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聖者無双 ~サラリーマン、異世界で生き残るために歩む道~ 作者:ブロッコリーライオン

13章 人類最強クラス集結

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307 最強戦力

 竜が降って来る。その巨体から重さを推定すると、それだけで強力な攻撃になり、被害は甚大なものになるだろう。


 しかしそれに素早く対処出来る仲間が俺達にはいる。


 俺達の先制攻撃したところで、ドランとバザックが地面を隆起させて、さらに針剣山のように先端を尖らせたことで、そのまま串刺しとなる竜は後を絶たない。

 少し残酷な状態だけど、戦乙女聖騎士達の面々は冷静に串刺しとなった魔物達へ止めを刺していく。


 そこでようやく三体の“ルシエルン”が現れ、竜種と対峙する。


 “ルシエルン”の二体が弱っている竜種や、巨大な魔物へと近づいて止めを刺すか、捕まえて巨大な門へと投げ飛ばすかのどちらかを選択していた。

 そして残一体が、皆の盾になるように仁王立ちの構えながら、リシアンが作った虫取り網? を振って魔物を捕らえた勢いのまま、壁へと叩きつけていた。


 後方は何とかなると感じた俺は、ただ幻想剣に風龍の力を借りることをイメージして斬撃モドキを飛ばしながら、浄化波を発動させる。

 魔物の血は魔物を興奮させるらしいので、一定の時間で浄化させていく。


 相棒であるフォレノワールが、上空から下に向けてレーザービームによる援護射撃をしてくれているおかげで、奇襲をかけようとしていた魔物達に囲まれることがないのも救いだ。


 そして闘いが進むにつれ、師匠は既に斬撃だけでは物足りなくなったのか、巨大な扉のある方向へと接近して、魔物達の攻撃を躱して返し技で斬り伏せていく。

 どうか後方から飛んでくる魔物には注意してもらいたいと思いながら、俺は自分の前にいる竜種へ、攻撃を加えていく。


 そこへライオネルもまた何度も炎弾と斬撃を放ちながら、俺へと近づいてきた。

「ルシエル様、魔力結晶球で魔力を回復させて貰ってもいいでしょうか?」


「ああ。直ぐに使うのか?」

 魔力切れにはいささか早い気がしたのだ。


「いえ、今からあの巨大な竜種を倒す為に神槍無突を使いますので、その後に」

 横目で見れば十メートルはあろうかという巨大な竜がそこにはいた。

「分かった」

「では、ハァアアア」

 ライオネルは俺の返事をに頷くと、神槍無突へと武器交換してすぐさま見たこともない速さで槍を突き出したのだ。

 そこで俺は目を疑う光景を目の当たりにした。


 槍がいつものように空間移動するまでは一緒だったのだが、槍の先端が現れるとその大きさは竜種の首に匹敵するほどだった。

 槍は巨大竜の喉へと吸い込まれていき、その巨体を持ち上げ斬り捨てた。


 ライオネルを見れば既に大玉の汗を掻いていたので、直ぐに魔力結晶球を渡すと、魔力を回復していった。

「ありがとうございます。全快しました。これで私も竜殺しです。一気に片付けて行きましょう」


 ライオネルは再び武器交換して炎の大剣に持ち替えると、直ぐに門から左手の竜へと炎弾を放ちながら近寄って行く。


「ルシエル君、あの二方は少し異常だと思うのだけれど?」

 いつの間にか側にルミナさんが近づいて来ていた。


「あの二人は地道に強くなっていき、いきなりその全てを失って弱くなってしまいましたからね。今は強くなるのが楽しいのだと思います」

「……大変だな」

「まぁ師匠と従者筆頭ですからね」

 ルミナさんの苦笑に、俺も苦笑で応えるのだった。


 ちなみにルミナさんもかなりレベルが上がっているのだろう。

 斬撃が徐々に強力なものとなっている。

 まぁ本人はあまり気がついていないようだけど。


 そんなことを考えているうちに、後方からバザックとリディアが最強魔法を放ちながらゆっくりと近づいてきた。

「賢者ルシエル様、魔力結晶球をお借りできますか?」


「ああ……それにしても随分楽しそうだな?」

「ええ。やはり人と戦っても虚しさしか残りませんが、魔物を倒すということで、誰かを守っていると思えるからでしょうか」

 戦闘狂だからではないらしい。俺はそのことに驚いたが、まだ少しだけ疑っていた。

 何せ俺に最強魔法を打ち込む人間なのだから。


「ルシエル様、戦乙女聖騎士隊の数名が軽い怪我を負っていますので、回復をお願い致します」

「分かった」

 俺は一度斬撃を放ってから、魔法陣詠唱でエリアハイヒールを、三か所に発動させた。


「これで大丈夫だろう」

「ありがとうございます」

 バザックから魔力結晶球を受け取ったリディアは自身の魔力を回復していく。


「しかし竜種とはここまで弱い種族なのですかな?」

 バザックの言葉に俺は頭を抱えたくなる。

 このまま全てを倒して巨大な門を開けたかったのに……。


「……竜種がブレスを放つところへ向かって、斬撃や魔法を飛ばしているからそう感じるんだと思う。まぁ全てを倒せば分かるだろうけど」

 俺はそう言いながら、リディアから魔力結晶球を受け取った。


「そう言えば、お姉様がエスティアさんに手伝ってもらいながら、竜を探しているっていっていましたわ」

「ここにいる竜種はそこまで知能が高そうには見えないんだけど」

 確か眷属というか、召喚出来る竜を屈服させるんだったよな? だけどここにいるのは、闘争本能むき出しの竜種だけしかいない。


「はい。でも知性のある竜もいるみたいで、二人でずっと探しているみたいです」

「そうか」

 出来れば戦闘は避けたいけど、無理なんだろうな。


 それからも徐々に数を減らしていく竜種とその眷属達を見て、無傷でいられるのはこれだけの最強メンバーが揃っているからだとしみじみ思った。


 旋風、戦鬼、深淵、聖都最強部隊の戦乙女聖騎士隊。

 その他、巨大ゴーレム“ルシエルン”に龍神の巫女、精霊の巫女、精霊憑き精霊剣士。

 よくこれだけの戦力が集まったものだ。


 そして上空から放たれたレーザービームで、龍神様が待ち伏せさせていた魔物達は全て消失させることが出来た。

 何事もなく終わった……そんな感想を持つことは、死に直結する。


 ルミナさんを除いた戦乙女聖騎士隊は喜びの声を上げたけど、それ以外は誰も気を抜いている者はいなかった。

 俺は皆にエリアハイヒールとエリアバリアと発動すると、目を瞑り全力で身体強化を発動させた。


 すると地響きがなり、門の左右の壁が崩れ落ちていくと、中から巨大な龍に似た竜がその姿を左右別々から現すのだった。

 巨大“ルシエルン”に匹敵するその大きさに、さすがの師匠やライオネルも、俺がいる場所まで下がってきた。


 そして皆が驚いているところに、 ナディアは大きな声が響き渡った。

古竜(エンシェントドラゴン)よ。古の契約により、私と契約してもらえませんか?」

「「グォォオオオオオ」」

 二体の竜はナディアの声を無視するように大声を上げた。


『人の子達よ、よくも我らの眷属を全滅させてくれたな』

『我が眷属の恨み、どうしてくれよう』

「っ!?」

 ナディアはその一声で何も言えなくなってしまったみたいだった。


「古竜達よ。散々高みの見物を決め込んでおった癖に、何という傲慢な態度なのだ」

「然り。群れが大事なら、本来はもっと早く出て来るはず」

「大方、こ奴らはこの竜の巣の半端モノなのだろう?」

 師匠、ライオネル、バザックはそれぞれの思いを口に出した……が、古竜はそれを一切無視して俺を見ていた。


 どうやら標的は俺らしい……なんでいつも俺なんだろうか? そんなことを思いながら、俺は客観的立場を告げることにした。

「俺達は龍神様が全滅させて来いと言ったからそれに従ったまで。文句があるなら龍神様に言っていただきたい」

『そんなことは我らには関係ないことだ。闘争こそが我らの掟』

『もし許して欲しいのであれば、武力を持って我らを納得させて見よ』

 どうやら俺の声には反応するらしく、師匠やライオネルの額には青筋が浮かび上がっていることが分かる。


「ならば古竜達よ、もし我らが勝てば龍神の巫女と契約をしてくれないか?」

『『がぁっはっはっは』』

 突然二体の古龍は大気が震えているかのような大きな笑い声を上げた。


「何かおかしいことを言ったか?」

『我らに勝つつもりなのか?』

『まさか人族がここまでユーモアがあるとは思わなかったぞ』

『いいだろう。勝てたら全てを言う通りにしてやろう』

『まぁ待っているのは消滅だけだろうがな』

 全く負けるつもりはないようだ。


 だけど古龍達はきっと分かっていない。

 一度戦闘を終えた師匠達のレベルが上がっていることを。

 十五メートル級の“ルシエルン”三体が限界だと思っていることを。


 最後に上空を飛んでいる霊化したフォレノワールと、戦闘で気持ち悪くなり、ドランと一緒に飛行艇に乗り込み、百メートル上空から主砲を放てるナーニャがいるということを。

「約束は守ってもらうぞ」

『『掛かってくるがいい』』

 そして古竜との闘いの幕が切って落とされるのだった。


お読みいただきありがとう御座います。

少しインフレ過ぎる気もしますが、徐々に強くなっていく師匠達が竜種に負けることが考えられませんでした。

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