打球が高く弾めば、それは大島のヒットゾーンだ。大貫、三嶋の前に3打席凡退で迎えた8回。エスコバーの155キロに詰まらされたが、遊撃・大和が捕ったとき、大島はもう一塁の手前にいた。
「飛んだコースがよかったのですが、シーズン中はいい当たりでもアウトはアウト。詰まってもヒットはヒットですから」
打率3割の常連にはいくつかの共通項がある。勝っているときも、負けているときも、淡々と4打席目には打つこと。ボール球でも打てること。そして左打者なら内野安打を稼ぐことだ。
大島にとって今季28本目の内野安打。中日勢は3年連続でリーグトップと得意分野だが、うち2度(2016、18年)は大島だ。今季は33本の阪神・近本に次いで2位。11月には34歳になるが、打ってから一塁への到達速度に衰えは見られない。
これでシーズン171安打。無安打に終わった巨人・坂本勇に並んだ。巨人は残り2試合。自身初の最多安打のタイトルの輪郭が見えてきた。
「チームがBクラスに終わってしまって、悔しいし、ファンには申し訳ないです。その中で残り4試合。全力で戦うのはもちろんですが、トップで終わりたい。目標は178本です」
わずか3安打の完敗で、7年連続のBクラスが確定した。8連勝した7月半ばには瞬間的に並んでいたDeNAの2位も、これで確定した。あれから2カ月。巨人には届かなかったが踏みとどまったDeNAと、ズルズルと後退した中日。どこに上位との差があったのかはいずれ書く。
今オフは積極補強に動くようだ。組織を活性化させるには大いに結構だ。だが、足元を見れば大島の3年契約は今季で満了する。リーグトップタイの安打を打ち、無失策かつ同2番目の270刺殺(23日現在)の守備範囲を誇る外野手。何よりも故障に強い。そんな大島としっかり話し合い、確実につなぎ留めるのも立派な補強である。