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聖者無双 ~サラリーマン、異世界で生き残るために歩む道~ 作者:ブロッコリーライオン

15章 運命を切り開く者(仮)

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355 リニューアル

聖者無双のリニューアルではありませんw

 教皇の間から飛び出してた俺は、迷宮へ直行しようと思ったところで、教会本部全体がまた薄っすらと瘴気に覆われ始めていることに気がついた。

 教皇の間にいたのはそれほど長い時間ではなかったのにも関わらず、これだけ瘴気が増えているとなると……俺は直ぐに該当する魔物が思い浮かぶ。

 そこで念のため空間把握と索敵を同時に意識して発動させてみると、教皇の間へ向かう前に浄化波を発動させたことで歓声が沸いた訓練場には、人ではない何かが複数存在していることが分かった。


 心情的には騎士団にこのまま耐えてもらって、その間にルミナさん達と合流を目指したかったけど、さすがに見過ごすという訳にもいかなかった。

 そして訓練場へ飛行していくと、そこには思った通り瘴気を産み出すエビルフラワーと、地面から這い出てくるアンデッドの姿があった。  

「よく地面が崩落しないな……」


 俺はアンデットがどうやって地面から這い出てきているのか不思議に思いつつ、聖域結界を前方で平面に発動させて、そこに目掛けて浄化波を発動させた。

 すると勢いを増した浄化波が地上に当たると同時にエビルフラワー及びアンデッドが青白く燃えていく。


 下にいた騎士団や治癒士達は何が起こったのか一瞬混乱したように見えたけど、俺の姿を発見すると再度歓声が沸き上がり、少し前まで俺の存在を否定するような態度を取っていた者達の姿はなかった。

 追い詰められて危機感を持ったからか、もしくは教皇様やガルバさん達が進める意識改革が功を奏したからなのか、それとも否定していた者達が教会本部からいなくなったからなのかは分からないけど、今は邪魔されないことが嬉しかった。


 エビルフラワーやアンデッドが崩れ落ちるのを確認した俺は、重傷者がいないかを確認することにしたけど、騎士団の後方には治癒士達が固まっていて、彼らが怪我人達の回復に当たっていることが分かってホッとした。

 何故なら教会本部に招集される治癒士達は皆がスキルレベルの高い聖属性回復魔法が使えるからだ。

 連携も取れているみたいだから、ここは任せてもいいな。


 そう判断したところで、これ以上アンデッドが地面から這い出てくると今の戦力では厳しいくなるとか考え、訓練場に聖域結界を発動してサポートしようとした。

 しかしそこで第六感とでもいうのか、もしここで聖域結界を発動した場合、教会本部の建物内の石畳から這い出てくるのではないだろうか? そんな嫌な予感がした。

 そのため聖域結界を発動することを止めて、代わりに魔物がいなくなったことを確認して騎士団全体にエリアバリアを発動する。

 すると下からは歓声の他に感謝の言葉も聞こえてきて、その声にまだまだ余裕を感じることが出来たので、ここは騎士団に任せて再び迷宮へと向かう。


 それにしても人の感情はコロコロ変わるものだな……

 まぁ直接話したことも、行動したこともなったんだから、イメージだけで嫌われていたようなものなんだけど……。

 若くして教会での地位が上がってしまったから、仕方なかったのかもしれないけど、これで負のイメージが払拭されるといいな。

 そう思いながら教会本部入り口へと降り立って建物入り、迷宮へと続く魔導エレベーターへ乗り込んだ。


「この魔導エレベーターも久しぶりだな……さて、地下はどうなっているんだろう……な!」

 そして魔導エレベーターが起動して落下すると同時に瘴気が扉の隙間から入り込んできたので、地下へ着いて扉が開いたところで直ぐ浄化波を発動させた。

 すると瘴気が面白いように消えていき、その場にいたアンデット達が青白い炎となっていく。


 軽いB級ホラーだな……しかしここはまだ迷宮ではないのに、ここまで瘴気まみれだとは思わなかったな……。

 ルミナさん達がいくらレベルが上がって強くなり、瘴気を通さないローブや装備を身に纏っているとしても、まずアンデッド達も強化されているだろうから、出来るだけ急いで合流した方がいいだろう。

 幸い一度の浄化波だけで迷宮から売店までの瘴気と魔物が全て消滅してくれたおかげで、無駄に魔力を使わずに済むのは有難かった。

 そして迷宮へ潜る前に売店が目に入り、思わず立ち止まってしまった。

「まさかここまでとは……まだ普通だと」


 今回の騒動で売店に置いてあった武具はほとんどが持ち出されている状態だった。

 それにはガルバさんやカトリーヌさんがうまく動いたのだと予測がついたので特に驚くことでもなかった。

 しかし高濃度の瘴気に当てられたからなのか、高ポイント商品が飾られていた壁からなのから、出土してはいけないものが露出しているのが目に入ったのだった。

 それを見た俺は勝てない存在がいることを改めて認識するとともに、露出していたものをしっかりと魔法袋へ回収して、今度こそ迷宮の扉を開いた。


 迷宮内は想像していたよりも瘴気が薄く、視界を確保するのは容易だった。

 ただ一階から瘴気を浄化していけば、地上にアンデットがこれ以上は這い上がっていかないだろうと浄化波を発動した。 

 するとここでもまた驚かされることになる。


 瘴気が晴れると同時にゾンビしかいないはずの一階層にエビルフラワーやゾンビ以外のアンデッドが入り込んでいた。

 ただこれは予想していたし、それらしき反応もあったので驚くことはなかった。

 だけどさすがに迷宮内の構造が変化し、階層フロアか広がっているとは夢にも思わなかったのだ。


 聖都を瘴気で埋め尽くそうとしていたぐらいだから、何かしらの変化はあるとは思っていたけど、まさか迷宮でもこれだけの影響が出るなんて……。

 これはさらに気を引き締めないと邪神に到達すら出来ない可能性もあるぞ……。


 ただここで立ち止まっている訳にもいかないし、まずは戦乙女聖騎士隊に合流することを目標に進むか……。

 俺はこうしてリニューアルされてしまった迷宮の探索へ重い一歩を踏み出すのだった。


 

お読みいただきありがとうございます。


i349488
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