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敦賀の笹木智恵子さん、環境大臣表彰 中池見湿地を保全

自然公園関係功労者環境大臣表彰が決まり、喜ぶ笹木さん=敦賀市東洋町の自宅で

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 ラムサール条約に登録されている敦賀市樫曲(かしまがり)の中池見湿地で保全活動を続ける、同市東洋町の笹木智恵子さん(73)が、長年の功績をたたえられ、本年度の自然公園関係功労者環境大臣表彰を受けることが決まった。県内では三年ぶり。二十八日に北海道で開かれる表彰式を控え、笹木さんは「全国の人たちから応援してもらった」と感謝した。

 県によると、中池見湿地は、敦賀市の北東二キロに位置し、広さは二五ヘクタール。デンジソウやミズノトラノオなど三千種の動植物が生息している。二〇一二年七月にラムサール条約湿地に認定された。

 笹木さんは、一九九〇年六月から国の自然公園指導員となり、二〇〇三年に、NPO法人「ウエットランド中池見」を発足させて理事長として活動している。

 湿地に生息する動物や鳥、植物を観察する環境省のモニタリング調査や、清掃活動にも従事。鯖江市の高年大学で自然環境の講師も務めている。これらの功績により表彰を受けることになった。笹木さんは、条約に登録された一二年七月にも、同省自然環境局長賞を受賞している。

 湿地のある場所は「隠し田」と呼ばれるほど、かつては地元の人にも存在が知られていなかったという。ゲンゴロウやミズカマキリ、ガムシなどの水生生物が多く生息し、「生き物の天国」だったという。

 これまでに湿地では、工業団地の建設や、液化天然ガス(LNG)基地の開発計画が持ち上がるなど、危機に直面することがあった。だが、笹木さんらによる自然保全運動により、ラムサール条約への登録につなぐことできた。

 笹木さんは活動を振り返り、「県内外の学識経験者との横のつながりができてきた」とする一方で、「県内には中池見湿地の生態系を知る人が少ない。活動を次につなげなければいけない」と危機感も口にした。

 環境省によると、本年度の自然公園関係功労者環境大臣表彰には、笹木さんを含む二十七件(個人二十六、団体一)が決定した。

 (青木孝行)

 

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