茨城国体のレスリング第2日は29日、水戸市内であり、女子53キロ級では22日に閉幕した世界選手権(カザフスタン)の55キロ級で2位に入った入江ななみ(24)=福井県スポーツ協会=が2連覇。世界銀メダリストの貫禄を示した。
初出場の世界選手権で非五輪階級とはいえ表彰台に上った入江が、帰国から1週間足らずでしっかり結果を残した。決勝では、昨年のU―23世界選手権(50キロ級)を制した難敵の五十嵐未帆を8―0で圧倒した。
「世界選手権の疲れは感じていないが、きょうは足が重かった。世界で銀を取った以上、国内で負けるわけにはいかなかった」。安堵(あんど)の笑みがこぼれた。
世界選手権では勝負の厳しさも知った。50キロ級で五輪切符を狙った姉のゆきが早々と敗退。姉の五輪へ懸ける思いを知る入江は「自分も悔しかった」とわが事のようにショックを受けた。
東京五輪で出場を目指してきた53キロ級は、世界選手権2位の向田(至学館大)が既に代表の座を射止めた。同じ53キロ級の選手には、まだ五輪代表が決まっていない50キロ級への階級変更を検討している選手もいるが、入江は「姉をつぶしてまで五輪に出たいという気持ちはない」と否定した。今後は東京五輪を諦め、姉のサポートに徹する。
今は姉の夢が自分の夢。「次はまた世界選手権を目指します」と明るく語った。(木村尚公)