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【女の議会みち】(3)男社会びっくり 言葉で圧力・数を頼みに…のまれまい
「おまえなんか辞めちまえ」 東京都国立市議一期の前田節子(53)は議長室で、ベテランの男性議員に怒鳴られて驚いた。議員になって一年目、二〇一二年三月のこと。定例本会議で、原発政策を進めた他党の責任について発言したところ、発言の削除を求める動議をかけられ、その党の会派の幹事長らに謝罪を要求された。 力で押さえ付けられる感じがした。 「向こうが先輩とはいえ、(議員という)対等な関係の相手に対して社会人がおまえという言葉を使うなんて。このモラルのなさはどういうことか。十年勤めた会社員時代は決してこんな言われ方はなかった」 女性が議員活動を始めると、驚かされ、ぶち当たる壁が男性中心に築かれてきた議会の「非常識」だ。「当選証書をもらう時、男性しかいなくて『男だけの社会なんだな』とあらためて思った」と世田谷区議三期の桜井純子(51)。 中央区議一期の青木かの(53)は、男性議員から何度も服装に非難めいたことを言われ、うんざりした。シンプルな白いスカートスーツに青いスカーフを巻き、ハイヒールを履く姿は、英会話学校講師や通訳の仕事をしていた時は問題にされなかった。「男性は見た目をうんぬんされず、女性だとターゲットになる。そんな話題より政策の話をしたいのに」 板橋区議一期の井上温子(30)は議員一年目、議場で一般質問する自分の声がかき消されるほどのヤジが続き、「人格がおかしくなりそうだった」と明かす。 「(3・11の後で)放射線対策や原発関連の質問をすると『そんなことできるんだったらとっくにやってるんだよ!』『福島の方が大変だよ』。泣きはしないが、声がどんどんか細くなるのが分かった」 地元でコミュニティーカフェを開くなど、NPO活動を経て議員になった。議員二年目は心が折れないよう共感を得られやすいことから取り組んだ。「でも本当は、それではだめ。意見を聞かない方がおかしいんだから」 議会は必ずしも活発な議論の場とは目に映らなかった。桜井は「(議場で)おじさんたちが口をそろえて『異議なし』と言っている。不思議だった」と言う。江戸川区議四期の間宮由美(52)は「委員会で意見を言うのは当たり前と思って勉強して臨んだら、ベテランの男性議員から『時間が長くなるから言うな』と言われた」。井上も「個人で判断できない議員がいたのが不思議だった。『党の判断だから僕個人では…』『持ち帰らないと』って」。 「キャリアを積むと議会運営全体を見るようになり、迎合するつもりはないのに『どうしたらあのおじさんたちを丸め込めるか』と、組み込まれざるをえない。男のやってることと同じ」と、群馬県高崎市議三期の三島久美子(58)は自戒を込める。 「議会って戦場。武器を言葉に持ち替えた男たちが、やーやーやってる。論理とは関係ないところで、誰かが失敗するとわーっと寄っていって、その人をはじき出す。こんな暴力的な職場は、女性にとって居心地が悪い」と前田は話す。 旧態依然の議会に女性議員はどう向き合うのか-。 (敬称略、社会部・生活部取材班) この連載へのご意見をお寄せください。 電子メール=shakai@tokyo-np.co.jp 手紙は〒100 8505(住所不要)東京新聞社会部統一選取材班。ファクス03(3595)6917 記事一覧
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