上関原発の海上ボーリング調査、着手遅れ 中国電力いまだ申請せず

上関原発の海上ボーリング調査、着手遅れ 中国電力いまだ申請せず
埋め立て免許の延長申請と海上ボーリング調査の実施について、記者会見で説明する中国電力上関原発準備事務所の大瀬戸聡所長(右)=山口県上関町で2019年6月10日午後3時1分、松本昌樹撮影

 中国電力(広島市)が上関原発(山口県上関町)建設予定地の海上で実施するボーリング調査が、大幅に遅れていることが判明した。中国電は8月中に着手する計画を県に説明していたが、29日現在、台風シーズンを理由に必要な許認可申請をしていない。政府は原発新増設について方針を示しておらず、建設に反対する市民団体は調査が不要で、中国電が予定地の公有水面埋め立て免許の許可期間を延ばす理由付けにしたと批判している。

 調査は、原発の新規制基準に基づく原子炉設置審査に備え、予定地付近の断層のデータ収集が目的とされる。中国電は、7月に県から建設予定地の公有水面埋め立て免許の再延長許可を得る際、新たに6カ月のボーリング調査をしなければいけないとして、2016年の前回延長期間より半年長い3年6カ月が必要と説明していた。

 毎日新聞が情報公開請求で県から入手した中国電の工程表では、7月中に海域を利用する占用許可申請などを終えて8月に着手、3カ月間の現地調査で採取した試料を12月まで分析するとしている。中国電は取材に遅れを認めて「今年は台風が多く難しい」と釈明。台風が接近すると調査用台船を避難させ、掘削をやり直す必要があるため、台風シーズン後の着手が現実的と説明した。

 これに対し、環境団体「上関の自然を守る会」の高島美登里共同代表(67)は「国が原発新増設を現在想定していない。国の基準が明確になってからやればいい調査で、免許の延長期間を引き延ばすのが目的だった」と語り、ボーリング調査の必要性に疑念を投げかけている。【松本昌樹】

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