CMや街中の広告で見かける「モバイルWi-Fi」の文字。

外出時でもWi-Fiが使えるとあって、毎月のようにスマホの速度制限がかかる人は気になる商品でしょう。

ただ、ぱっと見の違いがわかりづらく、どれを買うべきなのか迷ってしまうはず。

そこで今回は、光回線やモバイル回線などについて解説しているブログ「やさしくねっと」の運営者を直撃!

モバイルWi-Fiの選び方やおすすめ商品、お得な活用法を教えてもらいました。

〈聞き手=森伽織〉

出典 https://twitter.com
【吉本洋海(よしもと ひろうみ)】光回線やWiMAX、格安SIMなど、ネット回線に関する情報を解説しているサイト「やさしくねっと」の中の人。フレッツ光の販売員として勤めた後、通信事業の会社へ転職し、中小企業、病院、介護施設等のネットワーク設備の管理を担当。現在は独立し、フリーランサーとしてウェブサイト運営、ウェブライティングを中心に活動している。

モバイルWi-Fiは何を基準に選んだらいいの?

森:
モバイルWi-Fiは、いろんな商品がありますよね。何を基準に選んだらいいのでしょう?

吉本さん:
選ぶ基準は3つあります。それぞれ解説しますね。

モバイルWi-Fiを選ぶ基準①:キャンペーン内容

吉本さん:
そもそもモバイルWi-Fiという商品は、WiMAX、SoftBank、Docomoの3種類の回線しかありません。(※)

しかし通信速度などの性能を考慮すると、実質WiMAXかSoftBankの2択です。


※厳密にはY!mobileとauの回線もあるものの、Y!mobileはSoftBankとほぼ統合されているのにくわえ、auの回線はWiMAXのオプションとして提供されているため、簡略化のために3種類と表記しています。

森:
もっとたくさんの種類があるのかと思っていました。



吉本さん:
たしかに、「BIGLOBE WiMAX」や「Broad WiMAX」など、「○○WiMAX」といろんな名前で売られているものがあります。

でもそれらは、販売代理店である「プロバイダ」が異なるだけで、売っているのは同じWiMAXなんです。

同じ回線なら基本的に機能に差はないので、キャンペーンがお得なものを選びましょう。

森:
なるほど、ややこしいですね…(笑)。

吉本さん:
このキャンペーンの種類は主に2つ。「契約期間中の月額料金を割引」「キャッシュバック」のどちらかをおこなっているところがほとんどです。

キャッシュバックのほうが金額的にはお得なことが多いのですが、受け取る手続きは契約の数カ月~1年後くらいにおこなうので、忘れてしまう人も少なくないんですよ。

森:
たしかに覚えていられる自信がないかも…

吉本さん:
なので確実に恩恵を受けられるように、カレンダーにメモしておきましょう。

モバイルWi-Fiを選ぶ基準②:通信速度

森:
先ほど、回線は実質WiMAXかSoftBankの2択だとおっしゃってましたが、この2つの回線に違いはありますか?

吉本さん:
通信速度が違います。WiMAXの回線は通信速度が速くなる高周波数帯を利用しているため、基本的にWiMAXのほうが高速です。

モバイルWi-Fiを選ぶ基準③:つながりやすさ

吉本さん:
ただ、だからといってWiMAX一択にはなりません。

なぜなら高周波数帯のWiMAX回線は障害物に弱いため、都内でも屋内や地下鉄にいると、通信ができないことがあるから。

一方の低周波数帯だと通信速度は遅めですが、障害物に強いんです。

森:
せっかく契約しても、なかなかつながらなかったら意味ないですよね…

通信速度とつながりやすさのどちらを重視するかで、選ぶべき回線が決まるんですね。

吉本さん:
そうなります。ただしプロバイダによっては、WiMAXの回線とLTE回線を併用できる機種・プランも用意しています。

この場合、WiMAXの圏外では低周波数帯のLTE回線に自動で切り替えてくれるので、高速通信とつながりやすさの両方が手に入るのでおすすめです!



森:
それはいいですね!

吉本さん:
もし気になるものがあれば一旦借りてみて、主要な行動範囲内で通信が途切れないか確認しておきましょう。だいたいどこもお試しレンタルができますよ。

専門ブロガーがおすすめするポケットWi-Fi3選

森:
特におすすめの商品ってありますか?

吉本さん:
ありますよ! 今回は3つご紹介しますね。

おすすめモバイルWi-Fi①:「GMOとくとくBB WiMAX2+」

出典 https://gmobb.jp
(画像は公式サイトのスクリーンショット)


利用可能な回線:WiMAX 2+・au 4G LTE

契約期間:3年間(解約金2万4800円)

プラン名 | 通信容量 | 料金
ギガ放題プラン | 制限なし(※) | 4263円
7GBプラン | 7GB | 3609円


※直近3日間で通信量が10GB以上となった場合、通信速度を翌日にかけて制限

吉本さん:
「GMOとくとくBB WiMAX2+」は、キャッシュバック金額が最大3万1000円(随時変動あり)になるキャンペーンをおこなっていて、最高水準でお得なモバイルWi-Fiです。

また、WiMAX 2+とLTE回線の併用もできるため、高速通信とつながりやすさ、両方のメリットを得られるのもポイントです。

森:
いいことづくめですね!

GMOとくとくBB WiMAX2+
https://gmobb.jp/

おすすめモバイル Wi-Fi②:「縛りなしWiFi」

出典 https://shibarinashi-wifi.jp
(画像は公式サイトのスクリーンショット)


利用可能な回線:WiMAX、SoftBank

契約期間:縛りなしプラン→なし/縛っちゃうプラン→3年

プラン名 | 通信容量 | 料金
縛り無プラン | 制限なし(※) | 3300円
縛っちゃうプラン | 制限なし(※) | 2800円


※大量通信をおこなうと速度制限になる場合あり。1日で2GBを超えると当日のみ速度制限となります

吉本さん:
モバイルWi-Fiには基本的に、契約期間の縛りが2~3年間に設定されています。この期間中に解約すると契約解除料がかかってしまうので、気軽に止められないんですよね。

しかし「縛りなしWi-Fi」は名前の通り、縛りがない珍しいプランを用意していて人気があります。

縛りなしWiFi
https://shibarinashi-wifi.jp/

おすすめモバイル Wi-Fi③:「どんなときもWiFi」

出典 https://donnatokimo-wifi.jp
(画像は公式サイトのスクリーンショット)


利用可能な回線:SoftBank・docomo・au のネットワーク・LTE回線

契約期間:2年

プラン名 | 通信容量 | 料金
データ放題プラン | 制限なし(※1) | 3480円(※2)
ベーシック放題プラン | 制限なし(※1) | 3980円(※3)


※1 大量通信をおこなうと速度制限になる場合あり
※2 1カ月目~24カ月目までの料金。それ以降は3980円
※3 1カ月目~24カ月目までの料金。それ以降は4410円

吉本さん:
通常のモバイルWi-Fiは、スマホのように利用回線に応じたSIMカードが端末に入っていますが、「どんなときもWiFi」はクラウドサーバーでSIMカード情報を管理する「クラウドSIM」を採用しています。

おかげで1台の端末で複数のSIMカードを適宜使えるため、SoftBank・docomo・auの大手3キャリアの回線が最適なタイミングで利用できます。

さらに海外でもそのまま使えるのがポイント。いちいち海外用Wi-Fiをレンタルしなくて済むので、海外によく行く人には特にオススメです。

どんなときもWiFi
https://donnatokimo-wifi.jp/

モバイルWi-Fiを選ぶ際は「最大速度」「通信量無制限」に惑わされないで!

森:
モバイルWi-Fiを選ぶ際に、気をつけたほうがいいことはありますか?

吉本さん:
「最大速度」「通信量無制限」、この2つの魅力的なワードには惑わされないようにしましょう。

注意点① :「最大速度」は実際には出ない!

吉本さん:
モバイルWi-Fiのサイトにはよく「最大速度○○Mbps」と書いてあります。

しかし「最大速度」はあくまでも理論値。実際には、混雑状況や障害物の有無、使用エリアなど、さまざまな条件が重なるので、その値が出ることはありません。

森:
じゃあ気にしなくていいってことですか?

吉本さん:
そうですね。どのモバイルWi-Fiでも、基本的に対応エリア内であれば、満足できるレベルの速度が出るので安心してください。



注意点②:「通信容量無制限」はあり得ない!

吉本さん:
また、「通信容量無制限」という表記にも注意が必要です。

森:
なぜでしょう?

吉本さん:
実は、厳密にいうと「無制限」ではないからです。

回線内で流通させられるデータ量に限度があるので、いっぺんに大量のデータを流しすぎると、利用できない人が出てきてしまいます。

そのためすべてのユーザーがネットワークを使えるよう、大量にデータを送受信しているユーザーに対し、各通信会社は通信速度制限をかけるんです。

森:
たとえるなら、100席しかないコンサート会場でチケットの買い占めを防ぐため「お1人様1枚まで購入可能」とルールを定めてる、みたいな…?

吉本さん:
そうですね。WiMAXの場合、無制限と表記しつつも「3日で10GBまで」のように注意書きが必ず入ってます。きちんと制限条件をチェックしておきましょう。

森:
実際には制限があるのに、なぜ無制限と書いているのでしょうか?

吉本さん:
「3日で10GB」という通信量は、スマホを一人で使用している分には、超えない量だからでしょう。

「普通に使う分には制限しませんよ」ということです。

森:
んーそういうことか…

吉本さん:
パソコンで大きなデータを送受信したり、複数人で1台のモバイルWi-Fiを共有したりすると超えてしまう可能性があるので、注意してください。

自宅用としてモバイルWi-Fiを契約する人もいますが、複数人で頻繁に使うのなら光回線を契約したほうがいいでしょう。

たとえばPS4のアップデートなんかは1回で20GBほど使うので、「3日で10GBまで」のモバイルWi-Fiでやろうとすると、最短でも4日くらいかかってしまいます。

森:
さすがにそんなに待てないですね。

スマホのプランを見直してより安く! お得な活用法を解説

森:
おすすめしていただいたモバイルWi-Fiを使うとして、よりお得に使う方法って何かありませんか?

吉本さん:
あくまでも「人によっては」ですが、スマホの料金プランを合わせて見直すと、よりお得に使えるかもしれません。

楽天リサーチが2017年に行った調査によると、20代のスマホの月額平均利用料金は7273円。一方、大手キャリアの最安プランとWiMAXの無制限プランを組み合わせると、月々の料金はだいたい6500円~8000円ほどになります。

なので安いものを厳選すれば、スマホの利用料金を抑えられます。


〈モバイルWi-Fiを併用した際の利用料の概算〉
3000円~4000円(スマホの最安プラン)+3500円~4000円(WiMAXの利用料)=6500円~8000円/月

森:
明細をチェックしてみたら、私も利用料金が8000 円を超えている月がありました。

モバイルWi-Fiを使ったほうが、出費を抑えられそうです!

吉本さん:
さらに格安SIMとモバイルWi-Fiを併用することで、より利用料を抑えることもできますよ!


〈モバイルWi-Fiと格安SIMを併用した際の利用料の概算〉
1700円(格安SIMの音声通話ありプランの最低水準)+3500円~4000円(WiMAXの利用料)=5200円~5700円/月

森:
おお! 通信容量は実質無制限なのに、2000円ぐらい安い!

モバイルWi-Fiを持つと出費が増えると思っていましたが、場合によってはお得になるんですね。

吉本さん:
モバイルWi-Fiの契約を検討するのであれば、現在のスマホのプランを見直すところから始めるべきです。

人によってはモバイルWi-Fiを使わないほうが安いこともあるので、自分にとって最適な選択を見つけましょう!

滅多に通信制限がかからない私にはモバイルWi-Fiは無縁だと思っていましたが、旅行が好きなので、海外でも使える「どんなときもWi-Fi」はかなり気になりました。

スマホのプランを安いものにしてモバイルWi-Fiを併用すべきか、海外旅行のたびにモバイルWi-Fiをレンタルするべきか、真剣に検討してみます!

〈取材・文・撮影=森かおる(@orca_tweet1)/編集=葛上洋平(@s1greg0k0t1)〉

ねとみ@やさしくねっと (@yasashikunet) | Twitter
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やさしくねっと.|光回線やモバイルWi-Fi等についてわかりやすく解説
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