プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)ナカラ回廊農業開発研究・技術移転能力向上プロジェクト

対象国名

モザンビーク

署名日(実施合意)

2011年2月21日

プロジェクトサイト

ナンプラ州ナンプラ市/ニアサ州リシンガ市

実施期間

2011年5月7日から2017年11月6日

相手国機関名

(和)農業省モザンビーク農業研究所
(英)Agricultural Research Institute of Mozambique

背景

モザンビーク(以下「モ」国)の農業部門はGNPの約27%、総輸出額の約10%を占め、労働人口の約80%が従事している。一方、「モ」国で農耕可能とされている国土面積は3,600万ヘクタールであるが、このうち実際に耕作されている面積は約16%の570万ヘクタールにとどまっている。特に同国北部に広がる熱帯サバンナ地域は、一定の雨量と広大な面積を有する農耕可能地に恵まれており、農業生産拡大のポテンシャルは高いと考えられている。しかしながら、同地域の多くでは粗放的な農業が営まれており、自給作物、商業作物ともに生産性は高くない。また、中・大規模農家であっても用いられている農業技術は限定的であり生産性は高いものではない。そのため、今後適正な農業技術の導入やインフラ整備により、耕作面積の拡大と農業生産性の向上が期待されている。

当該地域にはモザンビーク農業研究所(Agricultural Research Institute of Mozambique:以下IIAM)傘下の2つの地域農業試験場(ナンプラ及びリシンガ)があり、農業研究を行っているものの、施設は貧弱かつ研究者の能力も十分でないため、地域に適した農業技術の開発が遅れており、農業生産性の向上に貢献できていない。

こうした背景から、「日本・ブラジル・モザンビーク三角協力による熱帯サバンナ農業開発プログラム」(ProSAVANA)が立ち上げられ、高いポテンシャルが認められながら開発が進んでいなかった同地域の農業開発を進め、地域の小農の貧困削減、食糧安全保障の確保と、民間資金を活用した経済成長に貢献する農業開発の展開を目標としている。

2009年9月から2010年3月にかけて行った協力準備調査「日本・ブラジル・モザンビーク三角協力による熱帯サバンナ農業開発プログラム準備調査」では、ナカラ回廊周辺地域の農業開発を実現するためには、農家が適正な作物体系を選択する際に活用できる、当該地域の社会経済環境に適合した、「農業開発モデル」を確立することが有効である」ことが明らかになった。その「農業開発モデル」の構築のためには、「試験研究の成果の蓄積」と「実証プロジェクトの先行」が有効であり、その端緒として前述の地域農業試験場の研究能力向上及びパイロット農家での新しい農業技術の実証展示を実施することが提唱され、係る内容に基づき、「モ」国が本プロジェクトを要請するに至った。

本業務は、上記要請に基づき、ブラジル政府が派遣する研究者とともに、「モ」国側研究者の能力向上と技術移転能力の向上を目指すものである。

目標

上位目標

ナカラ回廊地域の農業生産が増加する

プロジェクト目標

ナカラ回廊地域に適正な農業技術が開発され、技術移転がされる

成果

  1. 北東地域農業試験場および北西地域農業試験場の研究体制が強化される。
  2. ナカラ回廊の自然資源と社会経済状況が評価される。
  3. ナカラ回廊における土壌改善技術が開発される。
  4. ナカラ回廊における作物の適正栽培技術が開発される。
  5. 新しく開発/実証された農業技術に係る普及員を対象とした技術移転活動が実施される。

活動

1-1.
研究施設・設備・機材のインベントリーを作成する
1-2.
施設・設備を改善する
1-3.
実験機器を整備する
1-4.
ナンプラ農業試験場とリシンガ農業試験場に実験棟を建設する
1-5.
農業試験場スタッフに対する機材使用とメンテナンスに関する研修を実施する
1-6.
農業試験場の運営方法について助言する
2-1.
土壌・植生を評価する
2-2.
気象データを収集し分析する
2-3.
水資源データを収集し分析する
2-4.
地勢データを収集し分析する
2-5.
作物・家畜の生産ポテンシャルを調査する
2-6.
農業目的の土地利用計画を提案する
2-7.
社会経済の状況を調査する
3-1.
土壌改良の技術を提案する
3-2.
推奨すべき施肥方法を作物ごとに提案する
3-3.
土壌保全の技術提案する
4-1.
適正な作物・品種を選定する
4-2.
適正な種子増産システムを提案する
4-3.
豆類とその他の作物に適正な微生物を選定する
4-4.
農業利用を目的とした水資源へのアクセス強化のための適正な方法を提案する
4-5.
適正な作付け体系を提案する
5-1.
パイロット農家を選定し、作物栽培や家畜飼育の展示圃場実証を設置する
5-2.
展示圃場にて農家向けの技術移転活動を実施する(セミナー、フィールド訪問など)
5-3.
普及員向けの研修コースを実施する
5-4.
適正な作付け体系を選定するために農家が活用できる意思決定支援モデルを作成する

投入

日本側投入

日本

  • 日本人専門家「チーフアドバイザー」(60M/M)、「業務調整」(60M/M)、その他短期専門家「土壌分析」「施肥技術」「土壌保全」「栽培」「土地利用計画」「土壌微生物」「水資源」等計140M/M程度
  • 四輪駆動車
  • 実験棟の建設
  • 農業試験場の灌漑施設の整備
  • 研究機器
  • セミナー・ワークショップ経費
  • 本邦研修経費

ブラジル

  • ブラジル人専門家「研究・普及技術」「インフラ技術(ラボラトリー、パイロット活動、種子調整など)」「種子増産システム技術」「家畜生産技術」「自然環境分析」「技術普及」
  • 運営・モニタリング・評価ツール
  • 熱帯農業に関する出版物
  • 研究機器
  • 小農向けの苗木・種子関連機械
  • 現地業務費
  • ブラジルでの研修

相手国側投入

  • カウンターパートの配置(北東地域農業試験場と北西地域農業試験場)
  • 執務スペース
  • 展示圃場設置場所の確保
  • 追加人員の配置、人件費の負担
  • ローカルコスト負担