調査結果の分析作業を進める神戸児童間性暴力研究会のメンバーたち=2019年8月、神戸市、同会提供

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 児童福祉施設内の子ども同士で起きる性暴力は、同性間が7割を占め、特に男子同士の事案に重大な傾向がある――。

 こうした調査結果を、施設職員らのグループがまとめた。子ども間の性暴力の多くが、性的衝動によるものではなく、支配欲や知的障害など別の理由で起きていることを示唆しているという。

 児童福祉施設内での性暴力の実態は長年、明らかにされてこなかった。2年ほど前に裁判を通して三重県内の実態が表に出たことをきっかけに、注目されるようになった。厚生労働省が全国の実態調査をしたが、具体的な内容の分析や公表はされていない。今回の調査は全国に先駆けた取り組みといえる。

 調査したのは、大阪府や兵庫県内の児童福祉施設や児童相談所の職員、研究者ら約20人でつくる「神戸児童間性暴力研究会」。昨年10月から今年5月にかけて、原則18歳までの子どもが生活する児童養護施設など、全国にある入所型の児童福祉施設21カ所で、過去10年間に起きた子ども間の性暴力について詳しく聞き取った。集まった197の事案について分析した。

 加害児と被害児を1対1でとらえた場合、調査対象は308ケースになった。加害児は156人、被害児は192人だった。加害児の89%、被害児の64%は男子。男子から男子への性暴力が全体の62%を占めた。全国の児童福祉施設の入所者は、男子が55%(厚労省調べ)。今回の調査では、男子の割合がそれに比べて多かった。

 加害児の年齢は、85%が9歳以上。被害児は各年齢層にいるものの小学生が60%を占めた。

 加害児については、性的にも揺れ動く「思春期入り口」の子どもへの支援が重要とみられる。一方、被害児については、年齢に応じた性教育や思春期前の子どもへの「自らの安全を守る方法」を身につける支援の必要性が浮かび上がった。