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【ラグビー】

具、世界押した スクラムの強さ証明

2019年9月29日 紙面から

前半、スクラムを組む具智元(中)ら日本の選手たち=静岡スタジアムで

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◇ラグビーW杯<1次リーグ> 日本19-12アイルランド

 8人一体となって、相手に押し勝った。前半33分すぎ、日本は自陣左サイドでの相手ボールスクラムで全く引かず、ペナルティーをもぎ取った。膝や脚の位置までこだわり、後ろから前に力を伝える日本式スクラムの強さを証明した。

 屋台骨を担ったプロップ具智元(グ・ジウォン)は、普段の柔和な表情から想像できないような、鬼気迫る形相で左手を突き上げた。

 1本目のスクラムで反則を取られたのを、即座に修正した。「(1本目も)前に出ている感覚があったので、回させないように真っすぐ組もうと。取り返すことができた」。日本開催が決まった中学時代から、夢見た舞台で初先発し、役割をこなした。

 ラグビー界には「アジア最強」の元韓国代表プロップ、父・東春(トンチュン)さん(56)に導かれた。「腹筋200回やったら、コンピューター1時間やって良いよ」と言われ、指示通りにこなした。具はゲームへの執着心だったかもしれないが、東春さんは才能の芽を見出した。

 中学時代はニュージーランドに留学。菜食主義の家庭にホームステイし、1カ月で約10キロの激やせ。半ズボンがダブダブになりながら、本場の文化を吸収した。大分・日本文理大付属高では、高校日本代表も経験した。

 今年7月の宮崎合宿中に右手甲を骨折した。代表争い真っただ中で「正直焦った」。それでも三重県鈴鹿市を訪れた父と、毎日グラウンドを走ったり、スクラムを組んだりして備えた。

 後半13分に退くまでスクラムだけでなく、ボールキャリーでも存在感を示した。ぐーくんと呼ばれ、親しまれる背番号3は「本当に今まで一番の舞台で勝てて、夢みたい」と、太い眉を思い切り下げて笑った。 (高畑章)

 

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