備期間、整備度合、治水安全度について、どのような考えに基づいて策定されたのか伺う。 また、河川整備計画を策定するに当たって、河川の実情を最もわかっている地域住民の意見をどのように反映させたのか、あわせて伺う。 ◯土木部長 河川整備計画は、おおむね30年で整備する河川の区間や改修の内容などを定めたものである。現在、県管理の河川は190あるが、想定氾濫区域に家屋がある137河川の中から家屋浸水の被害履歴がある65河川を選定して、このうち過去30年に家屋浸水が2回以上または10戸以上の浸水があった39河川について、河川整備計画を策定している。 これらの河川から、下流の整備状況、費用対効果、沿川における市街地の有無、資産の大きさなどを総合的に評価して、順次、改修事業に着手している。これまで足羽川など7河川が完了している。 また、
九頭竜川水系の河川整備計画の策定に当たっては、18回の住民説明会やアンケート調査などを実施して、関係する住民の意見を聴取してきたところである。 ◯鈴木委員 県が管理している190河川のうち想定氾濫区域内に家屋がある137の河川から水害や浸水の歴史がある65河川を抽出し、その中から被害回数や被害戸数の多かった39河川を早期に整備すべき河川と位置づけ、効果や費用などを総合的に判断し、順次整備を進めると理解した。 整備の優先順位や求められる治水安全度については、専門的知識を有する者が適正に判断されていることと思うので、私がこの場でとやかく言う気はない。ただし、今の答弁にあったように、整備計画の対象期間が20年から30年となっており、余りに時間がかかり過ぎではないか。 そこで、整備改修期間について少し整理したいので、まず、早期に整備改修が必要とされる39河川の整備完了に何年程度かかるのか、また、水害や浸水の歴史がある65河川まで整備対象を拡大すると何年程度要するのか伺う。 さらに、想定氾濫区域内に家屋のある137河川全てを改修すると、おおむね何年程度要するのか伺う。 ◯土木部長 河川整備計画に位置づけられている39河川のうち7河川は完了しており、残る32河川は、おおむね30年で完了するよう整備を進めている。 これ以外の河川については、引堤、河道掘削、ダムや遊水池にするとか、具体的な改修方法、期間は今後決めていく必要がある。また、下流の改修が終わってから上流をやるという流下能力の上下流のバランスがあり、着手時期は異なる。 そういうことで全ての改修を終える期間を示すことは、なかなか難しい。 ◯鈴木委員 平成23年の予算特別委員会でも、そういう答弁があったと思うが、早期の整備が必要ある39の河川については、おおむね30年程度と理解した。また、想定氾濫区域内に家屋がある137河川の全てを対象とすると、なかなか予測が難しいということだね。 ◯土木部長 39河川以外の河川についても整備基本方針として流量だけ決めている河川はあるが、決めていない河川については、河川の断面、流量、堤防の高さを具体的にどうするか、いろいろ調べる必要がある。 39河川以外の河川については、それらの整備が終わった後、まず調査をやって新たに河川整備計画を位置づけ、整備するということである。 ◯鈴木委員 現時点では、今後の調査によって改修期間が変わってくると理解しておく。 どちらにせよ、余りに長く時間がかかり過ぎる印象は否めない。というのも、数年前までは異常現象と思えた1時間に50ミリを超える、いわゆるバケツをひっくり返したようなすさまじい大雨が全国各地で近年は頻繁に発生しており、もはや常態化しつつあると言っても過言ではなく、このような降雨形態の変化を鑑みると、河川整備に数十年も費やしている間に未整備の河川区間においては、先般の江古川や野木川のような浸水や破堤といった被害がたびたび発生することも危惧されるからである。 降雨形態の変化に起因する水害や浸水を少しでも減らすためにも、整備期間の短縮や整備計画期間内で整備を進める河川の拡大を図るなど、各水系の河川整備計画の基本的な見直しを行う時期に差しかかっているのではないかと考えるが、県の認識を伺う。 ◯土木部長 河川改修においては、流域における人口や資産の集中状況などの重要度に応じ、例えば江端川では50年に一度の大雨に対応する整備目標を定めている。 まずは、流域全体の治水安全度を向上させるため、32河川の改修を早期に完了させるよう全力を挙げたい。各水系の河川整備計画については、野木川で発生したような災害の発生状況なども考慮して、適切に見直しを行いたいと考える。 ◯鈴木委員 今の答弁は、災害が発生した場合には整備計画を見直すという、何かよくわからない釈然としない答弁であるが、そもそも各水系の河川整備計画には、社会情勢や
自然環境の変化、地域の意向などを適切に反映できるよう、必要に応じ適宜整備計画を見直していく旨の進捗管理に関する文言等が明記されていると思うが、どう認識しているか。
◯土木部長 河川整備計画の進捗管理であるが、
九頭竜川水系においては、国も入れた
九頭竜川流域懇談会の中で進捗管理を行っていく。嶺南地域の河川整備計画の点検については、嶺南地域流域検討会で学識経験者の意見を聞くことで進捗管理をしていきたいと考えている。 ◯鈴木委員 今の答弁は、整備計画の進捗状況を管理する組織のことだと思うが、申したかったのは、6河川整備計画の進捗管理の部門で、
自然環境とか社会情勢、あるいは地域の方々の意向をしっかり反映できるよう、適宜計画を見直していく旨がしっかりと明記されているのを知っているのかという質問であった。私は全部目を通し、その旨がしっかりと明記されていることは知っている。 言いたかったのは、今、民主党から自公政権に変わり、災害に強い国土形成を進める方針を打ち出したことにより、社会情勢が変化している。また、先ほど申したように、1時間に50ミリを超える降雨形態が常態化し、全国各地で浸水被害が頻繁に発生するなど、
自然環境も変化しつつある。それから、午前中、石川委員の言ったように、地元からも河川整備を急いでほしいという声がどんどん大きくなってきている。 だから、今こそまさに河川整備計画を見直すべき時期であると思うが、災害が発生してからでは遅いので、改めて各水系の河川整備計画を見直す考えはないのか伺う。 ◯土木部長 災害が発生してから行うというのも一つの見直す理由であって、確かに雨の降り方は変化してきている。ただし、ハード整備で全部対応するのは、これからの時代なかなか無理があって、ある一定のレベルまでは行政が担って、そのレベルを超えるところについては、避難情報などを出し本当に危ないときには逃げてもらう。それから、水のつきやすい地域には住んでもらわない。河川改修が進むと水がつかなくなるが、そこへ家を建てない。そういった土地利用をしながら総合的に治水、安全を高めていく必要があるということである。 河川整備計画は、そういうことを前提としたハード整備とソフト整備をあわせた計画である。土地利用規制をしているにもかかわらず流域に家が建てられ、もともと水がついても大丈夫だったところにも内水がたまるようになったとか、排水路の水がはけなくなったとか、いろいろな状況によって災害が起きることもある。そういうことについて、河川整備計画の進捗管理の中で、例えば避難体制をどう組織するかなど、住民の声を聞いて、総合的に検討するということである。 ◯鈴木委員 わかるような、わからないような答弁で釈然としないのだが、これ以上議論を進めても、この件については平行線をたどるだけだと思うので、切り口を変える。 各水系の河川整備計画については、当然ながらPDCAサイクルによる整備計画の進捗管理が実施されていると思うが、各整備計画の進捗管理を行っている組織とそのメンバー構成について、もう一度伺う。 ◯土木部長 河川整備計画を進捗管理するメンバー構成であるが、
九頭竜川水系の河川整備計画を点検する
九頭竜川流域懇談会のメンバーは、治水、環境、利水及び人文の分野の学識経験者14名の専門家である。 嶺南地域の河川整備計画の進捗管理の点検のメンバーについては、同様の分野の6名の専門家で構成している。 ◯鈴木委員 嶺北の
九頭竜川水系河川整備計画については
九頭竜川流域懇談会、嶺南5水系については、福井県嶺南地域流域検討会がそれぞれ学識経験者等の意見を聞きながら進捗管理を行っているということであるが、進捗管理を行うこれらの会議における、それぞれのこれまでの開催回数、主な審議内容、委員から出た意見の概要について伺う。 ◯土木部長 これまで
九頭竜川流域懇談会は、前身の
九頭竜川流域委員会も含めて38回、嶺南地域流域検討会は24回開催している。 ことし2月に開催した
九頭竜川流域懇談会では、県管理区間の今後の点検の進め方について、事業進捗を示すだけでなく、治水安全度などの事業効果を示すことが大事という意見をもらっている。 嶺南地域の河川整備計画の点検については、年度内に開催する嶺南流域検討会で方法に関して意見を伺い、来年度から実施したいと考えている。 ◯鈴木委員 会議の回数自体を問題視するつもりはないが、住民の意見を聞くために検討会や懇談会を開催するのは結構だが、進捗管理を目的とした会議をしっかりと開催してもらうことを要望しておく。 いずれにしても、重要なことは、どのようにして進捗管理を行っているかという点である。 私は河川課のホームページで、ことし2月に開催された
九頭竜川水系河川整備計画の進捗管理を行っている
九頭竜川流域懇談会の議事録と県が懇談会に提出した資料に目を通した。懇談会では、委員の皆さんからさまざまな意見が出ており、活発な議論が交わされていることは評価に値すると思う。しかし、計画の進捗管理が適正に行われているかという観点からは、かなり問題があると思う。 問題は、県が会議の中で示した進捗管理の検証材料となる事業実施状況一覧表にある。一覧表の一部の抜粋を配付させていただいたが、この一覧表を見てわかるように、左から6列目の実施状況の欄には、未着手、事業中、完了という3つの表現で示されている。この資料をもとに事業の進捗管理を行うことには、そもそも無理があると思う。進捗管理の検証材料とするのであれば、例えば実施状況の欄には、
九頭竜川水系河川整備計画の対象期間である平成19年から30年間をスパンとし、未着手の箇所については、整備着手予定とか推定時期、整備期間、整備完了予定時期を、それから整備中のものであれば、整備に着手した時期、整備期間、現在の整備の進捗率から算出した整備完了予定時期を、横線の長さで示した横線工程表を資料として提出すべきではないか。そうでなければ、計画の進捗管理や計画の見直しはできないと考えるが、県の見解と今後の対応について伺う。 ◯土木部長 今年2月に開催した
九頭竜川流域懇談会で点検の進め方について意見をもらったが、今後整備計画の進捗などの点検を行う際には、整備中の河川の進捗率を示すこととしている。整備中の河川の完了時期については、用地買収の状況とか利水関係者との調整状況、財政状況などを考慮する必要があるが、県の再評価委員会等でも完了時期というのは示しているので、懇談会に提示していきたい。 未着手の河川であるが、整備を行っている河川の進捗状況とか、未着手の河川の中の優先順位、被災状況などを考慮して着手時期を判断し、着手する際に整備期間を示していきたい。 ◯鈴木委員 整備予定の河川の事業については、着手する予定になったときに示すというのだが、確かに財源の裏づけがなくては示すことができないかもしれないが、例えば、国の直轄事業が終わった後に県の事業として行うとか、大体の予定で構わないので、やはり横線工程表を示し一目瞭然でわかるようにしないと、県全体、各水系の河川整備状況の進捗管理はできないと思うので、忙しい作業になるかもしれないが、できる限り横線工程表を出すよう願う。 ここまでは県内の河川整備計画に関してただしてきたが、整備計画の実施は当然ながら、予算の裏づけが必要になる。ここからは河川事業の予算確保という視点から質問する。 知事は、福井新々元気宣言の中で、日本一の安全・安心を政策の大きな柱に据えている。しかしながら、知事は、平成23年9月の予算特別委員会の私の質問に対して、本県の河川整備水準は全国平均程度と答弁している。日本一の安全・安心を標榜するのであれば、河川事業に係る事業費の拡大を図り、本県の河川整備水準を全国トップレベルまで引き上げ、
自然災害に強い県土形成に努めるべきではないか。 そこで、まず激特事業などの災害関係事業を除いた近年の直轄事業負担金、補助事業、県単独事業を合算した河川事業費の推移について伺うとともに、激特事業の実施年度を除いたピーク時の河川事業費に比べ昨年度の河川事業費の予算は何%程度に落ち込んでいるか伺う。 ◯土木部長 近年の河川の事業費であるが、大型総合経済対策のあった平成14年度までを除くと、平成15年度の164億円が最大であって、それ以降は、国の
公共事業の削減を受けて減少傾向で推移している。また、平成24年度の予算額は経済対策を除くと77億円で、平成15年度の47%となっている。 ◯鈴木委員 知事は、今議会の我が会派の
代表質問に対し、河川整備に関しては平成16年の福井豪雨以降、河川改修、しゅんせつ、木の伐採等に945億円の事業を投入していると説明し、引き続き防災対策を進めると答弁した。しかしながら、今の部長の答弁で国の予算縮小に伴ってという説明があったけれども、河川事業費は、年々縮小傾向にあることは間違いない。また、事業費もピーク時の47%まで落ち込んでいるということである。 今臨時国会で国土強靭化基本法案が成立し、国は防災・減災に関する事業を強力に推進していく姿勢を示しているのだから、県も国と歩調を合わせて、今後は河川事業のような防災・減災に資する事業費については、初めからマイナスシーリングをかけるのではなく、最低でもゼロシーリングで予算編成に臨むことを強く求めるが、知事の見解を伺う。 ◯知 事 委員の言うように異常気象が多発しており、来年度の当初予算の編成については、防災対策のために必要となる河川改修、ダム事業などを優先的に実施していく必要があるので、前年度当初予算と同額となるゼロシーリングにしている。 また、今回の補正予算は、景気対策はもとより財源手当の面でも有利であるので、防災安全対策を重点とする
公共事業債を確保し、河川事業の進捗を図っていく。 ◯鈴木委員 理解した。河川事業についてはゼロシーリングということで伺った。部長も苦しい答弁であったが、予算の裏づけなくして河川整備計画を見直すということは言えなかったのだと思う。これからも、知事に対して予算確保を申し出ていくので、河川整備計画は予算とは別に、見直すことをお願いしておく。 経済対策については、2月議会でやらせてもらうので、よろしくお願いする。終わる。 〜以 上〜 ◯山岸委員長 以上で鈴木委員の質疑は終了した。 糀谷委員。 「「特定秘密保護法」と知事の政治姿勢について」 糀谷 好晃 委員 ◯糀谷委員 民主・みらいの糀谷である。 皆さん見たと思うが、けさ、地元紙のみならず全国各紙が「家計負担増」「企業は優遇」「税制大綱与党決定」「デフレ続くおそれも」「借金膨らみ本格増税」、こういう大きな見出しで第1面を飾っている。 さきの臨時国会は、本来、
経済成長政策をしっかりやろうというのが筋だったと理解をしていたが、最後は大変な混乱の中に終わってしまった。 12月6日深夜、国会で「特定の秘密の保護に関する法律」が成立した。国家には守るべき秘密があり、とりわけ外交や防衛にはつきものである。また、機密漏えいを防ぐ法制も必要だ。そのためにも、今なぜこの法律が必要なのかという核心に迫る説明と論議が求められていたにもかかわらず、衆議院に続き
参議院でも採決が強行された。何とも拙速で強引な国会運営と指摘せざるを得ない。法の中身、そして国会決議、両面で厳しい批判が出ている。 知事は、先日の一般質問に対し、「外交や国の
安全保障、国民の安全確保の観点から、諸外国と連携し、特定の情報の管理やこれを保護するという趣旨なので、必要性については理解できる」とし、あわせて、「国民の理解を得ていくために、国会で十分に審議する必要がある」とも答弁をしている。 知事は、今回の国会審議について本当に審議が尽くされたと思うのか否か、率直な感想と、所見があれば伺う。 ◯知 事 国会で直接やっていないものだから、実際の実感は分からないが、いずれにしても国民に十分浸透していないという指摘も大いにある訳であって、国会での判断とその結論に対して、さらに十分な国民理解が要ると思う。 法律成立後の会見で安倍総理は、「私自身がもっと丁寧に時間をとって説明すべきであった。今後とも国民の懸念を払拭すべく丁寧に説明したい」と述べている。国民の安全に関わることであり、様々な後の手続などもあるわけであるので、今後とも国民に十分説明をし、可能な限り、その議論を尽くすべきだと思う。 ◯糀谷委員 この法律では、行政が特定秘密を恣意的に指定できる。つまり官僚や政治家の都合のいいように秘密を指定できる。逆に不都合な情報は隠され、秘密が際限なく広がりかねない。一方国民は、何が秘密に当たるかということすら知ることができない。また、秘密指定が妥当かどうかをチェックする第三者機関の設置についても、国会での議論は深まらず、最も重要な課題にもかかわらず法律に明文化されることなく、野党側の反応を値踏みするように土壇場になって小出しにされた。それも行政が行政をチェックする仕組みであり、とても独立した機関ではない。このこと一つとっても、この法律の制度設計がいかに不備であったかを物語っている。 ほかにも、国民の
知る権利、報道の自由等が制限されるとの懸念は払拭されていない。法案成立後の
世論調査でも、8割強が修正か廃止を求めている。今後、秘密指定の統一基準をつくる情報保全諮問会議、また保全監視委員会や独立公文書管理監の新設などを政府は表明したところであるが、国会では、今度こそ十分な議論がなされることを期待したいと思う。 いずれにしても、特定秘密保護法は成立したものの、国民、県民に何が秘密であり、何が法に触れるかが不明であり、この法律の運用を非常に心配する向きが多くある。今後、適切な運用のためにも県民への周知等が必要になってくると思うが、知事の見解と県としての対応を伺う。 ◯知 事 法律は成立したが、具体的な施行には、さらに1年余りある。国では、外交
安全保障政策について国民と情報を共有し、透明性を確保した上で進め、チェック機能を含めて制度設計を行っていくと説明している。 これからそれぞれの情報ごとに項目が決まり、これをどのように適正に保護あるいは管理していくかということになる。国においては、施行までにさらに議論を深め、明確な指定基準の策定などについて、国民・県民によく説明しながら、ぜひ進めてもらいたい。 ◯糀谷委員 そもそも、国の安全と国民の
知る権利は、微妙な均衡の上に成り立っていると思う。国の情報は官僚が握っている。法案成立によって、秘密でないものまで秘密にするという空気が出てくる可能性がある。秘密指定することで、政治家や国民への説明責任を負わずに済むからである。 また、たとえ一定期間秘密を保護する必然性があったとしても、何が国益かを最終的に判断するのは国民でなければならない。この自覚が果たして政府や官僚にあるのだろうか。由らしむべし知らしむべからず。
江戸時代というか、封建時代の統治思想に、これでは逆戻りである。 間もなく戦後70年、日本社会と政治は、
言論の自由を最大限に保障してきた。国民は、自由に意見を述べることができる
民主主義国家を築いてきた。言論の基となる情報を秘密にすることは、限定的でなければならない。情報統制ではなく、
情報公開と
言論の自由こそが、この国の
民主主義を支える基盤だと信じる。 法律施行後の社会では、国家、地方を問わず無意識のうちに
公務員が心理的に委縮し、特定秘密とは無縁のはずの本来公開されるべき情報までが秘匿されるのではないかという懸念もあるが、県職員を預かる知事としての認識を伺う。 ◯知 事 秘密の範囲が広がることはない、あるいは
知る権利が奪われることがあってはならないと政府も述べている。 国において特定秘密の指定基準が明確に定められるとともに、指定が適切かどうかをチェックする機関が十分に機能するよう制度が作られることが重要である。 また、国民の理解を得るよう、その内容について、国が
公務員も含めて、国民に対し十分な説明とその理由、そして運用を示すべきだと考える。 ◯糀谷委員 また、マスコミを初め、ジャンルを超えた各方面からも、成熟した論議を欠いたまま拙速に成立したこの法律の乱用を危惧する声が多くある。一般市民が確たる心当たりもないままに、拘束されるような可能性はないのかなどである。
その背景には、戦前の忌まわしい歴史に語られるところがある。当時、当局による秘密独占によってもたらされた悲惨な事例は、暗黒と言われた時代を象徴している。一方では、こうした懸念はあくまでも過去の出来事で、今の時代、非現実的な話として歯牙にもかけない人々もいる。あつものに懲りてなますを吹くようなことは避けたいが、かつての
治安維持法を含め、この種の法律が拡大解釈され、ひとり歩きしていった歴史を否定することもできない。 いずれにしても、特定秘密保護法は秘密の範囲があいまいなだけに、罪に問われるまではいかなくても秘密に触れるのではという不安に国民がなれば、大変息苦しい社会になってしまう。政治権力に対して人々の警戒心が先に立つような状況は、
民主主義にとって不幸としか言いようがない。見ざる、聞かざる、言わざるの閉鎖的な社会にしてはならない。戦前の日本に逆戻りすることはないかというような心配は、あくまでも杞憂に終わってほしいと、ただ祈るばかりである。 このテーマでは最後の質問になるが、先日の一般質問で知事から、「
原子力発電所の事故などに関する情報については特定秘密の指定の対象とはならないと安倍総理自らが答弁しており、
原子力発電所事故などに関する情報は公開されるものと理解している」との答弁があった。
原子力発電所立地県の知事として、県民の生命と安全に関わる極めて重要な情報である
原子力発電の安全に関する情報が特定秘密に指定されないよう、改めて強く国に要請、確認する必要があると思うが、所見を伺う。 ◯知 事 安全の問題であるので、
原子力については重要である。住民の身近なところでいろいろな制限や条件がかからないよう十分な注意が必要である。 国においては、特定秘密の指定基準を今後策定することとしている。県としては、これらの国の対応状況を十分注視し、この問題について最大限の注意を払っていきたい。 「
原子力行政について」 ◯糀谷委員 過日、福島県議会が議長談話を発表している。もちろん、福島県は、福島第一原発事故を経験し、渦中にある当事県である。そういう中で
原子力の安全にかかわる事項についてのオープンな論議と、秘密事項に指定されるようなことがあってはならないということを、福島県議会は全会一致で──議長談話で所信を表明している。 ほかにも、思い返すまでもないが
原子力基本法がある。先ほど、本県の
原子力の流れの話があったが、
原子力三大原則というのを今思い出している。自主的の「自主」、そして「民主」、最後に「公開」という言葉が、しっかり羅列されている。平和利用を目指した
原子力発電の職務、元来の目的を国民にしっかり
情報公開することによって、初めて国民に理解が得られるということが鉄則だったと思う。 知事は、本日夕刻には、
総合資源エネルギー調査会基本政策分科会で東京にいる。もう大詰めの論議ということである。知事はいつも冷静沈着であるから、今さら覚悟云々というようなことを聞くのは野暮かもしれないが、このような空気の中で、
原子力立地県として改めて国の施策に関する最後の会議に臨むに当たっての決意を聞きたい。 ◯知 事 資源
エネルギー調査会であるが、それぞれの委員会で回数を重ねていて、必要なことを申し上げてきたところであって、これは立地県として県民益をいかに、安全を含めて守っていくかということである。
原子力についてはいろいろな意見もあるし、正反対の考え方があるわけである。その中で、福島県で起きた事故について、どうしたら乗り越えられるのか、乗り越えるというのはどういう意味なのか、乗り越えた姿は何なのかということを、日本として、あらゆる知識と
科学技術を尽くして追求し、方向を出すということではないかと思うので、そういう気持ちで全体を対応していきたいと考えている。 ◯糀谷委員 重苦しい国政上の観点の話であり、地方の首長という立場で答弁も難しかったと思うが、答えてくれたことに感謝する。 これは国、地方を問わず、我々国民一人一人の意識の問題であり、この国の将来の
民主主義に備えて大きな一つの観点になろうかと思うので理解願う。 「県内高校生就職(内定)状況について」 ◯糀谷委員 県内高校生の就職内定状況と関連事項について、まず、来春の県立高校卒業予定者の就職内定状況と見通し等について伺う。 ◯教育長 来春に卒業する高校生の11月末時点の内定状況だが、就職希望をしている者が1,429人いる。既に内定のある者が1,229人、率でいうと86.0%で、前年に比べると1.0ポイント増加している状況である。 しかし、未内定の者が200人いる。このため、今月4日には就職担当の教員あるいは
労働局の関係者が集まって、未内定者に対する今後の対応について協議した。生徒一人一人の希望する進路を実現しようということで、さらなる求人開拓、またマッチングのための個別支援を強化していこうと考えている。 未内定者対策というのは毎年この時期やっているが、ここ二、三年の内定状況の推移から見ると、大体1月末には95%前後、3月末には100%に近い内定が得られ、今後も努力していきたいと考えている。 ◯糀谷委員 今年11月末現在で内定率が86%、昨年同期比でプラス1.0ということであるから、まずは順調である。ちなみに、今年3月時の卒業生の就職率は99.7%、全国1位であった。その前年は99.5%で全国3位、近年ずっと全国上位が続いており、率にしてもほとんど100%と言える。 では、どうしてこのように好調な数字を
キープできているのか、その背景と有効であった施策について聞きたい。 ◯教育長 就職内定率状況については全国トップレベルで続いているが、主な要因として3点ほど考えている。 1つは、求人側であるが、県内
中小企業の多くが地域の高校生の雇用に大変理解いただいていて、安定的な求人が得られていることがある。 もう一つは、高校生自身であるが、学校の指導もあるが、まず2年生時には
インターンシップがあり、今年度でいうと2,000人を超える者が延べ950事業所を訪れている。就職前にも職場見学をしているが、これにも1,200人を超える生徒が延べ1,700事業所を超えるところに参加して、意欲的に地元企業への就職活動に努力しているということである。 3点目は、支援であるが、学校の就職担当の教員はもちろん、リーマン・ショック以降の厳しい雇用情勢に対応するため、平成21年度から
緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用して就職支援コーディネーターを県内で36名配置しており、個別支援を丁寧に行っている。こういうことが重なって現在の状況があると考えている。 ◯糀谷委員 嶺南地方の状況について伺う。 敦賀市内に2校、美方高等学校、小浜市内に3校ある嶺南地区の県立の6つの高校は、歴史は異なるが、普通科や職業系学科など、それぞれ多彩な
教育課程で高校教育に取り組んでいる。 例えば敦賀工業高等学校を取り上げる。従来、電気科、電子機械科などの卒業生を見込む電気などの
エネルギー関係企業が多く、地域社会の雇用ニーズに大きく寄与してきたと思われるが、
原子力発電所の長期運転中止により将来を不安視する生徒や家族の気持ち、さらには地域の風評なども手伝って、その影響を懸念する動きもある。嶺南地域の県立高校の就職内定状況を伺う。特に、敦賀工業高等学校の技術系卒業生を求める
エネルギー関連企業への内定状況を伺いたい。 ◯教育長 特に嶺南地域の県立6校の内定状況であるが、11月末現在で内定率は91.3%で前年に比べると3.8ポイントふえていて、県全体に比べても5.3ポイント上回るような状況である。特に地元からの求人が前年よりふえているということがある。 敦賀工業高等学校については、内定率が既に97.9%に達し、前年に比べると2.8ポイント高いということである。特に電力関係の企業については、それぞれ数の変動はあるが、ほぼ前年と同じような内定状況になっている。加えて、今好況の、例えば自動車関係、自動車整備工場などの求人があるし、また、
原子力関係の設備技術を持っている事業所で、最近は病院設備等の製造業務にも携わっているようなところからも新たな内定を受けているといった状況がある。 ◯糀谷委員
原子力関係の需要が高校生の就職状況に関しては余り影響がないということで、ある意味では安堵した。 若狭地区で、3校の高校再編が始まっている中での就職内定の概況と、再編後の生徒が平成27年度には就職していくわけであるから、その見通し等について簡単に答えていただきたい。 ◯教育長 若狭の3校については、内定率は敦賀よりは低いかもしれないが、85.5%と前年に比べると3.8ポイントほどふえている。再編後の入学生については卒業が平成27年度以降になるので、そのころには
舞鶴若狭自動車道が全線開通して、当然、地元産業や経済状況が大きく変わってくることが期待される。例えば今、若狭東高等学校は総合産業高校となっているので、農業、工業の分野では、生産から販売までの知識、技術を備えた人材として、新たな雇用先の開拓に力を入れていきたいと思う。また、若狭高等学校の海洋科学科については、卒業後、水産系の大学への進学という道も含めて、将来、若狭地区の水産分野で活躍できる人材を育てていきたいと考えている。 ◯糀谷委員 最後に、これがポイントであるが、県内若者の県外流出という課題がある。よく出される数字であるが、約3,000名の高校卒業生が県外の大学に進学し、Uターンするのは、うち800人ぐらい。2,200人ぐらいの若者がふるさと福井を離れて、大志を抱いて県外で就職をしてくれている。県外で名を上げて世界に羽ばたく若者がふえるということは大変うれしいことであるが、一方で、県内就職の訴求力が弱いのではないかという指摘も当然なされるわけである。つまり、若者の働く場の確保が一層必要になってくる。 ふるさとの元気のもとは企業であり、地域の産業の集積である。そういう観点で、UターンあるいはIターン対策等に県はもちろん取り組んでいるが、県内にいる学生など若者が就職先として福井を選択できるように、県庁挙げて対策を強化すべきと考えるが、現状と認識を伺う。 ◯産業
労働部長 県の就職支援であるが、県内の学校を卒業する大学4年生あるいは高校3年生に対して、それぞれ4月と7月に採用面談会あるいは企業説明会を開催している。また、ふくい
ジョブカフェが、県内で就職を希望する若者──学生を含めるが、の就職支援を行っている。 現状であるが、ことし3月に県内の高校や大学などを卒業し就職した方の県内就職率が76%であって、10年前と比べると5.5%ふえている。かつ、北陸3県の中では、最も高い数字になっている。 県としては、さらに県内の企業の情報を提供して学生とのマッチングが有効に進むようにし、また、より多くの若者が本県で就職できるよう成長分野や
研究開発型の企業を育成、誘致し、あるいは観光関連など
サービス産業、農業分野など多様で魅力的な雇用の場をつくりだしていきたいと考えている。 ◯糀谷委員 北陸3県の中でもいい数字が出ているということで、ほっとしている。本県の置かれている立場というのは、企業が福井に立地する利点が、働く人たちにとっても多かろうと思う。自然に恵まれた暮らしやすさ、また伸び伸びとした
子育てや教育環境等々の利点を自負するのであるから、これらを一層充実させ、定着させてほしい。 最後に、私どもの心の原点を申し上げたい。 先ほど、石川委員、鈴木委員からも河川のことが出た。特に、
敦賀市の笙の川のことは──敦賀だけの話かもしれないが──石川議員も当選以来、あれだけの資料を蓄積しているわけで、私も9月議会の中でお願いした。土木部長は大変苦慮している。優先順位は政治の鉄則である。あるいは、集中と選択という大きな命題の中で、予算を伴う事項であるから簡単に答えられないということはよくわかる。ただ、一つだけ申し上げる。 過日、18号台風のことを申し上げたが、笙の川周辺の数百人が
敦賀市内の3カ所ほどの施設に避難した。明け方6時過ぎだったと思うが、私も気になってのぞかせていただいた。80才を超えた老夫婦と、もう1組は若干若い──少なくとも私よりは年がいっているような感じだったが、その2組の御夫婦が私に、「議員さん、
新幹線や高速道路も結構だが、私たちは、きのうの晩寝ずにここに来ている。眠れなかったのだ。川を何とかしてくれ」と、率直にそのような言い方であった。 その方にとってみれば、生きるための切実な願いであったと思う。私は
新幹線も欲しいし、高速道路も早くつくってもらって
遠くへ行きたい。個人的な気持ちも含めての願望だが、世の中にはいろいろな
価値観の方がいるわけで、何もかもということは大変だとは思うが、議員のさがとして、理事者には、生活に密着したことも含めて現場のそういう空気、県民、市民の気持ちをしっかりと酌んでもらいたい。知事も、上京するに当たって県民益、県益を飽くことなく追求していくという言葉も踏まえて、これからも取り組んでいただくように心から願う。 〜以 上〜 ◯山岸委員長 以上で糀谷委員の質疑は終了した。 ここで休憩する。2時40分に再開する。 〜休 憩〜 ◯山岸委員長 休憩前に引き続き、
委員会を開く。 質疑を行う。細川委員。 「本県の伝統文化発信について」 細川 かをり 委員 ◯細川委員 細川かをりである。 先月、越前箪笥が国の産業構造
審議会商務流通情報分科会伝統工芸品指定小
委員会の審議を経て、来年1月に指定されることとなった。越前漆器、越前和紙、若狭めのう細工、若狭塗、越前打刃物、
越前焼に続く7番目、昭和61年以来28年ぶりとなり、指定に向けた指物屋さんや関係者の方々の御努力の賜物で、大変誇りに感じるところである。 このように多くの伝統産業が集積していることは
福井県の特徴であるが、伝統産業を捉える際に、漆は鯖江市、和紙は越前市の旧今立町、打刃物は旧武生市などと
自治体ごとに分かれているような
イメージがある。それが、ある意味障害となっている感じもする。 しかし、例えば越前箪笥は、ケヤキやキリなどの材料に越前打刃物の鉄製金具や越前漆器の漆で飾りつけや仕上げが施されている。あるいは、越前市河和田地区で多くの漆器がつくられているが、隣接している服間地区に木工場や漆屋さんがたくさんある。それから、漆かきの最盛期には全国の大半が河和田出身だったそうであるが、これはすぐれた打刃物の漆かき道具があったればこそである。 このように、伝統産業には本来密接で重層的なつながりがあったが、産地それぞれの努力の点ということだけではなくて、面として大きく捉えて戦略を練るべきである。伝統産業は県が主となって連携し発信や振興を図るべきで、そのためには県の役割に期待するところであるが、所見をお聞かせ願う。 ◯産業
労働部長 丹南地域を例にとると、新たに指定予定の越前箪笥を含めると5つの異なる種類の伝統的工芸品が、大体、車で15分から30分以内に集積しているという全国でも極めてまれな地域である。これを特徴として生かす必要があると思う。 現在、平成18年に越前伝統工芸連携協議会というのができていて、体験や展示会の出典などを行っているが、市、町も含めてさらに力を結集して、要はものづくりのエリアとしてブランド価値を高めていく必要があるのではないかと考えている。
このために10月に4つの産地の理事長にお集まりいただき、連携強化を確認した。具体的にどうするかということも協議した。まず、来年2月に東京ギフトショーがあるので、その展示ゾーンを福井ゾーンとしてある程度一体化し、4産地も連携した展示を行うということで現在準備を進めている。 最近では、県外の若者が和紙や漆器の企業に就職した例もあるので、そういったものをさらに促進して若者の誘致や人材育成などにも取り組みたいと考えている。さらに、商品開発だけでなく、ユネスコ
無形文化遺産の「和食」との組み合わせであるとか、あるいは他の観光地や食などと結びつけた観光誘客なども、ルートを明示して誘客など行っていきたいと考えている。それぞれの産地がいろいろ独自でやっていることもあると思うが、全体として相乗効果を発揮するように県としてリードし、調整も行っていきたいと考えている。 ◯細川委員 大変期待しているので、よろしくお願いする。 近年、県の協力も得ながら伝統技術を現代風にアレンジする努力が行われている。最新の技術を伝統の技の中に取り入れていくというのは、福井の産地の大きな特色であり強みであり、今後の新たな展開が期待されるところである。しかしながら、それだけでなく、本来の伝統工芸品の普遍的なよさを広く再認識して使っていただく努力も強く望まれる。グローバル社会だからこそ、和風建築や和の生活文化の価値、その匠の技が福井に集積しているということを広く発信していただくことを願う。 先日、県庁の貴賓室に初めて入った。目に飛び込んできたのは漆の大きな壁かけで、それは、その前の立つ人の品格と威厳を驚くほど増幅する、そんな感じであった。和紙もそうである。それ自体が主役になるというより、物や人を際立たせる力がすごいのである。知事、たまには漆の壁面の前や和紙のびょうぶの前で記者発表していただけないだろうか。女性の目から見て、絶対すてきだと思う。 ◯知 事 越前漆器とか越前和紙のよさを発信するため、これまでも貴賓室、それから国際交流会館の若狭の間・越前の間、サンドーム、恐竜
博物館の壁面あるいはテーブルなどにも使用している。これから
北陸新幹線の開業に向けて、
新幹線車両あるいは各駅での伝統工芸品の活用を図っていく必要があると思う。
記者会見については、難しいところがあるが、これまで
五箇条の御誓文を配置したり、恐竜化石や食べ物の水ようかんなどといろんなことをやっている。越前箪笥は大変重厚なものであって、ふさわしい逸品と思うので、そういったものを含めて、できるだけいろんな機会に皆さんに知っていただくようにしていきたい。 ◯細川委員 知事は
テレビに出ることが多いので、結局その背景に──最近、市松模様が多いのだが──和紙やびょうぶなどを担当者が後ろに立てるなど、何かしていただきたいと思う。よろしくお願いする。 さて、ことし「越前民藝協会」が発足した。民芸とは民衆的工芸の略で、1925年、柳宗悦を中心として、陶芸家河井寛次郎、濱田庄司らによって提唱された造語である。柳宗悦は日本各地の焼き物、染め織り、漆器、木竹工など無名の工人による日常雑器、日用品などの民衆的工芸品の中にある真の美を見出し、これを世に広く紹介する活動、いわゆる民芸運動を起こした先駆者である。 9月には越前市を主会場に、日本民藝夏季学校が人間国宝の岩野市兵衛氏を校長として開催され、県外から約80名の参加者が集まった。そのフィールドワークに私も同行し、和紙の里もナイフビレッジも、
越前焼のほうにも行った。参加者はメモをとりながら真剣なまなざしで受講していた。こんなに熱心に伝統産地で学ぶ人たちを私は初めて見たぐらいであった。話を伺ってみると、その造詣の深さにも驚かされた。私が知らないことなど、本当にたくさん福井のことを知っておられた。彼らは越前の伝統工芸やそれに携わる人々を心から称賛して帰った。 それでも私は民芸というものがよく理解できなかったので、その後東京にある「日本民藝館」へ勉強に行った。それは東大駒場キャンパスの隣にある古民家で、中には柳宗悦が集めた全国各地の工芸品が展示されており、平日にもかかわらず愛好者を集めていた。私が確信できたことは、民芸好きの人たちから見たら越前の伝統工芸はすごいものだ、民芸好きの人たちを味方にしたら、これほど頼もしいことはないということである。 産地振興のために、伝統工芸の本質的な価値をよく理解している民芸愛好家を味方につける工夫をしてはどうかと考えるが、所見をお聞かせ願う。 ◯産業
労働部長 いわゆる民芸の考え方であるが、実用的である、無名の職人がつくったもの、高価でない、伝統や地域性を持っているといった特性を有して、暮らしの中から生まれたものこそ美しく価値があるという思想だと理解している。そうした観点から福井の伝統工芸品を見ると、例えば
越前焼のかめであるとか、打刃物の鎌とかくわといった生活雑器として民芸的な評価が非常に高い物が多いと考えている。同時に、越前奉書や美術紙などの和紙、あるいはまき絵や沈金といった漆器は、芸術的、美術的志向もあるし、新しい商品づくりなども並行してやっているということかと思う。 民芸的な価値については、越前民藝協会も発足したので、そこで連携して、全国に33の民藝協会、2,000人ほどの会員の方々を通じて広くアピールしていこうと考えている。同時に芸術的、美術的観点からは、若手の技能向上のために権威ある公募展に入選するよう応援する、あるいは
消費者にアピールする売れる商品づくりというものも重要なので、大手文具店、
百貨店、デザイナーとの協力による新しい商品の開発や、海外の大規模展示会への出展も応援していきたいと考えている。 ◯細川委員 よろしくお願いする。 「歳入確保について」 ◯細川委員 歳入確保について伺う。 午前中から、川のことであるとか、いろいろな県政課題の話が出た。結果的に予算、お金の話になる。先般の一般質問の際に、出産世代の女性は将来人口推計で2040年までに今より約3割減少と伺った。どこまで寂しくなるのだろうと危機感を覚えるし、人口が減るということは同時に県税収入も減るということである。
北陸新幹線整備にしても、
福井駅西口地下駐車場にしても、分収造林事業の穴埋めにしても、30年、40年がかりで債務返済という将来の負担を残すわけだが、子供の未来のために今できることは精いっぱい汗を流して将来負担の軽減に努めるべきだという思いを込めて、歳入確保について幾つか提案を含め、伺う。 まず、笠松委員からも出た森林環境保全について、もう一度伺う。 本県では、福井豪雨災害など繰り返し水害が起こり、そのたびに山の整備が課題として持ち上がる。平成25年6月議会で総合治水について質問したが、既に水田貯留に努力いただいているが、さらに水害に対して欠かせないのが山の整備である。これも果てしなくお金のかかるところである。森林整備に関して、現在30を超える
都道府県で超過課税を行っている。
兵庫県では県民みどり税を財源に総合治水として山の整備を進めているし、岐阜県では平成17年に導入し、昨年度拡充継続している。それだけ理解が得られる今の環境の状況だということでもある。 本県では
核燃料税の一部を森林整備に活用しているということだが、過度な原発依存からの脱却という観点もあるし、今後も森林整備を拡大していかなくてはならない状況にもあるわけであるから、本県でも森林環境税などの財源確保について検討すべきと考えるが、所見を伺う。 ◯農林水産部長 二酸化炭素の削減や水源涵養に効果がある間伐などの森林整備などを目的として、現在、全国33県で森林環境税など独自の課税制度が導入されている。 本県では平成19年度から
核燃料税のうち毎年約2億円を福井型の森林環境税として活用し、間伐などの事業を進めている。事業規模については、他県で森林環境税として事業を図っているものと、おおむね同水準となっている。 また、国は、税制による地球温暖化対策を強化する観点から、地球温暖化対策のための税を導入しているが、その使い道は二酸化炭素の排出抑制というところに限定されていることから、昨年から県議会での意見書の提出もあったし、全国知事会、それから本県独自でもこの税の使い道を森林吸収源対策にも拡大するようにということと、その一部を地方の役割などに応じた税財源として確保するよう国に対して要望しているところである。 ◯細川委員 2億円で山の整備というと少ないのではないかと思うから、拡大もしなければいけないだろうという感じがするということもあるが、川や山の問題というのは、上流に住んでいる者は臨場感、危機感をいっぱい持っているが、やはり下流部にある方々にも上流までの流域全体に関してしっかり意識を持っていただきたいという思いが、以前より強くある。山のことをしっかり県民の皆さんに意識していただくという意味合いからも、
核燃料税を持ってくるというより、名前はともかく森林環境税として皆様からいただくほうが自覚もあってよろしいのではないかと思うのだが、そのあたりの考え方についてはどうか。 ◯政策幹 税の関係もあるので私がお答えするが、おっしゃるようなことも平成19年度から議論があるが、そういう中で、本県としては
核燃料税を充てるとしているところである。 今回の税制改正も非常に増税感があるので、今新たにという考え方は難しいのではないかと。先ほど農林水産部長からもお答えしたが、国の地球温暖化対策のための税は、昨年10月から始まって、1年目は三百数十億円であるが、平成28年には2,800億円にまでなるということなので、やはり森林なり地方の役割に使っていただくということを、今我々としては強く要請していきたいと思っている。 ◯細川委員 先ほどから、笙の川であるとか、河川整備計画の話があったが、総合治水という考え方でいうと、河川から、農林が持っている田んぼや山というところを一体的にやっていくことが地域の治水力を上げるということになる。先ほどから、河川は道路に比べて予算が小さいが人数は大きいし、予算が足りないという話をしているわけだから、「山」、「川」と区切ってしまうよりは、例えば
核燃料税を河川に回すなど、全体としての財源確保という意味合いでバランスを考えていったほうがよいのではないか。見直しというか、また検討していただきたいと要望しておく。 次に、財源確保の有効な手段にネーミングライツ、命名権の売却というものがある。今後、福井国体に合わせて各種
スポーツ施設など公共施設の整備が予定されているが、これらの命名権を売却してはいかがか。本県在住の個人、法人だけでなく、県外で活躍する本県出身企業等にも、ふるさとに思いを寄せていただく呼びかけをすべきである。ネーミングライツ売却の取り組みについて、所見を伺う。 ◯政策幹 ネーミングライツの利用であるが、自主財源の確保という観点からも非常に重要だと思っている。現在、29県で実績があるという状況である。一方で、問題としては、契約が短期間で変わって名称が次々と変わるので、県民の愛着とかが薄れたりする。それから、施設を利用する方が混乱するということが起きているというのは、よその県でちょっと聞いているところである。特に地方都市においては、大
都市圏と違い施設のメディアへの露出が非常に少ないので、企業からすれば広告を打つ価値が非常に都会と比べると低い。最近、経済情勢も非常に厳しくなっているということで、他県でも体育館や競技場というのを出されるのだが、応募者がないという状況も続いているのが現状である。 我々としても、施設管理の権限など、歳入の大きい方策の一つだと思っている。ただ、今の経済情勢──だんだんよくなっていくのかもしれないが──と、他県の状況も見て今後も研究していきたいと思っている。 ◯細川委員 行政がというわけではないのだが、福井で考えてつける名前は遊び心がないなと思う。屋根付き広場は「屋根付き広場」という名前ではないだろうが、
福井市の命名かもしれないが、やはり、もうちょっと名前もおしゃれであってほしいみたいなところもある。また考えておいていただきたい。 それから、西川知事が提唱されたふるさと納税がすごいことになっている。寄附に対する特典をつける
自治体が半分にまでふえた。寄附を獲得しようと
サービス競争が激化していると、NHKの
ワイドショー番組での特集があった。番組では、自分に縁のあるなしにかかわらず、お得感のある
自治体に寄附をして、お得な生活を送ろうというもので、これまで10カ所以上の
自治体に寄附した主婦が紹介されたりなどしている。お米、牛肉、果物はもちろん、
自衛隊基地グッズ、
オホーツク海の流氷などのプレゼントとか、1日修験者体験とか、
ユニークな特典満載で、今やそれらを比べるポータルサイトやランキングまであり、多くの
自治体が特典の工夫を競っている。これは、もしかしたら知事が予想していなかった展開かもしれない。首長からお礼のメッセージが来た、今まで税金払ってお礼を言われたことはなかったと感激する主婦の姿もあった。 本家本元、
福井県のふるさと納税も、寄附者の増加を図るべく、さらなる工夫をしてはいかがか。 ◯杉本
副知事 私も多分同じ、NHKの朝の番組であったが、主婦の方が本当に「税金を納めて感謝されたのは初めて」というのは印象に残って、よく覚えている。 ちょうど平成18年に知事がふるさと納税を提唱された。そのころに私も県庁にいて、まだ制度化も何もされていなかったが、どうやって広げるかということをいろいろ考えていた立場で申し上げると、あのとき一番基本的な認識にあったのは、皆さん、税金というのはとられるものという思いしかない。それを自分から能動的に税金を納めるという気持ちになっていただこうということで、ふるさと納税を提唱されたのではないかと思っている。そういう意味からいうと、納めていただくという気持ちが逆に今度は役所の側にできてきたから感謝の気持ちをあらわすという形になって、ああいう言葉になったのだろうと、非常にうれしく思ったところである。 また、自分のことで恐縮であるが、
総務省に戻って、ふるさと納税を担当する課長をやっていたのが、ちょうど東日本
大震災が起きたときであった。通常だと必ず役所が発行した領収書が必要だが、
義援金などの場合は誰が払ったかもよくわからず、そもそも役場は機能しなかったので、
義援金に対しても振り込んだそれがあれば大丈夫というような通知をすぐ出した。それでずんずん伸びていって、件数もふえて、非常に定着してきていると感じているところである。 ふるさと納税をどうやってこれからもっとふやしていくのかということであるが、まず、寄附をしたい気持ちというものを持っていただくのにどうするか。それと、寄附をしていただけるような仕組みにしておかなくてはいけない──寄附のしやすさである。それから、申告のしやすさ、この3つをちゃんと整えないといけないと思っている。寄附のしやすさという意味でいうと、本県においては、最初の制度発足の前から準備をして、実は、採納願いと実際の寄附の2回役所に来ないと寄附ができないのを
インターネットで一度で納められるように。それから、
クレジットカード支払いができるようにということに最初から取り組んでいるし、県と市が同じ窓口を設けるというようなこともしている。 これからについては、さらに申告をしやすくするということで、知事から先日、官房長官に対して、例えば、今は対象外になっている退職所得をふるさと納税の対象にするとか、今は領収書を出さなければならないが、
社会保障・税番号制度が入るので、役所から役所に対して領収書を自動的に発行してあげれば、その
確定申告はいらないのではないかという提案もしている。 さらに本県独自に、寄附をしたいという気持ちをどういうふうにかき立てるかということで、例えば自分の母校を改築するときに、部室を一緒に直そうとか、モニュメントをつくろうとか募集をかけると、結構、
同窓会なども一緒になって集める。そういうものもふるさと納税の対象になる。それから、例えば、恐竜
博物館は
福井県のトップブランドになっているが、こういう金銭的な価値というよりもプレミアムがついてすごい、ここにしかない、ここにやらないといただけないというものを差し上げるようなこともこれから考えていくことで、例えば、ふるさとに貢献したいとか
福井県に貢献したいという気持ちを、いろいろ工夫しながらかき立てていきたいと思っている。 ◯細川委員 よろしくお願いする。私でもそのサイトを見たら、つい払おうかなという気になってしまうような魅力的なところがふえてきた。工夫によっては200倍にふえたという
自治体も出ているので、また工夫願う。 最後に原発関連について伺う。 県では、いずれ生じてくる
原子力発電所の廃炉の問題等に対応するために廃炉・新電源対策室を設置し、5名の担当職員を配置した。廃炉時代を見据えて早期に諸課題に対応するためにいち早く専門室を創設されたことを高く評価する。廃炉の問題として、産業育成という観点だけでなくて、当然その産業における安全監視も必要になる。「ふげん」の解体という先行事例があるわけだが、現在、周辺機器のクリアランスが進み、今後中枢部の高レベル廃棄物処理を行っていくとのことである。 そこで、更地にしてきれいになるまでの費用負担を県ということは納得いかないところである。この安全対策という点で、県としてどのように対応しようとしているのか伺う。 ◯安全環境部長
原子力発電所の廃止措置であるが、まず
放射線の影響の低い周辺部分から段階的に解体を行うことになる。「ふげん」においては平成20年2月から着手しており、平成45年度までに
原子炉本体、あるいは建屋の解体、撤去を終えることになっている。 今後いずれ生じてくる県内の商業炉の廃炉であるが、これも解体工事の内容、あるいは作業時の労働安全対策といったものは、事業者との安全協定に基づき県に報告が上がってくるし、適宜説明もある。「ふげん」のときと同様に、商業炉においても安全協定に基づき事業者から適宜説明を受け、立ち入り調査なども行う。そして、節目節目において県の
原子力安全専門
委員会において審議するなど、周辺環境あるいは従業者の労働安全の確保といったものに対応していきたいと考えている。 ◯細川委員 原発の終末に関して県民が負担しなければいけないようなものがあるのであれば、その財源をしっかり確保してもらいたいと思う。 また、
使用済み核燃料の中にも
プルトニウムがある。午前中、資源だというような話もあったが、ということは
担税力もあるわけである。
使用済み核燃料に関する国の方針が決まって、県外へ出ていくまでの間にも、本県として安全監視は必要だし、いろいろな負荷が出てくると思う。 原発は、運転を終了したから終わりというわけではない。廃炉の問題にしても、
使用済み核燃料の対応にしても、危険性もあるし、その安全監視などの対策は県として負担が生じてくるのではないかと思う。 そこで、
使用済み核燃料なども課税対象に検討すべきと考えるが、所見を伺う。 ◯政策幹
使用済み核燃料の対策については、12月6日に示された
エネルギー基本計画の素案において、国が前面に立って抜本的な取り組みを強化するとされたところであるが、まずは国の責任において、その貯蔵、保管のあり方を明確に位置づける必要があると考えている。また、県としては、従来から
使用済み核燃料の中間貯蔵施設の県外立地を求めているところである。
使用済み核燃料の貯蔵については、平成9年度から国の長期発展対策交付金が立地市町に交付されているところであり、今年度は約9億円が措置されている。また、県では平成23年11月に
核燃料税において出力割を設けているところで、60億円ぐらいが5年間は入ってくるということになっている。安定した税収の確保に努めているところである。 県としては、廃炉・新電源対策室を先ほど設けたところであり、今後は国の方針を見ながら廃炉技術、安全対策、財源など幅広い観点から研究していきたいと考えている。 ◯細川委員
ドイツが、3.11の事故の後、技術的にどうか、それからもう一つは倫理的にどうかと、
原子炉安全
委員会、安全な
エネルギー供給に関する倫理
委員会の両方を立ち上げた。技術的には
ドイツの原発も安全だが、倫理的に考えて原発はどうだろうという話し合いの中で、やはり一番かなめになったのが、この
使用済み核燃料の処理。これを後世に残していけないだろうという倫理的な観点。これが多分一番メルケル首相が脱原発を早めることになった原因だと思っている。 知事も、新聞の記事にあったが、
使用済み核燃料に関しては消費地にしっかり戻していただくように確認したいのだが、心より願っているところである。その辺、何か答弁があれば願う。 ◯知 事 中間貯蔵のことかと思うが、これは電力を消費した地域というのが40年にわたってあるわけである。そういうところで幅広く立地を選定し、みずから引き受けていただく、こういう議論を進めるべきだと考えている。 ◯細川委員 終わる。 〜以 上〜
◯山岸委員長 以上で細川委員の質疑は終了した。 関委員。 「林業について」 関 孝治 委員 ◯関委員 林業は大変な時期に入ってきているわけであって、今、
福井県で建てている住宅のうち、約3,000弱であるが、50%ぐらいは新しいスタイルの住宅に変わってきた。今までの
福井県スタイルの家は、もう50%を割っているというのが現状だと思っている。それは
石川県も
富山県も同じ。しかし、それでもちょっとだけ、1%ぐらいは
福井県がいまだに優位だというのが現状である。そういった中で、昔からいい木ができたといいながら、今どんどん伐採にかかっているが、その運用で大変シビアな面が出てきたので、少し尋ねたいと思っている。 笠松委員からもきょうは十分話を聞いていただいたと思っているが、ちょっと住宅分野のことだけ先に尋ねる。最近、新しい住宅がどんどんできる。メーカーの数だけでも二百ぐらいはあるのだから、簡単にどんどんもうかっているのかというと、そうでもない。みんなが苦しい状況であり、そうしなければ売れないものだから売ろうとする。そこが難しいところで、しわ寄せが全部地元の住宅産業にくるわけであり、県産材の利用をその中でどうやって広げていくか、正直言って頭の痛いところである。何かいい知恵があったら教えていただきたい。 ◯農林水産部長 やはり福井の木で家を建てたいという思いの方がいっぱいいる。全国規模の大手の工務店も幾つか入っているが、
福井県にはまだ1,800の地元工務店の方が、すぐれた技術で福井の木で家を建てるという仕事を常に頑張っているわけである。その方々に少しでも安く県産材を流通させるということで、いろいろな支援制度もつくっているし、流通面のコストカットも考えていこうということで、工務店や製材所の方々ともいろいろ話をしている。 ◯関委員 住宅産業をやっている大工さん等々にも話を聞いてみると、本当にいろいろ手は尽くしているように見えるが、実際もっと中に入り込み、いろいろ手当を考えてほしいと心から願う。 今、市販で流れている材木には、A材、B材、C材と3つある。D材もあるが、これはスクラップというか、何もないと思えばいい。A材は市場でせりにかかる材、B材はそれに準じるが、簡単にいうと柱材の間柱のような形で使う。C材はチップ等もあるが、今は柱材に──最近は集成材というものが出てきたので、そういった加工をしながら、やっていくということもある。 大体、材木の利用度は、丸太を見てもらえばわかるが、直径50センチ、長さが4メーターで大体1立方
メートル、ちょうどそうなる。それが2つとれれば4メーターのものが2立米になる、こんな考え方で見てもらえばいい。だからトラックが材木を運んで、50センチの丸太が20本乗っていたら、大体5割ぐらいだから、半分が製品の立米だと思ってもらって結構だが、このC材が問題である。これは組合に出しても単価はない。また、それをどういうふうにしていくかということが大きな今後の問題であろうと考えているところである。 大野で今、材木で発電する話が進められている。県もいろいろアドバ
イスしながらやっているわけであるが、18日にも結論を出さざるを得ないところまで来ている。東京からメーカーが来て、発電するのに材木を燃やす。大体、5,000
キロワットをつくるために7万立米ほどの材木が必要になる。
福井県から出している材木の量は、全部合わせると約14万立米程度である。そのうち7万立米を納めなきゃいけない。恐らく、メーカーであるから契約でいくだろう。出さなかったら罰金だとかいう形になる。そのかわり5,000
キロワットは発電するという契約になるだろうと思うのだが、これを考えるとなかなか大変なことである。口で言うほど楽な話じゃない。そこへどういうふうにして安い単価で納めることができるかどうかが、また
森林組合と材木関係の頭の痛いところである。 これは材木の関係も問題があり、全国でほとんど単価が一緒である。そんな極端に変わってこない。沖縄から
北海道まで、少しは差があるが、ほとんど一緒である。それでやれというのは
林野庁の考え方であるから無理がある。7万立米ぐらいを出してやっていこうというためには、山の仕事を能率的にやることを考えなければ、とても追いついていけるような問題ではない。このC材をいかにして出すかに焦点を絞って返答願いたい。 ◯知 事 平成24年度の県内の間伐材生産量のうち5割、3万3,000立米が、いわゆるC材かと思う。C材の多くは県外の製紙用に出荷されているのだが、近年の紙の需要減少に加え、円高による輸入の増加によりC材の出荷が地元として減少するなど需要が不安定である。このため大口の需要先として、C材を大量に利用するバイオマス発電の推進も重要である。間伐を進める上で役に立つものと考えている。現在、大野市、それから嶺南の高浜町においてバイオマス発電の検討が、それぞれの企業、また関係の団体と協議している。特に大野市においては、原料となるC材の安定供給に向けた協議が進められているという状況であり、できるだけ早く結論を出して対応したいと思う。 ◯関委員 口で言えば、私が言っているように、また知事の答弁も簡単に言えるが、中身はそんなものではない。今、材木業者、
森林組合だけでも500人、600人が携わって出しているが、それでさえ14万立米しか出せない。これが現状でありながら、7万立米をその
発電所だけで使うとなると、並大抵ではない。 山の形状もある。
福井県は急な山もある。それから雪も降る。過疎地はだんだん人が減っていく。集落で30軒あったとすると、山へ行って、地境も見て、いろいろ考えてくれる人というのは、大体1人か2人しかいない──いないというと言い方は悪いが。そこへ、今、5年後を目がけて徹底的に農業のあり方を考え直そう、出直しから始めようとしている。いろいろ絡めて考えると、将来、だんだん山へ行く者はいなくなる。そういった中で、C材、また発電の材料を出すということは並大抵ではない。どうやっていくか、頭を抱えているというのが現状である。知事が考えるほど楽でもない。農林水産部長、はっきり何か答えて。 ◯農林水産部長 確かに知事は総論的な話をしたが、今度はノウハウ的な話をする。間伐の仕方を、まず点状間伐から列状間伐という効率的なやり方に変える。それから、単木集材から全木集材へ、山の中で使う部分だけを作業道に運び出し、余分な物は捨てていくというやり方をしていたが、大きな高性能機能機械を入れ、それと列状で間伐することによって、作業道まで丸太ごと、木1本全部出す。そこで作業をして、A材とかB材とかC材とか分ける。今まではC材を置いてきていたわけであるが、それも運び出せるようにする。そのためにはもちろん、高性能の機械の導入というのも必要になってくるので、間伐のコストをやはり削減していかなくてはいけない。それから、集落も30人単位でも1人、2人しか作業者がいないというような状態であるので、コミュニティ林業をまず進めていくが、民間の事業体の育成も図っている。 最近、ここ何年かで、林業に携わりたいというような若い方もふえているので、そういう方で
人材も養成していこうと考えている。あとは、C材だけではないが、木材の市場を通さないやり方なども今検討していて、まずは伐採コストと、それを集約して運搬するコスト、それから手続をとばすという流通のコストというところで削減していきたいと考えている。 ◯関委員 それでは、地籍測量の話を少しする。 潤いのある
福井県。また、学力、全て豊かである
福井県。しかし、
福井県は地籍測量に関しては39番目。約40番目で、胸を張って言えるような番数ではない、これも現実である。前知事のときにも私は一般質問で2度も3度もやったが、案の上、返事なしで今日に至っている。
福井県の大体1筆当たりの面積というのは0.2、すなわち2反しかない。
林野庁の検査と資料は全部1筆当たりの形で出す。
福井県で一番1筆当たりの面積が大きいのは大野市、その次が池田町であり、大野市は1筆が1.6
ヘクタール、池田町で1町歩。雪の深いところ、また田舎のほうほど1筆当たりの面積が大きい。これは豊臣秀吉以来かもしれないが、そういう形になっている。
福井市も大体0.3だから、1筆当たり3反しかない。結局、
福井県だけ見ても1筆当たりの面積は2反から1町6反まである。それ全部、調査のやり方は一緒である。そんなものうまくいくわけがない。簡単に言えば8倍違う。大野でやれば、今立や鯖江でやるより8倍大きい。それを一緒のこととして調査しなければいけない。 それでは、今度は
北海道へ行こう。
北海道は1筆が5町歩ある。25倍違う。それも同じような調査である。全然、話にならないが、頑として
林野庁は動かない。ここが問題である。小さい市町村では2反、幅20メーターで100メーター。それが、大野へ行ったら160メーターで100メーター、
北海道へ行くと500メーターで100メーター、これが同じ基準である。これだけ違ったら幾らやったって難しいわけである。とても火力発電の燃料搬出するような簡単なものではない。並大抵ではないというのが林業界の本当の話である。 これは前から申し上げている。これは県ではない、市町村がやることになっている。しかし、これを放っておけば、今に
福井県はどん尻になる。それはいいことではないと思う。やはり、そこそこの順番でやらなければならないと思うので、これを一遍真剣に考えてほしい。またやるように、そこそこの形になるようにひとつ願いたい。私の本当の気持ちである。 そうしないと、とてもではないが、今、大野市で火力
発電所を1基つくる、高浜町でも1基つくると、いろいろ言っているが、とてもこらえ切れるようなものではない。ひとつぜひとも力添えを頼みたい思いである。返事を願う。 ◯農林水産部長 市、町に対して、常に地籍調査の実施を私どもは、日常的にはもちろん要請しているが、いろいろ地域ならではの、大きさの問題もあるし、やはり地境関係になるとトラブルが多い。自分の山がどこにあるかというような、おじいちゃんは境界を知っているが私は山に入ったことがないのでわからないという中で地境を決めるのかというようなことがあり、市、町としても非常に苦慮している状況ではある。 それで、今私どもとしてはコミュニティ林業というのを集落単位で進めている。そのときにGPSという簡易な地籍調査のやり方をしている。これだと、申しわけないが登記を要するまでには至らないが、大まかなラインは出すことができる。これが地籍調査の前準備段階になることから、このコミュニティ林業を進めることによって地籍の明確化を図っていこうと。図ったあとは、住民の方々との話し合いになるのだが、ここまでやったのだから最終的にきちっとした境界にしようということで話し合いをしている。ただ、今の段階では、非常に歩みがのろいという状態になっているのも事実である。 ◯関委員 歩みがのろいのではなくてやる気がない、私はそう言えると思う。正直言って、天下の
福井県とはちょっとオーバーかもしれないが、それだけ知事からもいろいろ聞いてきたすばらしい県だ。また、
福井県人もそう思っていると思う。だけれど、地面の上だけはさっぱりやらないのはなぜか。
福井県は、各市町長もなぜしないのか。指導が悪いのではないのか、県の。 ◯農林水産部長 なかなか取り組みが難しいことについて、市、町と話をすると、財政面の問題。それから、地域、隣
人間のもめごとの面になるということ。それから、もともと地元からそれに対してのリク
エストがない。それから、時間と人の手がかかるという問題である。今、県もだが、人員を削減している中で人が出せないというような──私が聞いている中では、そういう理由が主である。 ◯関委員 知事、一遍、各市町長に指導願いたいと思う、本当の話。余計かもしれないが、知事はあと何年やるかわからないが、そうでもしなければ、終わってもほとんど順番は上がらない。褒められることではないので、ちょっと考えていただきたいと願う。 「県政全般」 ◯関委員 次に、
北陸新幹線のことで尋ねる。 いつも知事も、また県議会の山本議員も大変努力していることはよくわかっているが、なかなか大変である。なんとか3年間は縮めようといった案も石塚
副知事のもとでできて運動しているようで、先日は
北陸新幹線の工期をなんとか縮めるようにいろいろ知事も訴えられたようであるが、正直言って、実現の見込み、またその感触はどうであったか。 ◯知 事 まず、我々が考えただけでも3年ぐらいの短縮はできるのではないかということである。今回、
与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム──町村衆議院議員が座長であるが──その会合において、その後、国土
交通大臣、
与党幹部に対しても訴えたわけである。この問題は2つあり、3年なり、あるいはプラス
アルファをどれくらい縮められるかということと、いつその
意思決定をするのかということである。ただ、今回ようやく我々が地元として出したものをなるほどというような感じで見られたから、国として少し時間的に遅い部分がある。事柄は理解され、またできるだけ縮めたいと思うのだが、
意思決定をどの程度、いつやってもらえるかということで、これもできるだけ早くやっていただかなければならない。かつ、それをゆっくりする理由は何もないと私は思うので、そのことを訴えた。短くすることと、そのことを早く決めないとその短い効果がないからと重ねて申し上げたところである。 ◯関委員 それで、感触はどんなであったか、簡単には出ないだろうが。 ◯知 事 パワーをさらに感じられるといいと思ったが、必ずしもそうでもない部分があったかと思う。 ◯関委員 どう解釈すればいいのか。
新幹線も、私が議会に出てからずっと──28年やっているか、それでこの調子。やっと敦賀までが議論になってきた。この間の会合の記録を見れば、山本議員が「西の方向へ行くのは変わらない、小浜回りは変わらない」と言ったら、「小浜回りとは言わない、小浜付近を回る」どう違うのか知らないが、はっきり返事はもらったそうである。山本議員の質問に対しては、「敦賀以西については若狭が基本か」というと、「小浜付近と記載されている」これはこのとおりかもしれない。 じゃ、もう1つ、「米原ルートはテーブルには乗っていない」これも確かかもしれない、私もそうだと思う。しかし、今のペースでいったら大阪へ行くのは何十年かかる。40年から50年かかる。オーバーかもしれないが、そんな簡単でない。敦賀までが3年縮まるかもしれない、それはありがたいこと。これは知事の誠意であり、各委員にも、知事の誠意も努力もわかってもらえたと思う。なるならないは別としても。 今度は、京都、大阪がそれだけ努力するかである。私は大変疑問に思う。あちらのことはわからないとすればそれまで。本当にやる気があるのかないのかわからないような話を、私は
副議長のときに、中島議長と一緒に
大阪府と
京都府に陳情に行った。もう十何年前だ。「そう、そんなのあるの」と、簡単に言うとそんな調子であった。それでも、これだけお膳立てできているのだからと言っても、「まあ、やりましょう」と、そんな程度であった。まずやる気を起こさせることから始めないと、あの雰囲気はとても
新幹線どころじゃない。二、三日あとに
京都府議会とあるようである。そこでどうするか、まだ決めていないが。今のペースでいったら40年、もっとかかる、こんなもの。全部お寺がある。大阪は密集地、全部地下だ。そんなもの並大抵じゃない。では、
福井県はそれでいいのかということを一度考えなきゃいけない。 仮に30年、40年かかってしか
新幹線は乗れない、大阪へは着けないとなったときには、これは何だ、
新幹線か。なりそうだからとかいうことではなくて、一度真剣に考えてみる必要があると思う。知事も考えて、そう簡単な話でもないし、また全国の考えもやむを得ないところもあるが、今の考えでは、国土
交通省鉄道局長ぐらいの返事では、何がどう転ぶかわからないと思う。 リニアモーターカーの問題もあるし、私は冷静に考えてみる必要があるのではないかと思っている。返事があれば。 ◯知 事 まず敦賀を早くするということがあすの話、今おっしゃったのはあさって的な話だから、それはそれとして北陸全体、またこれは近畿、関西全体の共同の課題であるので、それを一緒に考えていくということになると思う。 ◯関委員 誤解されても困るが、決して今やっている運動が間違っているとも思っていない。今やるのはそれしかないのだから、間違いない。これはわかるが、ただし、そんなことばかり言っていて40年もたってからでは遅いということも、やはり考える必要はあると私は思っている。よろしく願う。 それから、越前市の問題であるが、合併時は知事も立ち会った。私も立ち会った。そのときいろいろ話はあったが、市長は変わった。また、今立の町長はやめた。今立町が要望した庁舎については、いろいろ考えた結果、前の市長とは合意ができて、ここということは決めてあった。それが現在になって、8年たってからやめた、元のところという話が出てきた。どうこう言うつもりはないが、結論は、知事は立会人で、知事の許可がいるということの問題はないのかを、その立場から尋ねたい。先ごろ越前市議会では喧々諤々とやりあっているのだから、これは内緒の話ではない。 それからもう1つ、全国で市町村合併は2,000ぐらい──1,600か、はっきりした数は忘れたが、そのうちこんなことをやっているところあるのか。御破算になったところもあるのか。また、条件が違って争っているところ、それから今の越前市と同じようなところがあるのか。統計的に。 ◯政策幹 合併のときの条件の大きなことが変更になったというのは、静岡でそういう例がある。 県内でいうと、あわら市は中学の考え方が変わった。こういう形は幾つかあるが、それは各市町の中できちんと議論をして、結論を出しているという状況である。 ◯関委員 今回も、極端に特別なことというと庁舎の問題だけだと思う。内部的にはいろいろなことがあると思うが、そんなものどっち転んだってあるものである。違うのは、庁舎の問題だろうとは思う。それも遠い結果において、あれがよかったか悪かったのかとか、いろいろ議論はあると思う。しかし、今のところ議会でやりあっていることは事実である。 知事に尋ねたいのは、立ち会いをした立場から見てどういうふうに思うか。 ◯知 事 市役所の庁舎の場所というのは、市民のいろんな思いというのがまずあると思うし、住民
サービスもかかわる問題であるので、市民の皆さんで大いに議論することがあるかと思う。 ◯関委員 もちろん市民の議論も大事であろう、しかし知事、何の意見もないというのもいかがかと思う。何かはあるだろう。 ◯知 事 内容がいろいろあって、自分らで決めることは自分らで、まず大いに議論をしてお決め願うことだということである。我々が何かこのことについて意見を述べなければならないとかの事情があれば、県として必要なことを申さなければならないが、今の話はそういう状況である。
◯関委員 重み等いろいろあることは事実であるが、それでは立会人など格好いい名前は何になるのか。意味がないではないか。 ◯知 事 そういうような捉え方ではなくて、全ての問題について関係者が、こういう方向で決めたということ。これを変更するということであれば、また市の中で十分議論し、また我々に相談してもらうということになる。 ◯関委員 どういう展開になるかは、市議会のことだから私もつぶさにはわからないし、結論もわからないが、最後には知事のところに来ることは間違いないと思う。責任云々までは私も言うつもりはないし、言っても無理な話かもしれないが、そのときには何らかのアドバ
イスをしてほしい。あとでしこりが残るのはかなわない。何をしても合併したら10年、15年はかかる。だが、こういうしこりは30年、50年かかる。それがどうにもならない。いつの時代も市町村合併は必ず問題が起こる。 過去においても、4つ合併しているのだから真ん中へみんな持っていこうと決めたり、今になって困ったりとか、そんなことはいろいろある。仕方がない。やむを得ないと私は思うが、一見すると、町を2つに割るようなことを一所懸命、無理してやっているような感じもしないでもない。あまりいいことではない。将来、できるだけそういったしこりは残さないような形を、いいアドバ
イスをしてやってほしい。これが本当の気持ちである。 ◯知 事 特にまだ、我々にお尋ねがないわけであるし、また地元の県会議員もいるので、十分地元としても議論願いたいと思う。 ◯関委員
副知事を呼んだことも過去にいろいろあった。そして、知事の意見を入れて今回2人制になった。現在、かなりの日数がたったわけであるが、東京から来た杉本
副知事、それから地元から上がった石塚
副知事、それぞれの気持ち、感想を聞かき、また、最後に知事にも聞きたい。 ◯杉本
副知事 就任して5カ月間たっており、一言で言えば、大変緊張した日々を過ごしているというところである。県議会もこれで2度目というか、6年前にも来たが、いつも大変緊張して、この場に臨んでいる。 ただ、県議会でも少し答弁したこともあるが、非常にすばらしい県だと県民の皆さんも思っているように、6年前に比べて、そういうふうに思う方がふえているというのが実感である。前回は9年前に東京からこちらにきたときは、こんなこと言ってはいけないが、福井はどうやって行くのかという話もあった。今回はみんないいところだというふうに言われたので、そういう意味では大変元気になったところである。 いずれにしても、目的を明確にしてわかりやすくこだわるというのが、西川知事の仕事のやり方かと思うので、そういう方向に向かって、一所懸命これからも力を尽くしていきたいと思っている。 ◯石塚
副知事 就任の際に、私は県職員から就任したので、できる限りこの経験を生かして現場の意見を聞いていきたいと申し上げたところである。この5カ月強の間、嶺南の経済対策、また災害もあったので、いろいろなところへ出かけていって意見を直接伺ったということはあろうかと思う。
副知事になって一番何が変わったかというと、やはり地元の方、いろんな方がこうしてほしいとか、こういうことだ、こういう事情をわかってほしいとか、意見をよく私のほうへ言っていただけるようになったというのは、1つあると思う。 また企業誘致もあるので、今、できる限りいろいろなところに出かけている。まだ成果として公表できるものは少ないが、これからできるだけ成果を出して、
福井県のためにやっていきたいと思っているので、よろしくお願いしたい。 ◯知 事 荷物がだんだん重くなってくる、仕事は重くなっていると思うが、それでも少し仕事が、さらに進めやすくなっているということだと思う。皆様の期待に応えるよう全力で取り組みたいと思う。 ◯関委員 それでは、私はこれで終わらせていただく。 〜以 上〜 ◯山岸委員長 以上で関委員の質疑が終了した。 これで通告による質疑は全部終了したので、ほかにないものと認め、総括質疑は終結した。 以上で、本日の審査を終了する。 なお、委員長報告については理事会に、また、
委員会記録の作成については、
委員会条例第27条の規定により、私に一任願う。 以上をもって、
予算特別
委員会を閉会する。 〜以 上〜
予算特別
委員会 委員長 山 岸 猛 夫...