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【女の議会みち】

(6)議員なって良かった 家族や友人の支え、励みに

夕食中にかかってきた仕事の電話に出る女性議員(手前)。話し込む間、夫は娘をあやしながら待っていた=東京都港区で

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 あ、来てる。東京都世田谷区議三期の桜井純子(51)は、自分の本会議一般質問を傍聴席で見守る夫を見つけた。つくづく思う。「変わったなあ」

 生協の理事だった十二年前、「出馬したい」と打ち明けると、夫は声を荒らげた。「政治活動はしないって言ったじゃないか」。政治がだめだと生活がよくならないと気付いたの、と訴えた。激論は八時間にわたった。

 それが、今では政策チラシを配ってくれたり、懸案を抱えてうなされた翌朝には「気に病まなくていい。頑張ってるんだから」と励ましてくれたり。子どもや女性の問題に取り組む姿を見て、自然に応援団になっていた。しかし、夫が「妻は議員だ」と周囲に言うと「奥さん、強いんだ」と哀れむような反応が返ってくる。世間ではまだ、議員になる女性は特別なのか-。

 二十代半ばで議員になった群馬県榛東村議三期の南千晴(34)も当初、「議員」と「女性」が自分の中でうまくつながらず、飲み会や合コンでは出会った男性に職業を言えなかった。仲良くなって打ち明けると、急に敬語になられたり、「普通の女性がいい」と言われたりした。一方、村では「村長の愛人だ」と根も葉もないうわさを立てられ、傷ついた。

 吹っ切れたのは、三十歳を過ぎてからだ。今では最初から議員だと名乗る。「誰の目も気にせず、堂々とデートしたい。独身だから、隠す必要ないですもんね」

 女性が選ぶ職業としては社会の認知も風当たりも厳しいが、家族や友人らの支えで乗り切っていく。時に、そのバランスが難しいことも。

 四年前の春、初当選した東京都港区議一期の清家(せいけ)愛(40)は、期待に応えたくて全力で働いた。一人娘は幼稚園に入園でき、安心していた。

 しかし、初めての参観日。色鉛筆を使ったカラフルな園児の絵が並ぶ中で、わが子が描いたのは、鉛筆の黒い線だけの寂しい絵だった。帰宅して「何を描いたの」と尋ねると、何とは言わず「ママのおなかに帰りたい」とつぶやいた。

 ショックだった。夫は家庭を大事にする人で娘も大丈夫だと思っていたが、ママが足りなかった。「こんな思いを二度とさせてはいけない」。夜の付き合いはなるべく断り、娘と過ごすように。「この時間に本当は議員として働くべきではないか」と揺らぐ時もあるが、あの絵を思い出す。仕事に傾きがちな自分への戒めのように、今もベッドサイドにしまっている。

 悩み、でも歩む。「つらいけど、人生充実している。議員になってよかった」と南。

 東京都文京区議一期の海津敦子(54)は今年の誕生日、次女(19)からメールをもらった。

 <いつも忙しいあっちゃん。この年になってもやりたいことに挑戦できて、納得いかないことをよしとしないあっちゃんは、すごい。あっちゃんの娘だから、いつか私もやりたいことを向こう見ずにアクティブに、ポジティブにできるようになる…かな? いつもありがとうございます。お誕生日おめでとう>

 よし、もうひと頑張りしますか! (敬称略)=おわり

 (この連載は、鈴木久美子、柏崎智子、杉戸祐子、竹島勇、萩原誠、小形佳奈、林朋実、榎本哲也、加藤木信夫、竹上順子、写真・木口慎子、嶋邦夫が担当しました)

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