(いきなりですが上記Q&Aはこれです) http://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/qa_index-j.html …
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私の目的は10代活動家の国連スピーチの評価ではなく、全文確認もしていないことを断った上で、気になるキーワードから入りましょう。まずは「経済成長」。環境と経済のどちらが大事かという議論になりやすいものですね。答えはもう出ていて「両方」です
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私達が安全・健康・快適・文化的で楽しい生活をするためには、物を使いサービスを受け(経済)、きれいな空気・水・景色など(環境)に囲まれている必要があります。また生産には環境・資源が必要で、環境保全の取組は経済活動でもあります。以下にもう少し詳しく説明しましょう。
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食料にしろ工業製品にしろ、物資の生産のためには環境から資源(水、木、魚、鉱石、土壌など)を調達しなければなりません。持続的に調達するためには環境が資源を供給する能力を損ねず、その範囲内に調達する量を留める必要があります。経済活動のための環境の保全です。
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例えば木製品を製造するためには森林から木を伐ってきます。木は切っても生えるか植えるかしてまた成長しますが切るペースが速すぎれば森林が減って木が供給できなくなりますね。魚の捕りすぎも同じで、捕りすぎれば親魚が足りなくなり総数が減るので、捕りすぎないように管理しなければいけません。
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木や魚はうまく管理すればまた増えますが、一回使えばなくなってしまう資源もあります。これを枯渇性資源といい、石油がその典型ですね。余談ですが石油があと○○年でなくなるという話は「今までに見つかっている石油は」なので頑張って探せば延びます。それでも限界はあります。
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モノをつくったりサービスを提供したりするにはこうした資源が必ず必要なので、経済活動を継続するためには資源供給源としての環境を保全する必要があります。枯渇性資源は大事に使わなければなりません。私たちのよりよい生活には経済と環境の両方が必要。経済のためにも環境は必要。
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ここまで経済といいつつお金の話をしてきませんでした。現代経済では貨幣の役割が大変大きく、ほぼ必ず貨幣が動くので経済ときくとついお金のことを想像してしまいますが、実際の経済活動というのは、服を作って着たり、食べ物を買ってご飯を食べたり、家を建てて住んだりすることです。
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病院を建てて医療を提供し治療を受ける、本を書いて印刷して読む、音楽を演奏・録音して配信する、教師を育成し学校で授業を受ける、携帯情報端末を製造し通信網を構築してインターネットに接続する、アプリをつくってゲームで遊ぶなど、みんな経済活動です。
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道路や水路を造る、堤防を築き水害を防ぐ、社会の決まり・仕組みをつくりこれを運用する、治安維持のために実力組織を構成しパトロールする、といったことも加えておきましょう。こういった事柄を生産手段の蓄積による高度化と分業によって超効率的に行うのが現代の経済システムです。
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こういった様々な生産と消費の事柄を、より多く、より高品質に実現することが経済成長です。これは良いことだと私は思います。美味しいものを食べ、健康を維持し、快適な住居に住み、望む教育を受け、好きな娯楽を享受することは良いことです。他の条件が一定ならば。
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ところが個別にみていくとそう単純ではなく色々な対立があります。森林を森林のままにしておけば木材を利用し、色々な生物に会え、森を歩いたり洪水防止の機能を発揮したりもします。これを伐って農地にすれば食料を増産できます。どうするべきでしょうか。
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この例だけを考えても環境と経済の関係とはどっちが大事かという単純なものではなく、色々な経済活動、色々な環境要素の間にかなり複雑な関係がありそうです。そのため環境・資源の競合を上手に調整しなければならず、競合を緩和するための技術も必要です。
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少々抽象的な一般論になってしまいました。温暖化と経済の問題を考えましょう。経済活動のために世界は石油・石炭・天然ガスを燃やし、森林を伐って農地を広げ、石灰石からセメントを製造し、牛を飼ってきました。これは温室効果ガス(GHG)の主な発生源です。
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世界の経済活動の結果としてGHG濃度が上がることで全地球的な気温が上がり、降水も含む気候が変わり、洪水・干ばつ・海面上昇・生物種の減少等の大きな被害が発生する、現に発生している、と専門家の意見は大方で一致しています(異論はありますが主題ではないので略)。
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これらの被害は許容しがたいので経済活動全般を抑制すべきだ、財を使わず燃料を燃やさず質素な食事をとり自動車を捨てよ、という主張もあります。一方で活動そのものは維持向上させながら技術革新でそれに伴うGHG発生を減らそうという考え方があり、現在こちらが主流です。
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(余談:ここでいう質素な食事の対極にあるのが牛肉でして、牛のような反芻動物は胃の中の細菌が草やらを分解してメタンを発生させます。メタンはCO2の次に多いGHGです。さらに牧草地のために森林を伐ると森林の貯留していた有機炭素が分解されてCO2も発生します)
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これを専門用語ではデカップリング(分離)といいます。身近な例では冷蔵庫を省エネ型のものに転換したりガソリン自動車からハイブリッド車に乗り換えれば(色々条件はありますが通常は)食品保存や移動といった経済活動を維持しながらエネルギー消費とGHG排出を減らせます。
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ところが人間活動の実に広い範囲からGHGは発生するので多くの対策が必要になりますし、ある対策に経済的資源を振り向ければその分だけ他の何かが出来なくなります。国や地域によっても森林のあるなしや現状の排出構造が違いますから、話はまたしても結構複雑です。
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気候変動を抑制し被害を減らすために、どのような対策を、どの国で、誰が、どれだけ、いつまでにしなければならないか。それによって経済はどう変わるか。これを考えるのに(私のような)研究者が色々な条件のシミュレーションをしており、計算上は経済成長を続けながら気候変動の抑制は可能です。
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計算上は可能と書きましたが可能は容易を意味しません。しかしこれは困難が不可能を意味しないのと同じです。見通せる範囲の技術的対策で可能であるということは、仮にそれが困難であっても、非常に素早く、広範囲な分野の技術革新を、強い政治的意思のもとで進めれば、窓はまだ開いている。
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多くの研究がありますが最近出たIPCCの1.5℃特別報告書が将来の経済成長を前提にしつつ気候変動の大胆な抑制について専門的にまとめていますので環境省の概要PDFにリンクはっておきますね。 http://www.env.go.jp/earth/ipcc/6th/ar6_sr1.5_overview_presentation.pdf …
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またそのような技術革新を行い普及させるには良好な経済「も」必要なのです。一般に景気が悪いと投資が減ります。リーマンショックの時にはエネルギー技術への投資が減ることでよりクリーンなエネルギーへの移行が遅れるという懸念を国際機関(IEA)が表明したりしました。
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エネルギーは世界のGHG排出の主要な部分を占めており、電力だけでざっと4分の1になります。2050年ごろまでにはこれをほぼゼロにしなければいけません。従来の石炭火力や天然ガス火力を排し(あるいはCCS化し)、再エネや原子力でほぼ全部賄う必要があります。
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ひとまず費用を無視すればその技術はあります。何なら再エネだけでも物理的限界は世界のエネルギー消費量よりずっと大きい。地球の表面全体が4時間の間に受け取る太陽のエネルギーだけで世界の年間エネルギー消費量と同じくらいです。(太陽定数から今計算しました。間違ってたらご指摘願)
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というのは極端な話ですが、世界の複数の研究機関が様々なエネルギーシステムの長期的な組み合わせを検討した結果として、CO2排出のない電源への移行と需要側の省エネ化、さらにスマートグリッドなどのマネジメントシステムの導入で、経済成長とGHG削減を両立する道はあります。
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(余談:恒星のエネルギーを文明が使い尽くすための方策として「ダイソン球」というものがあります。イメージとしては内側に太陽光発電パネルを敷き詰めた大きな殻で太陽をすっぽり包む感じです。現段階ではSFですね)
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他にも交通や農業、廃棄物処理などで数多くの対策が必要となります。また世界には気候変動以外にも多くの問題があり、温暖化だけ解決したけど他の困ったこと、例えば貧困の拡大、伝染病の蔓延、治安の悪化、大小の紛争・戦争などがそのせいで悪くなってしまっては困ります。後述します。
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経済と環境という複雑な話のうち、世界経済の総生産とGHG排出量の抑制という一側面に絞っていえば、現状見込める技術・制度を最大限に動員することで(すごく大変だけど)両立できるだろう、というのがいまのところの専門家の見解です。ここまでが「経済成長」の話。次のキーワードは「世代」です。
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件のスピーチは新しい世代が古い世代の無為無策を非難したものと受け止められているようです。これは「世代間衡平」の問題として業界では議論されてきました。気候変動の問題の問題たる所以のひとつが原因と被害の時間差にあり、今出したGHGが将来の気候を変動させるためです。
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