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【女の議会みち】

(2)手探りの選挙活動 選挙のお作法越え

 議員になるため、選挙は避けて通れない。初めての場合、すべてが手探りだ。

 「たすきはどこに入っているんですか」。東京都文京区議1期の海津敦子(54)は4年前の区議選告示日、区選挙管理委員会で質問した。選挙の象徴・たすき。海津はいわゆる「七つ道具」として選管が配布してくれるものだと思っていた。「『ご自身で用意』と言われてびっくり」。友人が大急ぎで作ってくれた。材料は、友人が妊娠中に使っていた腹帯。それを縫って、名前を書いてくれた。

 選挙中は5、6人の「ママ友」と区内を歩き回った。誰に何を訴えればいいか分からない。公園でゲートボール中の高齢者に「今度出るんだけど」と話し掛け、「公園とか整備してよ」などと要望を聞き出しながら、顔を覚えてもらった。

 東京都港区議1期の清家(せいけ)愛(40)もたすきを準備せず、夫が急きょ紙で作った。街頭演説も、もちろん初体験。話すのが苦手で、言葉に詰まると演説は無言になった。友人から「逆効果だから帰ろう」と言われたこともある。東京都板橋区議1期の井上温子(あつこ)(30)は原稿を持って読み上げ、支援者に「それじゃだめだよ」と取り上げられた。 (敬称略、社会部・生活部取材班)

駅に向かう人たちにビラを配る女性議員=東京都中野区で

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◆避けて通れぬ道、しきたりだらけ

 選挙に初挑戦して、街頭演説で戸惑いを感じた、と振り返る女性議員は多い。

 千葉県浦安市議一期の岡野純子(36)は元アナウンサーで、マイクには慣れていたが「カメラもいないのに一人で『トラメガ』を持って話すなんておかしい。誰も聴いてくれない」と思った。

 だが、後援会に初めて入ってくれた人は、岡野が同じ場所で演説しているのを三回見て連絡をくれたという。

 ちなみに、トラメガは「トランジスタメガホン」の略で拡声器のこと。ポスターを張る両面シール「ワッポン」、ウグイス嬢の男性版「カラス」…。選挙独特の用語にも戸惑った。

 選挙活動には、元手が要る。資金は? 神奈川県大磯町議三期の渡辺順子(68)は約百万円。選挙事務所は借りず、自宅にした。「やりようで何とでもできる」。東京都練馬区議二期の倉田麗華(33)も同じ程度。車は中古を三十万円で入手。チラシはパソコンを駆使して自力で作った。

 政党色が強くなると、事情も変わる。四十代の自民党議員は「政策を勉強して実現することが評価されるべきだ。でもそれだけじゃ選挙は受からない」。地域の忘年会や新年会にこまめに顔を出す。「町会の餅つきに行ったとか、地域の掃除に顔を出したとか、特に自民支持者には大事。告示前に勝負はついている」。資金も会合の飲食代や配布する印刷物がかさみ、四百万円ほどかかったという。

 同じ自民でも選挙の“お作法”に反発したのが東京都北区議一期の小野田紀美(32)。アルバイトや派遣社員として働いた経験があり、ブラック企業にも勤めた。選挙直前も「手取り二十万円のワーキングプア」。公募で党公認を得たが、お金はない。「選挙カーも電話作戦もお金がかかるが、地域の未来にとって必要なのか。政策を聞いて納得した人に票を入れて欲しかった」

 街頭演説も「『つらいけどがんばってます』というパフォーマンス」だと思って、やらなかった。「議員になろうという若い人たちを妨害するような古い慣習は、自分がたたかれても変えたい」

 選挙戦を勝ち抜き、さぁ議会へ。待ち受けていたものは-。

  (敬称略)

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