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【社説】

日米合意 自動車で確約取れたか

 米国は農業分野で大きな成果をあげたが、日本は自動車への追加関税回避で確約は取れなかった。交渉は成功なのか失敗なのか。来月四日召集予定の臨時国会で徹底した議論と検証を求めたい。

 利害がぶつかり合う経済交渉で妥協や譲歩は必要だ。

 ただ結果は関係する業界、生産者、働く人々の暮らしに直ちに影響する。すでに野党からはトランプ米大統領の圧力に「一方的に譲歩したのではないか」との批判が出ている。

 日米貿易交渉の焦点のひとつは日本の輸出車に対する25%の追加関税回避の確約が取れるかどうかにあった。

 長期低迷から抜け出せない日本にとって自動車産業は雇用面からも経済の柱。追加関税は深刻な打撃となる。

 共同声明には追加関税や数量規制は発動しないと解釈できる一文が盛り込まれ、政府は回避を「確認した」と説明している。

 ただ首脳会談前、米ニューヨーク・タイムズ紙は「確約」を巡り日米が対立し、正式調印が間に合わなくなったと伝えた。追加関税が発動された場合、協定を失効させるという明確な「確約」を日本が求めたが、米国が強く反発したとの内容だ。

 交渉を有利に進める切り札を温存したい大統領の本音が見える。当面は追加関税は回避できるとみられるが、トランプ大統領の出方は予測できない。交渉の経緯を明らかにする必要がある。

 農業分野では牛肉や豚肉などで譲る一方、日本は米国産米の無関税での輸入枠撤廃や、和牛の低関税輸出枠の拡大などを取り、利害のバランスに腐心している。

 それでもただすべき問題点は多くある。

 交渉外とはいえ、来年の大統領選対策で押しつけられたとしか見えない飼料用トウモロコシの大量購入は、国内の購入先も利用方法もはっきりしない。

 米国産牛肉の関税削減で、豪州産などと合わせた輸入量が環太平洋連携協定(TPP)の水準を上回る懸念がある。

 世界貿易機関(WTO)は二国間の貿易協定に90%程度の関税撤廃を求めている。自動車関連の関税撤廃の先送りでこのルールをクリアできるのか。

 協定案は臨時国会の主要テーマとなる。TPP11や日欧経済連携協定(EPA)も含め、安倍晋三首相の一連の経済外交に対する検証も必要だ。

 

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