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【東京】シベリアなどで抑留の体験者描く 風景、労働の様子 九段ギャラリーで展示
終戦後、シベリアなど旧ソ連やモンゴルに抑留され強制労働に従事した旧日本軍兵士らの姿などを題材とする絵画展「冬と夏を描く」が、千代田区の九段生涯学習館「九段ギャラリー」(九段南一)で開かれている。人力で丸太を運ぶ過酷な労働の様子や雪に閉ざされた冬の景色が描かれている。 (梅野光春) シベリア抑留は、日本人捕虜ら約五十七万五千人のうち、約五万五千人が飢えや寒さなどで亡くなったとされる。展示では、帰国後に画家として活躍した元兵士ら十人が、体験をもとに描いた約四十点を集めた。
深い雪に腰まで沈めてのこぎりをひき、木を切る様子を表した水彩画や、空腹のためにごみ捨て場で空き缶ですら奪い合ったさまを描く油彩画などが並ぶ。一方で明るい緑の草原が広がる夏の風景画もある。 担当の川口麻里絵学芸員は「抑留生活の写真はほとんど現存せず、体験者の絵画は当時の労苦を伝える貴重な資料。併せて、シベリアの短い夏も感じてほしい」と展示の意図を話す。入場無料で、十月一日まで。問い合わせは、主催の平和祈念展示資料館=電03(5323)8709=へ。 ◇ 期間中、九段生涯学習館から徒歩圏内の「昭和館」と「しょうけい館」で、連携した企画展を実施している。昭和館一階ニュースシアターでは、シベリアからの引き揚げを取り上げたニュース映画などを上映。しょうけい館では、抑留経験のある戦傷病者の手記などを紹介している。
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