一か月が経つ頃までに。
モモンガは毎日、夕暮れから夕食まで執務室で指示を出すようになった。
もっとも、伴侶たるアルベドは決して離さず。
彼女は日々、モモンガの膝上で報告をした。
「あっ♡ あっ♡ アウラとマーレがっ、エルフ国を掌中にしました……っ♡」
「例のエルフ王は訓練所に送れ。エルフの一部は種族変更しろ」
エルフ王とその装備、宝は全て徴収された。
「おっ、お♡ お、王国大使の、言動が目に余る……そうですぅっ」
「警告し、聞かぬなら貴族らと同じ場所に送れ」
王国の根本的意識改革は、まだ長かった。
「帝国っ、ひ、筆頭宮廷魔術師が来て、騒いでいる、とぉぉっ♡」
「カジットで不足なら、ティトゥスに相手させろ」
カジットはアンデッド相手のレベリングし、30レベルを超えていた。
「か、カルネ村が、判断力あるシモベ、を、要請ぃひぃっ♡」
「実験を兼ねて村の代表に、これを使わせよ」
カルネ村にゴブリン部隊が配置された。
「アベリオン、丘陵の制圧、ほぼ完了しまし、たぁっ♡」
「予定通り、法国に圧力をかけよ」
開拓と移民による消極的な国境侵食を三方から行うのだ。
「ひゅっ、ひゅレイン法国が接触してきましたぁ♡」
「周辺監視を強化せよ。ニグンたち陽光聖典は一応、隠せ」
移民はエルフ、帝国のワーカー、アイテムによる召喚モンスターである。
(深謀恐れ入ります。法国の部隊を確認しました)
「パンドラズ・アクターとアウラ、マーレ主導で、拉致せよ」
緊急性ゆえ、デミウルゴスから直接〈
「っ、あっ♡ あっ♡」
「おや、思案中でも随分と感じてくれるものだな」
考えながらも、つい両手でアルベドの尻を握りしめていたのだ。
握り弄る都度、膝上に向かい合って座る彼女の身が跳ねる。
「っ~~~~~♡♡♡」
「んむ、んっ……相応の精鋭を向かわせてくれていれば話が早いが」
目の前の乳房に顔を埋めながら。
しばし、愛する伴侶の体に溺れる。
残念ながら、溺れていられる時間は思いのほか短かった。
(はははは母上ぇッ!! たァー大変でェーーーすッ!!)
「……ぉ、っ、ど、どうしたぁぁぁぁっ!!!?」
「ぁっ、ひっ、も、モモンガ様ぁぁぁっ♡♡」
突然の我が子からの〈
のけぞるアルベドを、しがみつくように抱き寄せながら、何とか問い返した。
パンドラズ・アクターが取り乱すなど、普通では考えられない事態だ。
(わ、
「なにぃぃぃぃぃ!!!!」
「っあっ♡」
がたっ、とモモンガは思わず立ち上がる。
アルベドをきつく抱きしめたままに。
ナザリック地下第十階層、玉座の間。
「傾城傾国に、
「「…………」」
パンドラが既に分析した品を、モモンガ自らも再度分析し。
机を叩く。
絶対の精神支配を為すアイテムと。
絶対の存在消滅を起こすアイテム。
およそ
「……こいつらのレベルは?」
「一人だけ70超え、他は高くても30程度です」
モモンガの問いに、パンドラズ・アクターが困惑したように答える。
戸惑いゆえか、オーバーアクションもドイツ語も忘れている。
「む……70超えは男のようだが……誰が傾城傾国を?」
モモンガの記憶では、女性専用装備だったはずだ。
「……この10レベル程度の老婆でございます」
「何ぃ?」
「ええっ、あれが……このドレスを?」
「我々の知る戦術、装備適用と異なりすぎでは……」
理解しがたい、と言いたげに頭を押さえるモモンガ。
デミウルゴスとアルベドも、驚愕する。
「ともあれ、これらは我らに恐るべき損害を与えうるアイテムだった……使用前に奪えたのは幸いだな。切り札ともなりうる。保管し、換金はするな。他は
特に珍しい品もない。
セーラー服だって、シャルティアのクローゼットにもっと特殊な品がいくらでもある。
「
「承知いたしましたァッ!」
グロテスクな惨状が始まる横で、矢継ぎ早に指示を出す。
「終わり次第、他は訓練所に送ってヒルマに管理させろ。女もしっかり壊すまで種族変更はするな」
「……」
じゅるじゅると音を立てつつ、
「デミウルゴス、お前とお前の配下で召喚モンスターによる軍勢を編成し、法国の神都とやらにぶつけよ。派手に暴れはさせても、被害はなるべく出すな」
「ハッ、即座に!」
「〈
(例の番外席次が動き始めております。武装して宝物庫らしき場所を離れました)
「わかった。番外席次その他、大きな動きがあればデミウルゴスに伝えよ」
(お任せあれ)
「〈
「〈
「吸収いたしましたァッ! どーうやら彼らの所有する
「ふむ……つまりだ」
モモンガの目が紅く光り、〈絶望のオーラV〉が噴き出す。
「奴らは己の最高級の戦力を刺客として私を消滅――ないし精神支配せんとしていたわけだ」
「「……その通りかと」」
パンドラズ・アクター、デミウルゴス、アルベドも、憤怒と共に頷く。
達成不可能だったろうが。
至高の御方に、そのような意図を持って訪れただけで。
万死とて生ぬるい。
「お前たち三人にシャルティアとマーレを加え、出陣せよ。包囲軍による混乱をついて突入し、法国中枢を叩き潰せ。全てのアイテムを接収した後、神殿は跡形もなくしろ。戦力は可能なら捕縛して拉致、困難なら殲滅だ。一般市民には手を出すな。崇める神の死を見せてやれ」
全員が本来の、悪のギルドの守護者として頷いた。
「〈
「ありがとうございます!」
老婆の痕跡を念入りになくしてから、アルベドに
名目こそ与えたが、実のところ他の
また宝物庫にある他の
「万一の際は撤退を第一とせよ。誰一人として欠けること許さん」
三人がそれぞれ礼をし、急いで準備を始める。
漆黒聖典の壊滅を知ろうと知るまいと……この機会を逃さぬように。
「…………〈
モモンガは一人、円卓の間に立ち寄る。
少し、落ち着かねばならない。
三人が去るまでどうにか抑えたが、モモンガの動悸は激しい。
ツアーに連絡する余裕もない。
なぜと言って。
ナザリックの地上部に。
魔導国に、最も多くの時間詰めているのは。
他ならぬアルベドだったのだ。
「クソがああああああああああ!!!!」
奴らによって最も消滅の危機にあったのは。
最も精神支配の危機にあったのは。
モモンガではなく――
「よくも! よくも! よくも、私のアルベドを!!!!」
絶望のオーラが噴き出し、執務室中を吹き荒れる。
一般メイドが控えていたなら、即死しただろう。
どろりと瞳が濁り、深紅の光が炎となって噴き出す。
「ああ、ああ……クソッ! 甘かった! ああああああ!!!!」
アルベドは
それらの効果を無効化できるだろう。
そんな事態に、容易に陥るはずはない。
だが。
地上で許した“遊び”の状況次第では。
「あんな遊びを認めるべきではないのか? しかし……しかし!」
アルベドは地上部で一介の
モモンガが、息抜きとして許したのだ。
そして、どう遊んだか、抱かれたか、報告させながら……彼女を貪るのだ。
己がしていることを思えば、アルベドをどうして咎められようか。
「万一、今回にあれを奪えねば……」
漆黒聖典の男に騙されて抱かれた上、消滅させられたり、精神支配されたりする。
そんなアルベドの姿を想像するだけで、心がドス黒く染まっていく。
法国が憎い。
人間が憎い。
自身が憎い。
世界が憎い。
「ああ…………それなのに」
アルベドが愛しい。
ぐったりと放心して、モモンガはしばらく天井を眺めた。
数分か。
数十分か。
数時間か。
誰の〈
「……せめて、憎い一つだけでも、自分でめちゃくちゃにしよう」
ゆらりと立ち。
円卓の間を離れる。
そして思いつめた目で、ルプスレギナとクレマンティーヌのいる部屋に向かい。
憎い憎いモモンガ自身を、二人にめちゃくちゃにしてもらうのだ。
別に、ご主人様ロールで疲れたから行くわけではない。
たぶん。
封建社会の完成型は少数のサディストと 多数のマゾヒストによって構成されるのだ。
(ただし、トップがサディストとは限らない)
サキュバス大量に住み始めたので、魔導国首都は一部が水龍敬ランド並みのサキュバス特区と化してます。アルベドさんは毎日、地上に通って仕事したり、ビッチ本性出したりしてます。日暮れには帰宅して、モモンガさんと夫婦の営み。
アルベドさんの仕事中、モモンガはナーベラルの相手したり、ソリュシャンと長風呂したり、ルプー&クレマンにいじめてもらったり、たまにシャルティアの部屋に行ったりしてます。
エロしかしてません。
そして、アルベドさんが実際に消滅したり精神支配されたりは、まずありえません。
・漆黒聖典が魔導国首都に潜入(ありえなくもない)
・一介のサキュバスしてるアルベドと会う(幸運判定)
・アルベドの実力を看破する(探知阻害の指輪してるので超困難)
・アルベドがワールドアイテム持ってると見抜く(困難)
・アルベドをナンパする(できなくもない)
・ワールドアイテム装備解除させる(ほぼ無理)
・解除状態でカイレ突入か、ロンギヌス使用(ほぼ無理)
以上をクリアしないと無理。
でも、NPCが至高の御方に殺意向ける奴にキレるのと同じく。
アルベドに殺意(しかも脅威的)を向けたら、モモンガさんはガチでキレます。
一方この頃、ラナーはナザリック第六階層にいます。
原作のような保護されエルフが地上その他にいるので、二人きりです。
被害者面してクライムとひたすらいちゃつつき、遭遇した魔獣に怯えて守ってもらったり。体でお礼するプレイしたり。他に人間がいないからとアダムとイブごっこしたり。めいっぱい楽しんでます。
そんなラナーを、モモンガさんは心から応援してるし、不測の事態にもフォローするでしょう。