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【政治】

辺野古阻止 本土の声に活路 玉城知事当選1年 世論喚起に力

河野太郎防衛相(左)に米軍辺野古新基地建設の中止などを訴える要望書を手渡す玉城デニー知事=29日、沖縄県庁で

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 沖縄県の玉城(たまき)デニー知事が、名護市辺野古(へのこ)の米軍新基地建設の阻止を掲げて当選してから三十日で一年となった。この間、東京、名古屋、大阪でシンポジウムを開き、沖縄に集中する米軍基地の負担軽減を訴えてきた。本土の世論を喚起して新基地断念を迫る戦術だ。だが、現状では政府が辺野古での工事を止める気配はない。 (山口哲人)

 玉城氏は二十九日、河野太郎防衛相と県庁で会談した。一年前の知事選や今年二月の県民投票を挙げ「辺野古埋め立て反対の民意が圧倒的多数で示された。政府は直ちに埋め立て工事を中断し、県との対話に応じてほしい」と求めた。

 河野氏は「米軍普天間(ふてんま)飛行場を全面返還するための方策として辺野古移設を一日も早く実現しなければならない」と重ねて政府の方針を伝達。防衛相就任後、初めての沖縄訪問は、県側と平行線に終わった。

 こうした光景は、辺野古移設反対を唱えた翁長雄志(おながたけし)前知事の時代から繰り返されてきた。昨年八月に急逝した翁長氏の後継となった玉城氏は、政府との対話による解決を探る姿勢を取った。就任から八日という異例の早さで官邸に首相を訪問。その後も度々上京し、菅義偉(すがよしひで)官房長官ら政府要人と面会を重ねてきた。

 対する政府は昨年十一月、県の埋め立て承認の撤回によって中断した工事を再開し、玉城県政の出ばなをくじいた。翌十二月には沿岸部への土砂投入に踏み切った。県との訴訟合戦となっても、新基地建設を見直す姿勢は見せていない。

 玉城氏が現状の打開に向けて期待するのが、本土の世論だ。沖縄の実情を訴えるために各地に足を運び、シンポジウムや大学での講演を積極的に行っている。新潟県湯沢町で開かれた国内最大級の野外音楽イベント「フジロックフェスティバル」にも出演、沖縄の願いを歌に乗せた。

 県政与党の県議は「玉城氏にはタレント性と発信力があり、辺野古に関心を持つ本土の国民は確実に増えている。政府も沖縄の民意を邪険にできなくなるはずだ」と期待する。

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