入社1年目、初めて番記者を任されたのが風間グランパスだった。独自の哲学を持つ指揮官。取材は、物語の最初で武器を手に入れたRPGのキャラクターが、いきなりラスボスに挑むような感覚だった。
敵チームや記録へのコメントはしないため、試合前の記事に頭を悩ませた。予定調和のような質問は相手にしてもらえなかった。ピッチでも、報道陣の前でもぶれない指揮官。後ろ向きな言葉はほとんど吐かなかったが、昨季の不調時、冗談交じりに「占い師の免許でも取ろうかな」とこぼした姿に、選手起用など多くの決断を下す苦労が垣間見えた。
新体制初日、4-3-3の布陣を見て「フォーメーションは関係ないからな…」と思った記者にも頭の切り替えは必要だろう。シーズンは残り8試合。変化を進化にして突き進む選手を追いたい。