文化庁には今までいろいろお世話になりました。

メディアアートというなかなか微妙なジャンルの、その中でもさらに微妙な形式で表現をしていた自分が、今こうして様々な展示の機会を得ることができているのも、メディア芸術祭はじめとした日本国および文化庁のプログラムの恩恵によるものであり、そこで作品を観て評価してくれた多くの人たちのお陰です。
そのような立場の自分が、こうして抗議文を掲げなければならないことを本当に残念に思います。

僕はこの度、日本国の文化庁がとった『あいちトリエンナーレ』への補助金の交付取り止めという恥ずべき決定に強く抗議します。

トリエンナーレにおいて《表現の不自由展》で展示された作品やその展示方針は、ある人・ある立場にとっては不愉快なものかもしれません。しかし、その痛みや精神的抵抗を通して他者の立場を想像し、それぞれの立場が互いに議論の次元を高めていく、そのために芸術文化があるのではありませんか?もしあなた方の考える「文化」政策がそのようなものでなく、ある価値観、ある立場に寄与するもののみを助成し、発信するものだとしたら、表現者としてその恩恵に預かることほど恥ずかしいことはありません。

さようなら文化庁。

僕は文化庁が今回の決定を撤回し、当初予定通りの助成金をあいちトリエンナーレ実行委員会へ交付することを求め、ささやかながら個人的に抗議のアクションをとります。
僕は交付が認められない限り、
・年末に予定されていた文化庁主催の展覧会への出品
・今後一切の文化庁メディア芸術祭への関与
を拒否します。

どうぞ考え直してください。

これはひょっとすると終わりの始まりです。都合の良い作品だけ集めた展覧会を強行する国がその後どうなるか。
こんなさむい「クールジャパン」は要らない!
また僕に展示の機会が訪れることを祈念しつつ。

表現は重要なのです。


あいちトリエンナーレ パフォーミングアーツ部門参加
クワクボリョウタ