技術の発展やライフスタイルの多様化で、住まいのかたちも様々な進化を遂げてきました。より便利に、より快適に過ごすための工夫がたくさんつまった間取り図を見れば、私達のこれまでの暮らし方、そしてこれからの暮らし方のヒントが見えてくるかもしれません。
TOP画像/パークホームズ大崎サウスレジデンス
※コンセプトルームのため実際のプランとは異なります
今回「みんなの住まい」編集部は、2010年、2015年それぞれに竣工した三井不動産レジデンシャルの首都圏の分譲マンションの間取り図を比較・分析! 5年の間に住まいに対する面白い変化を見てとることができました。
WIC採用は25%UP! 「家具を置かない暮らし」にシフト?
画像/パークホームズ杉並和泉 ザ レジデンス(分譲済)
住居を選ぶ時、特にマンションでは収納力を気にする方も多いのではないでしょうか。最近の分譲マンションでは収納力を強みにする物件が増えています。ウォークインクロゼット(WIC)の採用率は2010年に67%だったのが、2015年には92%と25%もアップ。クローゼットタイプよりも、スペースが広くいろいろなものを収納できるウォークインクロゼットは最近では標準装備に近くなっています。
他にも、シューズインクロゼット(SIC)や納戸(N)、トランクルーム(TR)、サービスルーム(S)といった収納スペースのバリエーションも増加傾向にありました。洋服以外にも、様々なスペースの収納を充実させて、室内はすっきり広々と使いたいというニーズが増えているようです。
キッチンは独立型がさらに減少 会話が増える対面型キッチンへ
画像/パークホームズ板橋本町ステーションコンフォート(分譲済)
独立型のキッチンとは、他の部屋と壁で仕切られ、キッチンの様子があまり見えないつくりのもの。食べ物のニオイが広がりにくかったり、散らかりにくいというメリットがあります。でも調理中のママやパパはリビングダイニング(以下LD)にいる家族の様子が見えません。そこで近年人気なのは、カウンター型のセミオープンキッチンや、アイランド型のオープンキッチンです。2010年に16%だった独立型キッチンの採用率は、2015年には7%と半分以下に減少しました。オープンタイプのキッチンはカウンター越しにLDが見え、家族や友人と会話しながら調理ができます。小さなお子さんのいる方はリビングで子どもを遊ばせながら家事ができたり、「リビング学習」の時も様子を見守ることができます。忙しい日々の中で、不足しがちなコミュニケーションの時間。その機会を求める人が増えているのかもしれません。
お手入れ方法がネック? 和室はとうとう1%に
画像/パークホームズ流山おおたかの森 ザ レジデンス
(※フローリングの洋室に畳マットを敷いています)
日本の住まいならではの和室、その利用者は年々減っているようです。部屋数の多い戸建物件ではまだ採用率は高いものの、今回の調査では2010年に13%あった採用率が、2015年ではついに1%。減少の理由としては、布団よりベッドの利用率が高くなったことや、畳みの手入れをするのが面倒、と考える人が多いからでしょうか。 核家族の場合、家具を置きにくい和室で一つの部屋を使ってしまうのはもったいない、と思う人もいるのかも。 でも、毎日ふとんを上げ下げすることで常に広いスペースを開けることができ、様々な用途に使えます。友人や両親が遊びに来た時のゲストルームにしたり、転んでもハイハイしても痛くないので子どもの遊び部屋にしたり。 住まい選びの際は将来のライフスタイルを想像して、和室の有無も検討してみると面白いですね。新築分譲マンションの中には、工事が進む前であれば、和室プランを選ぶことができるケースもあります。和室を検討したい人は担当の方に相談してみるとよいですよ。
リビングは窓の大きな横長タイプが増加
画像/パークホームズ駒沢 ザ レジデンス(分譲済)
みなさんの住まいのリビングはどんな形ですか? 入った時、横に広がっているのか、それとも縦に奥行があるのかで家具のレイアウトも異なり、お部屋の印象はがらりと変わりますよね。今回の調査では、2010年から2015年で横長リビングは49%から61%と12%も増加しました。横長リビングは一番奥に横長の大きな窓があるタイプがほとんど。部屋全体にたっぷりと光や風を取り込むことができ、開放感を感じられます。他の洋室を小さくしても、家族や友人が集まるリビングルームは広く、ゆとりある空間にしたいというニーズが増えたのではないでしょうか。
リビングに隣接する部屋のスライディングドア採用が増加
画像/パークホームズ築地グリーンサイド(分譲済)
可動式の間仕切りとして近年増えているのが「スライディングドア」や「ウォールドア」。大半がリビングと隣接する洋室との間仕切りに採用されています。通常のドアや引き戸よりも開放面が広く、開けるとリビングがより広い空間に、閉じると壁のように仕切られることから、空間をフレキシブルに使いたいという方に人気です。その採用率は2010年に8%だったのが、2015年には14%になりました。ドアの移動や開閉は一人でも簡単にできます。イベントごとや子どもの成長などライフステージの変化が訪れた時、リフォームや引っ越しを考えなくても、気軽に間取りを変えることができるのは嬉しいですね。
曲がる廊下は減少
2010年は43%、2015年には30%と、玄関とリビングをつなぐ廊下が曲がっている間取りが減少していました。つまり、玄関を開けるとまっすぐにリビングが見えるということ。リビングのドアを開放しておけば、窓から玄関まで風が通り抜けます。また、余分な曲がり角をなくすことで、デッドスペースを減らし、各部屋の面積を広くできます。
今回は首都圏の物件に絞って調査したこともあってか、全体的に「開放感」や「すっきり広々と暮らす」を叶える間取りが多い印象でした。みなさんは「次に住むならどんな間取りが良いか」と考える時、何を一番最初に思い浮かべるでしょうか。
※調査概要
首都圏のパークホームズシリーズで2010年と2015年の竣工物件のうち、2LDK〜3LDKの間取り図(2010年144タイプと2015年235タイプ)で比較。